超能力ロボハチ五郎
魔法中年味キング編
| 第190話 投稿者/氏照 《魔法中年味キング》〜紅い眼の魔〜 静かな、夜の住宅街。 ようやく残業を終えた彼女、 ジャージー柳生は急ぎ足で一人暮らしのマンションへと向かっていた。 街灯のないこ坂道は、街の明かりの消える頃になると 先も見えないほど真っ暗になる。 普段なら、通らない。 だが、急いでもおり、月だけが照らすその坂を足早に通る。 そのとき、雲がその光を閉ざした。 不意に訪れた暗闇、驚いて辺りを見回してしまう。 今まで彼女の目に映らなかったものがその闇に浮かんでいた。 紅い、二つの光。 それは血に飢えた野獣のように見えた。 「きゃあっ!!」 悲鳴と共に空が晴れる。 月が照らしたその姿は、赤い眼をした大柄な半裸の男。 「ウグァァァッ!」 唸り声を上げ、にじり寄ってくる。 彼女は最近話題になっているあの事件を思い出した。 深夜、帰宅途中の女性が何者かに襲われ変死している事件。 週刊誌によれば無造作に腕や足が引きちぎられ、 また、体の一部に食べられたような痕があるという。 それはこの、目の前にいる化け物じみた男が起こしたものではないか、 そう思った。 すぐに逃げ出そうとするが、 それよりも早く男の赤黒い手が彼女の左腕を掴む。 捕まれた腕を掴む力は強く、鋭い爪が食い込み血がにじんでいる。 男の息は荒く、興奮していた。 「イヤァァッ!」 残された右手に持つバッグで抵抗するが、 男は意に介した様子もなく彼女を地面に押しつける。 醜悪な顔が目の前に近づく。腐臭のする汗や涎が滴る。 その時、彼女の耳には男の荒い息づかいとは別の、 流れるような言葉が聞こえていた。 「天と地の遍く精霊たちよ、魔を滅ぼす戦乙女の槍となり、 我が敵を討て……“雷撃の槍”!」 白い閃光が男の体を撃った。 「ぐがァァァッ!!」 彼女から離れ、のけぞって倒れる。 光の走った方向には、彼女のよく知っている男が坂の上にいた。 「ぶ、部長!?」 部長と呼ばれたその男は焦げ茶のスーツ、 手には文様が刻まれた折りたたみ傘を握っていた。 「私は部長ではない……『魔法中年味キング』服部武雄だ!」 「それよりも、早くここから離れるんだそいつは、 その吸血鬼はまだ生きているらしい」 言葉通り、ブスブスと白い煙を上げながら赤い眼の男が立ち上がった。 つづく 長げえ、そして書きづれえ! ぶりぶり続いとけ! 第191話(前編) 投稿者/ベガ 「防御スクリーン40%にダウン!」 「メインエンジンに被弾!」 「第6から第11居住区に火災!」 「……ぬぅ〜」 薄暗いデッキには戦闘中であることを示す赤色灯の光が瞬いていた。 その中央、一段高くなった場所で味キング服部武雄は艦長席に座り、 次々に報告される被害状況にひとり唸っていた。 「艦長!」 「ええい! 全居住区は隔壁を下ろせ!」 時折激しい振動が船を揺さぶる。その度にコンソールが明滅し、 クルーたちに危険を知らせていた。だがそれも、いまや虚しい叫び でしかない。 「防御スクリーン20%にダウン!」 「このままだと連合軍に追いつかれます!」 艦長席を振り返るクルーたちの目に、怯えが滲んでいる。 「生命維持装置にパワーを集中! ワープエンジン起動! この場 を離脱する!」 武雄が、やつぎばやに指令を飛ばす。 「艦長! このままだとワープアウト後の座標が…」 「構わん!」 武雄がそう叫んだ瞬間、レーダー担当のクルーが必死の形相で 艦長席を振り返った。 「艦長! 前方に高エネルギー反応!」 クルー全員の視線がデッキ前面の巨大モニターに集中する。 そこに鋭角なシルエットの宇宙船が5隻、突如として出現していた。 「れ、連合軍の戦列艦だ!」 「それも5隻…」 「艦長! さらに高エネルギー反応、増殖中!」 「馬鹿な! どうしてこの宙域に」 「ワープアウトして来ます! 8…10…12…14隻!」 モニターには禍々しいまでに洗練された連合軍の戦艦が、ずらりと 並んでいた。 「クソ! 待ち伏せだ! はめられたんだ!」 「…ほ、本気だ……」 クルーのひとりが、モニターを見つめたまま呟く。 「…連合軍の奴ら、本気で俺らを殺すつもりなんだ!」 「そ、そんな! 俺たちが、どうして!?」 「ちょっとばかしご禁制の人肉を食べただけじゃないか!」 「ええい、うろたえるな!」 艦長席を立ち上がった武雄が一喝する。 「し、しかし艦長!」 「うろたえたところで何もならん!」 ぴしゃりと言い放った武雄は、モニターをじっと見つめる。 そして…… 「ワープエンジン起動!」 「し、しかし、前方には…」 「防御スクリーンを前面に展開! このまま一気に押し切る!」 「まさか突っ込む気ですか!?」 「そうだ! 味キングは一歩も退かん!」 「そ、そんな…」 「…美味を求めて数十年、 東に美味なモンスターがあると聞けば行って喰らい尽くし、 西に美味な惑星があると聞けば行って食い倒れる。 それが味キング一族に定められた宿星……故に味キングは美味 のためならば退かぬ!」 そう言って武雄はモニターを睨みつける。その目には一点の曇りも なく、輝いていた。 