霧のかかった車道に面した木製の門の横には、『信明寺』の文字が刻まれた札がかかっていた。門の両側はコンクリートのブロック塀になっており、外側からは、本殿の屋根を除いて、敷地内の様子は分からない。神崎 付近に、人影はなし?
リムジンから降り立ったPCたちは、正門の前で顔を見合わせた。
ぎこちない少女の案内に誘導されて、PCたちは本殿の隣にある家に通された。普段なら明るい日差しが差し込んでいるだろうと思われる広い和室に腰を落ち着けたとき、板敷きの廊下を、のしのしと軋ませる、重たげな足音が近付いて来た。神崎 白虎かも。(笑)
食器を並べる間に、神崎たちは、初対面の立花と真藤に、黄についての簡単な説明をした。まりあ ところで、赤ん坊って女の子?
いろいろ悶着があった末に、どうにか支度も済み、全員食卓についた。朝食というにはかなりボリュームのある黄の料理に圧倒されつつも、一同の箸は早いピッチで進んでいる。真藤 「メシー、メシー」(がつがつ)
解せぬ顔のPCたちに向かって、比呂は静かに語り始めた。
比呂 「私達の一族は、かつて天と地の二枚の鏡をまつってました。そのとき、鏡は術具であり、魔導器としての力をもっていたようです。しかし、一族内で鏡の所有者をめぐる争いが起こり、肉親同士が互いの血を流しました。人々の心の分裂と共に、天と地の兄弟もわかたれてしまったのです。その後、人々は己の愚かさを悟り、戦いは終結しましたが、地の鏡は騒ぎの間に行方知れずとなっていました。私の祖先は、二度とこのような過ちを起こさぬように、残された天の鏡を、後世への戒めの証として、大切にまつりつづけていたのです」
紫 「でも、これ(地の鏡)って、ほこらにまつられていたワケでしょ? それなのに、どうしてないことになってるの?」
比呂 「私達も弟鏡と地の鏡が同一の物であると気付いたのはつい最近のことです」
立花 「まあ、いいや。話を続けて」
比呂 「ですが‥‥一月前、何物かによって残された天の鏡を奪われてしまいました」
立花 「おいおい、またか」
比呂 「あれは太平の証。この地の、いえ、この国の守護の要たるものです。私は、一族の長たる祖母の命をうけて、鏡を探していました。そういうところに、あなたがたが、私のさがしている鏡によく似ているものをもっているという話を聞いたので、確かめにきたんです」
DM 比呂ちゃんは、「鏡をみせてもらえないでしょうか」と紫にたずねて来るけど?
紫 「いいよ、はい」
比呂 (しばらく見つめた後、溜息)「これは、やはり幻の地の鏡の方ですね」
立花 「なんで、幻なの?」
神崎 「長い間、みつからなかったからだろう?」
立花 「で、天の鏡と地の鏡の効用は?」(温泉じゃないんだから)
比呂 「氷川神社に地の鏡についての古文書があったように、天の鏡にも『天の巻』と呼ばれるものがあります。いま、おばあ様が、それを解読してくれているのですが、まだ分からない部分が多すぎて‥‥断片的なものでもよろしいのなら‥‥」
立花 「おしえてー」(さすが『オカルト知識』の所有者だな)
比呂は微かに頷くと、歌うように言葉を紡ぎ始めた。
「かつて、天と地は一つの物であった‥‥天と地は、あいわかれて争った‥‥天と地の間には『眠りについた神』がいる‥‥天は初まり、地は報せである‥‥天と地はそれぞれの鏡に役割を分け、時が至るまで、己が分身たちに力を分散させている‥‥」
紫 「そういえば、あのクモのお姉さん(土蜘蛛の化身)が、この鏡には邪気を払う以外の力があるって言ってたよね。そのことなのかな」
まりあ 「話が難しくてついていけない」
神崎 「だからって、眠らないように」
