SHIN-DigitalDevilStoryTRPG― "BIRTH"


癒されしもの、その後



 立花をのぞく4人は、行きがけに見舞い用のバスケットを買い(5千円もした)、最近封鎖が解けたばかりの、吉祥寺駅南側にある秋月医院へ向かった。

DMやはり、このあたりは寂れた感じは拭えない。サンロードに比べて、人通りもまばらで、しんとしているね。病院までは何事もなく到着します。人に聞けば病室もすぐ分かる。
ノックする。
DM返事はない。
あれ? 「比呂ちゃん」と言ってドアを開ける。
まりあ寝てたのかな?
DMぐうぐうぐう。比呂は眠っている。
探女『あーあ、比呂様、また目が覚めなくなっちゃった』
一同は?
神崎探女?
DM解説するとですな、あの日から比呂ちゃんは、少し覚醒しては、長時間眠り、また覚醒してはというのを繰り返してるんです。つまり、一度、眠りだしたらなかなか起きないんですね。で、今はその休眠期に入っているところなんですな。
真藤そういえば、肉体的にも精神的にも消耗しきってるって言ってたな。
DMそれでですな、比呂ちゃんが眠ってるベッドの脇のサイドボードにでーん、とどでかいバスケットが置かれている。
一同はぁぁ?
DM『お見舞い』と書かれており、果物が山盛りになっている。その果物の取り合わせが尋常じゃなくて、メロンが二つ入っているかと思えば、スイカやいちじくもつめられている。色鮮やかな南国系のブツも2つ3つじゃ済まない。
一体、どんな人がつくったんだろう……
神崎自分の好きなものばかり詰め込んだとか。(笑)
真藤中身をちょっと探ってみる。
おいおい。
DMごそごそすると、いちじくが『ぐちゅっ』。(一同爆笑)
真藤くさってるぅぅぅっっ!
いちじくって、普段から柔らかいものよ。
神崎あーあ、汚して。
真藤いちじく、キライ。(泣)
DMそのとき、ドアの向こうから人の話し声がする。「ではこれで」と男性の声が挨拶すると、「ええ、また」と女性が答えている。そして、一つの足音が遠ざかって行き、もう一つが近付いて来るようだ。足音はこの部屋の前で止まり、ドアが開かれる。落ち着いた品の良い老婦人ですね。で、君達を見て「あら、あなたたちは」と。
あ、志保さん。
志保「わざわざ比呂のためにお越しいただいて、ありがとうございます」
いえ、そんなぁ。
志保(バスケットに目をとめて)「あらあら、二つももって来てくださったの?」
いや、これは……(笑) 「私達が来たときからあったんです」
真藤さっき、志保さんが話していた男の人が持ってきてたんじゃないんですか。
志保「いいえ。あのかたは、この病院で偶然お友達になっただけで…比呂とは関係ない知り合いですの」
まりあ志保さんの彼氏。
住職さんだったりして。(笑)
神崎こわいな、それ。
住職さんって、よくでかけてるしさぁ……ちょっと、ひそひそ話。(笑)
DM志保さんは着物の裾を口元に当ててほほ笑んでる。
志保「では、あの子かしら。3日とあけずに見まいに来てくれる子がいるらしいの」
真藤どういう子か、ご存じですか?
志保「なぜか、私が来る時間とはあわなくって…実際にあったことはないのですけどねぇ。看護婦さんたちの話だと、比呂とそう変わらない年頃の女の子だそうですが」
一同ああ、あの子か。
志保「毎回、こんなに大きな篭一杯に果物を持って来てくれるのよ」
でっかい登山リュックに、でっかいバスケット。(笑)
まりあ『大きいことはいいことだー』
立花この場にいないから、つっこめーん。(笑)
志保「ところで…地の鏡はどうなっておりますか?」
神崎どうなってるといわれても……
えーと……吉祥寺外の場所らしい部分がいくつか分かったことを話す。
志保「私もあれから…鏡に関する文献を調べて見たのですが…これといって目新しい発見はなにもなくて…」
真藤ぐうくう。
神崎広人ぉ! 「おい、ねるなよぉ」(ゆさゆさ)
真藤ご、ごめん。ばーちゃんの話は眠くなるんだよー。(笑)
志保「申せば…私の知識は机上のもの。どれほどたくさん物事を知っていても…現実に触れているあなたたちに何が必要かということまでは分かりません。今日は良い機会ですから…お知りになりたいことを…あなたがたの方から…尋ねていただければ…理解が早いと思うのです…」
一同うーん。(悩)
志保「知りたいことは何もないのですか?」
いや、いろいろありすぎて、考えがまとまらないというのが実情なんです。
真藤結局、全部の力を集めたらどうなる、という予想はついているのですか?
志保「鏡の力というのは分散されているものとされていますが…その力を集めたとしても…力を引き出すカギとなるものが必要らしいのです」
じゃあ、二つの鏡に一つの鍵? それとも、それぞれに一つずつ鍵があるのかな?それに、鍵というのは、具体的なものとかじゃないわけ?
DM志保さんしゃべりはだるいので、マスターモードで解説しよう。鏡を含む魔導器類の力を発動させるために、みんな魔力や加護のチェックをしますよね。で、そのチェック以前の問題で、オーソドックスな手段というのが…
真藤呪文とか、そういうの?
DMあたり。魔力を引き出す『キーワード』だ。
使い手であるかどうか、っていうこと?
DMいや、なによりも重要なのが呪文なんだ。品物に、一定の波長の振動を与えることで、人間はその身にあまる魔力の恩恵を受けて来た。でも、やっぱり相性というものがあって、魔導器と波長の合う人が唱えたほうが、より力を発揮出来るみたいだけどね。
後継者とか?
立花たしかに、ユカちゃんは相性よさそうよね。