「……判りました艦長…毒を喰らわば皿まで、ですね?」 「その通りだ! 全速、前進!」 「了解! ワープエンジン起動!」 前方のモニターに写っていた星々がきらめき、光の速さで後方へと すっ飛んでいく。それがさらに速さを増し、光の帯となって伸びて いった。 「総員、耐衝撃姿勢!」 一瞬の浮遊感。 そして全身の毛細血管が破裂するかのような強大な力が押し寄せた。 「ぬあぁぁあっぁああ!!」 目の前の戦艦が一気に肉薄する。 その機影が肉眼でもはっきりと捉えられた瞬間…… 味キング服部武雄とその部下を乗せた宇宙船『大阪万博号』は、 時空の彼方へと消え去ったのだった。 今から20年ほど前のことである。 ……そして、現在…… (中編につづく) 第191話(中編) 投稿者/ベガ 「ぼぉ〜〜〜」 有限会社『食い倒れ商事』 ちくわぶと魚肉ソーセージをメインとした食品会社である。 その一室、広報部のデスクで、ジャージー柳生はひとり、ぼう〜っ としていた。自分で「ぼぉ〜」と言ってしまうくらい、ぼう〜っと していた。 「ね、ジャージー、ジャージーってば!」 「え、あ、はい! なんでしょう!」 突然目の前に迫った同僚の顔に、ジャージーが思わず立ち上がる。 「ちょっと〜、なにぼう〜〜っとしてんのよ」 「あ、なんだ、ユッコか……」 「なんだってなによ、なんだって」 「ごめんごめん…」 適当に相槌を打つジャージー。 「むむ……あぁ…ひょっとしてジャージー……恋?」 同僚のユッコこと麹町裕子(24歳、噂好き)が、意地悪そうな 目でジャージーを見つめる。 「ち、違うわよッ!!」 途端に頬を赤らめ、ジャージーは思わず大声を出していた。 その声が広報部に響き渡る。一斉に同僚たちが顔をあげ、 ジャージーを見つめた。 「ちょ、ちょっとジャージー…」 「はっはっは、いったいどうしたんだ、ジャージーくん」 「あ、部長…」 奥の席に座っていた味キング服部武雄が、愉快そうにジャージーに 声を掛ける。 「な、なんでもないんですッ!!」 思わず顔を伏せるジャージー。 「…ふむ、ちょっといいかな、ジャージーくん。屋上まで来てくれ」 「え!?」 「いや、なに、ちょっと話すだけだ。すぐに済むよ」 そう言って武雄はジャージーを連れ、オフィスを出て行った。 その背中に、 「ウッソー!? ジャージーって部長と!?」 というユッコの大声が響いた。 「フシュウゥウゥ…」 「い、いったい何が……」 赤い目の男が立ち上がる。 夜の住宅街。 人気もない路地に、ジャージー柳生は居た。 月に照らされた男の顔は、もはや人間のものではなかった。 閃光が当たり、顔の皮が破け、めくれ上がり、焼けて白い煙を 吹き出している。 「フジュゥウウウゥゥ…」 不気味な吐息が男の口元から漏れ、腐った下水のような腐臭が 辺りに漂った。 ジャージーの脳裏を混乱が襲う。 突如として自分の前に現れた不気味な『怪物』 そしてその怪物に謎の閃光を当てた部長…… 腰砕けになった身体は地面にへたり込み、思うように動かない。 思考はフラッシュバックし続け、駆け巡っているのに、 身体は糸の切れた操り人形のように動かない。 頭と身体の神経が、ぷっつりと切れてしまったかのようだった。 歯の根は合わず、寒くもないのにガチガチと鳴っている。 「た、すけ…」 自分でも情けなくなるようなか細い声だけが、喉の奥でかすれて 響いた。 「天と地の遍く精霊たちよ……」 部長の声が再び響く。 「ガァアァアァァアッ!!」 だが遅い。 怪物は一瞬の跳躍で部長の目前にまで迫っていた。 「魔を滅ぼす戦乙女の槍となり……」 「グガアァァア!!」 怪物の振りかぶった拳が、部長の頭上に振り下ろされる。 だが…… 「グガッ!?」 怪物の拳は、部長の頭上で閃光を散らして弾き返されていた。 それはまるで、部長の周りをバリアのような障壁が守って いるかのようだった。 「グガアァァァアアアァアッ!!」 怒り狂った怪物が赤い目を光らせ、部長に拳の連撃を叩きつける。 「我が敵を討て……」 しかし、怪物の拳は閃光を散らして弾き返されるばかりだった。 「喰らえ! “雷撃の槍”!!」 部長に手に掲げられた折り畳み傘が、一瞬にしてジョイント部分を 伸ばし、突き出される。 その瞬間 「グガアァアァアァアァアァアアァアアアアァァアアアアッ!!」 目を覆うような閃光が奔り、怪物の胸を貫いた。 「まだまだッ! “雷撃の槍”!!」 さらに部長は素早く懐からもう一本の折り畳み傘を取り出し、 突き出す。 「“雷撃の槍”!! “雷撃の槍”!! “雷撃の槍”!!」 さらに三本の折り畳み傘が繰り出され、怪物の胸を貫いた。 「ギャアァァァアアアァ!!」 凄まじいまでの断末魔を発し、怪物が跳躍する。 同時に、ジャージーの意識もそこで薄れていった。 彼女の脳みそは、目の前で起こっていることをもはや処理できなく なっていたのだった。 (後編につづく) 第191話(後編) 投稿者/ベガ 投稿日/2005年3月9日(水)09:52 「ぶ、部長! あれはいったい! 昨日のあれはいったいなんなん です!?」 