続・超能力ロボハチ五郎

 


 

続・超能力ロボハチ五郎
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月8日(土)01:39

『激湯!!温泉旅行編』

第1話

ぐるんぐるん

カランカラン

「当た〜〜り〜!」
銀色の球を見た商店会のおっさんが例の抑揚で告げる。
「な、何等でゴクアク!」
2等賞の温泉旅行(4名)が当たったのである。
たった1枚、オペレーターAから譲ってもらった福引券。
極悪の怨念が通じたのか、わずかな確率を引き当てた。
「しかし、問題はだれを連れていくかでゴクアク……」
タダで行けるのは4人、思案のしどころである。
できることなら可愛い女の子でも連れて行きたいところではあるが、
そんなアテはない。
いきおい、ハチ五郎らの内から誰か、ということになる。
「まあ、とりあえずみんなに報告してからにするでゴクアク」

超光石研究所。
夏休みも関係なく、暇を持て余したハチ五郎たちが縁側でだべっている。
早速、事の経緯を告げ、誰が行くのか決めることにする。
「しかし……この『地獄沢血の池温泉』というのは一体どこにあるロボ?」
「なんか、あんまり縁起の良さそうな名前じゃねェなァ」
「ぼくが調べたところによると○×△県の人里離れた山奥のようですねぇ」
「じゃあじゃんけんで決めようよ!」
霞が提案する。
「ふむ、よかろう」
おさみがうなづき、みんなも了承する。
この場にいるのは、
ハチ五郎、極悪、ハム四郎、霞、おさみ、オペレーターA、ポチ太郎、ワリト博士、

マリアセンセである。
「じゃ〜あんけ〜ん……」

つづけ

 

激湯!!温泉旅行編 第2羽
投稿者/ベガ
投稿日/2009年8月8日(土)01:53
 
「どらぁぁああぁっぁぁああ!!」
マリア先生の必殺拳が唸りを上げ、極悪の顔面、心中にめり込んだ。
むしろ、めき込んだ。
「ふどぅぐ!」
紙粘土製の極悪の後頭部が吹き飛ぶ。
「ふ、やるな…」
すらりと白刃を引き抜き、おさみがマリアセンセに対峙する。
「本気でいくわよ…」
「無論」
ふたりの間合いがじりじりと狭まり、緊張が高まる。
「こ、これはひょっとして!!」
アナウンサーAが久しぶりの実況に緊張する。
懐のマイクをおたおたと取り出しながら、タイトルコールを叫んだ。
「温泉旅行券争奪バトルロワイヤルのゴングだああああああぁああっ!!」
「ちィッ! 冗談じゃねえぜ! 一番乗りは俺だぜェッ!」
叫ぶなりハム四郎が音速の壁を突破して走り出す。
「あ、待て!」
それを亜音速で霞が追いかける。
「わんわんわん!」
それをよくわからないながらも、なにか動くものを見ると本能的に追いかけてしまう

ポチ太郎がダッシュで追う。
「………えぇーーっと…」
その場に残ったのは、いまだ対峙し合っているマリアセンセとおさみ、そしてハチ五

郎とワリト博士だけだった。
(わ、わりときまずいロボ〜、考えてみれば、初対面に近いほど絡みにくい相手ロボ

〜)
「や〜まいったね、はっはっはっ」
愉快そうに博士は笑った。

つづくよ


続:第3話
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月8日(土)02:08

「さあ、残った4人で行くことにしまショウ」
何事もなかったかのようにマリアセンセが話を進める。
不敵な笑みを浮かべるおさみ。
2人を見ながら、ワリト博士とハチ五郎は唖然と口を開けるだけであった。
しかし、マリアのその言葉の奥にある凶悪なまでの力強さに
こくんと首をうなだれうなずいた。
それをみたおさみがすくっと立ち上がる。
「出発はいますぐ、邪魔が来ないうちに行くぞ。
博士、車を頼む」
おさみは愛刀の練馬高野台ポン太を腰に差すと、ずかずかと外へ出て行く。
マリアセンセも「お願いしますネ」とワリトに向かってお辞儀をすると
その後に続いていく。
残されたワリト博士がやれやれといった表情で、ハチ五郎のおでこにあるボタンを押

すと、
研究所の秘密の扉が開き、秘密スーパーカーが格納されている車庫への扉が開くので

あった。
ワリトとハチ五郎の2人は秘密の車庫へと降りていった。

つづいたね


温泉編 第4話その壱
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)21:57 


ハチ五郎カーに乗って、地獄沢血の池温泉郷にやってきたハチ五郎一行。
メンバーはハチ五郎、おさみ、ワリト博士、マリアせんせ、オペレーターAである。
オペレーターAは宿には止まれないのでテントで野宿、食事も自腹となる。
道のりは厳しく、2時間ほど民家の1つも見ていない。
そのうえここ1時間ほどは道路も未舗装である。
ガタガタと揺れる車体。
サスがあまあまのため、みんな車酔いが激しい。
かれこれ8時間も走り続けてきた。
が、それももう少しのようである。
「ハチ五郎のダンナ! どうやら目的地が見えてきたぜッ!」
久しぶりに登場したハチ五郎カー。
水蒸気をガスガス吐きながらしゃべるのも相変わらずである。
「ハチ五郎よ、なにやら様子がおかしいようだ」
運転するワリト博士の声には緊張が含まれていた。
決して車酔いや、長時間の運転のせいではないようだ。
『ようこそ、地獄沢温泉郷へ』
の、ゲートが彼らを迎える。
その先に見えたのは荒れ果てた街の姿であった。

沢から続く山道。
地獄沢温泉郷、ここに住む少女『鈴』が走っていた。
10歳ぐらいであろうか、その足は裸足で、あちこち泥だらけ、傷だらけである。
両手で籠を抱え、その中には鮎が何匹も入っている。
彼女は家へと急いでいた。
このたくさんの鮎、早く食べさせてやりたいのだ。
両親をすでに亡くし、幼い弟、妹と暮らしている。
みないつも腹をすかしていた。
それは単に親が居ないということだけではなかった。
「アニキッ! 見つけましたぜッ!!」
下品な声が山間にこだまする。
その声を聞きつけ、黒の革ジャンに身を包んだ男たちが次々に集まってくる。
この山の中に黒の革ジャンとは場違いも甚だしかったが、
みな慣れた様子で獣道を疾走する。
少女が振り返るともうすぐそこまで最初に声を上げたモヒカン男が迫っていた。
「ほーら捕まえたぁッ!」
男が両手を伸ばしてくる。
籠を抱えた鈴はかわしようもなかった。
男は彼女を頭上まで持ち上げ、みなに捕まえたことを示す。
ぼたぼたと籠から鮎が落ちる。
「ヒャッホーッ!!」
歓声を上げ、男たちが集まってくる。
「へへ、この沢で勝手に魚を獲ろうなんざふざけたガキんちょだぜ」
「ああまったくだ。早いとこボスにお届けしなきゃなァ」
ニヤニヤと笑いながら男たちが頷く。
「はなして! わたしはあの子達に魚を届けたいのっ!」
鈴はバタバタと頭上で暴れる。
「うるせェッ! テメェはあの方が決めた『法』を破ったんだ。そうはいかねェ」
この郷では支配者が作物の全てを収奪し、魚や獣なども獲ることは禁じられている。
郷民たちは彼らの残飯や雑草、昆虫などを食べるほかなかった。
少女の抵抗もむなしく、男たちは鈴を抱え、山道を消えていった。
男たちが立ち去ってから5分ほどたったか、草むらから数人の男女が現れる。
彼らもみな籠を抱え、その籠には鮎やヤマメなどの川魚が入っていた。
「お鈴ちゃん……すまねェ、俺たちの身代わりに……」
「ああ、自分が先に行くから後から来てくれって……」
「そうよ……私たち勇気のない大人の代わりにあの子が……」
「きょうだいたちのところにはちゃんと魚を届けてやっから堪忍してくれ……」
みなうなだれ、自分を責めていた。
だが、ゆっくりもしていられない。
また奴らが戻ってくるとも限らない。
山道を静かに、足早に去っていった。


