超能力ロボハチ五郎シリーズ
ハチ五郎と龍の伝説(1)


 

第77話
投稿者: 氏照

一人、ジャングルをさまようハチ五郎。
研究所を飛び出してからすでに一週間が経っていた。
単純に、道に迷っていたのである。
「ここはどこロボか……?」
省エネルギーモードにも限界がある。
早く帰らないとここで飢え死にないし、のたれ死にである。
「おぉーーい」
遠くから声が聞こえる。
「おおッ、だれかいるロボか!?」
声のする方へ急ぐ。
そこには、ボロボロのローブをまとった老婆がいた。
「おーっ、おーっ、お前は誰じゃあ?」
「オレはハチ五郎ロボ、近くに村とか町とか無いロボか?」
老婆は、手に持っていた杖をぐるぐると回し始める。
「ふあァァァッ! 町ィッ、まちィッ、まァァちィィッッ!!」
「なな、なんだか危ないばーさんでロボ……」
なんだか、おでこのあたりが眩しい。
額のブルーアップルがきらきらと光を放つ。
ハチ五郎の体がふわふわと空中に浮かぶ。
「わわわ、一体どうなってるロボ!?」
「はんやらカンヤラぽんぼらベンベラ、どゥォォォりャァァァッ!!!!」
気合いの声と共に空がにわかにかき曇り、稲妻が轟き、嵐が巻起こる。
ハチ五郎の全身が光に包まれる。
光がひときわ、眩しくなる。
「…………ロボ……ッ」
そして、光が消えたとき、そこにハチ五郎の姿はなかった。

「うぅ、うーん……ロボ」
気が付いたとき、ハチ五郎はなにやら臭いところに倒れていた。
辺りを見回すと、どうやら、馬小屋のようであった。
気絶する前のことを思いだしたハチ五郎、額のブルーアップルを確かめる。
「……? 無くなっちまったロボか?」
ブルーアップルは無くなっていた。
はまっていた場所がちょっとへこんでいてなんだかかっこわるい。
「おーい、お前さん誰だぁ?」
急に、声をかけられる。
そこには、妙に古めかしい格好の中年の男が立っていた。
「ここは一体どこロボか?」
「なんだい、お前さんそんなこともわからんでそこで寝てたのかい?
ここは偉大なるマーカス王の城『白い槍』城さ」
「……?」
馬小屋の窓から外を確かめる。
騎士や兵士のような人間が何人か歩いていたりする。
遠くにはドレスを着た女性らしき人たちも見える。
「ど、ドーするロボか……?」

急に異世界に迷い込んでしまったハチ五郎!
これから、世界を揺るがすかもしれない冒険が始まったりしそう!

『超能力ロボハチ五郎〜ハチ五郎と龍の伝説〜』
制作著作 G・SNK(仮)

「ここでオープニング曲が入ったロボね……よくわからんロボ」

ハチ五郎はどうなるのか?
いきなり不法侵入で牢屋に入れられてしまうのか?
負けるな! ハチ五郎!

つづく

>>


第78話
投稿者: べが

「ちゅうか、おめえ変な恰好しとるだなぁ」
「そ、そうロボか? 俺的には普通な感じロボ」
「うんにゃあ、どっからどう見ても変てこだべ。例えるなら歩く酒樽だなぁ」
「そ、それは酷いロボ」
「うん、決めた。これからおめえは歩く酒樽君と名乗るだよ」
「勝手に決めないで欲しいロボ!」
「お、そう言えば自己紹介がまだだったなぁ、おらここで馬の世話を」
「おい、おまえたち、そこで何をしておる」
突然、鋭い声が響いた。
ハチ五郎たちが話し込んでいる馬小屋に
妙にひらひらした服を着たオッサンが入ってきた。
なんかバリバリに痩せてて目つきも悪人風に鋭い。
「こりゃ伯爵様ぁ、こげな小汚ねえとこにわざわざ」
「おまえは黙っておれ、ドルカス」
ぴしゃりと悪人顔が言う。
「へ、へぇ〜」
ドルカスと呼ばれた純朴そうなオッサンはうなだれて黙った。
「貴様、どこからやって来た」
冷淡な目つきで悪人顔がハチ五郎を見下す。
「え、え〜と、たぶん遠くロボ」
「遠く、だと? ふざけたことを」
「ほ、本当ロボ、なんかこことは若干違うような世界ロボ」
「・・・・・・」
「は、伯爵様ぁ〜、こ、こいつは悪そうな奴じゃねえし」
びゅッと空気を裂く音が響き、
悪人顔の持っていた鞭がドルカスの頬を打った。
「黙れと言ったはずだ、うすのろめ」
「す、すまなんだぁ・・・」
徐々にハチ五郎の怒りメーターが充填さていく。
どうする?
コマンド?