有限会社『食い倒れ商事』の屋上。 ジャージー柳生は勇気を振り絞って叫んでいた。 午後の穏やかな光が射し、二人の頭上を小鳥たちが飛んでいる。 「やあ、すっかりもう春だねえ」 空を仰ぎ、味キング服部武雄は呟いた。 「部長!」 ジャージーは興奮に声を荒げ、武雄に詰め寄る。 あの後、気がつくとジャージーは自分の部屋で寝ていた。 あの怪物や部長は、夢だったのかも知れないという都合の良い考え も浮かんだが、会社帰りの格好のまま寝ていたことを考えると、 とても夢だとは思えない。 ということは、おそらくは部長が部屋まで運んでくれたということ になり、それはそれでオトメ心的にかなり恥ずかしいとも思う ジャージーだったりする。 「…ジャージーくん…私の正体に気づいてしまったんだね…」 武雄は顔を俯かせ呟く。 「そりゃそうです!」 「ふ…やはりそうか……ならば致し方あるまい!」 カッと目を見開き、武雄がジャージーを真っ向から見つめる。 「よく聞きたまえ!」 「は、はい!」 「我が名は魔法中年・味キング服部武雄!」 「……ええ、それは昨日聞きました」 「え? あ、そうだっけ?」 「はい。私が聞きたいのは部長が何者で、あの化け物は何? てことです」 「あ、そっかそっか、そうだよねえ、うんうん」 ひとり汗をかきながら頷く武雄。 「えっと…で、では改めて言おう! 実を言うと、私は地球人では ぬぁあぁあい!」 「は?」 「いや、だからね、私は地球人じゃなくて、宇宙人」 「……部長、舐めてますね、私のこと」 「い、いや、そんなつもりは……」 「判りました…あれはやっぱり夢だったんですね、そういうことに しておきます。では、私は仕事に戻りますので…」 「いや! ちょ、ちょっと待ちたまえ、ジャージーくん!」 「は、離してください! 部長!」 「ええい! この際だから言ってしまうが、私の正体を知って しまった以上、キミには私の助手をしてもらう!」 「はぁ!? なに言ってんですか部長!? 第一、助手って…」 「無論、吸血鬼退治の助手だッ!!」 「な、なんでですか!?」 「……吸血鬼はとても美味なのだ。それに赤目の奴はまだ生きて」 ジャージー柳生の強烈な左フックが味キング服部武雄のリバーを 貫いたのは、そのコンマ5秒後だった…… つづく なんだこりゃ…… とか思っちゃダメ! つか、思ったら負け! え、今週、卒業!? 俺の2年間って……とか思っちゃやっぱダメ! とりあえず続いてください 第192話 投稿者/ピヴィ 投稿日/2005年3月20日(日)00:46 えーと、なげぇよ! 『ぽっぷん吸血団本部』と書かれた看板が不似合いな 洋風の部屋には、大きなテーブルが1つ置かれている。 ふかふかの絨毯はその重みで窪んでいた。 テーブルの周りには5つの椅子が並んでおり、 それぞれの椅子にはそれぞれ主が座っていた。 「ぽっぷん吸血団四天王よ、よくぞ集まった」 上座に座る一人の男が腰を上げ皆に話しかけた。 「いったい何の用ロボ…我ら四天王が集められるなんてロボ」 と、丸い体のロボット風の男。 「紅目がやられたって聞いたが本当か?」 二枚目の男がヒマワリの種をポリポリとかじり上座の男に尋ねると、 「オレッちもそれは聞いたぞ!」 と、声を荒げる犬の着ぐるみのような男もいる。 「し、しかし紅目はそこにいるロボ…!」 丸頭の吸血鬼ハチ五郎はテーブルの向かいの男を指さす。 上座にいたぽっぷん吸血団団長オペレーターAは ハチ五郎の向かいに座る男の元へ行き、その深く被ったフードを 素早く剥ぎ取った。 「……!!」 そこにはぼろぼろになった紙粘土の塊が積まれているだけだった。 「あ、紅目の極悪が…」 二枚目のハム四郎は信じられない様子で首を振った。 手に持ったヒマワリの種がぽろぽろと床にこぼれ落ちる。 「く、くそー! やったのは誰だ!! オレッちが仇を討ってやる」 着ぐるみポチ太郎は今にも飛びださん限りだ。 「我らが同胞、紅目の極悪を破壊した男… 『魔法中年味キング』それが奴の名前だ……」 と、よくわからなかったので敵を作成。 2話で一人倒せば終わるか? つづけ!! 第193話 投稿者/氏照 投稿日/2005年3月22日(火)00:00 昼休み、服部とジャージーは会社の近くの喫茶店にいた。 地下街の奥にひっそりと佇むここは、 現代の魔法使いたちの集会所であった。 二人はナポリタンとホットサンドを前に、 『助手』の件について話し合うところであった。 「へぇ〜、こんな近くにまほーつかいなんて 非常識な人たちがいたんですねぇ」 「なぁ〜にを言っとるのかね、 卑弥呼の昔から日本にだって魔法使いはいたんだよ?」 「邪馬台国ですかぁ?」 「卑弥呼は鬼道という……まぁ、この話はまた今度。 まずはこれをみたまえ」 そう言って服部は鶴屋千年堂の紙袋から棒杖を取り出し、 ジャージーの目の前に置く。 「私が不在の時これを使い、変身して戦ってほしい」 月と星をかたどったデザインのそれは、 いわゆる往年の魔女っ子アニメ風のアイテムであった。 「部長、それは娘さんへのプレゼントか何かですか?」 