温泉編 第4話その弐
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)21:58

郷の中心の広場、大きな玉座を中心に30人あまりの革ジャンたちと、
数十人の郷人たちが集まっていた。
どうやら何かが行われるところのようである。
そこに、鈴を抱えたモヒカンたちも現れる。
「温泉大王サマぁ〜、不届きなガキを連れてきましたぜェ〜!」
モヒカン男が鈴を差し出す。
その先には巨大な玉座に座る男。
身長3メートルはあるだろうか、その両腕、両足は太く、丸太のようである。
身にまとった濃紺の作務衣の端々からはちきれんばかりの筋肉が見え隠れしている。
温泉大王、36歳独身、無職、趣味はパチンコ、スロットという卑劣漢だ。
その怪力は凄まじく、敵対するプータローやニート、ヤンキーを皆殺しにし、
『喧嘩最強』の名のもと、この地獄沢を暴力で支配している。
温泉大王は手下の革ジャンから報告を受けると、
右手に握っていた鋼鉄のグラスをぐしゃりと握りつぶした。
「ほほ〜う。オレ様の大嫌いな餓鬼じゃねェか〜」
ゆらりと巨体が立ち上がる。
「オレ様は熟女以外に興味はねェ〜、そいつは殺してやるしか価値がねェなァ〜?」
ペッとそばで熱く焚かれている鉄板につばを吐きかける。
ジュウッと音を立て、瞬く間に蒸発する。
そして、そのそばには1人の男が鎖で繋がれた足されていた。
「だがまず、オレ様の女に手を出しやがったこの男を殺さなきゃなァ……!」
ギロリと50歳ぐらいの男を睨み付ける。
「わ、私は妻を……」
「黙れ屑がァッ! この郷の全ては温泉大王であるオレ様の物なんだよォッ!」
男の抗弁はすぐに温泉大王の怒声に遮られる。
温泉大王はむんずと男の身体を掴む、そのまま男を縛っている鎖を引きちぎり、
足元のカンカンに熱された巨大な鉄板に叩きつける。
汗が蒸発し煙を上げる。
焼殺の刑である。
男が逃げ出さないよう、ぐりぐりと大王が足で鉄板に押し付ける。
男は声にならない悲鳴を上げ、ジリジリと焼かれていく。
大王は鉄板の上を転がしていき、男の全身をまんべんなく焼く。
苦しむ声と焦げる音。
鼻をつく肉の焼ける異臭。
やがて動かない真っ黒な塊と化す。
煙を上げ消し炭になる男、周囲で見ている革ジャンたちからは歓声が上がり、
郷人たちはただただ、それを無言で見つめるしかなかった。
中には泣き出す者、唇を強く噛み締める者、わなわなと身を震わす者もいた。
だが、とても温泉大王に逆らうことなどできるはずもない。
男の消し炭を片付けさせると、大王は次の犠牲者を睨みつける。
「餓鬼ィ〜、次はお前の番だ……!」
モヒカン男から鈴を奪い取ると、高々と右手を掲げる。
「オレ様の沢で魚を獲ろうとは恐れを知らぬ大馬鹿者よ〜」
「この郷は、みんなのものよ! あなたの自由になんかさせないんだからッ!」
鈴はまっすぐに大王の目を見つめて叫ぶ。
小癪な少女の反応に大王は不快を露わにする。
「この……オレ様に説教かぁッ!!」
大王は握力を強め、ぎりぎりと少女の体を締め上げる。
鈴は苦悶の声を上げるが、まだ話すのをやめない。
「あ、あなたのせいでみんなみんな飢えて死んでいくわ……っ!」
気丈にも鈴はキッと大王を睨みつけて言う。
「……弟や妹たちが……食べ物を待ってるのっ!」
「黙れ糞餓鬼ィッ!」
怒号を発するが、ふと表情を変える。
「……いや、ならばそいつらに餌をくれてやろうではないか」
「だ、温泉大王サマッ! 一体何を……?」
ざわつく革ジャンと郷民たち。
大王の口元は笑っていた。
「くくく。この娘をステーキにしてそやつらに食わせてやるわっ!!」
「ようく焼いてやるから安心して喰われろォ〜……」
自らの言葉に満足そうな表情を浮かべる大王。
ざわざわと、郷民たちが驚きの声をあげる。
「見ろッ! 無力な愚民どもォッ! 貴様らが弱すぎるからこんな目に遭うのよ〜」
大王がまさに鈴を無慈悲に燃えたぎる鉄板に落とそうとした。
ずっと我慢していた涙が鈴の頬を流れ、きらめくものが一滴落ちる。
そのとき、地平の彼方から駆けてくる者があった。
「オイオイオイッ! 待ちやがれーッ!!」
砂塵とともに現れたのはハム四郎と霞を追いかけていったポチ太郎であった。
いつの間にか二人を見失ってしまい、ウロウロしているうちに辿りついたのである。
「へへ、オレッちの目の前でそんな非道なことはさせないぜッ!」
着ぐるみ、超馬力ロボポチ太郎がびしっと大王を指差す。
「とっとと、その女の子を放しやがれよッ! このクソ外道!」
「貴様……何者だッ!」
「オレッちはポチ太郎ッ! 正義のスーパーロボットだぜッ!!」
「痴れ犬が……ッ! てめえらッ! コイツをなぶり殺せッ!!」
ジャキッと革ジャンたちが棍棒やボウガンを構え、襲い掛かってくる。
郷人たちの悲鳴が広場にこだました。


温泉編 第4話その参
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)22:00

「犬パーンチ!」
「犬キーック!」
「犬咬みつき!」
ポチ太郎の攻撃が次々に炸裂する。
「ぐはーッ!」
「ゲボォーッ!」
「はぐわーッ!!」
革ジャンたちが右へ左へ蹴散らされていく。
恐れをなした一部の者たちは距離をとってボウガンやライフルでポチを狙う。
「死に腐れ! 犬野郎ーッ!」
狙い違わず矢と弾丸がポチ太郎を襲う。
バスンバスンと鈍い音を立てる。
「はっははーッ!! オレッちにそんな細かい攻撃は効かないぜッ!」
ポチの特殊柔装甲皮革に対して、機関銃の弾丸などは全くの無力である。
見かけよりも俊敏な動きで瞬く間に20人あまりを撃破した。
残りの者は恐れて近づこうともしない。
「へっへーッ! 後はアンタだけのようだぜッ、作務衣の大将ッ!!」
ポチ太郎と温泉大王が対峙する。
「その子を解放しなきゃ、アンタはオレっちと戦えないぜッ!」
「ふんッ! 貴様など左腕一本で十分、野良犬風情が身の程を知れッ!!」
大王はまだ右手に鈴を掴んでいた。
そのままの体勢でポチを迎え撃つ。
「じゃあ遠慮なく行くぜッ!」
「必殺! 犬メガトンパーンチッ!!」
渾身の右ストレートが大王を直撃する、ように見えた。
しかし、大王は一歩も動くことなくそれを左の掌で受け止める。
「何ィッ!」
「ふふふ、所詮は犬畜生。蚊が刺したほどの威力よ」
不敵な笑いを浮かべる大王。
一方ポチの表情には焦りが見えた。
「ま、まだだ! オレッちのとっておきをお見舞いしてやるぜッ!」
すらりと紅いバットを抜く。
神木の大銀杏から切り出した専用の長バット。
木製であるにもかかわらず戦車砲をも弾き返す威力がある。
必殺の武器を天に掲げ、一直線に振り抜く。
「喰らえッ! サヨナラ! 赤バットフルスイングーッ!!」
紅い軌跡が大王のどてっぱらを捉える。
大王は両足を踏みしめ、腹に力を込める。
「ジャァストミィートォッッ!!!」
「片腹痛いわーッ!!」
パッカーン!
ポチ太郎の攻撃が炸裂する、しかし吹き飛んだのは赤バットの方だった。
砕け散るバット、大王は身じろぎもしていなかった。
大王の鋼の筋肉はポチ太郎の攻撃を寄せ付けない。
「バ、バカなッ! オレッちの攻撃が全く……」
「効かぬということだーッ!」
ぶうんと大王の左ボディーがポチ太郎を直撃する。
「ぐあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!!!」
ぐわっしゃん!!
廃墟の壁に激突し、ぐったりと地面に倒れ伏す。
「ポチ太郎さぁーん!」
真っ青な表情で鈴が悲鳴を上げる。
しかし、ポチ太郎の耳にはもはや彼女の声も届かなかった。
全身から煙を上げ、各所から火花が散る。
ピクリとも動かない。
幾人かの郷民たちがポチの元に駆け寄る。
必死に呼びかけるが反応はない。
「く、くそ。おれたちも戦うんだぁッ!!」
やけくそになった一部の郷民たちが倒された革ジャンたちの武器を取り、
大王に向かっていく。
大王はそれを避けようともしない。
矢も弾丸も、ナイフも棍棒も鋼の肉体にかすり傷一つ負わせられない。
虫でも払うように太い腕が振るわれる。
人形のように郷民たちの体が吹き飛ぶ。
あるものは直撃を食らって破裂する。
またあるものは壁や地面に叩きつけられる。
決死の反撃も一瞬で制圧された。
「見たか! ゴミ虫ども!」
「この温泉大王に逆らう者はみな死ぬのだッ!!」
残された郷民たちの表情には絶望が浮かんでいる。
救世主かと思われたポチ太郎も大王の前になす術もなく敗れた。
しかし、もう一つの希望がこの地にやって来ていた。