DM 比呂ちゃんは黄さんからクレハデパートでのことは全部聞いている。彼女自身、鏡がもつ力ということについては何も知らない。だけど、鏡を狙う勢力の存在−あのボディコニアンのことだよ−は危険視している。また、本当のことを言うと、一族の流れを組まない君達が『地の鏡』の後継者に選ばれたらしいということにも、わずかながら疑問に思っているふしがあるね。だからこそ、さっき紫が『捨てたい』って言ったときも、心配そうな顔をしたんだ。
比呂 (挑戦的な瞳で)「もともと、天と地の鏡は私達の一族がまつっていたもの。あなたが、手放したいと望むなら、私が引き取ります。それを狙う勢力があるというならなおさら、あなたがたのような部外者に迷惑をかけるわけにもいきませんし」
立花 「天の鏡はうばわれたんでしょ? じゃあ、あなたに渡したらまた奪われる可能性があるんじゃないの?」
比呂 (うつむいて)「それは‥‥そのことについては、返す言葉はありません」
真藤 「オレたちとしては、全面的にあんたを信用出来ない」
比呂 「はい」(目を伏せる)
DM 比呂ちゃんは、まじめだから。(笑) 自分が後継者の時に鏡を奪われてしまったことに、責任を感じて、かなり気負っている風がある。
真藤 (明るい声で)「‥‥じゃ、まぁ、とりあえず『天の鏡』をみつけようかぁ」
神崎 「広人、すっごくうれしそう」(笑)
比呂 (驚いたように)「協力‥‥してくれるんですか?」
真藤 「場所を教えてくれたら、行ってやらないこともない」
DM 場所はわからない。(わかってたら、こんなとこにおちついてないって)
一同 だぁぁっっ。
比呂 まともそうな二人(立花と神崎)の方を向いて「鏡はその力を分散させているっていう節を覚えてますか? 天と地の鏡は、それぞれの力を12分にしたようです」
神崎 「12個‥‥」
比呂 「でも、地の鏡は、既に第一の力を取り戻しているようですね。おそらく、あなたがたにその鏡を渡した者が、力の預かり手だったのでしょう。鏡は力を取り戻すときに、発光するはずですが」
紫 「したよ」
比呂 「鏡の真実の力を取り戻すためには、あと11回、力の預かり手から取り戻さなければならないということになります」
立花 「じゅういっこ‥‥十分多いわよ!」
紫 「じゃあ、あと11枚鏡があるの?」
神崎 「いや。バラバラになっている鏡の力を統括していくんだろう。パズルのように」
真藤 まりあが話についてこれなくなって寝てるな。「おい、寝てたらぬがすぞ」
女性3人 きゃーっっ
DM 比呂ちゃんの目が険悪になってます。
真藤 「ジョークだよ、ジョーク」あーあ、冗談のきかないコはコレだから。
比呂 (警戒した顔のまま)「おばあ様の話では、力が封印されているらしい場所にふたつほど、心当たりがあるそうです。一つは、井の頭公園。もう一つの場所は、あなたがたもご存じの氷川神社です」
紫 「氷川神社か。あそこ、たしか宝物殿があったよね」
立花 ところでさ、黄さんはなんでここにいるの?
DM 彼は、ここの居候です。(笑) 役得の『理解ある後援者』は、ここの住職さんだったのでした。
比呂 「天と地の鏡は本来一体の物。地の鏡が力を取り戻して行けば、きっと、天の鏡にも反応があると思います」(紫をじっと見つめる)
紫 鏡をにぎりしめる。(笑)
比呂 (静かな声で)「鏡をもつ限り、このまま正体不明の輩に命を狙われ続けられることになるかもしれない。その標的になるのは、あなた自身だけとはかぎりません。あなたの大切な人にも危害が及ぶことも十分に考えられます。その覚悟はありますか?」
紫 「‥‥これは、手放せない」
神崎 (頷いて)「それでいいと思うよ」
比呂 「私は『天』の後継者として、あなたたちが、地の鏡の力を取り戻せるのかどうかを見届けなければなりません」
立花 「で、あなたもついてくるの?」
比呂 「はい」
DM というわけで、比呂ちゃんが、仲間にくわわりましたー。(笑)
立花 またパーティーメンバーが増える。(笑)