「いや、もちろん君が使う変身ステッキだが」 「部長、からかってますよね」 「いや、大マジだが」 パステルカラーでまとめられたそれはおもちゃのようだが 確かに雰囲気を感じるものではあった。 「そのステッキを振るい、 『アルテミ・ルナ・ルナ・クレッセント・メタモルフォーゼ☆』 と唱えると、君は『月の天使アルテミ☆るな』に変身する!」 どどん! と力強く言い放つ。 「……そ、その……部長。 私ももうイイ年ですし、ちょっとそーゆーのは……」 「えーと、ジャージー君は29歳だっけ?」 「ち、違いますッ! 29までまだ2ヶ月もありますッ!!」 30手前かそうでないかは彼女にとって極めて重要な事項なのだ。 「28? まぁ、いずれにせよ心配は無用だ。 魔法の力があれば……当然、若返りも可能だ!」 「……それじゃあ、この目尻のシワとか、 肌の張りつやとか、お腹のたるみとかも……」 「もーう、女子高生並みのぴちぴちボデーが帰ってきますぜ、姉御」 かつての、かつての栄光が帰ってくるかも!? そんな期待が彼女の中で渦巻いていた。 「えーと……じゃ、じゃあ、とりあえず一回試してみますね!」 「うむ、期待しているよ、ジャージー君」 と、話がまとまったところで服部は “あの”折りたたみ傘を手に立ち上がる。 「どうやら、敵さんに感づかれたらしい」 息を切らし階段を駆け上がる味キング服部、 光差す地上には……あの男が待っていた。 つづけぃ 第194話 投稿者/ベガ 投稿日/2005年3月23日(水)23:06 「バァァーーニング・ブレイドォォッ!!」 「ぐぼぅぶしゅあぁああぁぁあ!!」 階段を昇りきった瞬間、味キング服部武雄は金属バットの一撃を 喰らい、『喫茶・森の熊』と書かれた看板に顔面から激突していた。 「ぶ、部長! 大丈夫ですか!?」 「ぬぅおぉぉ…な、なんのこれしきィ…」 ガクガクガクッ! 「うぉ…」 膝から崩れる武雄。 地面に手を付き、無様な格好をさらす。禿げた頭がいっそ哀れだ。 「ぬぅ…こ、こんなところでぇ…」 「部長! しっかりして下さい!」 思わず駆け寄ったジャージー柳生が肩を貸す。 「す、すまない、ジャージーくん…」 「いえ…それよりも、真昼間の町中で戦隊モノのスーツを着込んだ あのあからさまな不審者はいったい…」 「ふ……正確には戦隊モノではなく、宇宙刑事モノと呼んでほしい けどね」 そう言いつつ、ギンギラ衣装にメット(?)をかぶった男が 2人の前にゆっくりと立ち塞がる。その手には先ほど武雄を襲った 金属バットが握られていた。 「僕の名はバーニング・シャイン! 地球連合軍より依頼された 太陽系警察の執行官さ!!」 なぜか白鳥のポーズで名乗りを上げるバーニング・シャイン。 「…こんな辺境の惑星まで追って来たか…」 「え? 部長、それって…」 「ふふ……味キング服部武雄…異星人を珍味と称して喰らうその 所業、神が許してもこの正義の執行官、バーニング・シャインが 許さない!!」 「い、異星人を、た、食べた!?」 「………………」 顔を伏せる武雄。わずかに残った髪の毛が、はらはらと揺れる。 「それだけではない。こやつは超光石を内臓したロボットを狙い、 その超パワーを利用しようとしているのだ」 「部長!? それって…この不審者の言ってることって!?」 「…こいつが…こいつこそが吸血鬼だ、ジャージーくん!!」 「は、はぁ!?」 目を見開き、武雄がジャージーを真っ向から見据える。 「こいつは先日の…赤い目の吸血鬼の仲間! ここで奴を倒さなければ、地球は大変なことになってしまう!」 「た、確かにあの衣装は、職務質問されても文句の言えない格好 ですけど…」 「言ったね……」 「は?」 「僕のこの連合軍の標準装備を遥かに上回る最新のテクニカル・ バトル・スーツ(略してTBS)が安物っぽくて超ダサダサ〜とか 言ったね…アメ横で売ってそう〜、とも……」 首をブンブン振って否定するジャージー。だが…… 「…邪妖滅殺!! 正義執行!!」 「ひ、ヒィッ!」 バーニング・シャインの金属バットが、ジャージーに迫る! その瞬間! 「で、“雷撃の槍”!!」 「どぅグジュアァぁアぁァああぁぁァあぁああぁッッ!!」 地面すれすれを疾った折り畳み傘が、バーニング・シャインの 安っぽい衣装の胸板を貫く。 「天と地の遍く精霊たちよ、魔を滅ぼす戦乙女の槍となり、 我が敵を討てッ!!」 武雄の言葉に、突き刺さったままの傘がジョイントを伸ばす! 「ぎゃああぁあぁぁぁすぅうぅぅぅうううぅうッッ!!!」 一瞬にして突き刺さった傘の先端から閃光が放たれ、バーニングの 背を貫いた。さらに、その凄まじいまでの推進力がバ(略)を吹き 飛ばす。 「邪妖めっさつうううぅぅぅぅぅぅぅぅ…………」 地面にスリップ跡を残しつつ、バ(略)は向かいのショウルームへ と吹き飛んで行った。派手にショウウィンドウがぶち割られる。 「はぁはぁはぁ……」 がっくりと膝を付き、武雄が荒い呼吸を繰り返す。 「部長!?」 「す、すぐに奴は戻ってくる! だがしかし、私がこんな状態の今! キミしかいない、ジャージーくん!」 