温泉編 第4話その四
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)22:01

ザッザッ
荒地に数人の足音がする。
銀色のドラム缶ボディに『八』の文字。
どんぐりまなこにへの字口。
だが、くるくるほっぺと覆面姿ではない。
十分目に見えるぐらいの早業で、
投げる手裏剣は3割ぐらいがストライクという。
そのロボは紛れもなくハチ五郎。
そしてその一行であった。
「よくもオレの仲間、ポチ太郎をこんな目にあわせてくれたロボ!」
「あまつさえ幼い女の子を人質に取るとは、とんだ小悪党ロボッ!」
ノリノリのハチ五郎、勇躍と出てくる。
「この礼は高くつく……ぎゃあっ!」
「は、ハチ五郎のダンナーッ!」
ハチ五郎カーが悲鳴を上げる。
モヒカンの革ジャンがハチ五郎に向かってライフルを発射したのだ。
弾丸はハチ五郎の燃料タンクを直撃、ゴボゴボとオイルが流れ出す。
ハチ五郎の装甲は薄い軽金属、だいたいスチール缶ぐらいのもの。
狙撃を食らえばひとたまりもないのであった。
「ま、まさかこんな簡単にやられるロボか……」
ばったり、エネルギーの切れたハチ五郎が倒れる。
得意の超能力を使う間もなかった。
「また道化が現れたか、貴様らもこの温泉大王に逆らおうという輩かッ!」
大王が恫喝する。
郷民たちやワリト博士、オペレーターAはその声に怯える。
しかし、その中から名刀『練馬高野台ポン太』を手にしたおさみが進み出る。
その足取りはいたって平静。
近所のコンビニにノーメイク、上下スウェットで買い物に行くOLのようであった。
「白豚、その臭い口をいい加減に閉じたらどうだ?」
おさみが言い放つ。
その表情は蔑みとも哀れみとも取れる。
「なんだ、若い女か……。では殺すしかないぞ?」
無精ヒゲの口元が下品に歪む。
「やはり豚には人語は通じぬようだ……難儀なことだな」
おさみは構わず近づき、すでに大王の手の届くところまで来ていた。
「ぬふ〜〜ん。そのようななまくらでこの大王が斬れるとでも思っているのか?」
もはやおさみは何も答えない。
まったくの無防備でただ大王の前に立つ。
大王はこの無謀な女に強者の鉄槌を下すことにした。
ポチ太郎を瞬殺した左の拳が振り上げられる。
凶悪な一撃が振り下ろされる刹那、紫電が一閃する。
その場にいる全ての者にその一撃は見えなかった。
あるいはハム四郎がこの場にいれば辛うじて捉えることができたであろうか。
大王や他の者たちにはおさみが刀を抜いたようには見えなかった。
そして、いつの間にかその手には大王が抱えていたはずの少女を抱いている。
「よく、頑張ったな」
おさみが微笑みを浮かべ少女にささやく。
「お前はあの男などより、よほど強い」
うっすらと笑みを浮かべ、少女は気を失う。
おさみは近くまで来ていたマリアに少女を預ける。
大王はハタと気付くとおさみに掴みかかろうとした。
「き、貴様! 一体何を……」
しかしその手は空を掴む。
いや、そうではなかった。
ずるりと肘から下が切れ落ちる。
それも両腕である。
思い出したように血が滴り落ちる。
「がッ! 何だこれはッ!!」
動揺の声を上げ思わず一歩後退る。
が、それも適わなかった。
今度は膝から上がぐらりと揺らぐ。
両手両足を切断された巨体が灼熱の鉄板にスローモーションのように落ちる。
ジュウッ!
鉄板から煙が上がる。
さすがの温泉大王も数百度の高熱には耐えることはできない。
ぶすぶすと煙の中、バタバタともがく。
「ア、熱いッ! オレ様の……オレ様の体がァッ!!」
転がり脱出しようと試みるが、すかさずおさみが腹を踏みつけ阻止する。
特殊単分子鋼のヒールが大王の腹筋を突き破り内臓にまで達する。
「し、死ぬ、その足を、その足をどけろッォ!!」
ジリジリと大王の体が焦げていく、このままなら後数分もすれば焼け死ぬであろう。
ジタバタともがくが逃れようもない。
「た、たのむッ! その足をどけてくれッ!」
「助け、助けてくれ……ッ!!」
しかし、おさみはぐりぐりとヒールを更にめり込ませるだけである。
「ほう、まだ冗談を言う余裕があるか」
「じょ、冗談なんかじゃ……」
「貴様の命を助ける理由が私にあると思うのか?」
「そ、そんなァッ……!」
ぐっと、おさみが足に力を込める。
「ギャアァァァァッッ!!!!」
温泉大王の絶叫。
ぐおおおん
轟音が響く。
おさみの足は厚さ30センチの鉄板もろとも大王の身体を踏み砕く。
身体に火が移る。
ごうごうと炎を上げ、肉塊が燃える。
つい先程まで大王と呼ばれていたが、もはや見る影もない。
どれほど彼が強いといっても、所詮おさみの敵ではなかった。
その実力の差は、努力とか天性とかそういった次元を超えている。
この温泉旅行が決まった段階で彼の命運は尽きていたのだ。


温泉編 第4話その伍
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)22:01

郷人たちが歓声を上げる。
支配から解放されたのだ。
残った革ジャンたちはほうほうの体で逃げ出していく。
だが、逃げざまに気に掛かる言葉を残していった。
「ゆ、湯王様に知らせるんだ……」
『湯王』とは何者なのか。
郷人たちの話では、この辺りの温泉を吸い上げ、何かをたくらんでいるという。
どうやらゆっくり温泉に浸かれるのはまだ先のようである……。

急に長くなってみたり。

次回予告
調子に乗ったハチ五郎は温泉街の芸者を呼びつけた。
しかし、集まってきたのは芸者とは名ばかりのカルト教団員であった。
野球拳の勝敗が極悪の運命を握っている!
次回、続・超能力ロボハチ五郎第5話
【旅館の食事は朝飯の方が旨いと思う】

つづけ


温泉5
投稿者/ペガ
投稿日/2009年8月9日(日)22:42

「よし、これでいいだろう」
ポチ太郎の死骸のかたわらに座ったおさみが言った。
「う、う〜〜ん…」
完全に粉砕されたポチ太郎だったが、やおら呻き、
「あ、あぶなったぜ! くっそーあの糞豚インキン野郎!」
立ち上がるなり、激昂した。
その破損部分は完全に修復されている。
「鮎、美味しかった?」
鈴が笑顔で語りかける。
「おう! すっげぇうまかったぜ! おかげで元気百万倍だぜ!」
ポチ太郎は飯を喰うとあらゆる破損が修復するという得意体質なのだ。
「さっきは腹ペコリンだったから不覚をとっちまったがもう大丈夫だぜ!」
なんだその設定は。
「よし、では温泉を目指すとしよう」
おさみが何事もなかったのように言った。
「ま、待ってくれよ! ハチ五郎のダンナが!」
カーが言う。
その声に皆が振り返る。
すると、さっきまでハチ五郎だったドラム缶が山の斜面を転がっていくのが見えた。
「…まずいな……」
郷人の中にいたひとりの少年が呟いた。
「え、なにがまずいの悪太郎!?」
「あのまま転がっていくと、暴力温泉芸者たちの棲むエリアに入っちまう……そうな

ったらもう…」
悪太郎と呼ばれた少年が答えた。

次回、何時代なのこの話!?
の巻
こうごきたーい

つづ


温泉饅頭6
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月9日(日)23:09

「兄さん、ちょっと寄ってお行きよ〜」
甘い声で道を歩く客を誘う声が響く。
地獄沢血の池温泉の歓楽街「すずき野」である。
多数の女が様々な理由によってつれてこられ、
ここで働いている。
表向きは芸者として。
温泉大王らがこのあたりを仕切るようになってからは
彼らによってさらわれてきた女達が大勢、無理矢理に働かされている。
「ちっ、なんだい、しけてやがる。最近はろくな客が来やしないよ」
放遊亭と書かれた店先でお宮ねえさんが毒吐く。
「ねえさん、奴らが仕切っている間はまともな客なんて近寄らないよ。
川の太郎、あのぬめぬめの変態がこの町を仕切っている限り…」
「言うんじゃないよ、私たちは湯王様に従っているんだ。
湯王様があのぬめぬめに従えっていうならそうするしかないのさ」
お宮ねえさんはそういって西の空を見上げた。
裏山の向こうに夕日が沈み始めている。
赤く染まる空、その中に小さな黒い点が見えた。
なんだろう、目をこらしてみるとそれはだんだんと大きくなってくる。
ゴロゴロゴロゴロゴロ!!!!
それは山の斜面を猛スピードで転げ落ちてくるドラム缶のようであった。
まっすぐとそれはこちらに向かってくる。
遊女とは思えない素早い機敏な身のこなしでお宮ねえさんはドラム缶をよける。
ドラム缶はその勢いのまま放遊亭の入り口へとつっこんでいった。


湯けむり第7話
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月9日(日)23:47

「きゃあぁぁっ!」
店の奥で女性が叫ぶ。
ハチ五郎を追ってすずき野へやってきたワリト博士たちが駆け付ける。
「こ、これは……」
お宮たちが驚愕の表情を浮かべる。
店の風呂場に死体が浮かんでいる。
「こいつは一体誰なんでいッ!」
ポチ太郎が吼える。
「この男は……川の太郎、すずき野の支配者ですッ!」
風呂桶には川の太郎の上半身が浮かんでいた。
ざっくりと切られた切り口から大量の血が漏れ、湯が血に染まっている。
だが、下半身はどこにもない。
どこかに持ち出したというような様子も見えない。
床のどこにも血痕が残っていないのだ。
「これは……事件ですね」
悪太郎少年がつぶやいた

つづくのだわさ


おんせん8
投稿者/ペガ
投稿日/2009年8月9日(日)23:58

「俺だロボ!」
叫ぶハチ五郎。
だが皆にその声は届いていないご様子。
それもそのはず、ハチ五郎の音声を出力すべき動力、すなわち下半身部分に内臓され

たおちんちんエンジンがごっそり失われているのだ。
故にハチ五郎が泣こうが喚こうが、まったくその声は声にはならず、しかも身動きひ

とつできないのだった。
「なんてことだロボ! おーまいがっつロボ!」
「それにしても…」
「オペレーターA、おぬしも気づいたか…」
神妙な面持ちで風呂場に浮かぶ死体、ハチ五郎を見つめ、おさみとオペレーターがハ

