超能力ロボハチ五郎外伝その8(氏照)



 


extra episode:∞回路

ナゾであった。
ここ数日前から、超能力が使えないのである。
いつもなら秒殺ので済ませる風呂掃除もチマチマ手でやらなければなかった。
「う〜ん、この間の整備が怪しいロボ、でも博士は全然とりあってくれないロボ」
世間は夏休みであるが、ここ超光石研究所も昨日から長期休業。
そして昨日から職員を連れだって旅行に行っている。
「博士がいない間に調べてみるロボか……」
ひとまず整備機器で綿密に体の各所を調べてみる。
…………。
ない。
胸部、人間でいう心臓のあるあたりに収まっているはずの超光石がないのだ。
以前から超能力を使うのにかかわっているらしいことは知っていたが、
これが無くなっているということはやはり怪しい。
「ここは博士の持っている記録を見てみる必要があるロボね」
研究所の各設備にはロックがかかっている。
「ふふふ、こんなこともあろうかと博士の部屋であれを調べておいたロボ」
と言って懐から紙きれを取りだす。
メモリーに記録しておくとバレてしまう恐れがあったため、
レシートの裏に手書きでメモを取っておいた。
「0768……」
数字で始まるやたらと長いパスワードである。
これまた、
ワリト博士が大事にしているとある神社のお守りに入っていたメモからとったものだ。
何か意味のあるものらしいが全く分からない。
「まあ、とりあえず調べてみればわかるロボか……
ちょいちょいと……そら、いったロボ」
基本的に、博士の個人的な記録に関してはセキュリティーが甘い。
重要なことは記録に残さないし、
そもそも見られてもほかの科学者にはまったく理解できないものがほとんどである。
『春日光の研究は科学ではなくオカルトだ』とも言われている。
それはこの超光石に関する、ある論文を発表してからである。
ともかく、ハチ五郎はたやすく博士の個人記録にたどり着いた。
その中からそれらしいものを探す。
だが、あるのは競馬の成績とか、外食の記録とか、役に立たないものばかりであった。
「まーったく、つまんないものばっか残してるロボ……うん?」
『∞回路』
なる、ファイルを見つけた。
「おお、いかにも怪しいロボ……」
その中にはこう、書かれていた。
『このファイルはいずれだれかが見つけるだろう。
その時こそ、超光石の秘密を追いかけることが無意味であることの始まりとなる。
この計り知れない力を手に入れようとするものは永遠の迷路をさまようだろう。
私は超光石にある封印、封印というのが適当だろう、を施した。
これに仮に、ではあるが∞回路と名付ける。
これは少なくとも、現時点で私が造りえた最高の研究成果である。
ある意味で、無限の力を制御した、と言ってもいい。
誰かが、この回路を手にしたとしても、作動させることは不可能である。
そもそも手にすることさえできないであろう、
これはそこにあるにもかかわらず、決して見つけることも、持ち出すこともできないのだ。
だが、私はいずれこの回路が起動するときが来ることを願う。
それは決して私にできることではないが、いつかそれが叶うと信じるものである』
何やらよくわからない内容である。
「∞回路……? さっき体を調べた時にはそれらしきものはなかったロボが……」
ハチ五郎はさらに記録を丹念に調べてみた。
しかし何も見つからないのであった。
そして以降、
やはりハチ五郎の超光石と、超能力に関してはまったく消失してしまうのであった。

了