『FMN』第11章です。
第11章『はじめまして・・・。』(前編)
めぐみ>
今日は、いそがしい1日になりました。おかあさんの
お腹の中にいる赤ちゃんが、生まれそうなんです。
私が学校にいる時にお父さんから電話が掛かってきて
保険の先生が呼びに来たんです。
『無事に生まれてほしい。』
帰り道中、そんな事を祈りながら急いで帰ってきました。
耕作>
その日はお昼をすまし、午後の仕事に出ようとした時
急にお母さんが座り込んでしまったんだ。
『産まれそうなの。』
私は、里子をソファーに座らせて車を出す準備をした。
陣痛の感覚が徐々に短くなっている。
私は急がないとと、焦っていた。
めぐみ>
家に帰ると、お父さん達は、もう出た後で
テーブルの上には、入院先の住所と電話番号。そして
出ている間にして欲しい事を走り書きしたメモが置いて
ありました。
とりあえず、搾乳があるので、いつもお世話になって
いる近くの家の人に事情も話して、手伝ってもらい
ました。
『すみません。』
『いいって、それにしてもめぐみちゃんも行かなくて
いいのかい?』
『本当は、すぐにでも行きたいけど牛さん達もちゃん
と世話をしないとなんないですから。』
『そうかい。したら、ケッパって早く終わらせちゃおう。』
『はいっ。』
手伝いに来てくれたおじさんも頑張ってくれたおかげで
いつもより40分位早く片付きました。
搾乳を終わらせた私は、早速タクシー会社に連絡した。
『愛田牧場まで、一台お願いします。』
『はい、わかりました。』
『赤ちゃんが産まれそうなんです。』
『はい?』
『あぁ〜いえっ、私じゃなくて・・・。』
『はい、わかりました。急いで向かいますね。』
『お、お願いします。』
あまりに急いでいたので、気が動転してしまって
つい、変な話になってしまいました。
耕作>
里子の陣痛の周期は、更に短くなってきている。
赤ちゃんが生まれるのが近くなって来てる証拠だ。
私は、待合室で手を握り励ましていた。
そんな時ふと、思ったがめぐみはちゃんと頑張って
いるだろうか?
『大丈夫よ。』
『えっ?』
そんな私の表情を察したのか、里子が声を掛けてきた。
『めぐみの事でしょ。』
『ああ、一応近所に応援を頼むようにメモに
書いてきたけど・・・』
『あの子。あわてんぼうだけど、ここぞ!って時には
しっかりしているから。』
『そうだな。ちゃんとやってくれるな。』
『うん。なんてったって、もうすぐお姉ちゃんに
なるんですもの。ねぇ・・・。』
里子は、お腹を優しく撫でながら言っていた。
『ああ、そうだな・・・。』
めぐみ>
家から病院まで約一時間。タクシーの中で、私はずっと
両手を組んで祈っていた。
『赤ちゃん。産まれるんだって?』
『へっ?、そうです。お母さんが今病院に・・・。
でも、どうしてそれを?』
『会社の無線で流れて来たんだ。愛田牧場さんまで
大至急ってね。』
『そ、そうですか・・・。』
私は、電話をかけた時の事を思い出して顔が真っ赤に
なってしまった。
『それじゃぁ、お姉ちゃんだね。私の所と同じだ。』
『えっ?』
『もっとも、私の所は孫の事だけどね。最近男の子
が産まれたんですよ。』
『そうなんですか。』
この運転手さんの所でも最近赤ちゃんが産まれたらしい。
『したら、上の女の子が張り切っちゃって『お姉ちゃん
だから、いっぱい面倒みるんだ!』って言ってたんですよ。』
『かわいいですね。』
『ああ、そりゃぁもう・・・。その為には、私も頑張らなけ
りゃって、思ってるんです。』
『そうですね。』
その時の運転手さんの顔はとっても嬉しそうだった。
『それじゃぁ、安全運転で急ぎますか!』
タクシーは一路、病院に向かって走っていった。
耕作>
いよいよ陣痛の期間が短くなって、里子は分娩室に
運ばれていった。
私が今言える事・・・。
『2人とも無事でいてくれ・・・。』
めぐみ>
タクシーは、お母さんのいる病院に就いた。
赤ちゃんはもう産まれたのかしら。
私は、そう考えていた。
『ありがとうございます。』
タクシーに料金を渡し、降りようとした時、
運転手さんが
『元気な赤ちゃんが産まれるといいね。』
『はいっ、ありがとうございます。』
そう言ってタクシーを降りると走り出していった。
『どうか無事に産まれますように・・・。』
待合室の椅子にはお父さんがいた。
『お父さん。』
『おお、めぐみ。』
『赤ちゃんは?』
『まだだ。』
そう言って、お父さんが見上げた方を見ると
分娩室の明かりが付いていた。
後編につづく。

このイラストはAsiAAquAさまの方から
第11章のイメージイラストとして頂きました。
毎回、無茶な設定(笑)をしているのですが
イメージ通りに描いて頂いて、本当にありがとう
ございます。
(載せるのが、遅くなってごめんなさい。)

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