モって言った。
「ハチ五郎(さん)にそっくりだ(です)」
「だから俺やっちゅうとるやろがーロボ!」
「悪太郎とやら、これはまことに川の太郎なのか?」
「間違えありませんね」
「マジか!? マジで言ってるロボかこの小僧!?」

次回、悪太郎の推理がさえわた


第9話
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月10日(月)00:25

「間違いありません。こいつは川の太郎です!」
「な、なんだって〜」
一同に衝撃が走る。
「で、川の太郎ってだれですか?」
オペレーターAの鋭いつっこみが!!
悪太郎「がーん」!!
「川の太郎とはこの遊郭を仕切る悪党の親分です。
親分とはいっても、その上にはまだ湯王という
謎のボスがいるらしいのですが……。
僕はその湯王を捕まえるためにこの温泉街にやってきたのです。
そう、あれは5年前のこと。初めてであった殺人事件で……」
悪太郎は遠い目をし始めた。
「ま、まずい。この流れは長くなるわ」
状況を察したお鈴ちゃんがあわてて止めに入る。
「悪太郎くん、もう犯人はわかってるんでしょ!
早く私たちに真犯人を教えて!!」
お鈴ちゃんにそういわれると、悪太郎は頭をボリボリとかいて
ふけをポロポロとこぼしながら
「え〜」
1オクターブ高い声を発し、眉間に指を立てるような格好をする。
「この犯人は一つミスを犯しました。
それも致命的なミスです。
なぜなら、この古畑悪太郎の目の前で犯行を犯したのです」
ゆっくりと一同の前を往復する。
「そう、私は見たのです。犯行の決定的瞬間を!!
犯人はお前だ!!!」
ビシッ!!
突き出された指はなんとハチ五郎カーを指し示していた。
「な、なにをいうんですか!
ハチ五郎のダンナを、おいが殺すわけがないでゴクアク!」
ハチ五郎カーは狼狽して一歩後ずさる。
顔には激しく汗をかいて、あわててワイパーで拭いている。
「ふっふっふ、動揺して正体を現しましたね。
語尾が変わっていますよ、ハチ五郎カーくん。
それに、あわててワイパーで拭いたせいでもう見え始めていますよ」
ビシッ!!
再び悪太郎がハチ五郎カーを指さした。
一同の目がその顔に釘付けになる。
なるほど、ハチ五郎カーの顔はワイパーによって色がはげ
白灰色の見にくい顔が見え始めていた。
「お、おいはハチ五郎カーでゴクアク…ハチ五郎のダンナを殺すなんて…」
「いつまでだませると思っているんですか、
僕には初めからわかっていたのですよ、
あなたがハチ五郎Zだってことがねっ!!!」

バーン

衝撃の事実が明らかに!!
このあとどう続く

 

第10話
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月12日(水)01:32

一方その頃、走っていったハム四郎と霞はとある温泉場にたどり着いていた。
そこにもやはり、湯王の魔の手は伸びていた。
「わーはっは! ワシは重炭酸土類泉の権三郎!」
「隣に控えしは緑礬泉の兵衛門!」
ここを取り仕切る二人のボスがハム四郎と霞の前に立ちふさがった。
「ふふふ。お前たちの仲間も今頃、
われら湯王軍団の手にかかり無残な最期を遂げている頃だろう」
「なんだとーッ! 五郎ちゃんたちがそんな簡単にやられるもんか!」
「へへ、それに俺たちがお前ら悪党をとっととノシちまえばいいだけだ!」
「愚かな奴らめ。われらの恐ろしさ、思い知らせてくれるわァッ!」
ザザザッと浴衣姿の湯王軍団がケロリンの桶やシャンプー、石鹸を手に取り囲む。
その数およそ百人。
権三郎、兵衛門と共に襲いかかってくる。
しかし、超高速のハム四郎はその隙間を洋々とかいくぐり、
瞬く間に権三郎の懐まで詰め寄る。
「オラァッ! 向日葵一本突きィッ!」
高速の竹刀による突きが、喉元を貫く。
メキィッ!
しかし、竹刀は衝撃に耐え切れず、バラバラに折れて散る。
「そんな物がこの権三郎の相手になるものかァッ!」
体勢を崩したハム四郎に向かって権三郎の振り下ろしのパンチが飛ぶ。
「おっと! そうはいかねェぜ!」
なかなかの鋭さだがハム四郎のスピードには追いつけない。
「へへ、それじゃァ秘密兵器を使わせてもらうぜ!」
折れて残った竹刀の柄に、赤いボタンが付いている。
それを押すとブーンという音と共にオレンジ色に光る刀身が現れた。
ワリト博士製作のビーム竹刀である。
鋼鉄も切り裂く科学の刃だ。
「喰らえッ! ハムスターダスト流星斬ッ!!」
先程は止められた喉元へ、一撃を見舞う。
「……ッ!」
声を発する間もなく権三郎の首が飛ぶ。
残った胴体は一歩二歩とよろめいて地に倒れる。

ハム四郎が一人で突っ走って行ってしまったために、
残された霞の元に手下たちが押し寄せてくる。
「ハム四郎のヤツ〜、勝手なんだからッ!」
冷静に対地対人用兵器バーストスチームを右腕から噴出させる。
バシューーーンッ!
一瞬で霞の周囲が赤い蒸気で包まれる。
スチームと言っているが水蒸気ではなく、特殊な液体を気化させたものだ。
数百度に達する高温の蒸気はたちどころに周囲のものを蒸し焼きにする。
蒸気とあっては避けようもない。
一度に数十人の手下たちが焼け死んでいく。
更に赤い色が煙幕の役割を果たし、霞の姿を覆い隠す。
その中でも霞の各種センサーは相手の動きを捉え続ける。
まっすぐに兵衛門の元へ走る。
蒸気が晴れたとき、霞と兵衛門の戦いが始まろうとしていた。
サイボーグ化された兵衛門には先程の攻撃も効いていない。
猛進してくる霞に対し雨あられと銃弾を撃ち込む。
まともに食らえばダメージも受けるが、この手の攻撃に対しては防御法がある。
やはりワリト博士開発の空間湾曲シールドだ。
自己の周囲一定の空間を傾斜、ないし湾曲させ弾丸等を逸らすというものである。
かなり怪しげな原理で、超光石の力がなければ作動しない。
兵衛門の弾丸もするすると霞を逸れていく。
通常ならありえない光景に動揺し、動きが止まる。
だがしかし、霞はその瞬間を逃さない。
左腕に内蔵されている必殺の武器を打ち込む。
「高圧電撃! エレクトリックゥパァァァァイルッ!!」
超硬度鋼の杭が兵衛門のどてっぱらを貫く。
杭からは超高圧の電流が流れ、電子回路や肉体そのものを破壊する。
黒焦げの兵衛門はぶすぶすと煙を上げて動かなくなる。

二人の大将を倒された手下たちはクモの子を散らすように逃げていく。
ひとまず、この温泉場の平和を取り戻した二人であった。
残された村人から『湯王』についての話を聞く。
「湯王というのはなんだか真っ黒な仮面、甲冑を身につけたヤツだっただ」
「そして、その傍らには変な関西弁の男が仕えていただ」
「あともう一人、学ランを着た巨大なダルマみたいなスキンヘッドの男も……」
村人が知っていたのはそれだけであった。
「霞、とりあえず八ちゃんたちを探しだそう」
「ウン、湯王をやっつけるのはそれからだね!」
二人はハチ五郎たちを探すため、温泉場を後にした。

つづづく


おんせん11
投稿者/ベ
投稿日/2009年8月14日(金)10:54

川の太郎は河童である。
それも巨大な河童である。
どのぐらい巨大かというと、だいたいズゴックと同じぐらいである。
むしろズゴックが川の太郎であり、川の太郎こそがズゴックである。
故にゴッグもアッガイも川の太郎である。
もしくは子孫である。
あるいは血族かもしんない。
まあそれはいい。
ともかく、そんな川の太郎だが、かつては、すずき野近辺を水害から守り、
村人たちから崇められていた。
ときどき村にやって来てはきゅうりをもらったり、女子の尻を撫でたりしていたが、
ともかく、崇められていたのは確かである。
それがいつの頃からか、身体が真っ赤に染まり、凶暴な振る舞いをするようになった


シャア専用になったのである。
もとい、湯王との相撲勝負に敗れ、その手下となったのだ。
故に、頭からミサイルは発射するは、手から爪は出すはの暴れっぷりを発揮し、
すずき野界隈を完全なるふぅぞっく街へと変貌させてしまった。
困り果てた村人たちは傭兵を雇い、川の太郎討伐をしてもらうことにした。
そして雇われたのが、お宮たち暴力温泉芸者の一隊だったのである。


お宮たちは芸者でありながら、プロの戦争請負人であり、
アフリカや中東で鳴らした猛者ばかりで構成された戦争屋集団である。

金次第でどんな汚え仕事も引き受ける、それがあたしら暴力温泉芸者だよ!

