SHIN-DigitalDevilStoryTRPG― "AWAKEN"


割り切れぬ思い


DM  (ころころとダイスを振る)病院の事件から、何事もなく10日経過しました。
れもん それだけ日にちがたっていたら、戦闘で受けたダメージも回復していてもいいよね。
DM  そうですね。全員、HP・MPともに回復しています。一応、悪魔を倒したので、経験値とマグネタイトが手に入るけれど、経験値はごみみたいなものだから後でまとめて集計するとして、先にマグネタイトだけ渡しておこう。
大桃  あんだけ苦労したのに、マグネタイトにしても微々たるもんやな〜(溜息)
れもん でも、うれしい。これでピクシーが召喚できる♪
桜   10日後といえばちょうどお盆休みよね。
晴信  俺の場合、お盆でもあまり普段と変わらないな。(苦笑)
桜   剣道場の師範代なんて、あまり休日と平日の違いがなさそうだもんね。ところで、私たちは、いつものバーにいるのかな?
DM  うん、全員ハーベストムーンに集まっている。
大桃  俺、思うんだけれどさ、交代で鈴子ちゃんを護衛したほうがよくないか?
DM  ちなみに、ポルターガイスト騒ぎの後、おかしなことがおこらなくなったというので、篠宮さん側は事件は終了したものと判断しています。大桃君は、鈴子さんの意識も回復した後の経過も順調で、記憶の障害を除けば特に異常が見つからないので、ちかごろ退院したということを、六道医師から聞いています。
桜   単なる記憶喪失と片付けられてしまったのね。
DM  まぁ、そんな風にカウンターでしゃべっていたら、からんとドアベルが鳴って、高校の制服を着た女の子が入ってくる。ごつい顔のチーフがちょっと驚いたように、「おじょうちゃん、もうちょっと大人になってからきてくれないかな」と困っている。(笑)
桜   こまってる、こまってる。(笑)
DM  少女はしばらく何か言いたそうにしていたけれど、君たちの姿を見つけると、ほっとしたような表情をうかべて小走りに近づいてくるね。クラブがえりらしく、スポーツバッグを持っている。
れもん おひさしぶり、三田村さん。(にっこり)
桜   チーフ、この子、私たちの知り合いなの。
大桃  今日のところは大目にみたってや?
DM  「悪い道に誘うなよ」と、チーフは君たちに少し怖い顔をしたあと、グラスみがきに戻るね。
晴信  どうしたの? こんなところにまで来て。
望   「実は、みなさんに聞きたいことがあって・・・」
桜   (引きつった声で)・・・どういった件で?
れもん まぁまぁ、話の前に、すわろ? ね?「チーフ、オレンジジュースひとつね」
桜   もちろん、ノンアルコールでお願い。
DM  前もって準備されていたんじゃないかと思うほどの手際よさで、彩りよくフルーツが飾られたきれいなグラスが望の前に置かれるね。彼女は緊張が少し解けたのか、珍しそうにグラスを眺めているね。
晴信  ちょっとは落ち着いた?
望   (軽くうなずいて)「鈴子が元気になって、病院も退院して、いいことばかりのはずなんだけれど・・・私、ずっと気になってるんです。あのときの「声」のこと」
一同  ・・・・・・
望   「鈴子のお母さんはとても喜んでるし、わたしもうれしいはずなのに、なんかモヤモヤが消えないんです。悪いこと、本当に全部、終わったのかな。私、あの声を聞いた人たちに、意見が聞きたくって、それで」
晴信  鈴子ちゃんは元気なんだね?