「え……えぇ!?」 「キミが奴を倒すのだ! 『月の天使アルテミ☆るな』と なって!!」 「なに言ってんですか、部長!!」 「躊躇している暇はない! さあ、ステッキを振るい、あの『呪文』 を唱えるのだッ!!」 ジャージーの脳裏にあの恥ずかしい『呪文』が掠める。 アルテミ♪ ルナ・ルナ♪ クレッセント・メタモルフォーゼ☆ 「い、いやです! あんな恥ずかしい呪文なんて絶対にいや!!」 「ば、馬鹿な…あれのどこか恥ずかしいというのだ。あの呪文は 我が味キング一族の機械文明と古代の邪法を集めて作られた…」 「邪法!?」 「い、いや……ええーい、とにかくさっさと変身するのだ! 『アルテミ☆るな』よ!」 「変な名前で呼ばないで下さい!」 「お肌もぴっちぴちだぞ!」 「………お、お肌…」 「そうだ! 今すぐ変身だ!!」 「で、でも、この歳であんな恥ずかしい呪文を叫ぶなんて…」 そうこうするうちに、さっき割れたショウウィンドウとは別の ショウウィンドウを突き破り、正義の執行官・バ(略)が猛然と 迫って来ていた。 「じゃよーーーめっさぁーーーつッ!!」 つづく 第195話 投稿者/ピヴィ 投稿日/2005年4月3日(日)01:19 きやーーーーーーーーー きえーーーーーーーーーー 絹を裂くような女の悲鳴と、おっさんの雄叫びが響く。 正義の執行官・バ(略)のあまりの形相に ぺったんとジャージーはしりもちをついた。 「ジャージー君!」 服部は期待と嘆願と欲望と堕落の声をあげる。 「い、いやですよー」 あくまで否定するジャージー。 しかし、正義の執行官・(略)インは目前に迫る。 その手には新聞紙を丸めたようなニュースペーパーブレード 略してNPブレードが輝いている。 「邪妖滅殺ぅ…ぷしゅう、ふしゅう…」 そのときだ!! ルナルナロッドを握りしめた少女柳生の体が光り始める。 「ぐわぁ」 光に当てられたバーニンシャインは怯んで動けなくなった。 『ジャージー、ジャージーよ…』 光の中でジャージーは不思議な声を聞いた。 『目をあけなさい。 そして、呪文を唱えあなたの全ての力を解き放つのです』 「あ、あなたは…」 その声には聞き覚えがあった。 はるか昔の懐かしい記憶。 その声は20年前に死んだ祖父OG柳生であった。 『呪文を唱えるのだ…そのロッドは柳生家の至宝。 そして、お前のために作られたお前の物なのだ!! それを使い、我らがPH団を、そして世界を救うのだ!!!!!』 ジャージー柳生はカッと目を見開いた。 バーニン社員はまだ動けずにいた。 いや、動かずに待っていた…。 それがヒーロー界の礼儀とばかりに。 「い、いくわよ! アルテミ♪ ルナ・ルナ♪ クレッセント・メタモルフォーゼ☆」 まばゆい光に包まれ、ジャージーのジャージが消えていく。 ルナルナロッドから7色の光がリボンのようにジャージーを囲み たるんだお腹と目尻のしわ、気になるお肌のキメを整えていく。 そして、光が全て消え去ったとき、 フリフリジャージに包まれたアルテミ☆るなの姿があった!! 「月面のウルティマリソルサ 魔法少女アルテミ☆るな! あなたは今日から大殺界よ♪」 ふう… 次回は「らあるごん無理矢理ショッピング」の巻 つづけ 第196話 投稿者/氏照 投稿日/2005年4月4日(月)20:55 『太陽警察バーニンシャイン』 うた:北嶋サブロウタ バーニン! バーニン! バーニンフラッシュ! 命の光を背に受けて 今こそ立ち上がるとき 太陽警察バーニンシャイン 青き大地に降り立つ 光の戦士 聞こえるか 人々の悲しみが 聞こえるか 子供たちの叫びが 聞こえるか 愛しき者の呼ぶ声が 解き放て伝説の刃 NPブレード 正義の心が 勇気の瞳が 悪を撃つ バーニン! バーニン! バーニンアタック! バーニン! バーニン! バーニンフラッシュ! 熱く燃える光り輝く まぶしき勇者よ 太陽警察バーニンシャイン 「ラア○ゴン ムリヤリショッピング……」 「皆の者、聞け!」 そんな無責任な男とか、 モビルスーツに名前が似てる人とかは関係なく、 ジャージー柳生はアルテミ☆るなに変身してみせるのであった。 「こーなったらヤケクソ……いくわよ! バーニンシャイン!!」 「ふふん、そんなハズイ格好しても無駄無駄無駄ァッ! そうだよ、くらっちまえよッ! 『青春の味、バーニンブレード千本ノック!!』」 分身の術で20人に増えたバーニンが、 そこらへんの物を手当たり次第に打ちまくる。 「ヒャーハッハッハッ! 砕けろ、砕けろ、砕けちまえよッ!」 およそ正義の執行官らしからぬ狂気の声を上げるバーニン。 今までの冷遇を根に持っているらしい。 「や〜ん! どーすればいいんですかァ!? 部長!」 「落ち着け、ジャージー君。 自然に呪文が頭の中に浮かんでくるハズだ」 服部の言うとおり、 ルナルナロッドを通してアルテミ☆るなの心に 魔法のスペルが流れてくる。 「とりあえず防御ね。 雄々しき巨人の息吹よ、魔を防ぐ盾となれ『大気の城壁』!」 一陣の風が吹き、るなの目の前に見えない壁がそそり立つ。 