| 夢みる頃をすぎても・中篇 |
「おやまあ、随分可愛らしくなりましたね」 二人で揉めてても拉致があかないと、宅急便の荷物かなにかのようにヒョイと 暴れるチビ三蔵を小脇に抱え、悟浄が駆け込んだ先は向かいの部屋だった。 そこには残りの連れの一人である八戒が居た。 で、小さくなった三蔵を見た感想が先程のセリフなのである。 この事態を見て動じることなくすぐさま意見が述べれるあたりやはり只者ではない。 「それにしても…二人とも鏡を見たらどうです?すごい格好ですよ。」 そう八戒に言われ、言われたとうりに鏡を覗くと確かに酷い格好の二人が映っていた。 三蔵はぶかぶかの法衣で暴れたので着ていたものがぐしゃぐしゃになってるし、 悟浄は三蔵の殴る・蹴る・ハリセンの乱暴狼藉を受けてせっかくの男前の顔が 台無しであった。 「あっ!俺の顔に傷がっっ!!このくそチビ、なにしやがるっ!!!」 「それは、こっちのセリフだっ!この事態はオマエのせいだろうっ!!」 「ああっ!そーいうコト言っちゃう訳?俺のせいじゃねえっつーの!」 「一遍、死んで悔いを改めてみるか?」 ついには、三蔵お得意のS&Wまで出てくる始末で、二人の不毛な言い争いは エンドレスで続きそうである。と、そこへ残る一人の問題児が乱入して来た。 「八戒〜、腹減った〜〜〜っ」 と、気の抜けるセリフとともに悟空の登場である。 「なあ!はっか…って、ああっ!三蔵が俺よりチビになってるーーっ!!」 「…(怒)…」 無邪気に三蔵の怒りを煽ってくれる悟空へ、窘めてるのか更に煽ってるのか よく分からない言葉を八戒が告げる。 「ああ、悟空。どうです?三蔵可愛いでしょう?」 更に三蔵サマの怒りを煽ってどーすると言う突っ込みが入りそうな事をのほほん と言う。そしてもう一人のお気楽モノ。 「何なに?なんで三蔵チビになってんの??」 「俺が知るか。そこのエロ河童のせいだっ!」 「だーかーらー、俺じゃねえって言ってんだろ!」 「いいや。俺がこんなになったのも、妖怪が襲って来るのも全部おまえのせいだ」 悪い、悪くないの言い争いがまた始まりそうになるのをまあまあと八戒が宥め、 この日会話が始まってから最初にして唯一の建設的な意見を提示した。 「三蔵がこのままじゃ、出発するって訳にも行かないですしね。もうしばらくここに 留まって食料とか補充するのがいいんじゃないですか」 ねッ、とにっこり返事を促された三蔵はしぶしぶながら八戒の意見に賛成した。 この男の良い様にされてる様でムカつくが手立てが見つからない以上しょうがない。 もちろん他の者に否やの声はなかった。 多くの人がごった返す喧騒の中、三蔵の機嫌はすこぶる悪かった。 八戒の意見を取り入れて街中に出たのはいいが、己の現実を改めて認識させられる 事になってしまったからだ。 煙草を買おうとしたらお使いと思われるは、食料を買い込んでいたら頭を撫でられるは 挙句に女の子に間違われて連れ去られそうになるは… いや、そんな事よりもっと気に食わないのはあいつらに気を使われてる事だ。 八戒も悟浄もそうとは云わないがいつもより歩調を緩めているように思えるし、 普段は使わない気を悟空までが使っている。その悟空にさえ遅れがちになる子供の 姿の自分。ムカムカする。 怒りの赴くままにガシガシ歩いていた三蔵は、ふと廻りに誰も居ない事に気づいた。 周囲を見まわしてみても見知らぬ顔の数々。 自分の現在の姿と置かれた状況から考えられる事は一つ。 これは、もしかして認めたくはないが所謂『はぐれた』という事になるのだろうか。 『最悪だ…』 後の事を考えて三蔵は更に気分が悪くなった。 『?』 先に気付いたのは悟空だった。 「あれっ?三蔵が居ないっ」 悟空の声に先を歩いていた二人も歩を止めて振り向く。 確かに廻りを見回してみても目立つ金髪が見当たらなかった。 「はぐれたんでしょうか?」 「どうやら、そうみてえだな」 「どーすんだよっ。三蔵、今普通じゃないのに」 果たして、超鬼畜生臭坊主を普通と呼ぶのかどうかは各々の判断にまかせるとして 取り合えずこの現状をどうにかするのが先決問題であろう。 「しゃあねえ。俺ちっと探してくるわ」 悟浄がそう言い踵を返した。すると、 「俺も三蔵探すっ!」 悟空が勢い込んで叫ぶのを手で制し、煙草の煙と共に断りの言葉を吐き出す。 「騒ぐな、バカ猿。おまえが行っても二重遭難するだけだろ」 「バカ猿って言うなよっ!エロ河童!!」 ギャーギャー騒ぐ悟空を適当にあしらい、悟浄はヒラヒラと手を振って三蔵を捜索しに 踵を返した。 いよいよ次はラストだぞ!(ホントか?)次号を待て! ←back next→ |
| 「後半も半分くらい出来てます」とか抜かしてから数ヶ月・・・ワタシは大嘘吐きです・・・ そしてタイトルも『中篇』となっているのからもわかるようにまだ終わりません(トホホ) でも次で絶対終わらせます!一番書きたいシーンは次なのよおぉぉーーー。 では次回をあんまり期待しないでお待ち下さい。 |