EXシリーズ第5話です。
どうぞ!!
第5話「グローリー・アニバーサリー」
北海道も夏に向かおうとしているそんな季節・・・・
私にとって年に1度しかない大切な日がやってきます。
今日は5月19日・・・・
私の16回目の誕生日です。
他の人には取り立てて気に止めない・・・・
もちろん、お父さんお母さんにとっては別ですけど・・・
私だけの特別な記念日。ある人にとっては、物凄く楽しみな日。
またある人にとっては、あまり嬉しくない日。
人それぞれ色々な気持ちがあるけど、私はこの日が一番嬉しい
日なんです。
いつものように、朝の搾乳が始まりました・・・・。
「めぐみ、鼻黒2号の方の餌が無かったぞ。」
「うんわかった。」
私は、直ぐに鼻黒2号の方に餌を持って行きます。
「よーし。あとは、ちゃんこの搾乳でおしまいだ。」
こうして、愛田牧場の朝は過ぎようとしています。
「わぁぁ、もうこんな時間になってたの。」
「はい、これ食べててってね。」
「うん、わかった。行ってきま〜す。」
お母さんがオニギリを作ってくれました。
「じゃぁ、里沙ちゃん。行ってくるね。」
「アァウィ〜」
6ヶ月を向かえた里沙ちゃんが答えてくれます。
それまでは、赤ちゃん赤ちゃんした感じでしたが
順調に大きくなっています。
「クロちゃんも行ってくるね。」
「にゃぁ〜」
「荒井さんも、行ってくるね。」
荒井さんは、朝ご飯を食べてる途中でしたが顔を持ち上げて
見ていました。
私は元気良く、家のドアを開けました。
「よ〜っし、今日も元気に頑張ろう!!」
高校は、今まで行っていた中学校よりも遠くなるので
バスで通っています。
この間が朝食の時間になります。
「うん、やっぱりお母さんのおにぎりはおいしい。」
高校に着くと、親友の美穂ちゃんとちはるちゃんがいました。
「おはよ〜っ。」
「おはようめぐみ。」
「おはよ〜、今日も天気いいね。」
いつもの様に朝の挨拶。
「そういえば、今日ってめぐみの誕生日だよね。」
「え、覚えてたんだ〜。」
ちゃんと、私の誕生日を覚えてくれていたらしく嬉しかった。
けど・・・・
「あれ、そうだっけ?」
「そういえば〜そうだったけかなぁ〜」
「2人してひど〜い。」
「うそうそ、ちゃんと覚えてるよ。」
「私も。」
「もっとひど〜い。」
「ごめんね。私もちはるも忘れてないよ。」
「うんうん、ちゃんとプレゼントもあるし・・・」
「ありがとう。」
「それにしても、めぐみも16才かぁ〜大きくなったのぅ〜」
「本当にねぇ〜ジイさんや・・・」
「あのね〜。」
「ちょっとしたおちゃめなんだからさぁ。」
「うん、2人ともありがとう。」
そう言って3人で笑っていました。
学校の授業はいつもと同じ様に進んで行きました。
もっとも、他の人にとっては、5月19日という365日
その年によっては366日の中の1日の事なんですから・・・・
家に着くと、今度は夕方の搾乳の時間がやってきます。
牛さん達は、こうした決まった時間に搾乳するのが決まりなんです。
「チョロちゃんは、機嫌がいいみたいね。こんなにミルク
出してるよ。」
私も牛さん達の世話をする様になって牛さん達のご機嫌が
わかる様になってきました。
まだまだ、お父さん程じゃないけど、私も愛田牧場の一員と
して頑張っています。
「ふぅ、今日も終わったね。」
「ああ。それじゃぁ、お風呂に入っといで。父さんはもう少し
やっていくから。」
「は〜い。」
さすがに牛さん達の世話は大変です。
搾乳が終わると汗でビッチョリになってしまいます。
こういう風に頑張った後のお風呂はとっても気持ちが良いんです。
「はぁ〜今日も、頑張ったぞっと!!」
お風呂の中で大きな伸びを一つしました。
髪を乾かして居間に行くといろいろとご馳走が用意していました。