魔法の障壁は千本ノックで打ち出されたガレキや何やらを ことごとく粉砕する。 「チイィィッ! やりやがったなァッ……。 『必殺! 新春・NPブレード・元旦だから分厚いぜ斬りィッ!!』」 極太のNPブレードが音速っぽい早さでるなに迫る。 「よーし、ジャージー君、こちらも必殺技で迎撃だ!」 ルナルナロッドを大上段に構えるるな、大魔法がほとばしる。 「赤き砂の舞う灼けつく荒野、 吹きすさぶ烈風は全てを枯らす竜王の咆哮、 唸れ!『赤き灼熱の暴風』!!」 超高温の熱風がバーニンシャインを中心に吹き荒れる。 NPブレードは瞬時にして灰と化し、 特殊合金製のバトルスーツも見る見るうちに融解して バーニン本人を焼きつくす。 「ッーーーッッ!!!」 声を上げるまでも無い、一瞬のことであった。 嵐が吹き止むとそこには彼の白骨だけが残されていた。 (すごいぞ……ジャージー君。 あれは砂漠の竜王の力に相違ない。 やはり彼女は伝説の六王の力を宿しているようだ。 上手く利用すればわが服部一族の野望達成も容易い……) つづく おお、バーニン君だけで3話も引っぱってしまった。 続いちまえよッ! 第197話・前編 投稿者/ベガ 投稿日/2005年4月5日(火)20:22 「やった……やりましたよ、部長!」 勝利の喜びに、思わず味キング服部武雄に抱きつくジャージー。 その姿はなんだか良く判らないが極めてメルヘンな格好であり、 見ている方が痛々しくも恥ずかしくなるような代物であった。 だが、世界の味キング武雄的には、むしろグレイトである。 「うむ! 素晴らしいぞ、ジャージーくん!」 「あ……」 我に返ったジャージーが頬を赤らめ、武雄から距離を取る。 「ん? どうしたんだ、ジャージーくん?」 「い、いえ、別に…」 ますます頬を赤らめ、うつむく三十路手前のジャージー。 「そ、そうか…だったらいいんだが…」 と、こちらの薄らハゲも頬が赤い。 「…………」 そんな武雄を、上目遣いにチラリとジャージーが見上げる。 「…………」 妙な雰囲気が二人の間を流れるのだった。 「て、なんじゃそりゃああぁあ!?」 いきり立ったオペレーターAが、 ビルの屋上から身を乗りださんばかりに叫んでいた。 そこからだと、下にいるジャージーたちの姿がよく見下ろせる。 「お、落ち着くロボ!」 「し、しかしですねハチ五郎さん! 春先だからってあんなものを 見せ付けられたら! 見せ付けられたらぁあぁああ!!」 握りしめたオペレーターAの拳が、ブルブルと震えている。 「それは確かにそうだがよ、しかし俺たちには関係のねえことだぜ」 ヒマワリの種をポリポリかじりながら、ハム四郎がクールにほざく。 「…そうロボ。俺たちの目的は、コイツの…」 そう言いつつ後ろを振り返るハチ五郎。 そこには小汚い字で『極悪の亡骸』と書かれた段ボール箱があった。 「…コイツの敵を討つことロボ、我ら『ぽっぷん吸血団』の手で!」 「……そ、そうですよね…すいません、つい…」 「頼むぜ、おまえが俺たちの団長なんだからな」 「は、はい!」 しゃちほこばって答えるオペレーターA。彼にとっては一世一代の 大役である。 「よーし! では早速、あいつらを潰しにかかりましょう!」 「それは無理というものだな…」 「だ、誰だロボ!?」 突然の声に、思わず振り返る三人。 屋上出入り口の側、そこに剣道着姿の女が立っていた。 「ふっ…私のことまで忘れたか、ハチ五郎…」 「ど、どうして俺の名前を知っているロボ!?」 「……やはり、な…」 女が寂しげに微笑う。 「お、おさみさん…どうしてあなたがここに!?」 「あの女を知っているロボか、オペレーターA!?」 「い、いえ……」 なぜか目をそらし、うつむくオペレーターA。 「出番欲しさに私利私欲に走ったか……」 女は悲しげにオペレーターAを見つめると、その目を閉じ、一気に 腰の大刀を引き抜いた。 「我は佐々木おさみ! お主ら『吸血鬼AI』に汚染された者共を 成敗しに参った!」 カッと目が見開かれ、尋常ならざる殺気がおさみから放たれる。 「せ、成敗!? 『吸血鬼AI』!? ど、どういうことロボ!?」 「へへ、なんだかわからねえが、あの姐さんはやる気らしいぜ」 「…………僕らの目的を邪魔するつもりなら仕方ありません、 やっつけましょう、ハチ五郎さん!」 「オ、オウ!」 「来い! ハチ五郎、ハム四郎、そしてオペレーターA!」 大上段に構えられた大刀の切先を、暮れ始めた春の陽射しがギラリ と照り返した…。 CMの後も、まだまだつづくよ! なぜならそうしないと、残り2話で話が終わらないからだ! 第197話・後編 投稿者/ベガ 投稿日/2005年4月5日(火)20:23 「うわ、広ッ!」 先日、有限会社から株式会社になった『KUIDAORE』。 その本社ビル地下108階には、広大な地下施設が広がっていた。 「はっはっは、ざっと東京ドーム200個分の広さだ」 「……こ、これが部長の秘密基地、ですか…」 思わず息を飲むジャージー。 昼休みの戦闘後、彼女はここまで武雄に連れて来られたのだった。 「その通り! そしてアレこそが、我が『大阪万博号』だ!」 