望   「私はまだ会ってないけど、鈴子のおばさんはそういってました」
桜   鈴子さんとは、本当に仲がいいのね。
望   「鈴子、昔から、きれいで、天使みたいだって言われてた。でも、人気があるからってそれを、ぜんぜん自慢にしたりとかなくて、誰にでもやさしくて、明るくて、私、鈴子のそばにいるだけでうれしかった」
晴信  その割には、高校では孤立していたような印象だったけれど・・・
大桃  近寄りがたい美しさってヤツやな。
望   (首を横に振って)「彼女、小学校のとき、お父さんの仕事の都合で東京に引っ越したんです。引っ越してからも、文通していたんですけれど、彼女、中学生のとき芸能プロダクションにスカウトされて」
一同  ほほぅ
望   「モデルの仕事をはじめてからは、あんまり手紙がこなくなっちゃったけれど、ときどき、雑誌とかで鈴子の写真とか見て、元気でやってるんだなって分かりました。でも、一年位前、お母さんと一緒に、また七山市に引っ越してきたんです」
桜   じゃあ、三田村さんは、かなり昔から付き合いがあるってことになるのね。
晴信  君以外にも昔からの友達がいっぱいいるはずだよな。鈴子さんは、その子たちにも、なんていうかな、その、人見知りをするような感じでふるまっていたのかな?
望   「鈴子、あまり笑わなくなってた。最初はまわりに集まっていた子もだんだん遠ざかって、鈴子も、それでかまわないって顔してた」
晴信  自ら孤立していったわけか。「ところで、鈴子さんのお父さんは?」
望   「東京で単身赴任してるって聞いたことがあります」
晴信  一度、父親について東京に行ったのに? なんで娘と母親だけが、またこっちに戻ってきたんだろう?
桜   (溜息混じりに)あまり、うれしくない推論ならあるんだけれどね。
晴信  推論?
DM  望は不安そうに桜のほうを見ている。
桜   前に鈴子さんが事故にあった、実験室に行ったとき、ほんのわずかだけれど、魔力の残滓があるような感じられたのよ。確か三田村さん、鈴子さんが英語ではないような、分かりにくい外国語の本を読んでいたと話してくれたわよね?
望   「はい」
桜   彼女は何らかの手段で、どこかから魔道書を手に入れて、魔道の実験をしていたんじゃないかしら。そして、彼女は「なにか」を呼び出したか、あるいは儀式に失敗するかして、あの事故が起こった、という推論なんだけれど。
望   「・・・儀式???」
晴信  あくまで推論だしな。また、彼女が実験を行っていたとしても、あの「声」との関連性は今のところみつからない。
桜   さらに言わせてもらえば、ひょっとしたら、彼女、やっかいなものを呼び出してしまったのかもしれない。そして、その「何か」が彼女の肉体を狙っている・・・て、ところかな。
望   「よく分からないけれど、あの声は、鈴子が呼び出したもの、ということなんですか?」
桜   確証はもてないけれど、いまのところ知りえた情報から、ひとつの結論を導き出すとすれば、この線あたりに落ち着くんじゃないかしら。まぁ、彼女が読んでいた外国語の本を実際に調べてみることができたら、一番はっきりするんだけれど。
晴信  鈴子さんが読んでいたの本は、学校の図書館にあったものなのかな?
望   (ころころ)「そこまでちゃんと見ていなかったんで、分かりません。図書室のラベルは貼られていなかったと思うけれど」
晴信  篠宮さんのところにいって確認してみないことにはな。「話はわかった。とりあえず三田村さんは、帰りなさい」
望   「鈴子、事故の前からずっと何か思いつめている感じだったんです。その上、あの気持ちの悪い声まで出てきて、このままだと、鈴子、どうなっちゃうの? 本当に、あの声に、体、とられちゃうの? 私、彼女を助けたい! おねがい、力を貸してください」
一同  ・・・・・・
晴信  ・・・鈴子さんを助けることはともかく、できたら君には首はつっこんでもらいたくないな。
望   「どうしてですか!?」(つめよる)
桜   ありゃ、くってかかられてるな。(苦笑)
大桃  こいつ(晴信)は君の命を心配して言ってるんや。
望   「・・・私は、役に立たないですか?」
晴信  いや、そういう問題じゃなくてだな。ほら、危ないし・・・
桜   まぁまぁ。危険にならない範囲で彼女に協力してもらうというのはどうかしら。クラスメイトとか、学校の人の話を聞いてきてもらったりできそうじゃない。
れもん そうだね。彼女がいれば、学校内の情報収集はずっと楽になるよ。
晴信  ・・・・・・。
桜   (望に向かって)じゃあ、そういうことでいいかしら?
