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それぞれが、様々な思いを抱えて眠りについた一夜が明けると、吉祥寺の町は雨につつまれていた。黄が用意した朝食が待つ薄暗い居間に一同が再び顔を揃えたときには、雨足はさらに強まっていた。 | |
| 真藤 | 黄さんのメシ、やっぱウマいっすよー。(笑) |
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| 紫 | そういえば、立花。まだ体調悪いの? |
| DM | 普通に見たところ、ご飯もばくばく食べてるし、元気そのものだ。 |
| 立花 | 白虎(外伝1の登場人物。よく食い、よく暴れる熱血漢)じゃないんだからー。ばくばくなんて、食べないわよ!(笑) |
| 紫 | 立花さん、熱があるんじゃないの? 顔もなんか赤いし。 |
| 真藤 | 汗もかいてるらしいし。 |
| まりあ | 薬草治療してあげましょうかー? |
| 立花 | 遠慮しとく。本当に大丈夫だから。黒鳥館に行こ。 |
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昨日までの天気が幻だったかのような悪天候の中、PCたちは町外れへ向かった。活気を取り戻していた町も豪雨の重圧に圧し潰されてしまったのか、彼ら以外の人を見掛けることがなかった。 | |
| DM | 雨の勢いが強すぎて、傘をさしていても、目的地についたときには結構濡れてしまってますね。黒鳥館は、ブロック塀に囲まれた、一階建の、無骨なコンクリート建築の建物です。 |
| 紫 | 洋館じゃないの? |
| 立花 | 学校の校舎の縮小版みたいな感じね。 |
| 紫 | なんか、名前が似合ってない。(笑) |
| DM | 正面に回ると、無骨な鉄の門があります。門は鎖を巻き付けられて封鎖されていたみたいですが、その鎖は引き千切られて、君達の足元に散らばっている。 |
| 真藤 | だれがやったんだろう? |
| 紫 | それは、ダーク真藤。 |
| 神崎 | 広人、夢遊病だったのか。(笑) |
| 真藤 | オレは何にもやってねぇ。覚えがない。 |
| 立花 | 覚えがなくても、あんたの場合、いろいろやってることがあるの。 |
| DM | と、真藤をいじめながら中に入っていくのね。(笑) 庭は荒れ放題になっている。玄関は、重厚なオーク材のような、両開きのドアです。そのドアの上に、翼を広げた黒い白鳥のレリーフが飾ってある。 |
| 真藤 | ドアをそーっと開ける。 |
| DM | 玄関の向こうに廊下がストレートに伸びていて、その左右に二つずつドアがある。 |
| 神崎 | 探索しにきたんだから、手前から開けるべきかな? |
| 立花 | そうだなぁ。 |
| 真藤 | 手前の右のドアからカチャ。 |
| DM | では、そこは寝室です。部屋の中央には大きな天蓋つきのベッドがあります。 |
| 真藤 | じゃあ、そのベッドの上にばさっと大の字に乗っかる。(笑) |
| DM | 乗るぅ? しかし、ベッドの上にはすでに人が寝てるんですけど。 |
| 真藤 | 気にせず、行くと思う。(笑) |
| DM | ベッドに近付くということですね。では、君が足を前に踏み出そうとすると、どこからともなく『来るな!』という声が聞こえる。 |
| 真藤 | 子供の声? |
| 声 | 『くるな、くるな。きゃははははっ』 |
| 真藤 | (慌てて)外出る。外出る。外出るぅぅっ。(一同爆笑) |
| 立花 | (真藤を)中に入れたまま、ドア、閉めたろっか。(笑) |
| 紫 | で、5分ぐらい経ったら、開けてみるの。(笑) |
| 真藤 | しめられて、出れなーい。で、どんな状況? |
| DM | (ほんとに閉じ込められたのか? 哀れな)変化はない。 |
| 真藤 | 一歩だけ踏み出す。 |
| 声 | 『くるな、って言ってるだろ。知らないぞ』 |