武雄が指差したその先には、巨大な宇宙船の威容があった。 大まかに言えばヤマトにそっくし…… しかしその前面には巨大なドリルが生え、船体横には巨大な翼が、 そしてデッキ部分には雄々しく「太陽の塔」モドキが立っていた。 「こ、これは……」 「どうだね、素晴らしいだろうジャージーくん?」 「……ダサッ!」 「な、なんてことを言うんだ!?」 「だいたいなんで『太陽の塔』が立ってるんですか!?」 「そ、それは、この宇宙船を作ったのが岡本○郎先生だからだ!」 「ハァ?」 「……リメンバー・トゥ・1970…」 「ぶ、部長?」 「大阪万博で世界の珍味が味わえること知った我々味キング一族は 一路地球を目指し、航行を続けていた…」 「ぶちょー、聴いてますー?」 「だが運悪く地球連合軍と遭遇、あえなく轟沈! 地球へ不時着 した我々を暖かく迎えてくれたのが、○郎先生だったのです…」 「あのー、ぶちょう?」 「そしてその溢れる情熱で先生が作ってくれたのが、この宇宙船 『大阪万博号』なのです!(クワッ!)」 「ふーむ、そんなことがあったロボか」 「ええ、そうなのです…しかし! ああ、なんということでしょう! 別れを惜しみながら旅立った我々を、またしても連合軍が襲い、 地球へ逆戻り……」 「ふっ、間抜けだな」 「以来20年間! 我々は宇宙船の修理に必要な『超光石』を求め 続けてきたのです!」 「へへ、そうは問屋が卸さないぜ!」 「ぬおッ!?」 思わず過去の思い出に耽っていた味キング武雄が振り返ると、 そこにはハチ五郎以下、レギュラーメンバーが勢揃いしていた。 「な、なぜおまえたちがここに!?」 「それは僕から説明しましょう!」 オペレーターAが一歩前へ出る。 彼にとって説明することは、生まれ付いての本能的衝動であり、 アイデンティティそのものなのだ。 「味キングさん、もうハチ五郎さんたちに『吸血鬼AI』の影響は ありませんよ」 「なに!?」 「おさみさんにボコボコにされて、アンインストール済みです」 「だいぶ骨は折れたがな」 苦々しげにおさみが呟く。 「あ、あの〜」 とそこで、ジャージーがおずおずと手を挙げた。 「え? なんですか?」 「その『吸血鬼AI』ってなんですか?」 「説明しよう!」 「うわ!」 なぜか嬉しそうに吼えるオペレーターA。 本領発揮である。 「吸血鬼AIとは、超光石研究所で独自に開発された 『対吸血生物シミュレーションプログラム』(Anti Vampire Simulation Program) 通称A.V.S.Pに搭載された仮想敵プログラム、即ち、擬似吸血鬼AIである! 判りましたか?」 「…………え!? あ、はい…」(←長いので半分寝ていた) 「超光石を欲しい味キングさんの手によって、システムが誤動作。 ハチ五郎さんたちにそれがインストールされてしまったのです」 「な、なるほど〜」 目をこすりながらジャージーが答える。 「僕はそんなハチ五郎さんたちが無茶しないよう、 ずっと監視してたんですけどね」 「嘘を言え…お主は出番が欲しかっただけであろうに……」 おさみがボソリと言う。 「まあ、それは置いといて……」 ハチ五郎が「それ」(極悪の亡骸)を脇へ置く。 「味キング服部武雄! 神妙に縄につくロボ!!」 ハチ五郎が大見得を切る。 「く! おのれ!」 「え? あれ? それって…ぶ、部長!?」 突如として武雄がジャージーの手を取り、『大阪万博号』へと 走り出す。 「ジャージーくん! 私と共に逃げてくれ!!」 「えっ? えっ? えぇーー!?」 つづく 次回 『愛、そして……』 お楽しみに! 第198話 投稿者/ピヴィ 投稿日/2005年4月6日(水)13:51 ずごごごごごご… もうもうと煙を上げて大阪万博号が飛び立つ! 「八ちゃん、逃げられるぜ…」 「大丈夫ロボ。みんな、手をつなぐロボ!!」 ハチ五郎に促されみんなはおずおずと手をつないだ。 「こ、これでどうしろと……」 「手をつなげば早く飛べるって相場が決まってるロボ!」 とう! ハチ五郎の掛け声で、4人は一斉にジャンプした。 すると、体が浮かび上がり大阪万博号へと迫る。 数秒で大気圏を脱出した。 そこでオペレーターAの顔が青くなる。 「チアノーゼを起こしているロボ!!」 「単に呼吸できないだけだろ…やつだけ人間だ」 「不便な奴め。でしゃばるからだ」 そんなことになりつつも、一行は大阪万博号へたどり着いた。 ハッチを見つけたハッチ五郎は、とりあえずノックをしてみた。 コンコン。 『はいってまーす』 返事が返ってきた。 コンコン。 『はいってるっていってんだろー!!』 ちょっと怒っているみたいだ。 コンコン。 「じゃきゃーしゃー!!!!」 ズドコーンと大音声をあげながら味キングおやじが飛び出してきた。 「う…」 味キングおやじ窒息死……。 「生物って不便ロボ…」 一方そのころ 「オレッち暇だぜ」 ポチ太郎は一人でお留守番中であった。 つづく 第199話 投稿者/氏照 投稿日/2005年4月7日(木)23:28 【さらば、味キング】 宇宙船のハッチをこじ開け、 大阪万博号の内部に入り込む一行。 