「FMN」EXシリーズ第12話です。
どうぞ!!
第12話「夏の思い出」
美瑛に本格的な夏がやってきました。
丘を通る道路には、あちらこちらに逃げ水が出来ています。
空には、存在感たっぷりの入道雲が真っ青な空に浮かんでいます。
夏休みも、1週間が過ぎようとしています。
初めて東京からこの美瑛に来た時、夏休みが短いのでびっくり
した思い出があります。
なんでも、北海道は冬の寒さが厳しいので、夏休みが短い分
本州の学校よりも冬休みが長いんだそうです。
昨日・・・・橘さんから電話があって「近い内に行けるよ」って
言っていました。
そんな或る日。私は家の近くの道を歩いていると・・・・・
「あれ?おばあさんどうしたんですか?」
「あいたたた・・・・いえね。腰をちょっと・・・・・」
歩道の沿石に座り込むお婆さんを見かけて声をかけたんです。
「大丈夫ですか?」
「ええ、少し休んでいればなんとかね・・・・」
この時、私はお使いを頼まれて近くのお店まで行く途中でしたが
このお婆さんが心配になって、付き添うことにしました。
「お婆さんのお名前は?」
「私の名前は「前田みよ」っていうんじゃ。」
「お婆さんは、ここいら辺に住んでいるの?」
「ええ、長年この美瑛に住んでいるよ。」
「へぇ・・・・」
「昔は、本当に大変じゃった・・・・・」
「どんな感じだったの?」
私は、腰の様子を心配しながらお婆さんの話を聞いていました。
「この美瑛の丘は今でこそこんな立派な道路が出来たり
しておるが、その昔は馬車が走っておった。」
「へぇ〜馬車ですか・・・・」
「おぉ・・・・道もジャリ道でのう。まぁ、車が無い分
のんびり走っておった。」
私は、この道を馬車が走る情景を想像していた。
「んだども、何分きつい道だべさ。馬が登り坂さ
登る時は、大変難儀しとった。」
「へえ・・・」
「畑だってそうさ、今でこそこんなに水捌けが良く
なったけんど、昔は大変だったよ。」
確かに美瑛の丘状の畑は観光のお客さんには非常に
壮観に見えますが、実際そこで農作業をする人達に
とっては、大変な畑です。
「今でこそ便利になったけど、昔はほとんど人力か
馬に農具を引かせてたんべや。」
「馬で・・・・」
それからお婆さんはいろいろな事を話してくれました。
何度か、雨でひどい被害に会った事とか身の回りであった
うれしい事・・・・聞いている私も嬉しかったり、悲しく
なったりしました。
こうして・・・・
「んだば、腰の方も落ち着いてみたし、行ってみっかな。」
「じゃぁ・・・・気を付けて・・・・・」
「ああ、お前さんもよく付き合ってくれたな。あんがとさん。」
おばあさんは、腰を上げると向こうの方へと歩いていった。
私は、その姿をしばらく見送っていたけど・・・・・
「あれ?」
しばらく行った先の道路でその姿は、見えなくなりました。
その方向に向かって走って行っても、お婆さんの姿はどこにも
見えませんでした。
「あのお婆さんは、いったい・・・・」
実に不思議な事があった、夏の一日でした。
EXシリーズ第12話 おしまい。

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