つづく

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第79話
投稿者: 氏照

ヒュウゥゥゥンッ!
何か鋭いものが空気を切り裂き、飛んでくる。
そして、伯爵の振るった鞭に突き刺さる。
「だ、団子の串ロボ……ッ!」
「何者だァッ!」
ハチ五郎らはわらわらと馬小屋の外にでる。
「へへッ、こっちだよッ!」
「上――――ッ!?」
馬小屋のそばの木を見上げると、その木の上に一人の男が腰掛けていた。
「そんなモン、滅多に振るうモンじゃないぜぇ? え、伯爵さんよ?」
「貴様ァ……いい気になるなよハム四郎ッ!
近衛騎士ごときが私に逆らおうというのかァ?」
「ハ、ハム四郎ロボ!?」
スタッ、と地面に着地したハム四郎は腰の剣に手をかける。
「へへ、それじゃア、オレとやるってのかい?」
ヒラヒラな伯爵はハム四郎の剣幕に押されジリジリと後ずさる。
「こ、こんな無頼の輩を相手にしていられないわッ!」
そう言い残して伯爵は従者と共に去っていった。
「大丈夫かい、ドルカス?」
「へぇ、ありがとうございやした、騎士様!」
ハム四郎は騎士と呼ばれていたように、中世ヨーロッパ風の金属鎧を身につけていた。
そんなに、似合ってはいない。
「ハム四郎!? 何でこんな所にいるロボ?」
「オレにもわからねェ……って言うか、おまえさんもだろ? ハチ五郎よ」
「そ、そーロボ。気が付いたらここで気絶してたロボ」
「オレは目覚めたら近衛騎士だった」
「な、なんか待遇に格差があるロボ……」
「まァ、オレが話をつけといてやるよ。馬番として使ってもらえるようにな」
「いやァ〜、おまえさんよかっただなァ〜。これから仲良くするだよ」
「…………」

異世界でさっそく出会ったいやなヤツ。
そして、親友ハム四郎。
やはり他のみんなもこの世界に?
以下次号!

つづく

>>

第80話「昨日は繋がらなかった……の巻」
投稿者: ピヴィ

ハム四郎の紹介で馬番として雇われたハチ五郎は、
仕事を純朴そうなオッサン(仮)に押しつけ、
町の散策へ出かけていた。
ボロット参上〜ボロット解決〜♪
鼻歌混じりで商店街らしき一角を通り過ぎていく。
「まったく、なんてとこに来てしまったロボ」
どこを見ても近代的な雰囲気も、和風な時代劇スタイルも
宇宙船がでてきそうな気配も伺いしれなかった。
「ファンタジーロボ!」
ファンタジーと言うことは、やっぱりかっこいい騎士にならなければと言う
安直な思いつきから、ハチ五郎は金物屋さんへ足を向けた。
カンカン!
金属を打つ音が次第に大きく鳴るにつれ、
剣と盾をかたどった看板が近づいてきた。
「ボロット参上〜ボロット解決〜♪」
店の中から聞いたことのあるような歌が親父のだみ声で流れてきた。
「おやロボ?」
この歌はワリト博士に教わったロボが〜?
「ちわロボ〜」
不審に思いながらもハチ五郎は金物屋の扉をくぐった。
「へい、らっしゃい」
オッサンの声がする。
「剣と鎧が欲しいロボ〜」
「へい、まいど」
奥からでてきたのはワリト・ソンナカンジノ博士だった。
「博士! なにしてるロボか!?」
「おお、ハチ五郎。何故かこんな所に来てしまって
気が付いたら鍛冶屋をやっていた」
「そうロボか。じゃ、良いロボ。とりあえず、剣と鎧をくれロボ」
「金は持っているか? 知り合いでもびた一文まからないぞ」
「がーん。持ってないロボ」
「まずは金を稼ぐんだな。仕事でもすれば良いんじゃないか?」
そう言われてハチ五郎はすごすごとその店を出ていった。
「悔しいロボ。だから『超能力いきなりフル装備拳!』」
一瞬のうちにハチ五郎は完全武装の騎士風な格好に変わった。
「やった、かっこいいロボ」
颯爽とマントを翻し、騎士として雇われるために城へ足を向けた。
「でも……重いロボ……(泣)」

