kitty on your lap


第二十九話

aosen




−1−

僕とアスカ、ケンスケとマユミちゃん、4人で並んで歩く。

それにしても、予想外だった。リツコさんも、教えてくれればイイのに。

そんな事を思いながら歩く。

僕の手をそっと握りながら、アスカが問い掛けてきた。

「どうしたの、シンジ?」

陽の光をきらきらと反射させる紅い髪の毛。それがさらさらと揺れている。

「いや、なんでも無いよ。・・・大きくなったね、アスカ。」

もうちょっと気の利いた台詞が言えないものかと、自分に嫌気がさすけれど、アスカは嬉しそうだ。

「うん。」

「それに・・・可愛くなったね、前よりもずっと。」

今度はキザ過ぎる。僕には、中間ってモノが無いのか!!

「え、あ、う、うん・・・ありがと・・・」

僕の手を握るアスカの指に、ちょっと力が入る。

緊張してるのかな?

ケンスケの方は、マユミちゃんと会話が弾んでいるらしく、時折嬌声が聞こえる。

僕とアスカは、これくらいで調度良いのかもしれない。


−2−

僕とケンスケで企画した歓迎会(?)は順調に終わった。

始終緊張しっぱなしだった僕は、ロクに料理に手を付けていない。

「んじゃ、そろそろ俺らはおいとまするな。」

ケンスケは適応能力が高いらしく、成長したマユミちゃんに慣れたらしい。

「うん、それじゃまたね、ケンスケ。」

彼らを玄関まで見送る。

・・・部屋には、僕とアスカだけだ。

やっぱり、なんとなく緊張してしまう。

「今日は、その・・・ありがとね。」

口数が少なかったアスカが喋り出す。

「いいんだよ、御祝いなんだから。アスカが大きくなったからね、僕も嬉しいんだ。」

確かに嬉しくはあるけれど、この言葉はウソだった。

本当は、ただの退院祝いだったのだから。

家に帰りついた時から隠すのをやめた猫耳ぴこぴこと動かしながら、アスカがウーロン茶を飲む。

「うん・・・」

照れているらしい。

残っている料理にラップをかけて、空になった皿を台所へと運ぶ。

リビングから

「ふにゃぁ〜」

という声が聞こえる。

きっと、アスカが欠伸でもしているんだろう。

台所にある壁掛け時計を見ると、夜の10時を指していた。

昨日まで仔猫だったんだもの、もう眠いのもしょうがないか。

手早く皿を洗い、リビングへと戻る。

ちゃぶ台では、アスカが船を漕いでいた。

こくり、こくりと揺れるアスカの頭。

赤い髪の毛が、それに併せてゆらゆら。

『愛らしい』っていうのは、こういう事なんだろうか?

うたたねするアスカをそのままにして、僕は寝る準備をした。

着替え、すっかり布団を敷き終わった所でアスカが目を覚ました。

「うぅ・・・もう寝るの?」

目元を擦りながら、僕に問いかける。

こういう仕草は、全然変わってない。

「そうだよ、ちょっと早いけどね。」

布団に潜り込む僕。

「ほら、そんな所で居眠りしてると風邪引くよ?」

いつも通り、自分の隣をぽんぽんと叩いてアスカに入るように促す。

「・・・あ、アンタ馬鹿ぁ!?ア、アタシは、もう大人なのよ!一緒に寝られるワケないじゃない!!」

叫ぶアスカ。

そう言えば、そうだった。

もうこの前までのアスカじゃないんだ・・・・

はぁ、デリカシーが無いって嫌われちゃったかな?

「もう、シンジのえっち!!」

顔を真っ赤にして怒鳴るアスカ。

うん、やっぱりアスカはこれくらいの方がいい。

・・・これくらいの方がいいんだけど、僕は今日、どこで眠ればいいんだろう?





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