ええー、それをいうなら、竜ちゃんや黄さんもじゃなーい。
神崎いやー、その鏡とは相性が悪い気がする。(笑)
天の鏡は比呂ちゃん一人が後継者なのに、なんでこっちは3人も後継者がいるんですか?
DM志保さんは少し考えてから口を開く。明智家に伝わる鏡の力を発揮する儀式では、術者の負担を軽くするために、3人1組で儀式を執り行って来たらしい。比呂は一人だということになってるけど、もしかしたら志保さんの知らない所で、既に天の後継者が選ばれているのかもしれない。
志保(一同を見て)「もしかしたら、あなたたちの中にもいるかもしれませんね。天と地は兄弟であり、いわば一体。地の鏡と波長の会うものなら、天とも通じ合える可能性は高いと思います」
ダブリ状態ってわけか。
まりあそれに、明智一族であるともかぎらないんだな。
真藤質問、どうやって後継者を見分ければいいんですか?
志保「そればかりは、鏡が選ぶことですから……」
真藤どういうふうに選ぶんですか?
あたしたちの場合は夢を見た。
志保「……実際に儀式を行ってみるのが一番早いかも知れません」(一同爆笑)
DM鏡が激しく発動したら「当たり」とか。(笑)
立花めっちゃ、コワイ。(笑)
まりあで、当たってたら、どうするつもりだ。
それで、天の鏡は見つかったのですか?
真藤比呂ちゃんが起きてるときになにか手掛かりになることを言ったとか。
DM覚醒状態でも、まだ比呂はそんなにしっかりしゃべれる状態じゃない。
志保「古文書の方で分かったことと言えば、『天は始まり』という言葉は、天の鏡はつまり新時代を切り開くもの、新しき王の象徴であると。『地は報せ』の方は、弱体化した旧き時代の神々に真の解放を与え、転生への道を闢き導く役割のものとされております」
つまり、この鏡は……これはプレイヤーの知識ですが、転生してきてまだ目覚めていない神々の……
DM違う。かなり平たい言い方をすれば、弱体化している神にとどめをさす物だ。
とどめ!? 復活させるほうじゃなくて?
一同うーん。(考えこむ)
神崎どっちにしても、やばい代物であることは間違いなさそうだな。
あの、ひとつ聞いてもいいですか?
志保「なんですか」
この鏡が二つは合わさったときに、ある街が滅ぶということを、ある人から教えてもらったんですけれど、それは……
志保「『滅びの予言』のことですね」
やっぱり、あるんですか?
志保「現在のところでは不確定要素が多すぎるため、未来は混沌として、私達一族の術者でさえも測りしれません。しかし…未来を切り開いて行くのは…あなたたちのような若い人達なのでしょうね…」
DM志保さんも苦しんでいる。争いを二度と起こさぬ戒めに祠っていたはずの天の鏡がうばわれ、それを取りもどすために、自分がしてはならないと説いていた戦いの中に孫娘を送り出さなければならない立場にいる矛盾にね。彼女は伝説をだれよりも知っていながら、一族の長として、伝説の言わんとすることを先頭に立って踏みにじらなければいけないんだ。
自己矛盾に陥ってるのか……。「志保さん、クレハコーポレーションってご存じですか?」
志保「いえ。初めて耳にする名前です」
そうですか。その会社の人達が、一度この鏡を譲って欲しいと言って来たことがあるんです。それで、なんで、その会社が鏡を欲しがるのかまったく分からないので、もし志保さんがご存じだったら、教えて戴こうと思ったんですけど。
志保「……あなたたちも、つらい思いをしてきたでしょうにね。こんなにつらい戦いに巻きこまれて…」
その話題が出ると、沈黙してしまう。
まりあ私なんか、その最たるものだ。
(うつろな声で)私には、もうなにも、必要のあるものはありませんから。
DM志保さんは悲しげな目で紫をじっと見つめ、それから優しく抱きしめる。
志保「もっとはやく……あの子も、比呂も、こうして抱きしめてやればよかった」
でも、今目の前にいるのに。
DMこんなことになる前に、という意味だよ。
志保(紫を離して)「あの子は一族の後継者として特に厳しく育てられて来たのです。私にもっと勇気があれば……あれを諦める勇気があったら、比呂を惨い目に合わせずにすんだかもしれないのに。取り乱してしまってごめんなさい。お気を悪くせず、どうぞ、また来てやって下さい。比呂も喜びます」
また来ますと言って、一応……
DMみんなが廊下に出て行こうとすると、志保さんが神崎をよびとめる。
真藤ひゅーひゅー
まりあ聞き耳を立てる。
神崎立ち止まります。「なにか?」
志保「……比呂は小さなころから同じ夢を繰り返して見ていました。それは、とてつもなく長く黒い帯に体をしめあげられ、身動きが取れなくなるというものです」
「あーれー」(笑)
真藤そのお代官様お止め下さいモードはおやめ!!
DMすんごく、長い時間かけて張った伏線なんだけどなぁ……(溜息)
真藤今のひとつの行動ですべてがぶち壊しになった。
ごめんごめん、続きをどうぞ。
志保「そのとき、腕に不思議な機械をつけた男の人が助けに来てくれるというのです」
白馬の、いやアームターミナルの王子様か。(笑)
志保「初めてあなたに会ったとき、比呂は大層驚いたと申しておりました。あの夢を見るのを比呂は恐怖半分、そして残りの半分は心待ちにしていましたから」
3人ひゅーひゅー。(笑)
神崎ははは……遠いところからひゅーひゅー聞こえる。(笑)
DMというところで、場面チェンジね。





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