騎士FUUの装備を手に入れたハチ五郎。
しかし、彼が勇者になれる日は来るのだろうか?
次回に続く。

>>

第81話
投稿者: 氏照

えっちらおっちらと城に帰ってきたハチ五郎、なんだかずいぶん疲れてしまった。
「や、やっぱり重すぎるロボ……。
だいたい、俺の体は元々装甲で覆われているのにさらに鎧を着るのは無理があったロボ」
仕方がないので、超能力を解除して元の姿に戻る。
「やっぱり最近の勇者はもっと服っぽい格好だったり、
かーなり軽装の鎧ぐらいしか身につけてないロボ」
身軽になったハチ五郎、王様に直談判するため、謁見の間に向かった。
だが、ここに来てから日も浅い。
一体何処にそんな部屋があるのかわからなかった。
「あ、ハチ五郎さーん! こっち、こっち」
聞き覚えのある、間抜けな声、オペレーターAだった。
「おお、オペレーターAでないロボか、お前もこっちに?」
「そーなんです。今はハム四郎さんの従者をやってます」
「俺よりはちょっとマシロボね……」
「それで、ハチ五郎さんを捜してたんですよ」
「どーしたロボ? ま、ちょっとそこの馬小屋ででも話すロボ」
馬小屋にやってきた二人、わら草の上に腰掛ける。
「それでですねぇ、ハム四郎さんが怪物退治に行くことになったんですよ」
「なんかよくある話ロボね」
「で、ハチ五郎さんもそれに協力すれば兵士に昇進できるという話なんです」
「ふむ、で怪物っていうのはどんなヤツロボ?」
「洞窟に住んでるゴブリンだそうです」
「ご〜ぶり〜ん? よーしよし、やってやるロボ。俺に任せるロボ」
「よかった。それじゃ明日街までいって他の仲間を捜しましょう」
「俺たちだけではまずいロボか?」
「まぁ、一応よくあるパーティーっぽくしておかないと」
「そーゆーもんロボか……」

定番イベントゴブリン退治!
ハチ五郎はこの任務を達成して昇進できるのか!?
そして他の仲間は?
以下次号!!

つづく

>>

第82話
投稿者: べが

「というわけで、仲間探しロボ」
ここは街の広場。
ハチ五郎とオペレーターは連れだって仲間探しに来ていた。
「伝説の勇者の元に仲間が集うわけですね、光の戦士とか何とか言って」
「その通りロボ。でも、いちいち探すのは面倒臭いロボ」
「じゃあ、いつもの奴でげすね旦那」
いきなりキャラの変わるオペレーターを放っておいて、
ハチ五郎は、必殺・全員が仲間になってる状態のセーブデータをロードした。
「ぎにやぁぁああ!!」
突然、全身をかきむしりながら路上を転げ回るハチ五郎。
藤子不二雄Aばりの奇声が尋常でない様を物語っている。
「ど、どうしたんですか! ハチ五郎さんしっかりッ!」
「か、体が痺れるロボぉ〜!」
「わぁーはっはっはっは! すまんなあ、ハチ五郎はん」
と、そこに黒マントをいなせに羽織り、うちわを片手に持った男が現れた。
「お、おまえはッ!」
「こんにちわぁ、オペレーターはん。わいは柄パンツ後醍醐いいますねん、
こんちまたまた」
「せ、説明しようッ! 彼の名は柄パンツ後醍醐。その他、詳細は不明。
ていうか、なんかキャラがごちゃごちゃだぞ、あんたッ!」
「全然説明になってへんやないか・・・まあ、ええわ。
そんなことよりもッ!」
「そ、そうだった! この奇声を上げ続けながら転げ回ってる物体を
なんとしなきゃ」
「ひどい言われようやなあ。まあ、安心してくんなまし。
わいはハチ五郎はんが超能力を使えんようにしただけやさかい」
「なッ! なんだってーッ!」
「超能力を使おうとすると、全身に激痛が走んねん。
ま、この世界ではそういうこともできんねんなぁ。
詳しいことは、まだ秘密やけどな。ほな、わいはこの辺でッ!」
とか言いつつ柄パンツ後醍醐は風のように去っていった。

どうするハチ五郎!
超能力なしで生き残れるのか!
このままだとゴブリンにブッ殺されるんじゃねえのか!

