SHIN-DigitalDevilStoryTRPG― "BIRTH"


表と裏


DM  では、目的の場所につきました。表には「地球の愛協会 生命の神秘支部」と書かれている。
穂之香 怪しすぎる。とりあえず入ろう。
綾小路 たのもーっ。
穂之香 それじゃあ道場破りだよ。(笑)
DM  入ってすぐは畳式の大部屋になっていて、中央には例のグラサンをかけた男性が座っています。
穂之香 あ、小岩井さんだ。
DM  小岩井は君達を見ると、なにかぶつぶつ呟いた後「我が協会へようこそ。君たちも入信をご希望ですか?」と聞いてきます。
今村  「ちょっと興味がありまして」
穂之香 「お話を聞きにきたんで〜す」
DM/小岩井 「それはそれは、何を聞きに来たのでしょうか」
今村  「どういう食品から、どういう食品に命の神秘っていうのがあるんですか?」
DM/小岩井 「どういう食品に、と言うことではないのです。食生活を変えることに、健康と幸福があると私たちは考えているのです。あなた方も、今の食生活は偏っているでしょう?」
穂之香 うーん、いっぱい。(笑)
綾小路 身に沁みて感じる。
今村  「食品を販売している訳ではないのですか?」
DM/小岩井 「そういう訳ではありません」
今村  「入会すると集団生活を送らなければならないのですか?」
DM/小岩井 「そういう事はありません。普通に生活して頂いて結構です」
穂之香 親切ぅ。
今村  「あなたは教祖なのですか?」
DM/小岩井 「いいえ、ちがいます」
今村  「開祖の方の話を聞きたいのですが、集会とかはないのですか?」
DM/小岩井 「近々、そういう予定はございません」
今村  (しばらく悩み)「マグネタイトってご存じですか?」
穂之香 いきなり確心づいたことを。(笑)
DM/小岩井 「それがどうかしたのですか?」
今村  「パソコン通信で、マグネタイトというものが、生態エネルギーと関係があるということを知って、マグネタイトという物質に興味がありまして、そちらの方でも取り扱っているのではないかと思いまして。実は、私がここに来たのは、教団に興味があって来たのではなく、マグネタイトに興味があってきたのです」
穂之香 「その関係で健康食品を作ってるんじゃないのかなぁって」
DM/小岩井 「その件に関しては説明しかねます」
穂之香 ということは知ってるんだぁ、と心の中で思っておこう。(笑)
今村  うーん、どうしよっかなぁ。やっちゃおっかなぁ。(意味深)
今村以外 何かたくらんでるな。(笑)
穂之香 「えっとぉ、また来たいんで、お名前を聞きたいんですけどぉ」(ぶりっこ)
DM/小岩井 「私は小岩井と申します」
今村  (白々しく)「あれ、小岩井さん、何処かで会いませんでしたか? あ、ほら、駅前で浮浪者を勧誘していた」
DM/小岩井 「はい、今は薬品会社の方で働いておりますので」
穂之香 「薬品会社にお勤めって、もしかして鈴木製薬ですかぁ」
DM/小岩井 「そうです」
穂之香 「最近有名になってますよね。私CM見てますぅ」
DM/小岩井 「それはどうもありがとうございます」
穂之香 「そういえば、鈴木製薬のドリンク剤って、有名ですよね」
DM/小岩井 「そうですね。最近ヒットしてますね。あなたもご使用になられましたか?」
穂之香 「えーっ、私はまだぁ、使ってないけどぉ」(笑)
今村  「本人と面と向かって言うのもなんですけど、あなたの会社に勧誘された人達が行方不明になっているということなのですが」
DM/小岩井 「そうですか? 私はそうは思ってはおりませんが」
穂之香 「勧誘された方は、あなたの会社で働いている同僚さんですよね」
DM/小岩井 「そうですね。そうなっているはずですね」
穂之香 「はず?」
DM/小岩井 「私は勧誘するだけが仕事ですから。そのあとのことは私からは正確なことはお伝えできません」
今村  ‥‥めんどくさいなぁ。いっちゃおっか。(腹の探り合いに飽きた)
穂之香 わかってるんだけど、どっから切り出そうかなって考えてたのに。(笑)
綾小路 まかせた。
今村  よし、出しちゃおう。ドンッと固形マグネタイトのビンを。(笑)「ま、こういうことだ」
DM/小岩井 (さすがに顔色を変えて)「おい‥‥それをよこせ! 貴様らにそれの価値は分からんだろうが‥‥それは我らのものだ! 聞いてるのか、おい!」
今村  「どうしてこんな物が大切なんだ? 答えないと壊しちゃうよん」(落とす素振り)
