kitty on your lap


第四話

aosen



−1−

アスカの服を買いに、近所のブティック・・・に行けるほどの予算は 無かったから、大き目のスーパーの子供服売り場へ。

店員の『なんで高校生くらいの男がこんな所に?』という視線は、なんとか跳ね返しながら、可愛くて綺麗で動き易いそうな服を探す。

でも、そんな服はそうそうあるもんじゃない。

取り敢えずは今後の事を考えて、動き易い物を選ぶ事にした。

白いタンクトップに、カットオフジーンズ・・・と言うより、半ズボン。

さらに、薄いピンク色のトレーナーを一枚。

とりあえずは、これで良し。

後は、彼女を連れて来て選ばせよう。

子供服売り場から食品売り場に移動して、今度は昼食の材料探し。

魚は朝食べたから、他の物にしようと、色々と物色する。

パスタが安かったので(なんと、1Kg200円!)非常食として保存しておく事も考えて、2Kgほど買い置きしておく。

牛乳等の飲物も多めに買い込んで、僕はスーパーを後にした。


−2−

家に帰り玄関に入ると、見た事の無い赤いパンプスが目に入る。

(誰のだろう?)

「ただいま、アスカ。」

久しぶりに、『誰かが待っている家』に帰ったような気がする。

こういうのって、ちょっといいな。

「おそいのよ、ばかジンジ!!」

とてとてと足音を立てながら、奥の部屋からアスカが出て来た。

「ねぇ、この靴は誰の?」

赤いパンプスを指さしながら、僕は彼女に尋ねた。

「リツコのよ。シンジにおはなしがあるんだって。」

リツコ・・・たしか、猫神様の名前だ。

「お留守番、ありがとうね。」

僕の事を『お留守番してたの。偉い?偉い?』といった感じで見上げるアスカの頭を、乱暴にならないようになでてやる。

「うにゃあ!」

とても嬉しそうに、彼女が鳴いた。

アスカを連れて居間に入ると、猫神様がお茶をすすっていた。

「こんにちは、猫神様・・・いらっしゃいませ、で良いんですかね?」

夢の中でした挨拶よりも、もっとマヌケな挨拶をすると、猫神様はクスクスと笑った。

「夢の中でも現実でも、貴方ってとっても面白い人なのね。」

「・・・ありがとうございます。」

複雑な気分だ。

「そう怒らないで。今日は貴方に、色々とアドバイスしに来たのよ。」

隣では、アスカが一緒に僕を笑っている。

「まず、この子なんだけど・・・小学校五年生くらいに見えるでしょ? その年頃の女の子が出来る事は、一通り出来るわ。」

うんうん、箸も使ってたもんな。

「この子の希望は、人間になる事みたいだから、貴方は『人としての一般常識』みたいな物をこの子に教えてあげて欲しいの。」

やっぱりね。

「後は・・・まぁ、普通に生活してちょうだい。『最後の日』に、こちらで審判を下すから。」

その言い方に、ちょっと無責任なモノを感じだけれど、さらりと流す。

「で、何か困った事があったら、ココに電話してね。」

猫神様はどこから出したのか、名刺を僕に渡した。

名刺には、赤木リツコという名前といっしょに、携帯電話の電話番号が。

神様でも携帯を使うんだなろ思うと、不意に吹き出しそうになる。

「心が読めると言ったでしょう?あんまり失礼な事を考えていると、バチを当てちゃうわよ。」

微笑みながらそういう猫神様に、かなりビビる僕。

横ではアスカが

「へんなかお〜!」

と笑っていた。

本当に僕は、上手くやっていけるんだろうか?

本気で不安になった・・・






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