SHIN-DigitalDevilStoryTRPG― "BIRTH"


秘薬の行方


 真藤たちが比呂を信明寺へ運ぶ一方、立花とまりあはホテルの前で彼らと別れ、吉祥寺駅前の立花のマンションへ向かった。そこにあるはずの、比呂を救うために必要な解毒剤の処方が書かれた魔道書を探すためである。
 若いながらも魔道の道を志すものの常として、立花の蔵書はかなりの数に上る。そのなかから、必要なものを捜し出すだけでも、一苦労なのだ。

立花じゃあ、それっぽい本を見繕ってみる。
DMでは、二人は知力で振って。
立花(ころっ)だめ。
まりあしっぱーい。(笑) 命運1点消費して、振りなおすけど、又失敗。
立花あたしも消費して……(ころ)成功した。
DMなら、それらしい本を捜し当てる。薬を作るのに必要な、あやしい材料も書いてあるんだけど、ほとんど立花が自分でもっている触媒でことたりる。
立花な、何を持っていたんだろう。(笑)
DMやはりメインは、かすかな異臭を漂わせている干物系。で、それらを立花は手早く家のあちこちからかき集めて来る。
まりあついていけないものを感じる。(笑)
神崎立花の隠された一面を見たって感じだな。(笑)
DMしかし、やはり足りないものがある。ナイトシェードと黒真珠の二つだ。
立花黒真珠は、まぁ分かるとして、ナイトシェードってなに?
DM魔術の触媒として利用される植物ですな。(実は有毒)
まりあどのへんに生えてるの?
DMまともな手段ではちょっと手に入りづらいかな。オカルトショップなら、もしかしたら、置いてるかもしれない。
まりああ、『羅宇屋(らおや)』は?
真藤ああ、あそこがあったか。
立花行ってみる? 一度、信明寺に本とか重たいものを置きにいってから、買い物に行こう。

 信明寺に戻った二人は、ほかのPCたちに事情を説明した。結局、全員で買い出しに出かけることになった。

DMでは、到着。「やぁ、いらっしゃい」(笑)
真藤「こんにちは、マスター」(笑)
立花「えっと、プラックパールとナイトシェードなんだけど、あるかな?」
マスター「ブラックパールかぁ。ちょうど今、切らしてるんだよねぇ」
真藤がーん。
立花「いつごろ、入るの?」
マスター「こういうご時勢だから、確実にいついつに入荷するとは言えないなぁ。どうしても必要なら、少々値が張るけど南雲さんのところに行ってみるかい?」
立花「南雲さん?」
マスター「あれ、君も知ってるじゃないか。ほら、同じ事務所の」
立花また、日下か。
真藤「じゃあ、ナイトシェードはあるんすね?」
マスター「奥にあるんでね。後から事務所に届けとくよ。お金はそのとき貰うから」
立花「よっしゃ」(笑)
真藤「おじさん、もっとほかにおもしろい物はないかい?」
マスター「そうだなー、このマスコット人形なんかはどうだい?」
真藤「マスコット人形? なんの?」
マスター「これを身につけていると、黒魔術系の魔界魔法を引き寄せるんだ」
立花「引き寄せるな、ンなもんー!」(笑)
マスター「ムドでもなんでも、どんとこいのスグレもの。『聖なるマリアちゃん』っていうんだけどね。かわいいネーミングだろう」(一同爆笑)
真藤思わず殴ってしまう。(笑)
神崎「でも、使いようによっては、重宝するんじゃないか? 敵が呪文を使って来たら、すかさず遠くにほうりなげるとか」
マスター「イヤー、これは人が身につけていないと、効果がないんだ。ちなみに、5マッカだよ」
一同たっかーい。
まりあ「じゃあ、あたしが買って、広人にプレゼントするー」(一同爆笑)
「マジー?」(笑) これで、怖くて捨てられなくなった。
神崎これで、みんなムドの時の恐怖から逃れられるな。(笑)
真藤「でも、一回使ったら終わりだろぉ?」
マスター「いや、3回はもつね」
真藤「きゃー」(一同爆笑)
マスター「まいどあり。いやぁ、まさかコレが売れるとはねぇ」
まりあ「あー、いい買い物した」(笑)
立花「えーと、後はブラックパールか」ふぅ。(溜息)
マスター「日下の事務所の上の階には、所長さんをはじめ所員が回収した魔導器なんかを保管する場所があるだろう。南雲さんは、そこの管理人をしている人だよ」
DM氷漬けにした清水君の死体を保管しているのも、その『倉庫』なんだよ。(一同弱笑)
神崎一度、みんなで拝みに行こうか。(笑)
DM所員達が仕事で見つけた魔力の秘めたアイテムなどを買い取ったり、あまりに強力過ぎる品物や悪魔を封印した封印石などを厳重に保管している。そして、世に出してもいいかな、と判断された物は、逆に売ってくれたりもする。
真藤じゃあ、行きますか。
もう、あたしMP半分しかない。
神崎忘れてた! 探女をコンピューターに戻そう。このままじゃ、マグネタイトが本当になくなってしまう。(笑)