DM/小岩井 「それは我らの物だと言ってるだろうが!」
穂之香 「小岩井さん、これオレンジ味?」(一同爆笑)
DM/小岩井 (穂之香を無視し)「なぁ、それなら取引しようじゃないか。10万だす。これでどうだ?」
今村  「あなたが女性なら考えたけどな。残念だな」
DM/小岩井 「あくまでやり合おうというのか‥‥」
今村  「あんたがカラカラにした人達を元に戻すんなら考えてもいいけどな」
穂之香 佐藤のお父さんがいるから。(笑)
今村  そう、架空の人物。(笑)
DM/小岩井 「それをよこせ!」
今村  「あっそ、そういう態度にでるわけ」(ポイッとビンを投げる)
DM/小岩井 「きさま!!」
今村  (ひょいっと受け止め)「さあ、どうする? 壊すぞ」
DM/小岩井 「お、おのれ」
 今村を睨み付け呻く小岩井は、正体を現し始めた。鱗が、翼が、牙が生え、完全に異形の姿を現した。
穂之香 変身したぁ。
DM/小岩井 (狂ったように笑い)「見よ、この力を! 愚かな人間と悪魔がこうして我が血となり肉となったのだ! さて、お前たちも食べてやろう。安心しろ、そして喜べ。私と『ひとつに』なるのだからな」
穂之香 やだぁ。やっぱりこの人、人間食べてたんだぁ。
今村  あまり男と一つにはなりたくないな。
穂之香 ボク、部長さんと一つになりたくなぁい。(一同爆笑)
今村  またまたそんなこといって。(笑)
穂之香 だってぇ。
今村  「いまはそうでも、そのうちその気にさせてあげるさ」
穂之香 いや〜ん。(笑)
綾小路 模造刀を今村に向ける。(怒)
DM/小岩井 「貴様らぁっ、私を無視するなっ!!」(一同爆笑)
DM  これはギャグマンガか(笑)シナリオはまともなのに。とにかくイニシアチブだ。先手はこっち。攻撃はブフ。対象は今村。(笑)
今村  やっぱケンカうってたからなぁ。回避失敗。
DM/小岩井 ダメージは15点。
今村  痛い、残り2点。
穂之香 じゃあこっちだね。部長さんに「初の座」。9点回復したよ。
今村  サンキュ。
綾小路 攻撃、しかしミス。(笑)
今村  フロストを呼び出そう、あ、ダメだ。マグネタイトが足りない。(笑)固形マグネタイト使えるかな?
DM  今回やばいかもしれないから、許可する。
今村  でも、めんどいからピクシーにしとこう。ピクシーを呼び出した。
DM  じゃあ2ラウンド目。そっちから。
穂之香 鱗が生えてるの?
DM  うん。
穂之香 お魚さんみたいなの?
DM  羽も生えてるよ。
穂之香 あや?
DM  牙も生えてるよ。(笑)
穂之香 ほへ?
綾小路 いろいろ生えてるな。こっちの攻撃は命中。
DM/小岩井 回避失敗。
綾小路 ダメージ15。
今村  アナライズ成功。威力は5。
DM  『データーがありません』
今村  やっぱな。ピクシーはジオンガ。
DM/小岩井 25で回避できない。
今村  ダメージは25。
DM/小岩井 痛いな。耐久力チェックは成功。痺れない。次はこっちだな。前に出てる綾小路に攻撃。成功。
綾小路 回避失敗。
DM/小岩井 ダメージは18。
綾小路 痛い! 
穂之香 せーら、回復いる?
綾小路 いる。
穂之香 わかった、じゃあかけてあげる。
DM  次のラウンドはこっちから。えーっとザンだな。対象は綾小路。
綾小路 回避失敗。
DM/小岩井 ダメージは、14。(笑)
今村  生きてる?
綾小路 か、辛うじて。
穂之香 よかった。じゃあ「初の座」あ、ファンブル。(笑)
綾小路 治す気はないのか!
穂之香 そんなことないけどぉ、イベントチャートは23。
DM  MPの破壊。MPが0になるかわりに、戦闘中の悪魔のMPを残りMP分へらせる。っておい。(焦)
穂之香 23だけど。(笑)
DM  大丈夫だけど、こ、これはかなりいたい。
今村  ちょっと待て、ピクシーも?
DM  そう。
今村  あかん、死んでしまう。
穂之香 命運消費する。えっと、「初の座」はまた失敗。(笑)
綾小路 攻撃するべきか、マッスルドリンクを飲むべきか。
穂之香 攻撃したら? まだ残しといたほうがいいよ。
綾小路 わかった、攻撃は命中。
DM/小岩井 24で回避成功。
今村  前に出て防御集中。
穂之香 盾になるわけね。
 次のラウンドPC側の先手。穂之香はまたも「初の座」に失敗し、命運消費する。結果8点の回復。今村は防御姿勢を続行。ピクシーのプリンパは回避される。綾小路の攻撃はみごとに命中。