| 真藤 | もう、一歩踏み出す。 |
| DM | 真藤は精神力チェック。(一同爆笑) |
| 真藤 | (ころん)55でファンブルだよ。 |
| 紫 | 5分経ったら、開けよう。(笑) |
| 神崎 | やっぱり、ちょっと、かわいそうじゃないか? |
| 立花 | いいの、いいの。ほっとこ、ほっとこ。(笑) |
| DM | そうそう、しょうがないですね。(笑) それでは、ドアの前で、見守っている皆さん。突然、中が静かになります。 |
| 一同 | は? |
| 真藤 | ちょっと待って。(焦) 外で聞いてた人達が静かになったと思ったってこと? |
| DM | そう、すでにドアの外モードっす。みしっ、みしっ、と聞こえていた足音が突然止まって、しーん。(笑) |
| 神崎 | (ひきつった声で)ひ、ひ、広人ぉぉ。「あ、開けよう!」 |
| 立花 | ええー。(嫌そう) |
| 真藤 | 開けて開けて、オネガイッ!(涙) |
| 紫 | 仕方がないから、そぉっと開ける。(笑) |
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慎重にドアを開けた仲間たちを待っていたのは……床に大の字になって寝こけている、なんとも安らかな真藤の寝顔だった。 | |
| 立花 | 寝てんのォ? 「広人、起きなさい」 |
| 紫 | 石投げる。(笑) 「ばかぁ」 |
| DM | 精神力チェックに成功したら、何か頭にぶつかったので目が覚める。 |
| 真藤 | は!(目覚めた) きょろきょろ。ベッドはまだ膨らんでる? |
| DM | はい。 |
| 真藤 | 「みんな、このベッドなんかいる!」 |
| 神崎 | (すかさず)そりゃ、見れば分かるぞ。(一同頷く) |
| DM | みんな、分かってるから近づかなかったんですよ、真藤クン。(笑) |
| 真藤 | …………えーん。(泣) 神崎さんが、いじめたよぅ。神崎さんは、いつも優しくしてくれるのにー。神崎さんが、いじめたー。(じたばた) |
| 神崎 | う、うーん。(悩) |
| 立花 | 昨日、クレーターにつき落としたりするからよ。 |
| 紫 | アメあげるから、よしよし。 |
| DM | そんなふうに騒いでいたら、突然、ベッドの人が苦しそうな呻き声を上げる。男の人の声です。 |
| 真藤 | (泣きやんで)変な声が、男連れ込んでる。 |
| 紫 | なんか違うぞ、それ。 |
| 立花 | 男ぉ? 「おーい、そこにいる人、誰ですかー」って、聞いてみる。(笑) |
| 紫 | またベッドの方に近付く。 |
| DM | 『来るな』とまた、声が叫ぶ。 |
| 紫 | そのまま、無視して、つかつか近寄る。 |
| DM | なら、全員魔法回避だ。 |
| 真藤 | 俺は近付かないのに。 |
| 紫 | 08で成功です。 |
| DM | 立花も成功したのか。失敗した3人には、ばしーんと巨大なカマイタチが襲い掛かる。23点の魔法ダメージ。 |
| 神崎 | い、痛い…… |
| 紫 | 大体、正体は分かった。だけど、これはプレイヤーの推測なので。(笑) |
| DM | 当然、キャラクターは分からない。 |
| まりあ | HPが3点しか残らないー。 |
| 紫 | ばっと、布団をまくる。 |
| DM | 若い男性が仰向けに横たわっている。見たことのある顔だ。 |
| 紫 | とりつかれてるんですね。 |
| DM | さて?(笑) |
| 紫 | あたしの見覚えのある顔? |
| DM | うーん、あると思う。ちょっと、以前に見たときと印象が違うから、思い出しづらいかもしれないけどね。 |
| 紫 | 明智君か? |
| DM | 違う。楠木奈良さんだ。 |
| 一同 | ええっ? |
| 神崎 | あいつが、なんでこんなところで出て来るかぁ? |
| DM | 印象が違って見えたのは、眼鏡を取って寝ていたためだ。苦しげに歯を食いしばって、呻いている。 |