「ちょっと待っててね。もうすぐ支度が出来るから。」
「は〜い。」
「そうそう、橘さんからも荷物届いてたわよ。」
「え、本当?」
「そこにあるわよ。」
「これだね。」
私は、橘さんから来た包みを開けました。
「うわぁ〜かわいい。」
その中にあったのは可愛らしいデザインの腕時計でした。
「おかあさん、ちょっと電話借りるね。」
「いいけど、もう少ししたら始めるわよ。」
「うん、わかってるって。」
私は、橘さんに電話をしました。
トゥルルルル・・・
「もしもし、橘です。」
「こんばんは、めぐみです。プレゼントありがとう。」
「うん、めぐみちゃんも誕生日おめでとう。」
「この時計とっても気に入っちゃった。でも買う時、恥ずかしく
なかった?」
「うん、ちょっとね。」
電話の向こうでも橘さんが照れくさそうにしてたのが解りました。
「勉強、頑張ってる?」
「うん、なんとかやってるよ。」
「進路・・・・決まった?」
「う〜ん、まだなんとなくだけどね。」
「私、応援してるから頑張ってね。もうすぐ晩ご飯だから
これぐらいにするね。」
「うん、めぐみちゃんも頑張ってね。」
「うん・・・大好きだよ。じゃぁね。」
私は、電話を切ると再び居間の方に行きました。
「よ〜っし、じゃぁ始めましょう。」
「うん。」
「じゃぁ、めぐみ。お誕生日おめでとう。」
「おめでとう、めぐみちゃん。」
「ありがとう、お父さん。お母さん。」
里沙ちゃんも私のそばでちょこんと座っています。
「里沙ちゃんも、ありがとうね。」
こうして、私の誕生会は進んで行きました。
少し経って・・・・
「はいっ、これはお父さんとお母さんからのプレゼントよ。」
「ありがとう、お父さん、お母さん。」
「後で、開けてみてね。」
「うん・・・でもどうして?」
「さぁ、なぜでしょう?」
お母さんは、何かを隠しつつ笑っていました。
そんなこんなで、誕生会も終わって私は自分の部屋に
戻ってそのプレゼントを開けてみました。
「わぁ〜っ。」
そのプレゼントの中身は白いパンプスと口紅でした。
そして、一緒にカードも入っていました。
それにはこんな事が書かれていました。
めぐみちゃんへ。
16才のお誕生日おめでとう。
お父さんもお母さんも、めぐみちゃん元気に育って
くれて本当に嬉しいです。
プレゼント気に入ってくれましたか?
めぐみちゃんも、16才になって少しずつ大人の女性に
近づいて行ってるって事で、このプレゼントを送ります。
素敵な女性になってね。
父と母より。
私は思わず感動してしまいました。
白いパンプスは、とても素敵なデザインでした。
これなら、私も素敵な女性になれるかな?
口紅の方は、ほんのりピンク色で嫌味の無い素敵な色
でした。
私は、鏡の前でその口紅を付けてみました。
「う〜ん、どうかな?」
私は鏡に写っている自分を見ていました。
こうしてると、小さい時にお母さんの口紅をこっそり
塗った事を思い出しました。
「あの時は、口紅が取れないって、泣いてお母さんの
所に行って結局バレちゃったんだよね〜。」
ふと、懐かしい事を思い出していました。
「口紅は・・・・まだもう少しかな・・・・?」
私は、その口紅を机の引き出しにしまいました。
そして、私は履いたままのパンプスをみつめて思いました。
これだけある毎日の中のほんの1日だけど、私はこの日が一番
大好き・・・・だって、私が生まれた日、そして・・・・
私が少しずつ大きく成長していく日なんだもの・・・・・
そう思いつつ、今年の誕生日は過ぎて行くのでした。
来年のこの日、私はどんな風に成長してるだろう?
きっと、もっと素敵になれるといいなぁ〜。
EXシリーズ第5話 おしまい。

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