DM/小岩井 回避ファンブル。命運消費。次はこっちだな。今村に攻撃命中。
今村  クリティカルで回避。
 5ラウンド目。またもPC側の先攻。ピクシーは再びプリンパするも回避される。穂之香は静観。綾小路の攻撃は外れる。小岩井の攻撃はダムド。
穂之香 回避せいこーう。
今村・綾小路 失敗。
DM/小岩井 ダメージ12。
今村  残り1になった。ピクシーも。ピクシー次なおそう。
 6ラウンド目、小岩井の先攻。綾小路に攻撃。命中しダメージを18点与える。
穂之香 どっちから回復しよう‥‥連続で両方にかけちゃえ。(ころころ)両方成功、7点回復。
今村・綾小路 サンキュー。
綾小路 攻撃失敗。
今村  ピクシーをなおす。
 7ラウンド目、PC側の先攻。しかし穂之香の攻撃が成功した以外は成果が上がらない。小岩井はまたも綾小路に攻撃を命中させ、瀕死に追いやる。
 8ラウンド目は、小岩井の先攻。
DM/小岩井 ダムド!威力は13。
今村  回避成功。
綾小路 命運消費。
穂之香 後4点になった。(笑)「初の座」かける。自分はいいや。せーらに(ころっ)また失敗。(笑)
DM  やばくなってきたな。(笑)
綾小路 攻撃命中。
DM/小岩井 回避失敗。
綾小路 ダメージ15。
DM/小岩井 ちこっときた。
 9ラウンド目、小岩井の先攻。穂之香にブフを放つも回避される。穂之香は「初の座」をかけるもまたも失敗。命運消費するもさらに失敗。
穂之香 どうなってるのぉ。(泣)
DM  やはり鍵開けの方に才能が。(笑)
綾小路 攻撃命中、ダメージは14。
DM/小岩井 ちこっときた。「ふははは、その程度の攻撃など、我が力の前では無力よ!」
今村・穂之香 MPがない。
DM  そうそう、マッスルドリンクはHPとMPの両方が回復するからね。
穂之香 もってないぃ。(泣)
今村  試供品あげる。ポイポイ。(穂之香になげわたす)
穂之香 ありかとう。
 10ラウンド目、ピクシーを欠くPCたちは中々イニシアチブをとれず、小岩井側の先攻。しかし綾小路に回避される。PC側の攻撃もまたも穂之香は「初の座」に失敗、後の二人も成果があがらない。
 11ラウンド目。小岩井は残り少ないMPにも関わらずアギラオを穂之香に放つ。魔法回避の高い穂之香だか、ダイスの神様に見放されたか、回避に失敗し命運を消費する。今村の攻撃は失敗。綾小路はクリティカルを出すも、小岩井に回避され通常ダメージ。
 12ラウンド目。又も小岩井の先攻。綾小路に攻撃を命中させる。
綾小路 覚醒チェックは失敗、命運消費して、また失敗。もういい倒れとく。
今村  攻撃は失敗。ナゼ当たらないんだぁ?
穂之香 また「初の座」失敗だよぉ。(泣)
 何をしてもうまくいかないPC側をあざ笑うかのように、小岩井は多様な魔法と攻撃を命中させ、PC側の命運を削り取っていく。PC側も攻撃を命中させるのだが、厚い装甲に阻まれ思うように成果があがらない。遂に穂之香は諸刃の剣であるマッスルドリンクに手を出した。マッスルドリンクの副作用により、穂之香はダーク値を増やしていく。
穂之香 部長さん回復しようか?
今村  (暫く考え)いや、いい。聖良ちゃんを回復してあげて。
穂之香 じゃあせーら8点回復。
DM/小岩井 こっちの攻撃だな。(容赦なく)今村に攻撃、命中ダメージは18。
今村  HPが無くなった。覚醒チェック成功。命運消費で魔界魔法ジオに覚醒。
 続く綾小路の攻撃がクリティカルし、小岩井に大ダメージを与えた。一方小岩井はMPを使いつくし、魔法の使用が不可能になる。しかし、戦況は余り変わらない。今村もいま一つ攻撃があたらない。
穂之香 ボクだけじゃなかったんだ。(笑)
今村  二の舞になってる。(笑)
 PC側の命運の消費量はいっこうに減らない。小岩井はほぼ攻撃しか出来ない状態ではあるが、当たれば一撃がいたい。それに比べ、穂之香の回復は相変わらず成功せず、ダメージをうけるたびに命運を消費することになるからだ。
 あまりに戦況に変化がないため、穂之香も覚醒チェックを試みるが、あえなく挫折。
穂之香 気合がからまわりぃ。カラカラ。(笑)
綾小路 いい加減、回復成功させてくれ。(満身創痍)
DM/小岩井 へばってるところにだめ押しのザン。(笑)対象は今村。
今村  回避失敗。
DM/小岩井 ダメージは12。
今村  魔法防御が上がっててよかった、しかし残り2。血も滴るいい男。(笑)
穂之香 なんか違う。(笑)