というわけで、お宮たちはその芸達者っぷりを活かし、
まずは温泉芸者としてすずき野に潜入。
川の太郎暗殺の機会を待っていたのだが、そこで問題が起こった。
すなわち、ハチ五郎たちが転がり込んできたのである。


「おで、はで、はんがー!!」
おなじみの奇声を発し、カーが変生する。
そこに現れたのは紙粘土製ロボット、極悪その人であった。
「やはり犯人はあなただったんですね!」
ビッスィイ!
極悪を指差し、悪太郎少年が得意の絶頂に達しながら叫ぶ。
「いや待つでごくあく、犯人はおでじゃねえでごくあく」
「黙れ、おまえ以外に犯人などおらぬ」
おさみが白刃を構え、決め付けた。
「そうだそうだ! そうだっつーの!」
ポチ太郎もきゃんきゃん吠える。
「待つでごくあく、おまえらと一緒にいたのに、
どうやっておでがこいつを殺せるでごくあく? おかしいでごくあく」
「………」
極悪の細かい突っ込みに皆一様に押し黙った。

(め、めんどくせ〜、こいつめんどくせぇ〜〜)

極悪が皆から嫌われる要因のひとつを垣間見せている間、
一方のハチ五郎は何もできずに水面をたゆたっていた。
正確にはハチ五郎の上半身はたゆたっていた。
(歯がゆいロボ〜、犯人は、真犯人は別にいるロボ〜!)

そして下半身の方、すなわち、
SuperオチンチンEngineを搭載したハチ五郎(下)は、
果敢にも真犯人・川の太郎と戦っていたのだった。


「どぅふう!」
完全にズゴックにしか見えない川の太郎が、
ハチ五郎(下)のしなるような蹴りをかろうじてガードしながら、言った。
「下半身だけの分際で、なかなかやるぴゃ!」
転がり込んできたハチ五郎に激突された川の太郎は、怒り一閃、
その胴体を真っ二つにしたまではよかったが、下半身に反撃され、
温泉街の外にまで追い込まれていたのだった。

「いい加減にあきらめな川の太郎! おまえに勝ち目はないよ!」
ハチ五郎(下)の後方に展開したお宮たち芸者陣が、
ドラムマガジンを装着したRPK軽機関銃の銃口を、川の太郎に向ける。
川の太郎暗殺を企てていたお宮たちは、勢い、下半身と共闘しているのだった。

「ふん! おまえたちごときにやられる俺様ではないぴゃ!」
言うなり川の太郎がお辞儀をする。
その頭からミサイルが発射され、お宮たちに向かって飛んでいく。
「チィッ!」
叫んで散開したお宮たちだったが、
その前に立ちはだかったハチ五郎(下)が、無言でミサイルを蹴り飛ばした。
「……」
「助かったよ、下半身の旦那!」
「ぬうう!」
悔しげに唸った川の太郎は、鋭い爪の飛び出した腕を構え、叫んだ。
「勝負ぴゃ! 下半身!」


追記
まさか、ふぅぞっく、が弾かれるとは!
何度やっても更新できなくて焦りました。

 

卑猥な言葉が弾かれるゆえに平和が保たれているのです12
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月14日(金)21:31

「お、おでじゃないでごくあくよ〜」
必死で否定する極悪。
しかしみんなは、めんどくさいからお前で良いじゃん的な空気を出しながら
じりじりとにじり寄ってくる。
ハチ五郎はそんな光景を見ながら
(真犯人はそいつじゃないロボ〜)
と、嘆いていた。
反面、(そいつはやっちゃっても問題ないロボ)とも思っていた。
本当はハチ五郎の2048MBの超能力の一つ
「やべ、思いついちゃった拳」で思いつこうとしたが
超能力は禁止されてしまっているので
ちょうどそこでハチ五郎は思いついた。
(あれ、おらぁ下半身が無くなってもロボットだから上半身だけで動くんじゃね?)
試しに体を起こしてみた。

ざっぱーん!
突然、背後で水しぶきが上がった。
一同驚きながら振り向くと
風呂場に浮かんでいた死体が動きだし湯船の中に沈む所だった。
あわててオペレーターAがハチ五郎の上半身を湯船から助け起こした。
「い、生きていたんですか!」
しかしハチ五郎の上半身は何も言わなかった。
その代わり、腕をぶんぶんふるってオペレーターAに答える。
(もちろん生きてたロボ! そして俺はハチ五郎だロボ!!)
「何言ってるかサッパリわからんぞ?」
おさみがいらついた様子でハチ五郎を見る。
「こいつで口を開けてやろうか」
そういって、練馬高野台ポン太をハチ五郎のドラム缶状の頭部へ押しつける。
(や、やめるロボ、死んでしまうロボ!!)
再び必死に腕をばたつかせる。
「どうやら、やめて欲しいようです」
すかさずオペレーターAの解説が入る。
「しかし、これでは不便だな」
おさみはハチ五郎の頭の上にあるプルタグを引き上げると
中からハチ五郎U世取扱説明書を取り出して読んだ。
……。
…………。
しばらく沈黙の後
「おい、お前が読んでくれ」
平仮名も読めないおさみであった。

「この説明書によると…」
オペレーターAがハチ五郎が話せない原因を解説する。
「それで、どうにかならないのか?」
「ええ、どうやらおでこにあるスイッチを押すと補助音声機能が働くようです」
説明書に書いてあるとおり、おでこにあるスイッチを押してみた。
ぱっぽーぱっぽー♪
鼻の頭がパカリと開き、そこから機械仕掛けの鳩が顔を出した。
「俺はハチ五郎だロボぱっぽー♪
犯人は極悪じゃないロボぱっぽー♪
俺の下半身が温泉街の外の河原で川の太郎と戦ってるロボぱっぽー♪
早く助けるロボぱっぽー♪」
かなりうざい調子でハチ五郎はしゃべれるようになった。
みんなのストレスが限界になる前に次回へ続け!


でもふーそくは卑猥な言葉じゃないのでは……13話
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月14日(金)23:36

川の太郎は焦っていた。
明らかにスケールの違う相手に対してこの苦戦である。
1/1キットである自分が1/12キットに敗れることがあるだろうか?
ありえない。
だが現に下半身の攻撃で機体にかなりのダメージを受けている。
すでにミサイルは打ち尽くしており、クローによる攻撃しか残されていない。
当たれば一撃のはずだが、絶妙に受け流される。
そのうえで関節部を狙って打撃を加えてくる。
巧みな戦いぶりであった。
お宮たちもちょろちょろと攻撃してくるが物の数ではない。
しょせん軽機関銃の攻撃など効くはずもないのだ。
そんな場におさみたち一行も現れた。
「あれは……」
ワリト博士が誰にも聞こえないような声で呟いた。

バッキィィィィン!
ついにクローが耐えきれなくなり折れる。
チャンスと見た下半身は股の間から第三の腕を伸ばす。
「あ、あれはZのジ・Oの隠し腕じゃないですか!」
ここぞとばかりにオペレーターAが解説をする。
股の間からビームサーベルがきらめく。
「こなくそぉッ!」
ヤケクソの川の太郎が突っ込んでいく。
ブウンッ!
股間のビームサーベルが唸りを上げて太郎のモノアイを貫いた。
メインモニターが破壊される。
機体各所にサブモニターやセンサーがあるためまだ見ることはできる。
だが一瞬のタイムラグが命取りとなった。
次の袈裟がけの一撃がジェネレーターごと機体を切り裂く。
「…………!」
ボガァァァァン!!
黒煙を上げて川の太郎が爆発する。

「やった! 下半身の旦那!!」
「下半身さんが勝ちましたよ! おさみさん、博士!」
「ふ、なかなかやるではないか……」
戦いの最中、ずっと押し黙っていたワリト博士が小さく声を上げる。
「みんな……あれはハチ五郎の下半身ではないんだ……」
「あれは、飽破腹のジャンク屋でこないだ買ってきたモノなんだ!」
「ど、どーゆーことなんですか博士!」
「たまたま安売りしてたやつでちょうどハチ五郎に合いそうだから……」
「くっつけちゃったんですかッ!」
「ま、まあそうなんだが……まさかあんなものだとは……」
爆風の黒煙を背にカツーン、カツーンと下半身が迫ってくる。
「やつは一体……?」

つつつく


おん14
投稿者/べ
投稿日/2009年8月15日(土)00:11

爆風の黒煙を背にカツーン、カツーンと下半身が迫ってくる。
「やつは一体……?」

と博士が言ってから、だいぶ経っていた。
山深い温泉街にはヒグラシの鳴き声が響き、夕日が空に滲んでいる。
「ほーらやっぱりちゃんとかき混ぜないから、カレー粉がだまになっちゃってるよ!

