kitty on your lap


第三十一話

aosen




−1−

伊吹マヤがコンビニの前に駆けつけた時、少女は店の前の道路でしゃがみこんでいた。

「お待たせ。・・・どうしたの、アスカ?」

彼女を立たせ、事情を聞く。

「ひっく・・・あのね」

しゃくり上げながら、アスカは事情を説明し始めた・・・


−2−

アタシが泣いていた理由。

それは、料理の仕方が解らなかったからだ。

いや、それだけじゃない。

シンジが倒れ、看病しなくちゃいけないのに、全然役に立てない。

そう思うと、自分の不甲斐なさに情けなくて涙が出てきたのだ。

そのうち、想像がどんどん悪い方に膨らんで、シンジが死んでしまってアタシが暗い路地に捨てられているシーンを想像した所で、涙が止まらなくなってしまった。

出かける時に持ってきた、携帯電話のメモリにあったマヤの番号を押した・・・というのが、事の顛末だ。

この話を聞いたマヤは、アタシをぎゅっと抱き締めて

「大丈夫よ」

と囁いた後、コンビニでテキパキと買い物をして、シンジが待っている家へと向かった。


−3−

「料理は私がやるから、アスカはシンジ君を看ていて」

マヤにそう言われ、アタシは寝ているシンジの元へ。

そんなに長い間外にいたワケでは無いけど、シンジの顔を見るとなんとなくホッとした。

「ただいま、シンジ」

誰にも聞こえないような小さい声で言う。

彼の、汗に濡れた髪に手を入れると、ちょっとくすぐったかった。

「・・・あ。おかえり、アスカ。」

閉じていたハズのシンジの目がうっすらと開き、アタシに向けられる。

「寝てなきゃダメよ、ほら」

額に乗せていたタオルを冷水で冷やし、絞る。

それを彼の額に返すと、気持ち良さそうに笑った。

「ありがとう・・・」

・・・その笑顔に、アタシの胸は罪悪感で張り裂けそうになった。

アタシ、シンジに『ありがとう』なんて言われる事なんか何もしてない。

うぅん、シンジに迷惑ばっかりかけてる。

こんなアタシでも、パートナーだって言ってくれるかな・・・?

また、涙がこぼれそうだった。





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