 探女をアームターミナルに戻し、一行はサンロードの奥にある事務所に向かった。

 古い雑居ビルの、一階は喫茶店とレコード屋、2階はビリヤード場になっており、事務所は3階に入っていた。南雲の『倉庫』は、そのうえの4階にある。

真藤ノックする。こんこん。
DM「はーい、誰?」という声が帰って来る。
真藤「真藤っす」
DM「ああ、真藤君?」ガチャンとドアが開いて、妙齢の美女が姿を現す。
真藤え……南雲さんって、女の人?
立花ずっと、男の人だと思っていた。(外の一同も頷く)
南雲「立花も一緒なの。二人がお揃いなんて、珍しいわね。今日は何の用かしら?」
真藤「ちょっと、欲しいものがあって」
南雲「あら、なにかしら?」
真藤「あなたです」(笑)
南雲「あー……」(曖昧な微笑)
まりあ売約済みと見た。
神崎(真藤を押し退けて)「あの、ブラックパールってありますか?」
南雲「ブラックパール? ちょっと待ってね」

 南雲は一同を部屋の中に通すと、事務用デスクにおかれた端末に向かった。『倉庫』と呼ばれる部屋にある机はそれだけで、ほかのスペースは、天井すれすれまでの高さの陳列棚で埋めつくされていた。特に照明の光が届かない奥のほうは、暗く沈んでおり、初めて見るものは、この棚の列が無限に続いているかのように感じられる。

異次元空間か。
DMさぁ、それはわかりませんが。(笑) 君達が、そんなふうに部屋の様子を伺っている間に、検索結果が出ました。
立花見付かったの?
南雲「うーん……ちょうど、切らしてるみたい」
一同ええーっ!?
まりあ「このへんで、ほかに、ブラックパールが手にはいりそうなところは?」
南雲「そうね……。『羅宇屋』さんとか」(笑)
立花あそこは、なかったー。(笑)
ほかには、ないですか?
南雲「実は、この町のオカルトショップはもう殆ど無いの。あなたたちも知ってのとおり、悪魔が大量発生したとき、魔力を秘めた品物を扱うあの手の店が、かなり襲われてね。無事だった所も、早々に店を畳んだのよ」
真藤じゃあ、黒真珠に代わるものはありませんか?
南雲「ないわけじゃ無いけれど……何に使うつもりなの?」

 PC達から事情を聞いた南雲は、形の良い眉をひそめた。

南雲「そういうことだったら、あまり、代用品を使うのはお薦めできないわね。悪いけど、ウチも今度いつ入って来るか分からないわ。もしかしたら、明日入荷するかもしれないし、1年先かもしれない」
神崎1年……。(絶句)
立花市販されている普通の黒真珠に『聖別』の術をかけたらヤツで代用出来ない?
南雲「できないことは無いと思うけど、俗世で扱われていた分、魔的な能力は落ちているのは覚悟する必要があるわよ。……ところで、あなた」(立花をじっと見つめる)
立花「え? あたし?」
南雲「少し、体調をくずしているんじゃないの? 体内の『気』の流れが乱れているようだけど」
立花(堅い声で)「べつに悪いところはないんだけど、ちょっと気分が悪いものがイロイロあって。その第一は、真藤だけど」(一同爆笑)
真藤「立花さん、悪いところって……性格?」
立花(冷たい声で)「あんたのね」(再度爆笑)
神崎こわいっす。(笑)「でも、立花。本当は、なにか隠しているんじゃないのか?」
オーラ・ヴィジョンで立花を見てみる。
DM普通ですね。比呂ちゃんのように、弱まったりしていない。むしろ、元気一杯、絶好調の時のように、生き生きと輝いている。
立花…………一体、あたし、何に取り憑かれてるんだろう。(ひきつり笑い)
神崎「とりあえず、無理はしないように、ね」
立花「……」
南雲「ブラックパール、ね。一種の賭けだけれど、試してみる?」
まりあ「賭け?」
南雲「町の外れに『黒鳥館』っていう、昔、自称・大魔導師が住んでいた建物があるの、知ってる? 魔導師自身の実力はたいしたものじゃなかったらしいんだけれど、先祖代々から伝わっていた魔道コレクションは近世じゃ類を見ない立派さだったの。そして、その建物は、彼が行方不明になってから、打ち捨てられたままになっている」
立花ほう。
南雲「実は明智君のワンド(魔棒杖)も、そこで見付かったものなのよ」
それは、取って来たということか。(笑)
立花ちょっと、聞きたいんだけど。(笑) 明智君、それ以外のものも、取ってきたんじゃないの?(笑)
南雲「それは、いわずもがな、でしょう。彼の外にも、入った人間もいたみたいだし。だから、始めに言ったでしょ。これは、賭けだって。あなた達の運が強ければ、ブラックパールは残っているかもしれない」
神崎(すこし考え)そうだな。何もしないよりはましだろう。(外の一同も頷く)
南雲「決まったようね。もし、あなたたちが黒真珠を手に入れることが出来たら、私が調合するわ」
真藤えっ? でも、比呂ちゃんは、信明寺においてきちゃったし。
南雲「こちらで、ここに運ばさせてもらうわ。けして、悪いようにはしないから」
立花そうだな。きっと、ここのほうが、ちゃんと見てくれるだろうし。
南雲「その、引き換えに……」
立花は?
南雲「あなたたちの、血が欲しいの」
一同血ぃぃぃ?
まりあ立花の血ならいいけど。(笑)
立花まてい。(笑) なんで、血なんか欲しいの?
血液検査だろう。
南雲(なぞめいた微笑を浮かべて)「趣味よ。私ね、気にいった人と出会ったら、その人達の血を貰って、コレクションしてるの。少しずつでいいから」
真藤ふぇー……(呆れ顔)
まりあ悪趣味ぃぃ。
神崎分かった。提供するよ。

 南雲の意外な要求に戸惑いながらも、結局、全員の血液が抜き取られた。その代償として、黒鳥館の場所を教えてもらったものの、すでに日も暮れており、天候も怪しくなっていたので、一度、信明寺に戻り、明日でなおすことになった。






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