 だまに!」
「うっせーな! だったらおまえがやればよかっただろ!」
「ボクは飯ごうに掛かりっきりだったんだから、それどころじゃなかったの!」
「うむ、おかげでこの白米……なかなかだな、霞」
「えっへっへ〜」
「………」
「下半身の旦那も嬉しそうに食べてるぜ」
器用に足先を使い、カレーを股間から食べる下半身に感心しながら、お宮が言った。

暴力温泉芸者一行と、ハチ五郎一行、そして謎の下半身は
山中にキャンプを張り、芸者たちが装備していたキャンプセットで
美味しくご飯をいただいていた。

取りあえず、下半身はまったく話すことができず、
かつ筆談やジェスチャー等、その他のコミュニケーション手段も通じず、
アイコンタクトさえ不可能だった。
ただ不思議と、なんとなく言いたいことがわかるのである。
ので、その正体はさておき、
いい加減、腹の減った一行は、和気藹々と飯を喰っていたのだった。
「おいハチ五郎! いったい何杯おかわりするつもりだゴクアク! おでのおかわり

がもうないゴクアク!」
(知らないロボ! 俺はまだ一口も食べてないロボ! むしろ皿さえ用意されてない

ロボ!)
「このやろう〜そらとぼけてるでゴクアク、上半身だけだからって調子に乗ってるゴ

クアク!」
「おいおい八ちゃん、極悪の分も残しといてやれよ……下半身の旦那を見てみろよ」
ハム四郎が指差す先には、極悪の皿に、自分のカレーを足先で盛ってやっている下半

身の姿があった。
「すまないでゴクアク〜下半身はやさしいでゴクアク〜」
「まったくハチ五郎は気が利かないワン、自分のことしか考えてないワン」
ポチ太郎までもが、ハチ五郎を蔑んだ目で見て言った。
(……ど、どういうことだロボ! なんなんだロボ! これっていったい、なんなん

だロボー!)

同じく喋れない上半身と下半身。
双子のごとき存在であるにも関わらず、この歴然とした差はなんなのか!?
そして、下半身の正体とはいったい!

物語は、
何も進展しないまま
次回へとつづくのであ


カレーのシーンの意味は一体…15
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月15日(土)02:07

せっかくしゃべれるようにしたのに
まったく活用されなかったよロボぱっぽー♪

ちゅうことでカレーを食べ終わったところで、
ワリト博士がハチ五郎の上半身と、謎の下半身の接合を試みていた。
すでに日も沈みきっていて、焚き火の明かりが皆を照らしている。
「前のハチ五郎の下半身は質に出してしまったのでもう無いんだ。
ハチ五郎カーのガソリンを買うお金が必要だったんでねぇ」
ネジを3箇所キュッキュと止めると、
元もとそこにあったかのように上半身と下半身はぴったりとくっつくのだった。
「やったロボ、これで声が出るロボ!」
様々なかっこいいポオーズをとって体の具合を見るハチ五郎。
「そうロボ、第3の腕を出してみるロボ!
ふぬぬぬぬ〜」
ぷぅ
出たのはおならだけだった。
「で、出ないロボ」
「何だよ、ハチ五郎。下半身だけの方が強いんじゃないのか?」
「合体したら弱くなったでごくあくね。いい気味でごくあく」
「合体したらパワーアップするものだろ〜、なんだよ五郎ちゃんがっかりだよ」
「そうだな、まったく役に立たなくなったな」
合体したハチ五郎、さんざんな言われようである。
皆がわいわいやっていると、
ガタガタガタガタとなにが走り近づいてくるような音が聞こえてきた。
「しっ!」
あわてて焚き火を消す。
地面に伏せて様子をうかがっていると、
歓楽街の方から2頭立ての馬車が爆走してきた。
馬車の後部には巨大な檻がつけられていて、
その中には年若い女たちが数人入れられていた。
重装備のモヒカンたちが馬車を囲うように併走していてる。
「なにロボ…」
「あれは、女たちを湯王様へ捧げるためのものだよ」
お宮ねえさんが答える。
「おい、ハチ五郎。あそこを見ろ」
「なんだロボ?」
ハチ五郎は暗がりではよく効かない目をこすって
馬車の方をみると
「お鈴ちゃんロボ!」
いつの間にかいなくなっていたお鈴ちゃんが
モヒカンたちに捕まっていたのだ。
「助けに行くロボ!」
そういってハチ五郎は立ち上がる。
「しかし、歩きでは追いつかないですよ」
「お宮ねえさん、あの馬車はどこへ行くロボ!!」
「あいつらの行き先は…」

さぁ、次回はどこだ!!


温泉?編16話
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月17日(月)01:10

荒野にそびえる漆黒の巨城。
これこそ湯王の本拠地、暗黒湯の花城である。
その玉座の間に、湯王とその側近が集まっていた。
「いやぁ〜美里は……いや、湯王サマ、今ん所うまくいってまんなぁ」
柄パンツ・オチャラケー・後醍醐である。
「まったくでごわす、今度も捕えた女たちを追ってくるでごわす」
こっちは武蔵坊・マルハゲー・蛮太だ。
「ふふふ、そうゆうことね。後はあの『下半身』メカが奴らを破滅させる……」
湯王こと闇野・ジミージョ・美里が不敵な笑みを浮かべる。
「今度こそハチ五郎たちをギッタンギッタンのボッコボッコにしてやるのよ!」
「ははッ、温泉メカええ湯だナーガの準備もばんたんやさかい」
「いつでも来るでごわ〜す!」
「わーはっはっはー!!」
三人の高笑いが夜の空に響いた。

そんなことはつゆ知らず、ハチ五郎一行はハチ五郎カーでモヒカンたちのあとを追っ

ていた。
「なんだかホコリっぽいなァ」
「ああ、草木も生えねェ砂漠だしな」
「あそこに茶店が見えるでゴクアク、ご隠居!」
「よし、ちょっとあそこで情報を集めてみよう」
ワリト博士の提案で一行は怪しい茶店に向かうのだった。

つつつつく

 

お17
投稿者/べ
投稿日/2009年8月17日(月)02:32

誠に勝手ながら、13日から16日まで休業とさせていただきます。

と書かれた紙が、茶店の扉に貼ってあった。
「お、お盆ッ!?」
「し、仕方ないロボ、隣の蕎麦屋に入ってみるロボ…」

誠に勝手ながら、13日から16日まで休業とさせていただきます。

「コ、コピペ…!?」
「ど、どうやらこの辺り近辺は思いっきりお盆休みだロボ」
「う〜ん、困ったね、あっはっはっ」
「なにが可笑しいんですか博士?」
「だって見てごらん」
博士に言われて見てみると、そこには累々と行き倒れた人々の姿があった。
「こ、これは!?」
「おそらく、砂漠のオアシス的なものを求めてやって来た人々が、お盆休みの餌食に

なったようですね…」
「恐るべしお盆だゴクアク!」
「じゃあどうすっか? カーのガスもなくなっちまったけど」
「え」
「うむ、食料も水も残りわずかだ」
「ほとんどキャンプで使っちまったからね」
「えーっ!? ボクおなかすいたよー!」
「す、すいません、水を分けてもらえませんか…」
「誰だワン!?」
「すいません、私にも水を…」
「どうか子供に食料を…」
「お願いします、ほんの少しでいいので…」
「なんだってんだいこいつらは!?」
「どうやら、砂漠越えをしようとしたうっかりな人々がお盆休みの影響を受けてるよ

うですね」
「よしわかったロボ!」
「どうしたハチ五郎! なにがわかったんだ!?」
「この茶店を借りて、俺たちで店をやるロボ!」
「おお!?」
「それが人の道ロボ! 困ってる人たちを見捨てられないロボ!」
「わかったワン! オレっちが店を開けるワン!」
「うむ、だが特に鍵も掛かっていないな」
「あ、ああ、そうかワン…」

というわけで、一行は砂漠のど真ん中で茶店を開くのだった。

 

茶店経営はなんの意味があるんだってば18
投稿者/ピヴィ
投稿日/2009年8月18日(火)02:12

「茶店経営のコツの本を読むロボ」
ハチ五郎はお腹の中から「茶店経営のコツ」と書かれた本を取り出す。
「なになに、ボクにも見せてよ」
霞がハチ五郎から本をむしり取り声に出して読み始めた。
「えーと、まずは茶店の中心を発展させる、と。
それから各資源地を発展させて資源を手に入れたら
それを使ってメニューを作り出す。
メニューを豊富にするよりも保護期間が切れる前に
ある程度の防衛手段を構築しておくこと。
城壁や矢塔などを建てたり、同盟に参加すること。
保護期間が過ぎて同盟に加入していないと
割と早めにライバルが襲ってくることがあります。
手加減無用、弱肉強食の世界なので、
攻城兵器などを持ったライバルがせめてくると再起不能になることがあります。
だってさ」
「茶店経営って言うのは意外とめんどくさいものなんだロボね」
「茶店の中心を発展させるには各資源が100と30分の時間がかかります」

******* 数日後 *******

「もの凄い敵の数ロボ!」
「この辺には同盟できそうなところが全くなかったからな!
敵さんにしてみれば格好の的と言うことだ」
「俺たちだけで防げるのか?」
薄っぺらい防壁の向こう側に1000を越える敵兵と数十の攻城兵器が並べられてい

る。
その軍勢が3分15秒後にはこの茶店にせめてくるのだ。
その時間はゆっくりとだが確実にやってきた。
一瞬で戦闘は終わり結果が表示される。
そこには一応のラウンド形式で書かれていて、
ハチ五郎たちがどうやって滅んだかの経緯がわかる。

第1ラウンドで薄い城壁が崩れ去る。
なだれ込む敵軍に味方はすぐに埋もれていく。
「うわぁぁぁぁ!!」
「おさみ! 大丈夫ロボか!?」
「す、すまない…がくっ」
「きゃぁぁぁぁ!!!」
「霞!」
2R、3Rと次々と仲間たちが倒れていく。
味方の兵士はほとんど残っていない。
店内に侵入した攻城兵器は店を壊しはじめている。
「茶店の中心が破壊されたら終わりロボ!
なんとしても死守するロボ!」
しかし、たいして防御力も上がっていない茶店の中心は
ハチ五郎たちの奮闘も空しくあっという間に消滅してしまうのであった。

