カットさんの投降:ペガサスの想い出

夜想曲 作品 9の2・・・
ショパンの有名すぎる作品ですが、この作品はある『モノ』のBGMに採用された
ことにより一層の知名度を得たと僕は確信しています。

その『モノ』とは当時、僕の自宅から南へ歩いて7分位の、
ある『場所』にありました。
今でこそその『場所』は若い女性や、下手すればペアシートなるもので
デートスポットのような感もありますが、
僕が魂を吸われるように通いつづけた当時は明らかに『鉄火場』でした。

そして、その場所で多数の大人が血眼になって、
ある果実の出現を待ってたのです・・・。
ある者は、1,000円でその果実を手にし、
その裏で40,000円・・・50,000円とまるで底なし沼にはまったかのごとくつぎ込んでも、
その果実は現われず・・・。

赤いパネルに二頭の天馬が向き合う背景にはペガサス座の星図が・・・。
そう、その場所とはパチンコ屋で、あるモノとはパチスロ『ペガサス』です。

今でこそ、ストックの採用で強烈な連荘を演出する台も珍しくありませんが、
当時の台の多くは『吸い込み方式』と呼ばれる恐ろしい抽選を行っていました。
今のストック機におけるチェリー等によるストック解除が存在しない台といえば
その渋さがご理解頂けると思います。
また、現行機と違う点はゲーム回数を基準にボーナスを解除するのでは無く、
コイン純投入枚数で、ボーナス解除を判定していたのです。
現行機では、1,000円あたり何ゲーム回せるかが勝敗の分岐点になりますが、
ペガサスは『客がいくら純粋に突っ込んだか?』が判定基準なんですね。

つまり、今日のスロ屋などで見かける、
若いお兄ちゃんが彼女を隣に座らせて、小役ロスを極限まで押さえる打ち方なんかは、
ボーナスを遠く遠くへ追いやる愚の骨頂のような行為になるわけです。
また、そんなことをしようモンなら、他の客から変人扱いされるか、
朝から投入枚数をチェックしている人間なのに、
何故かハイエナと呼ばれる人々にドツキまわされるのが落ちです。
そういった意味でも、まさしく鉄火場でした。

リーチ目と言われる『左リール単チェリー』が出れば、
(純粋な意味でのリーチ目ではありません。念の為)
両隣の客から刺さって痛くなるほど羨望の眼差しを受け、
そして、独特のデザインの『7』が揃って、例の夜想曲が流れようモンなら、
打ってる後ろで、『○○円、突っ込んで出しよった〜、この兄ちゃん〜』
とか叫ばれ、踏んだり蹴ったりの感なのですが、とんでもない・・・
ペガサスはそれすらも心地よく思える強烈な『連チャン性』があったんですね。

天国状態なら純投入枚数(ゲーム数では無いよ)が、
1〜100枚の間で再びボーナスが始まり、
貯金(ストックなんて洒落た言い方はしません。貯金です。)
が残っていてかつ1〜100枚の放出テーブルが選択されれば・・・
の繰り返しで、まさしく炸裂状態でした。

個人的にこの台には胸がチクッとなる思い出があります。
女の子と遊びに行く約束をして、待ち合わせまで時間があったんで、
つい打ってしまったんですね・・・。
すると、こんな時に限って普段出ない『単チェ』が左リールに・・・。
どうせ、小役回避のチェリー残りだろうと右リールに7を押すと中段に・・・
この時点で鼻孔が1.2倍に膨らみ、
そして中リールも中段7が止まってテンパッたときには
頭の中では夜想曲が鳴り出します。
左リールは当然チェリー付きの7を狙うと・・・。

『おぉ・・・美しい・・・。』
心の中で本当に美しいと思える夜想曲のメロディーと共に
僕がパチスロの中でも文句無しに
No.1と思える中段7揃い(左下段チェリー付き)が揃っているではありませんか!
余談ですが、シンプルな『7』図柄のデザイン。
この『777』を超えるデザインのスロットには未だ出会ったことがありません。
ボーナスゲーム中の小役を『7』で揃えて意味も無く15枚役を落としているうちに約束の時間などすっかり忘れてしまい・・・。