| 立花 | 「奈良さん、奈良さん」って呼ぶけど、起きてるの? |
| DM | 非常に寝苦しそうだけど、寝てますな。 |
| 紫 | リーディングします。 |
| DM | (なんだかなぁ)ホテルで出会った田村にたいして強い憎しみを抱いているのがわかる。あと、君達の中の誰かに対する『疑問』。 |
| 一同 | 疑問? |
| 紫 | 誰に対するものか分かる? |
| DM | そこまでは特定出来ない。あとは……命運でチェックしてもらおうか。 |
| 紫 | (ころ)失敗。命運を消費して、もう一回。でも、失敗。 |
| DM | では、そこまでしか見えなかった。 |
| 立花 | よし。『見鬼』いきます。成功。 |
| DM | 奈良さんの上の空中に、ナイフを持った吊りズボン姿の子供が浮かんでいるのが見えた。夜魔ナイトメアだ。 |
| 紫 | ま、もう分かってるけどね。(笑) |
| 真藤 | ほほほ、おっけーおっけー。(笑) |
| 神崎 | 攻撃は出来るのか? |
| 紫 | 物理半減のような気もする。 |
| DM | 相性は通常でいいよ。見鬼を受けた途端、ナイトメアは憑依している奈良から急速にマグネタイトを吸収して、実体化する。ぐわっと、奈良が悲鳴を上げるけど。 |
| 一同 | うぁぁぁっ。 |
| DM | そのかわり、このターンのこいつの行動はこれだけね。 |
| 神崎 | 分かった。こっちは、アームターミナルを起動。 |
| まりあ | 銃を用意する。 |
| 真藤 | 小太刀で攻撃しますけど、失敗です。 |
| DM | では2ターン目。イニシアチブは負けた。 |
| 紫 | することがない。(笑) 奈良さんは起こせるかなぁ。テレパシーで起きなさい攻撃。 |
| 神崎 | どんどん、精神にダメージが。(笑) |
| 紫 | そうか、やめとく。まりあに『ディア』。14点回復。 |
| 立花 | 『悪魔識別』は……(ころっ)だめ、しっぱーい。(笑) |
| DM | 「子供だわ。宙を飛ぶ、何のへんてつもない子供だわ」と思う。(笑) |
| まりあ | 立花さん、常識なーい。 |
| 立花 | いや、本当はあるんだってばー。 |
| 神崎 | そうだな。(笑) 小太刀で殴ります。(ころっ)う、失敗。 |
| 真藤 | こっちは成功。ダメージは19点! |
| DM | ざくっ。『くっそー、やったなー。オボエテロよーっ』 |
| まりあ | 撃つ。38ではずれたぁ。 |
| DM | では、ナイトメアの行動。さっき殴って来た真藤に『かなしばっちゃえー』とばかりに『シバブー』。 |
| 真藤 | うげ。でも、03で回避。「ざまーみろ、へっへっ」 |
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子供の姿をした夢魔は、多彩な魔法を放つが、レベルが上昇した前衛二人の鋭い剣撃に、まりあの銃の援護が加わり、展開はPC優勢で進む。ついに業を煮やしたナイトメアは、4ターン目にたまりかねたようにキンキン声で叫んだ。 | |
| ナイトメア | 『ちっくしょう、ちっくしょう! おい、キャク、加勢しろぃ!』 |
| DM | 声に応じて、ボヨヨヨヨーンと、ナイトメアの横に巨大な黒いミノムシのような奴が現れる。 |
| 紫 | あ、なんか見覚えが。(笑) |
| DM | こっちの行動はこれでおしまい。 |
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5ターン目、PCたちは、又イニシアチブをとったものの、これといった決定打は与えられなかった。そして、悪魔たちの行動。 | |
| ナイトメア | 『おい、キャク。後は任せたぞ』 |
| キャク | ふよふよふよーん。 |
| DM | キャクの体から、黒い霧が沸き出してきて。あたりは真っ暗になる。 |
| 神崎 | うわぁぁ、またかぁ。 |
| DM | 混乱に乗じて、ナイトメアは姿を消す。キャクの姿も闇に溶けてしまう。 |