つづく

>>

第83話
投稿者: 氏照

「し、しまったァァァァッッロボォォォォッッ!!!!」
あまりのショックに人目もはばからず大声を上げる。
「……これからはただの『ロボハチ五郎』ですね」
超能力が使えなくなったハチ五郎、その他の能力は標準以下のロボットである。
「仕方ないから、これからはぼくのように地道にやっていきましょう」
「そ、そーロボね。とりあえず真面目に仲間を捜すことにするロボ」
「定番は、酒場ですね」
というわけで『味キング亭』という酒場にやってきた二人。
ここは宿屋兼酒場、いわゆる冒険者の宿である。
「なんだか見たことあるような名前ですね……。ま、入ってみましょう」
「オペレーターA、なんだか生き生きしてるロボね……」
「いやァ、これからはぼくが主役かなァって……」
「……く、悔しいロボ……」
店はなかなか繁盛しているようで多くの客でにぎわっていた。
カウンターの向こうにいた店主はやはり、味キング服部であった。
ひとまず、カウンターの席に座り注文を取る。
「エールと……軽油はなさそうだから何か油を」
「エールって、酒は飲んでもオッケーだったロボか?」
「ぼくは一応設定では大学生ですよ? たぶん二十歳も超えてたと思います」
「ま、いいロボ。それじゃオヤジ……」
「へーい。いやぁ、お久しぶりですねぇ」
すぐにエールとヒマワリ油を持ってきた服部が声をかけてくる。
「実はゴブリン退治に行くんですけど、そのための仲間を集めているんです。
だれか適当な人を知りませんかね?」
「それなら、お二人のいつものお仲間がそちらのテーブルに」
示されたテーブルにはあの二人の女性が飲み食いしていた。
「やっぱり、こうなるんですね」
『あの二人』とは、例によっておさみと霞であった。
「まァ、あの二人はアテになるロボ。少なくとも今の俺より……」

徐々にいつものメンバーになりつつあるオペレーターA一行。
このままハチ五郎は脇役として生きていくのか?
以下次号!

つづく

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第84話
投稿者: ピヴィ

「ぎゃははははは……ふひーふひー……ぐはははは……ひーひー、くるひー!」
超能力が使えなくなったことをいきなり知られて、
おさみに大笑いされたの図である。
「オペレーターA! なんで言うロボ」
「ついいつもの癖で……」
どつく手にも力が入っていないようである。
「ハチ五郎君が超能力無くしちゃったら人間の子供以下じゃない。
それなのに、ゴブリン退治なんて出来るの?」
「だ、だから仲間になってくれと頼んでるロボ……」
屈辱の余り、顔から火が吹き出しそうだった。
三国志や水滸伝なら憤死しているところだろう。
「仲間だって?」
「そうロボ」
「まぁ、あたし達もどうやって名をあげようか考えていたところだったから
ごっぶりんたいじは引き受けよう。しかし……」
「しかしロボ?」
「お前は従者じゃ〜!!」
がびーーーん!!!!!!!!!
「ハチ五郎さん、こんな屈辱には耐えられません!
(この二人が出て来ちゃったら僕の主役もなくなっちゃうよー)」
ああ、いつからこんな野心的になったんだオペレーターA。
(いつの日か、普通の名前がもらえる日まで……)
けっこう低い志かも。
「いや、わかったロボ。従者でも良いロボ。
一緒にゴブリン退治をしてくれロボ。
(同じ立場ならオペレーターAには負けないロボ)」
二人とも……。
「してくれですって?」
「うっ……してくださいロボ」
「よし。霞、行くぞ!」
「うふふ、腕が鳴るわ」
颯爽と酒場を出るおさみと霞。
その後ろにはいそいそとお金を払うオペレーターAの姿があった。

さて、やっとこさゴブリン退治に出た一行。
今だ出番のない「奴」はやっぱりあの役か?
馬番のオッサンに名前があるの今気が付いた。
波乱を含みつつ、次回に続く!!