人々を潤すオアシスになろうという崇高な目的を掲げ建てられた
「茶店ハチ五郎」は
保護期間3日+5時間半という短い生涯を終えるのであった。

「はっ、こうしちゃ居られないロボ。
お鈴ちゃんたちを助けに行くロボ!!」
ようやく本筋に戻っていくのであった。

つづいとけよ〜

 

温泉19話 前編
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月19日(水)01:30

ハチ五郎たちが茶店経営をしていた頃、湯王の城では異変が起ころうとしていた。
反乱である。
「みんな! このまま湯王の言いなりでいいのっ!」
鈴が囚われた女たちを前に弁を振るう。
ざわざわとどよめきが起こる。
その中から一人の女が立ち上がった。
「よーし、やったろうじゃないの! OLの底力見せてやるわよッ!」
ジャージー柳生であった。
会社の慰安旅行で来ていたのだが捕らえられていたのだ。
「そこのアンタ! 一緒に来てもらうわよッ!」
そういって群れの中から少女の腕を引っ張ってくる。
「あ、あの、私もですか?」
アナウンスB子である。
海辺の温泉場が近くにあり、同級生と海水浴に来ていたのだ。
「それじゃあ、お鈴ちゃんは私たちが敵を引きつけている間にみんなを連れて逃げる

のよ?」
「はい! お二人で大丈夫なんですか?」
不安そうな瞳でジャージーたちを見つめる。
「魔法使いのお姉さん二人にまっかせなさい!」
「……みたいですよ?」
二人は鈴の手をとって微笑む。
力づけられた鈴はみなを振り返る。
「さあ、私たちの温泉を取り戻しましょう!!」
高らかに宣言した。

「柳生流『無刀剣』!」
ジャージーの妙技でモヒカンやスキンヘッドが蹴散らされていく。
鈴と別れたジャージーたちは玉座の間に向かっていた。
浴衣姿のジャージーは裾を絞って旅館のサンダル履きで走る。
化粧が崩れかかっているのが気になるがそうも言っていられない。
一方のB子はスクール水着にビーチサンダルである。
その貧乳ぶりも含めマニア垂涎の格好だ。
B子はついついジャージーの胸元に目が行く。
たゆんたゆんと揺れるその胸は浴衣からこぼれそうである。
「……あの、ジャージーさん?」
「なあに?」
「その……胸大きいですよね?」
「そ、そうね。まあ、ジャマなだけなんだけど」
「……(神様は不公平です)」
「なんか言ったー?」
「べ、別に何も……。それより着いたみたいです!」
二人は部屋に駆け込む。
はたして、玉座の間ではすでに三人組が待ち構えていた。
「飛んで火にいる夏のなんとやら……」
「マッタクや、こーんな姉さんたちがワイらに向かってくるとはお笑いやで」
「とっとと踏み潰してやるという噂でごわす」
わはははのは、と笑い飛ばす。
「そっちこそジョーダンは顔だけにしてなさいよね!」
あざ笑う三悪を前にジャージーはルナルナロッドを構える。
チラとB子を見ると恥ずかしそうにそっぽを向いている。
「ちょっと、Bちゃん。早く構えなさいよ」
ツンツンとつついて促す。
あらかじめ打ち合わせて変身の準備をしていたのだ。
「あの、やっぱりやらなきゃダメなんですか?」
顔を真っ赤にして問い返す。
「その……恥ずかしくないですか?」
それは聞いてはいけないことだった。
「恥ずかしいに決まってるでしょッ! やるのッ! それでもやるのッ!!」
「はいっっっっ。すみません……」
ジャージーの剣幕に申し訳なさそうにルナルナマイクを取り出す。
「さあ行くわよッ!
アルテミ♪ ルナ・ルナ♪ クレッセント・メタモルフォーゼ☆」
「あ、あ、アルテミ……、ルナ、ルナ……、くく、クレッセントと、メタ、メタ……


二人はステッキとマイクを振るって呪文を唱える。
噛み噛みだろうとなんだろうと容赦なく変身してしまうのであった。
「月の天使! 魔法少女アルテミ☆るな!!」
「アルテミー……るー、るな、ふれーしゅ……」
二人の姿はフリルいっぱい、ぴちぴちスーツに変わっていた。
やや唖然とした三悪であったが柄パンが口火を切る。
「魔法少女て……ジャージーはん、そら詐称じゃ……ぐうぉッぶぅッッ!!」
言い終える前に柄パンの腹にルナルナロッドが突き刺さる。
「乙女を侮辱するとこうなるのよ……!」
「そ、そんなァ……殺生やで……」
どさり、と柄パンが崩れ落ちる。


温泉19話 後編
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月19日(水)01:31

あっけなく戦いは二対二になった。
アルテミ☆るな(ジャージー)対闇野美里。
るなフレッシュ(B子)対武蔵坊蛮太。
である。
巨漢、武蔵坊蛮太に対して小柄なB子。
以前にもこの組み合わせで戦ったことがあった。
「ぐふふー。今回は負けないという噂でごわす」
「…………」
「な、なに黙っているでごわす?」
B子は悲しそうな眼で蛮太を見つめる。
「蛮太さん、こんなことはもう止めてください!」
マイクを手に訴える。
「なーにを言ってるという噂でごわす。それよりオレ様と戦うでごわす」
ジャラジャラと音を鳴らし鉄球付きの鎖を構える。
「いいえ、あなたはそんなことできる人じゃない……」
「バカなことを言うなという噂でごわす、すぐに捻り潰してやるでごわす」
B子はまっすぐに蛮太の眼を見つめて話す。
「……蛮太さんはいつも校舎裏で一人空を見つめていますよね?」
「あ、あそこはオレ様のシマでごわす、それがどうしたという噂……」
「以前、あそこは学内の不良たちの溜まり場でした。
でも蛮太さんは不良たちを懲らしめ追い出し、
踏み荒らされた花壇に花を植えなおしていました。
蛮太さんがあそこにいるおかげで不良たちも寄り付かなくなって
放課後にみんなが集まるキレイな場所になりました」
「……お、オレ様はただ自分のシマを手入れしただけという噂でごわす」
「蛮太さんが初めて学校に転校してきたとき、真っ先に女衒高校にケンカを仕掛けま

した」
「番長として周りの学校にヤキを入れて締め上げるのは当然という噂でごわす……」
「女衒高校の不良たちは何かと私たちの学校の女生徒をつけまわしていました。
無理やり遊びに付き合わされたりする子もいてみんな怯えていました。
でも蛮太さんがあの人たちを子分にしてからまったく姿を見せなくなったんです」
「お、オレ様の学校の女はみんなオレ様のものという噂でごわす。
それに手を出すダニどもをシバキ上げるのは当然という噂でごわす……」
「バレンタインデーの日、同級生の女の子が蛮太さんにチョコレートを渡そうとしま

した。
でも蛮太さんは受け取りませんでした。
そのとき、他の男子から相談を受けていたからです」
「そんなことあったでごわすかねェ〜、身に覚えがないという噂でごわす」
「蛮太さんはその女の子にいいました。
自分のような半端者を好きになっちゃいけないって、
目立たなくても、地味でもきっと君のことを本気で想っている人がいるから、
自分はそれを受け取ることはできないって。
その後、彼女のところにある男子生徒が……」
蛮太はずりずりと後退る。
「や、やめろという噂でごわす。何を言って……」
ルナルナマイクを手にB子は言葉を続ける。
「それから、それから……」
B子の話は続いた。
それはみな、蛮太の善行とみんなが感謝しているという内容だった。
「でたらめという噂でごわすッ……。宇宙番長が、そんな、そんな……」
B子はぎゅっとマイクを握り締め、一際声を高める。
「あなたはとてもシャイで、本当はやさしい人。
静かなる湖の精霊よ、彼の者の心は広く、深く、
その深遠に眠る真の気持ちを浮かび上がらせよ!」
「お、オレ様は……はんがーッッ!!」
ルナルナマイクが青白い光を放つ。
マイクによって増幅された魔力が蛮太の心に染み入る。
蛮他は身体を震わせその場に両膝を着く。
「美里は、美里は寂しかったという噂でごわす!
だから、オレ様は……オレ様は……彼女の手助けをしなければ……!」
がっくりとうなだれる。
「もういいんです、蛮太さん。こんなことは終わりにしましょう……」
まるで小さく見える蛮太の肩にB子が手を置く。
勝負はついた、もはや蛮太の戦意は完全に失われた。
残るは闇野美里ただひとりとなった。