そこには宇宙最強の白兵戦部隊『60年代安保ーズ』が 待ちかまえていた。 今まで連合軍が大阪万博号を制圧できなかった理由がこれである。 わずか100名の部隊であるが、 連合軍の陸戦師団1個を持ってしても全滅は免れないという。 「どうやら強敵のようだな……私に任せてもらおう」 すらりと凶剣・脱脂粉乳丸を抜き放つ。 「行け! ハチ五郎、ハム四郎!」 「わかったロボ、俺たちが必ず味キングを止めてみせるロボ!」 よくある最終決戦的な展開にノッてみるハチ五郎。 その後、色々あって服部とジャージーの待つ機関室にたどり着く。 「おお、省略されまくりロボな。 ともかーく、味キング服部! 年貢の納め時ロボ!」 ばばん! と、見得を切ってみる。 「片腹痛いわァッ! くらえッ我が魔力の神髄をッ! 『超魔動バンバラバンバン砲』ッ! ファイア!」 某秘密戦隊のテーマに乗って黒い砲身が現れる。 その砲口から雷撃がほとばしる。 ねらい違わずハム四郎を撃つッ! 「ぐぼはァッ!」 プスプスと黒い煙を上げ、消し炭と化す。 「ぬわはははッ! これこそ、我が服部一族の超魔力と 超科学、それに超光石の力を加えた最強兵器ッ! 大阪万博号の主砲にもこれの大型化したものを使ったァッ! 連合軍はおろか、地球丸ごと消し去ってくれるわッ!」 ビッとモニターに映る地球を指さす。 「部、部長! なんて恐ろしいことを……」 「大阪万博号と君の力があれば全宇宙の珍味を制覇 することが出来るッ! さあ行こう、星の大海へッ!」 後編へ 第199話(後編) 投稿者/氏照 投稿日/2005年4月7日(木)23:30 吼えまくる味キング服部武雄。 しかしそうはさせじと迫る連合軍艦隊がモニターに映し出される。 その数およそ2万隻、十重二十重に万博号を包囲している。 「愚か者め、もはや貴様らなど恐るるにたらんわッ! バンバラバンバン砲ーうッ!! 全方位射撃ッ!」 宇宙が閃光に染まる。 一瞬で連合軍艦隊の3分の1ほどが壊滅した。 「三鷹、いや、見たかッ! 苦節20年……、 しがない中間管理職生活ともオサラバよッ!」 「やめて下さいッ、部長! こんなことは止めて会社に戻って下さい……」 「何故だ、ジャージー君。 我々の行く手を阻むものは何もないというのに……」 「だって地球には…… 地球には…… 私の好きな佐藤クンがいるんですッ! 今日は打ち合わせの名目で レストランに連れ出すことに成功したんですよッ!」 がぼーーーん!! 「えッ!? 佐藤君って……」 その時、ゆらりと死にかけのオペレーターAが立ち上がる。 「せ、説明しようッ……! 佐藤君とは食い倒れ商事に今年入社した新入社員…… すでに女子社員の中で争奪戦が始まっているという イケメン君なのだ……。 く、く、く、ズルイ……顔がイイと言うだけで……。 ちゅーかジャージーさんはそんな年下の子に 手ェ出しちゃいますか!?」 「いーじゃない! 愛に年の差なんてッ!」 「ジャージー君イカンぞッ、君は我が輩と宇宙制覇を……」 「てェーい! そんなこと言ってる間に連合軍艦隊が 突撃してきたロボよ、早く回避を……」 「ぬわんだとうッ、猪口才な。 砲撃手、バンバラ砲だ、早くしろッ!」 再び閃光が奔る。 だが縦陣に組み直した艦隊のいくつかは その隙間をくぐり抜け大阪万博号に突き刺さる! 「艦長ォッ! 右舷に敵突撃揚陸艇がッ! 敵兵が乗り込んで来ますッ!」 オペレーティングルームから悲鳴が上がる。 「安保ーズはどうした!?」 「すでに女剣士によって全滅……ガフッ!」 「どうしたっ、何が……」 連合軍は恐るべきことに条約によって禁止されている 毒ガス兵器を投入してきたのだ。 機関室のレッドアラートがそれを知らせる。 「クソッ……これまでか……。 ジャージー君、この先に小型脱出艇がある。 君の魔法があれば連合軍の砲火もくぐり抜けられるだろう、 そこのガラクタ共々脱出したまえ……」 そう言って隔壁の一つを開く。 「部、部長は! みんな待ってますよ……。 ほら、今度新人歓迎会もやるって、 部長の腹踊りは恒例なんですから……」 「私は艦長ッ! クルーを見殺しには出来ぬッ!」 きびすを返し、コンソールに向かう。 「なんとしてもここを脱せねばならない、 服部一族は不滅……すべてを食すまで!」 「早くするロボ、ジャージー!」 ハチ五郎たちに連れられ脱出艇に乗り込むジャージー。 「部長ッ!」 「さらばだ……ジャージー君。 魔法中年味キングは負けぬッ! またあおーうッ!」 脱出艇が射出される。 光弾の飛び交う虚空に。 爆発を繰り返す大阪万博号が遠ざかる。 ジャージーは叫んだ。 「この間の昼食代、私のオゴリになるんですかァ〜!!」 その時、彼女のケータイにメールが着信した。 《食い倒れ商事で領収書きっといてちょ! 部長よりv(^^)》 青き星に、降下していく。 超光石研究所の空に青き流星が流れる。 「あーッ! 流れ星だぜッ! 次はオレッちがもっと活躍しますように……!」 終わり 次回、第200話 【時代劇編】スタート! つづけぇ |