>>

第85話
投稿者: 氏照

「しっかしまさかここでもみんな一緒とはなァ」
ハム四郎と合流した一行はゴブリンが住むという森の奥の洞窟に向かっていた。
「そーだよねー♪ でも五郎ちゃんたちと一緒の方がボクも嬉しいな」
「ふ、まァ腐れ縁というヤツだな」
「でもだれかもう一人足りませんねぇ」
「フヒー……ロボ」
ハチ五郎はみんなの荷物を持たされていた。
とは言っても今のハチ五郎では多くは持てないのでごく少量ではある。
現在の一行は、
騎士、ハム四郎。
傭兵、おさみ。
レンジャー、霞。
従者その1(一般市民)、オペレーターA。
従者その2(ガラクタ)、ハチ五郎。
という編成である。
ずいぶん偏ったパーティーになってしまった。
「ま、オレたちなら問題ないだろうけどなッ」

場面は移って、森の奥の洞窟。
ここには、周辺の村々を襲う小規模なゴブリンの集団が住み着いていた。
そこで、不細工な土のかたまりのようなモノがせかせかと動き回っている。
「おーい、今度は向こうの寝室を掃除するでゴブ」
「へいへい、わかったでゴクアク」
極悪であった。
彼はここでゴブリンの奴隷として捕まっていたのである。
食事をとらなくても死ぬことはないので、まことに都合のいい奴隷であった。
「くそー、今に見ていろでゴクアク。
おでの256の占いによればもーすぐハチ五郎たちがここにやってくるでゴクアク。
そーしたらお前たちなんかこてんぱんでゴクアク……」
ブツブツとつぶやきながら、黙々と掃除を続ける。
結局は研究所にいたときと同じ感じなので、そんなに待遇に不満はなかった。
が、全体的に暗くてむさい感じなので、早く脱出したかったのである。
「おい極悪、そこが終わったら表でゴブ」
「……ゴクアク」
表に向かうと、ゴブリンたちが騒がしい。
どうやら略奪に向かっていた部隊が戻ってきたようである。
豚やら羊やらなんかを何頭も担いでいる。
また、金銀のたぐいも持ち帰っているようだ。
それに、リーダーらしきゴブリンは人間の子供を連れていた。
「けっけっけ、今日は大量でゴブ。
極悪よ、今日からこいつらもお前の仲間でゴブよ、よかったでゴブなァ?」
「うわーん、うわーん!」
はたして、自分たちの運命を嘆いたのか、極悪の姿が不気味だったのか
そこの所はわからないが、四人の子供たちは一斉に泣き出した。
一緒に捕まったらしいメガネをかけた少女も悲しそうな顔をしている。
極悪には少女の身なりは、どう見ても学生のブレザーに見えた。
「……ゴクアク? まぁ、可愛いからいいでゴクアク」
思わず見とれていたが、その間も子供は泣き続けていた。
「えーい! うるさいでゴブ、泣くんじゃないゴブ!」
ヒュウウウン、ピシッ、ピシッ!
ゴブリンのリーダー(狼に乗っている)は子供たちをむち打つ。
「や、やめてください! 無闇に子供たちに……」
ブレザーの少女が訴える。
「なんだゴブ、お前ら口答えは許さないでゴブ!」
今度は、少女に向かって鞭を振り上げる。
「きゃあァァッ!」
ピシィッッ!
ずいぶん、乾いた音がした。
極悪が少女と、子供たちの間に割って入ったのである。
「や、やめるでゴクアク。こんな子供と女の子をいじめることはないでゴクアク」
「何だァゴブ、極悪。こいつらを庇うでゴブか?」
「は、早く牢屋に連れて行ったほうがいいという話でゴクアク……」
「ケッ、まァそうでゴブな。じゃあ、貴様にまかせるでゴブ」
そういってゴブリンのリーダーは奥に引き上げていった。
「さぁ、みんな、行くでゴクアクよ」
一人の少女と四人の子供たちを引き連れて牢屋に向かう。
全員が入ると、牢屋はいっぱいになった。
「あの……、先ほどはありがとうございました……」
「くすんくすん」
少女が礼を言うと、子供たちも泣きべそをかきながらもうなずく。
「はは、おでの体は紙粘土でゴクアクからあんなの痛くも痒くもないでゴクアク」
強がってみせる極悪、ホントは体が少し削れていた。
「貴方は、やさしいんですね……よかった……」
「いやァ、ホントのことをいわれると照れるでゴクアク。
おでは超極悪、あんたは?」
「わたしは、アナウンスB子です。
……この世界の住人ではないんです」
「やっぱり、そうだったでゴクアクか。おでもそうでゴクアク」
「あの……、これからわたしたちはどうなるんでしょうか?」
少女と子供たちは不安そうな顔を向ける。
「心配いらないでゴクアク!
もうすぐ、おでの仲間たちが助けに来るでゴクアク!
だからみんなは必ず、家に帰れるでゴクアクよ」
なんだか、いつの間にかいいヤツになっていたゴクアクだった。