温泉19話 後編つづき
投稿者/うじてる
投稿日/2009年8月19日(水)01:32

「チィッ! 役立たずの木偶の坊め……小娘の話術に嵌まるとはなッ!」
漆黒の鎧兜に身を包んだ美里は忌々しそうに二人を睨む。
「このッ! よそ見してるんじゃないわよッ!」
美里とジャージー、格闘戦においては二人の実力は拮抗していた。
ジャージーも兄バッファローと同じく柳生暗陰流剣術の使い手ではある。
だが、あまり熱心ではなく剣の腕は兄にだいぶ劣る。
隙を見て魔法を叩き込みたいところであるがチャンスがない。
「とはいえ……やるっきゃないのよッ!」
ジャージーの気合と共にルナルナロッドが変化する。
「フェンサーモード、クレッセントブレード!」
三日月形の曲刀に変化したロッドがまばゆい光を放つ。
視界を真っ白に染める光に美里の目が眩む。
たまらず手で顔を覆う。
ジャージーはこの千載一遇のチャンスに怯まず必殺の一撃を叩き込む。
「柳生奥義!
秋の空、舞い落ちる木の葉はまるで遠い日の思い出が降り積もるよう、斬ッッ!!」
妙に長ったらしい名前の一撃は魂腐りの魔剣もろとも漆黒の兜を打ち砕く。
「この年増がぁッ! なかなかやるッ!!」
「と、年増なんかじゃないわよッ!!!」
両者が吼える。
焦ってはいけない、さすがに年の功を見せ、ジャージーはすかさず魔法の態勢に入る


「渦巻く大地の怒り、煮え立つ水の伏流、風は沸き地上を枯らす!
健康増進! 疲労回復! 病症快癒! 温!泉!大噴出ーーゥッ!!」
ルナルナロッドを力強く両手で振り下ろす。
呪文の詠唱と共に大地が震え、玉座の間も激しく揺れる。
やがて地響きが鳴り床が裂けていく。

どっぱーーーーん!!!
天高く、噴水が上がる。
捕らえられていた女たちを連れ城を脱出した鈴は、巨大な間欠泉のような光景を見て

いた。
凄まじい勢いで噴き出した温泉は全てを飲み込み流す。
瞬殺された柄パンは出番を忘れていたメカと共に42℃の放射能泉(ラドン)に
飲まれ瓦礫と共に沈んでいく。
B子は温泉の中を川を下る鮭・鱒のように泳ぐ蛮太に掴まって城外に脱出する。
夕焼けの空には噴き出す名湯とモウモウとわく湯気が特異な情景を見せていた。
そして、ジャージーと美里は湯けむりの中に姿を消した……。

次回、温泉編最終話『特攻湯王A‐TEAM』
に続きまくれ!

つつつつつづく


右脳だけで書いてるから意味などナンセンスや 20前
投稿者/働くベガさん大集合
投稿日/2009年8月19日(水)23:36

温泉編最終話『今日は俺の初出勤日だったようです』

「というわけだったんです」
「そっかー、そうだったロボかー」
頭に手拭いを乗せ、ハチ五郎がまったりゆったり
湯に浸かりながら言う。
お鈴を追ってやって来た一行は、
忽然と現れた温泉に浸かっていたところ、
当のお鈴たちと出くわし、
まったりゆったり裸の付き合いに突入したのだった。
「お鈴ちゃん危ないことしちゃだめだよ」
「大丈夫だよ悪太郎くん、私、ひとりじゃなかったもん」
「でも僕は心配だったんだから」
「悪太郎くん…」
「お鈴ちゃん…」
などといちゃつく子供たち。
無論、みな水着着用だが、ぽろりがあるかも知れぬ、
という期待だけは捨てきれぬ。
「いやでもまさかB子がいるとは思わなかったぜ」
「ですよねー、よっぽどB子さんが好きなんですねー」
オペレータAの言葉に、B子が頬を染め俯く。
別段、湯あたりしたわけではない。
「ふむ、いったい誰がB子を好きなんだ?」
頭に刀を乗せたおさみが言う。
「そりゃあもち「ところでその猫はなんだわん!」
オペレータの言葉を掻き消し、犬が吠える。
「みんなのマスコットたるオレっちに対抗するつもりかわん!」
「ああーッ! ホントだ! どうしたのそれ?」
菓子パンがどっさり山盛りになったバスケットを
無理やり頭に乗せた霞が言う。
見れば、B子の頭には、
手拭いの上にでっぷりと肥えた猫がとぐろを巻いていた。
「これは蛮にゃです」
「蛮にゃ?」
「そうです、蛮太さんを魔法で変生させたんですよ♪」
「すっげー嬉しそうに怖ろしいことを平気で言うよな、B子って…」
ハムスターとの合体アンドロイドであるハム四郎は、
あまり人ごととは思えず、背筋に冷たいものを感じざるを得なかった。
だが温泉中なので、すぐにほっかほかである。
「しかしずいぶん不摂生な猫だな、修行が足りん」
「蛮にゃはこれでいいんですよ、おさみさん」
B子が優しく微笑む。
「ほーれ、蛮にゃ、お宮姐さんだよ?」
頭に日本酒の一升瓶を乗せたお宮姐さんが、
指でアゴのラインをこりこりすると、ぐるぐると蛮にゃが鳴く。
「なんかすっげー腹の立つ猫だわん!」
頭に乗ったドッグフードをポリポリやりつつ、犬が吠える。
「それより極悪さんはどうしたんです?」
それをさらりと流し、B子が聞いた。
「ああ、アイツは紙粘土だからな、温泉には入れねえ」
「まあ…」
「哀れな奴だよな…」
「ですよねー…」
「……」
皆が一瞬黙りこくる。
そして。
「…だっはっはっはっ!」
「あっははー」
「うっふふ」
大爆笑するのであった。
「がはは! あいつはいったい何しに来たロボ?」

「無論、助けに来たでゴクアク」
皆がまったりしている温泉の4000メートルほど地下。
湯を出し切り、空っぽになった巨大で虚ろな空間に、
極悪の声が響いた。


20後
投稿者/働くベガさん大集合
投稿日/2009年8月19日(水)23:54

「極悪……おまえ、正気か?」
床が裂け、運悪くそこまで落下した美里は、
足を負傷し、その場から動けずにいた。
辺りは熱と湿気が凄まじく、その憔悴は激しい。
「美里とはいろいろあったけど、放ってはおけないでゴクアク」
「…おまえごときに、呼び捨てにされる覚えはない」
「おでもダテに極悪を名乗ってないでゴクアク」
「……」
「このことは黙っていてやるから、
安心しておでに助けられるでゴクアク」
「……」
「さ、おでのぬるついた背中に乗るでゴクアク」
「……」
「早くしないとおでも長くもたないでゴクアク」
「……」
「ほら、早くするでゴクアク」
「えぇーい! くそ!」
半ば溶け始めている極悪の背中に、美里が乗る。
「うわ! ホントにぬるついてるぞこの野郎!」
「だから早くしろと言ったでゴクアク」
「ふん! いいか! このことは誰にも言うでないぞ!」
「はいはい、わかってるでゴクアク」
「くそぉ〜! 今度こそは! 今度こそはレギュラーの座を!」
「そうでゴクアクな〜、美里ならきっとできるでゴクアク」
へっちらほっちら美里を背負ったまま、
ここまで降りてきた道を極悪は戻り始める。
「当たり前であろう、次こそレギュラーだ! はっはっ!」
「…美里って、こんなキャラだったゴクアク?」
「…いや、たぶん違ったと思う」
「むしろなんで黒幕ばっかやるでゴクアク?
逆に出番減りまくりが気がしてならないでゴクアク?」
「た、確かに…」
「そのせいでキャラクター性も忘れられてるでゴクアク」
「さすがに長年『虐げられキャラ』でやって来ただけのことはあるな…
妙な説得力があるぞ」
「こう見えて、おでも苦労してるでゴクアク」
「ここは何か、新たなキャラクター性を打ち出す必要があるのやも知れんな」
「そうでゴクアクな、ゆっくり考えるでゴクアク」
「その暁には必ずやメインヒロインの座を!」
「さっきと変わってるでゴクアク…」
「うぉおおおおぉおぉおお! やったるぜぇえええ!」
美里の咆哮が響いた。
「はいはいでゴクアク」

「ん? なんだ今の?」
同じく温泉の4000メートルほど地下。
の、別の場所。
そこにジャージー柳生はひとり座っていた。
彼女もまた、美里ともに裂けた床からここまで落下したのだが、
わりとピンピンしていた。
「それにしても暑い! なんつー蒸し暑さだ!
クーラーが6月にぶっ壊れて以来ずっと続いてる糞暑さだ!
何が冷夏だクソッタレがぁッ!」
後半は何を言っているのかよくわからないが、おそらくそれも
この地下の熱気と湿気の影響である。
「だがこの暑さ、使える! 天然のサウナとして抜群の効果が
期待できる!」
最近、就職活動のストレスから若干喰いすぎ気味だったジャージーは、
そのサウナ効果に閃くものがあった。
「よおし、ここは勝負よジャージー! この天然サウナを使って、
アルテミ☆サウナを開業するのよ!」
やはり熱気で少しおかしくなったのか、ジャージーはよくわからない
閃きによって開業を決意するのだった。
「アルテミ♪ ルナ・ルナ♪ クレッセント・メタモルフォーゼ☆
サウナでがっぽり大儲けだぜぇッイエェエーーイッ!!」

数年後、
ジャージー率いるアルテミ☆サウナ事業団は、
崩壊したすずき野を復興させるまでに繁盛し、
ジャージーは『サウナクィーン』の異名で親しまれるまでになる。
のだが、それはまた別のお話。
次回のお話をご期待ください。

温泉編、これにて完結!

まさか、「へっちらほっちら」で引っ掛かるとは…
せめて投稿を繰り返さずとも原因がわかるといいっすね、
と思いました。