| 立花 | あら? じゃあ、悪魔は消えたけど、真っ暗になりっぱなしなの? |
| 紫 | いいです。真っ暗でもあたしには関係ありません。『セカンド・ヴィジョン』発動。 |
| DM | なら、みんなのオーラが見える。(笑) ほかの人は、暗くなったとき、床の一部が1m四方の正方形の形に、ぼーっと光り始めたのに気付くね。一方、ベッドの上では「な、なんだ?」と言ってる声がする。 |
| 紫 | とりあえず、奈良さんを起こします。 |
| DM | すでに体は起こしている。 |
| 立花 | 一応、声をかける。 |
| 真藤 | なにがどうなって、こんなところで寝ているんですか? |
| 奈良 | 「その声は……君達か」 |
| 真藤 | 光っているところを探ります。 |
| DM | (ありゃー、いきなり行ったか)ぱかっと外れて、下に降りる階段が見付かる。 |
| 紫 | かくし階段か? 奈良さんに向かって「あなたはどうしますか?」 |
| 奈良 | (笑みを含んだ声で)「僕は……そんな恐ろしげなところに降りて行くほど、勇敢じゃない。それに、まだ外の部屋の散策もしてないから…僕の目的は果されていないことだし」 |
| 立花 | 「で? 何で、こんなところに寝てたんですか」 |
| 奈良 | 「君達こそ、なぜここに?」 |
| 立花 | 用があるから。(笑) |
| 奈良 | 「そうか。僕も用があったんだ」(笑) |
| 立花 | うぎゅぅぅ。 |
| まりあ・神崎 | いいかえされるだろうな、とは思った。(笑) |
| 紫 | ちょっと捜し物があるので。 |
| 奈良 | 「そうか。僕と一緒じゃないか」 |
| 立花 | じゃあ、一緒に行きましょうか?(笑) |
| 奈良 | 「君達の探しものってなんなんだい?」 |
| 立花 | あなたの捜し物は? |
| 奈良 | 「(苦笑して)君達は、恩人だからね。すこし、正直になろうか。君達がいなければ、僕は、また……」(言葉をとぎらせる) |
| 立花 | また? |
| 奈良 | (軽く首を振って)「まぁ、いい。僕がここに来た理由は、社用だ」 |
| 一同 | シャヨウ? |
| 紫 | クレハの用ですか? |
| 奈良 | 「そういうことになる」 |
| 紫 | クレハってそんな変な事をしている会社だったの? |
| 奈良 | 「別に、ああいったモノにとりつかれることが仕事なんじゃないよ」(笑) |
| 紫 | だって、コンピューター機器をあつかってるって言ってたのにー。 |
| 奈良 | 「それは、嘘じゃないしね」 |
| 立花 | ふぅん。で、コンピューター機器を扱う会社の社員さんが、なんでこんなところに来たんですか? |
| 奈良 | 「身内の恥をさらすようで恥ずかしい話だが、社内にライバル会社のスパイがいたんだ。我が社のシークレットデータを持ち逃げした奴が、ここを隠れ家として使っていたという情報をつかんだんでね。データを追って来たんだが、屋敷に入った途端、猛烈な睡魔に襲われて、気づいたらこういうことになっていた」(笑) |
| 真藤 | あなた一人で? |
| 奈良 | 「いや、ほかにも社の人間がいたはずなんだが…ここにはいないようだな。さて、今度は君達の話を聞く番だ」 |
| 紫 | 話しちゃっても、いいよね? 知り合いが、これこれしかじかで…… |
| DM | 奈良さんは、魔道的な話になると理解に苦しむようだが、とりあえず納得している。 |
| 真藤 | じゃあ、開いてる階段をおりますか。 |
| 奈良 | 「僕はここに残るよ。僕の探しているものは、なさそうだしね。君達が行くのなら、止めはしないが」 |
| 真藤 | あなたこそ、また連れ込まれないように気を付けてね。 |
| 奈良 | 「ああ。ご心配ありがとう」 |
| 立花 | (一階の)外の部屋は回らないの? |
| 紫 | とりあえず、探れるとこから、つぶしていきましょう。 |
| DM | では、地下へ降りていきます。 |