kitty on your lap


第二十三話

aosen




−1−

家に帰り着くと、アスカはすぐにぬいぐるみを飾った。

「うふふふ」

とても、嬉しそうだ。

正直言って、たった一回手本を見せただけで、アスカがクレーンゲームで景品を取れるとは思わなかった。

人間ですら、この手のゲームが苦手な人はたくさんいるのだ。

・・・ひょっとしたら、アスカってコツを飲み込むのが早いのかな?

猫の間、ずっとテレビを見ていたおかげか、街に出てもあれこれ質問しなくなったし。

「ねぇねぇ、いっしょにほんよもぉ!!」

この要求の多い仔猫ちゃんに答える為に、僕はアスカの元へと向かった。


−2−

一通り動物図鑑を読むと、もう夕ご飯を作る時間だ。

アスカは少女小説を読み始め、僕はご飯の準備にかかる。

読書に熱中しているのか、僕が料理を始めても何も言わない、物音一つしない。

おかげで、久しぶりに料理に集中出来た。

あまりにも彼女が静かなのが気になって、ふとアスカの方を向くと、顔を真っ赤にしながら少女小説を読む姿がそこにあった。

しばらく彼女を観察していると、完全に自分の世界に入っている事が解った。

「ふぅ・・・」

とため息をついたり、

「うにゃぁ・・・」

と体をもじもじしたり。

見ていて飽きない。

突然彼女が本から目を離し、僕の方を見た。アスカを観察していた僕と、視線が合う。

「こっちむいちゃだめぇっ!」

と、彼女が叫ぶ。顔は、さっきよりも赤い。

「ど、どうしたの?」

何が何だか解らず、聞き返す僕。

「しらない!」

そう叫ぶと、彼女はバスルームへと走っていった。


−3−

夕ご飯が終わっても、アスカの顔はまだ赤かった。

ちらちらと僕を見たかと思うと、恥ずかしそうにうつむく。

二人でテレビを見てようと、僕が彼女の側に寄ると、なぜか微妙に離れて行くアスカ。

さっぱり、解らない。

僕から逃げるアスカを捕まえて、あぐらをかいて座っている僕の膝に乗せる。

最初はじたばたともがいていたけど、ちょっと抱き締めるとすぐに大人しくなってくれた。

「どうしたの、アスカ?」

包み込むように、抱き締めた腕に力を込める。

「・・・なんでもないのぉ・・・」

「僕の事が、キライになった?」

避けられる事に、何も心当たりは無い。

「だとしたら・・・悲しいな」

「ちがうの!・・・ちょっとはずかしいだけ・・・」

僕の体にかかる重さから、彼女が脱力していくのが感じ取れる。

「何で恥ずかしいの?」

「・・・ばか、どんかん・・・」

しかし、その言葉には責める調子が無い。

「・・・安心した。アスカに嫌われたかと思ったよ。」

きっと、娘に『お父さん、キライ』と言われたら、さっきの僕みたいな精神状態になるんだろうなぁ・・・

そんな事を考えながら、僕は彼女を解放しようとする。

「今は恥ずかしいならいいけど・・・いつか、何で恥ずかしいのか教えてね」

「うん・・・いつかはなすから、いまはもうちょっとこのままでいて・・・」

未だ恥ずかしぞうな彼女のリクエストに答えながら、僕の頭に一つの疑問が浮かんでいた。





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