子供たちが人質に!
ハム四郎一行は無事に助け出せるのか!?
以下次号!

つづく

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第86話
投稿者: べが

「ふぅ〜ん、極悪クンってホントはイイ奴だったんだぁ」
ホントも嘘もない気はするが、眼球に組み込まれた超望遠X線カメラで
ゴブリンの洞窟内を覗いていた霞が呟いた。
「へへッ、外伝以来、妙にいい味出してるじゃねえかよ、あの野郎」
同じくカメラで覗いていたハム四郎も同意する。
ちなみにこのカメラ、
ワリト・ソンナカンジノ博士の手掛けたロボシリーズにおいては
標準装備である。
だが、今のハチ五郎にはそれすらまともに扱えない。
ゴブリンの醜悪なる局部を激写した彼は、
草むらの陰で嘔吐にむせっていた。
「説明しようッ! ここはゴブリンたちの巣から約2キロ地点にある
丘の上なんです」
唐突に説明を始めるオペレーター。
便利な奴である。
「ところで霞さん、いったいどんな人が捕まってるんですか?」
当然ながら、一般ぴーぽーのオペレーターもカメラを持っていない。
「う〜んと、子供が4人と、あと女の子が一人」
「女の子・・・ど、どんな子なんですかッ!」
「え〜とブレザーを着たメガネの子で」
「ぶぶぶぶれだぁぁぁぁにッ! め、めがでぇぇぇッッッ!!」
突然、霞に組み付き、ぎりぎりと締め上げるオペレーター。
激しく動揺してる風だ。
「は、離してよッオペレーターくんッ! 痛いよッ!」
「ええいやめんかッ!」
おさみの裏拳がオペレーターの顔面にヒットする。
「いったいどうしたってんだよ、オペレーター」
ひざまづき、ダラダラと鼻血を垂れ流すオペレーターにハム四郎が問う。
「まさかそんなはずは・・・外伝だけの出演じゃなかったのか・・・」
わけのわからないことをうわごとの様に繰り返す。
「ぼッ、僕にも見せて下さいッ! 僕にもッ!」
再び霞に組み付き、懇願する。
「目をッ! 目を貸して下さいッ!」
などと言いながら霞の目を突こうとする。
極真流に三本指なのが慣れてる風で嫌な感じだ。
「このッ!」
ごづんと音を立て、ハム四郎の剣がオペレーターの首筋に埋まった。
どそりと気を失うオペレーター。
「まったく何やってんだよ、こいつは・・・」
「ハ、ハム四郎ッ! 殺っちゃったのッ!?」
「いや、安心しろ。峰打ちだ」
西洋剣に峰打ちはない。
「いったい何の騒ぎロボ、おちおち安心して嘔吐もできないロボ」
と、そこに草むらからハチ五郎が現れた。
「安心して嘔吐ってのも、どうかと思うがな」
「五郎ちゃんッ! 大変だよ、オペレーターくんがッ!」
「殺ったロボかッ!?」
「いや、峰打ちだ。そのうち目を覚ますだろう」
西洋剣に峰打ちはない。
「(チッ)それでいったい何があったロボ」
「実はかっくんかっくんしかじかというわけだ」
おさみがかい摘んで説明する。
こういうときオペレーターがいないと不便だったりする。
「ああ〜、それはあれロボ」
話を聞いたハチ五郎はしたり顔で頷いた。
「え? 何かわかったの、五郎ちゃんッ!」
「ただのブレザーに眼鏡マニアろぼ。オペレーターも危険な橋渡ってるロボ」
「なるほどな」
「そうなんだ」
「ふむ」

激しく勘違いしながら次回へッ!!

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