望   「分かりました。あの、よろしくお願いします」
桜   (薄く笑って)こちらこそ、よろしく。
大桃  (パンと手をたたいて)まぁ、乗りかかった船やし、いけるとこまでいってみようかぁ!
晴信  (冷静に)どこまで?
れもん (わくわくと)どこまで?
DM  望も首をかしげて大桃を見ている。
大桃  ・・・とりあえず、明日、篠宮さんの家にいこかぁ。
晴信  意外と近かったな。(苦笑)
大桃  (聞き流して)ええと、三田村さんは、れもんちゃんに迎えに行ってもらおうか。ところで彼女、なにか部活しているんか?
DM  三田村さんは、空手部所属です。
桜   道理で私より力が強かったわけだわ。(笑)
れもん 五時すぎに校門の前で待ってるよ。もし何かあったら、私の携帯に連絡してね。(にこ)
大桃  三田村さん、部活のときに、ヒマがあったら聞き込みとかもしといてくれへんかな?
桜   何の?
大桃  いや、篠宮さんのうわさとか、さ。
晴信  別に必要ないんじゃないか。明日、本人の家に行くんだし。
大桃  いや、だからできたらでいいし・・・お、そろそろ、遅いし、桜ちゃん、三田村さんを送っていってくれへんか?
桜   いいけど・・・
晴信  (立ち上がって)まだ酒が抜けてないだろう。そう遠くないなら、俺が送っていこう。
大桃  あっきー、送り狼になるんやないぞ。
桜・れもん (声をそろえて)そんな、モモちゃんじゃ、あるまいし。
大桃  あのなあ!
晴信  付き合ってると、ますます遅くなる。いこう。
 望を促してドアをくぐると、晴信はたちまち夏の湿った夜気に包まれた。

DM  お盆で出かけている人が多いためか、人通りは少ない。望は晴信の後ろを黙ってついてくるね。
晴信  ・・・もし。
望   「え?」
晴信  もしも、大桃が言ったみたいに、練習中に時間があって、友人とかに聞くのもいいだろうけれど。
望   「はい」
晴信  あんまり、動かないほうがいいと思う。
望   「心配、してくれてるんですか? でも」
晴信  ?(振り返る)
望   「でも、私、鈴子のためになること、何かしたいんです」
晴信  してあげたい気持ちもわからないこともないけれど、そのために君まで危ない目にあったりしたら、また別の人が悲しむんじゃないか?
望   「・・・」
晴信  だから、あんまり危ないことはしないほうがいい。
DM  (おもむろに)はい、晴信君、精神力でチェックして。
晴信  へ??? な、なんで・・・????(といいつつダイスを振る)失敗しましたけど。
DM  はい、ありがとさん。(メモメモ)
晴信  なにが起こったんだぁぁ?
DM  まぁまぁ、あとのおたのしみってことで。望は「やさしいんですね」と言ってすこし笑う。晴信はその笑顔がすこしいびつな感じがしたね。というわけで、晴信はキャラクターシートの宿命のところに「属性の導き/カオス」を五点記入しておいてね。
晴信  はぁぁぁ。(理解不能のまま、いわれるがままに記入) いつのまにか、カオスな人間に近づいてしまった。
大桃  ふっふっふ、そういうことになってしまったんか、あっきー。
晴信  そういうことって、どういうことだよ。
大桃  つまり、愛に年齢は関係ないってことや!(一同爆笑)
晴信  まともな答えを期待したのが間違いだったか・・・
DM  まぁ、その他はとくになにも起こらないまま、この日は終わります。





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