 ピンチの筈なのに緊迫感がまったくないPCたち。雰囲気とは裏腹に、戦況は泥沼化になってきた。
今村  集中を1回増やそう。あたらなさすぎる。
 さらにラウンドを重ねること数回。今村の判断も功を奏し、目に見えて戦況が変わり始めた。
今村  ジオ、ダメージは9点。
DM  効いてる、効いてる。(魔防は低いので当たりだすとHPの減りがかなり早い)
綾小路 攻撃命中!
DM  うおっ、回避ファンブル。双方が激突、1D6のダメージプラス転倒。
綾小路 本来のダメージは‥‥
穂之香 いっぱいふってる。(笑)
綾小路 ふり足しで24点。(笑)
DM/小岩井 「ぐ‥‥ぐぐぐ」(血まみれ)
穂之香 で、二人とも転ぶの?
DM  そう。
今村  さあ、殴りに行こう。
穂之香 どっちを?
今村  両方。(笑)
綾小路 おまえなぁっ!
 残り少なくなったにもかかわらず、PCたちはなかなか止めをさせない。命中はさせるのだがダメージがチクチクとしか通らない。
DM  うおおおっ、チクチクチクチク。蛇の生殺しだぁ。(一同爆笑)
綾小路 ふっ、これがお前たちの罪の報いだ!!(笑)
DM/小岩井 「おのれぇ。貴様らもみちづれだっ」 
 小岩井は執念でPCたちにダメージを与えていく。しかし、その攻撃も命運の前には無力だった。そんな戦いに終止符を打ったのは、綾小路だった。
綾小路 攻撃はクリティカル!
DM  だめだ、それで死んだ。
PC達 やったぁ!!(歓声)
穂之香 ボク、命運全部使っちゃったよ。(笑)
 戦いが終わったとき、今村たちは満身創痍だった。だれもが死力をつくし、勝利をおさめたのだ。そんな彼らを憎々しげに見つめ、地に倒れながら小岩井は呻く。
 「バカな‥‥俺は悪魔どもの力を手に入れたのに‥‥悪魔をも越えた俺より強いとは‥‥貴様ら人間ではないな‥‥」
穂之香 え? そうだったの?
今村  (なぜか爆笑)
DM/小岩井 「‥‥フフ、まだ自覚はない、か‥‥‥‥‥‥」
 そう言い残し小岩井は息絶えた。
綾小路 「悪魔に魂を売り渡したお前に、俺たちが負けるものか!」
今村  でも満身創痍。(笑)
 今村たちが勝利の余韻にひたるまもなく、この場に新たな訪問者が現れた。3人の黒スーツの男たちである。
穂之香 もう戦えないよ。(泣)
 穂之香の呟きを無視し、男たちは吉原のほうを一瞥すると、
「吉原、君の任務は完了だ。さっさとここを立ち去れ。あとは我々が始末しておく」と言い捨てた。
穂之香 「よっしーさんって偉い人だったの?」
今村  「先輩、2万じゃやすいっす」
 今村たちに吉原が何かを答えるよりも早く、黒スーツの男たちは、今村たちの前に立ち、
「(証拠物件を指して)それは君たちの所有すべき物ではない。当方に引き渡してもらう」
と、高圧的な態度で言い放つ。
 今の自分たちでは、勝てない。今村たちは納得いかないものを感じながらも、男たちの言うように、証拠物件をわたす。
穂之香 「いいよ、こんな難しいの、私にはわからないもん」
 悔しさを噛みしめ穂之香は手帳と、メモを渡す。男たちの要求に答えるため、残り少ないマグネタイトを駆使し、ジャックフロストを呼び出した今村だが、穂之香の様子を見、同じく渡すために取り出したはずの、固形マグネタイトのビンのフタをおもむろに開け、
「ほらジャック、口を開けろ。これやる」
と、なんの前触れもなく、ジャックフロストに中身を食べさせた。
『ヒーホー、うまいぜ!』
何も知らないジャックフロストは、素直に喜んだ。そんなジャックフロスト横目で見、
「すまんな、手がすべった」
と、言ってのけた。男たちは無言で見ている。そんな男たちに気押されたようすもなく、男たちに食ってかかりそうな綾小路を抑え、再びジャックフロストに声をかけた。
「おいジャック、俺のコンピュータの居心地が良かったら、また戻ってこいよ。ひとまずはお別れだ」
『おう、ニイチャンたちのことはわすれないぜ。』
ジャックフロストも言葉をかえす。その言葉に重なるように、今まで無言を守っていた綾小路が口を開いた。
「これで全部返したんだ。俺たちの身の安全は保証してくれるんだろうな」
怒ったような声で言う綾小路に、
「それは保証しよう、さっさとここを立ち去れ」
と、突き放すように答える。
納得出来ないものを感じながらも、今村たちはさっさとその場を後にした。外に出る前に、穂之香は振り返ってさけんだ。
「ヒーホー君、大きくなって帰ってきてね!」
それだけを言うと、みんなの後を追って走っていった。



