kitty on your lap


第七話

aosen




−1−

太陽が僕らの頭にさしかかった。

そろそろ、お昼だ。

「もっとあそぼうよぉ!」

とアスカは遊び足りないみたいだったけど、僕は久しぶりに体を動かしたおかげで疲れてしまった。

「今度また来ようね。家に帰って、お昼ご飯を食べなくちゃ。」

食欲と遊びたい気持ちをしばらく天秤にかけていたアスカは、食欲が勝ったらしく、僕と一緒に大人しく帰る事にしたみたいだ。

「またいつか、アタシをつれてくるのよ!!」

口調は強かったけど、とても寂しそうな瞳。

この、アンバランスで、自分の気持ちを素直に伝えられない所はちょっと可愛いと思う。

でも、言葉使いは直してあげないとなぁ・・・

そんな事を考えながら、遠回りして家へ。

またスーパーに寄って、アスカに自分の服を選んでもらう為だ。

子供服売り場に連れて行き、予算の額をアスカに教えて、自由に選んでもらう。

こういう買い物を覚えておくのも、きっと人間になるのに役立つだろう。

・・・役立つかな?役立つといいなぁ・・・

アスカが服を選び終え、試着する為に試着ボックスに入っていく。

すると、おばさん店員が

「サイズはいかがですか?」

と言いながら、アスカが使っている試着ボックスへと入った。

試着中→帽子と服を身に付けてない→耳としっぽがバレる

最悪の展開が起こるかもしれない。

おばさん店員の悲鳴が辺りに響くのを覚悟しながら、その時を待った。

・・・十秒。

・・・三十秒。

・・・一分。

おかしい、何も起こらない。いや、何も起こらない方が良いんだけど。

「あら可愛いわね。良く似合ってるわ、お嬢ちゃん。」

その時、試着ボックスのカーテンが開いてアスカと店員さんが出て来た。

「ありがとう、おばさん!これ、ください。」

・・・狐につままれた気分だ。

アスカが選んだ服の会計をして、スーパーを出ると、僕はアスカにそっと聞いてみた。

「ねぇ、耳としっぽ、バレなかった?」

「うん。おばさんがはいってきたときはびっくりしたけど、すぐかくしたから。」

あんなに目立つものを、どうやって隠すんだ?

「どうやって隠したの?」

「そんなながいじかんはむりだけど、みみとしっぽはね、けせるの。」

自分でも何で消せるのか解らないんだろう、ちょっとしどろもどろになりながら、彼女はそう答えた。

よし。これでアスカがネコ少女だって事がバレ難くなったぞ。

「なにニコニコしてるの、シンジ?」

「いや、何でも無いよ。」

僕は、明るい気分で帰り道を歩いた。


−2−

お昼ご飯が終わると、アスカはとても眠そうだ。

さっきから

「うぅ〜」

とか

「みゃあ〜」

とか言いながら、しきりに目を擦っている。

そんな様子を見た僕は、彼女の為に布団を敷いてやる。

「ほら、パジャマに着替えておいで。」

布団をじぃ〜!と見ているアスカ。

きっと、今眠ったらどんなに気持ちが良いか考えているんだろう。

僕もTシャツとジョギングパンツに着替えて、同じ布団で寝る事にした。

布団に潜り込み、空いている所をポンポンと叩いて彼女を誘う。

「うん、きがえてくる。」

さっき買ってあげたパジャマを持って、アスカはバスルームへと消えた。

きっと、脱衣所で着替えてくるんだろう。

・・・僕に着替える所を見られるのが恥ずかしいのかな?

そりゃ恥ずかしいよ、と一人ボケツッコミをして僕は笑った。

小学校五年生くらいなら、そういう羞恥心があって当然だ。

その時、アスカが戻ってきた。

水色のパジャマが、良く似合っている。

布団をめくってあげると、そこに入ってきた。

「にゃあ・・・あったかい・・・」

とろんとした、眠そうな瞳のアスカ。

「おやすみ、アスカ。」

「おやすみ、シンジ。」

こうして、僕らの穏やかな昼は過ぎていった・・・





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