『あぁ・・・しあわせ・・・』

そして、その罪作りなペガサスは次回の出現テーブルを最小の100枚以内を選択してくれたのです。
久しぶりに味わうホンモノの『ぺガ連(ペガサスの連チャン)』
ペガサスの連チャンは台の仕組み上、REGも含むのですが、
この時は狂ったようにBIG中心でした・・・。

『よ〜出してるな〜・・・』
背後の声の主に気が付くまで少し時間がかかりました。
そのとき、僕は本当に天馬に乗って雲の上まで飛んでいた気がします。
その声により地上に降臨した僕が振り返ると、待ち合わせの女の子が・・・。

『何やってるの?ん?』
聞かれても、『花屋で君に送る薔薇を選んでいたんだよ。』なんて言える訳がありません。
だれがみても、僕の前には唸りを上げてコインを吐き出しているペガサスが鎮座しているのですから・・・。
『パ・・・パチスロ・・・を・・・少々・・・』
観念した僕はそう答えるしかありません。
『見たらワカルワ!!アホか!』
彼女がそういったのも当然でしょう。僕がそのとき何を打ってるのかではなくて、
どんな理由で待ち合わせに現われなかったのかを怒っているのですから。

ここで、彼女のことを少々・・・。
この時点で、彼女は僕の『彼女』ではありませんでした。
ただ、ずっと気になっていまして何度か食事をしたり、
彼女の買い物に付き合ったりしていた仲だったんですね・・・。
そして、『今日はキ・メ・ル・ゼ!』ってことで、おデートに誘ったんですが、
待ち合わせに早く現われすぎた僕は、天馬にさらわれてしまった訳です。
当時は今のようにパチンコが市民権を得ていた時代では無く、
まだまだアングラな雰囲気を匂わせていた時代です。
そんな時代に、僕を探す為とはいえ、一人で店に入ってきた彼女は、
いま考えると、僕と同じ気持ちが少なからずあったと思います。
だって、パチンコ屋に僕が居る確証なんて無いのですから・・・。

『ええよ。そのまま打っとき。』
『ホ・・・ホンマにええの?』
『だって、出てるやん。』
彼女の言葉に耳を疑いました。このとき、彼女が天界の女神様に見えたのはいうまでもありません。
その言葉に調子にのった僕は順調に連チャンを重ねつつ、ペガサスのレバーを叩いていました。
そして、BIGが終了して、店員サンにリセット(当時は、終わったらキーでリセット)してもらい、
何ゲームかコインを投入しつつ消化していると、
右リール中段7で中リールは右リールに対してバラ目で停止しました。
その時です!

『なぁ、私と居るのと、パチンコ打つのどっちが楽しい?』

思いもよらぬ女神様のご質問に、
『当然・・・』
と答えようとした瞬間、左リールがタイムオーバーで止まり、
下皿からどう考えても単チェの払い出しとしか考えられないコインが落ちる音が聞こえたのです。
そのとき、条件反射的に台のリールを向くと、栄光の単チェリーが・・・。
しかし、僕はその瞬間固まってしまいました。
そう・・・時間にしては3秒もなかったと思いますが、
もっと長い時間だったかもしれません。
そうです。彼女のプライドを賭けた一言に僕は最低最悪の反応をしてしまったのです。

我に返り、彼女の方を向くと彼女はそこには居ませんでした。
そして僕が目にしたものは出口に向かう彼女の後ろ姿だったのです・・・。
その後ろ姿の迫力に気押されて、僕は追いかけることは出来ませんでした。
その後も、何度かペガサスはコインを吐き出してくれて、
僕は店を後にしました。

その後、彼女とは和解しましたが、お付き合いするまでは至りませんでした。
そして、最低男の僕はそれからさっぱり女性運をなくし、
金運をなくし、・・・

天馬に乗って天国に行ったのはあの時の僕ではなく、
僕の女性運と僕の金運だったんですね。
その二つを召還する為に、神は二頭のペガサスをノクターンのBGMと共に、
あの台のパネルに遣わしたと・・・
僕は、今でもそう思ってます。

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だーーーーーーー(涙)
なんとも素晴らしい投降を有難うございました。
彼女の事といい・・・
BIGの事といい・・・・・
いろいろおつかれさまでした。
また宜しくお願いします。
それではまた〜!

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