     
エピローグ

 秘密工場を後にし、しばらく進んだ所で、綾小路は口を開いた。
綾小路 「吉原、あんた一体何者なんだ?」
 吉原は、綾小路の問いに肩をすくめ、「俺はなにもしらん。見ざる、言わざる、聞かざるさ」と答えた。
穂之香 「よっしーさん、ずるぅい」
今村  「えらいな」
 まったく反対の言葉を2人が口にする。そんな2人に苦笑しながらも、吉原は、「さあ、かえるか」と延び延びと言った。そこまで言ったところでふと思い出したように、
「あ、そうそう、金を払わないとな。ほい、2万円。ご苦労さん。ひとまずは解決だ」
一人一人に金を渡すと、吉原は手を振って去っていった。
「ヒーホー君、どうなるのかな?」
吉原を見送った後、穂之香はポツリと呟いた。
「さぁ、やっぱ‥‥」
『かき氷か!』
3人は声をはもらせてそう言うと、誰からともなく笑いだした。
「ま、大きくなって帰ってくるんじゃないの?」
「あいつがそう簡単にかき氷になるはずがない」
「そうだよねぇ。ヒーホーくんだもん」
それぞれがそれぞれの結論を出し、家に向かって歩いていく。元の日常生活に向かって。

 一時的な非日常。それによって得た物は多く、また、代価も多い。

 それからしばらくして、マッスルドリンクの売れ行きは、目に見えて悪くなり、ついに発売が中止された。鈴木製薬も、赤字を出し倒産。また、生命の神秘派の存在もいつしか忘れ去られていった。原因は誰にも分からない。ただ結果のみがマスコミで放送される。

「ま、世の中こんなもんだな」
部室のテレビを眺めながら、今村は呟いた。あれから時が流れ、3月も終わりになろうとしている。東京には珍しく、今日は雪が降っている。
「大学決まったって? 俺たちを部活に引きずり込んだ張本人」
「おう、春休みなのにお前もひまだな。また姉貴が怖くて逃げてきたのか? 聖良ちゃん」
「その名で呼ぶなといっただろうが!!」
例の事件で知り合った綾小路とは、未だに腐れ縁のなかである。そしてもう1人。
「せーら、部長さん!! 駅前の公園で、大きな雪だるまが、雪だるまを降らせてるんだって!」
元気よく部屋に駆け込んできたのは、同じく腐れ縁の穂之香である。
「大きな雪だるまって‥‥あいつか?」
「あいつだな」
「ヒーホーくん!」
顔を見合わせると、笑みを浮かべ、
「じゃああいつを迎えにいくか」
すくっと立ち上がり、外を見る。雪は更に激しく降くる。楽しそうに踊りながら。
「雪で動けなくなる前に、いかないとな」
その言葉を最後に、部室を後にする。
消し忘れのテレビが次のニュースを伝えはじめた。
『○○公園の上空に、突如、巨大な雪だるまが現れました。東京一帯の大雪はこの雪だるまが原因と思われ‥‥‥‥』
 彼らの非日常的な生活は終わらない。終わりがあれば、始まりがある。それはすべてにおいて言えること。今日が終わって明日があるように。


E・N・D



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