FMN第2章です。


第2章『夏がくれたもの』

あの夏の日も過ぎ、お盆が終わる頃・・・。
また、いつもの学校生活が始まった。
北海道では冬休みも長いので、夏休みは本州
の人達より、少し短いんです。

ひさびさの学校、教室、友達・・・。
今年の夏休みはそんな感じがしていた。
『おはよ〜、めぐみ』
『あ、おはよ。』
友達とのあいさつも久しぶりだ。
教室の中は、おなじみの面々が揃っていた。
いつも通り元気な子、日焼けをしている子
少しだけ、雰囲気の変わった子・・・。
本当に、この夏はいろいろあった。
『よっ、めぐみ。おはよ〜』
『おはよ〜』
『ねぇねぇ、聞いた?』
『なに?』
『アッチね〜。この夏休みの間に彼氏と・・・
『キ・ス』したんだって。』
『キ、キス〜』
『そ、キス』
私は、耳まで真っ赤になってしまった。
『そんなに真っ赤にならなくても
いいでしょ。』
『だ、だって〜』
私は、アッチと呼ばれている女の子の方を
見てみるとその回りには興味津々な女の子達が
机の回りを囲んでいた。
私も、聞いたことがある。アッチの彼は1つ上
の高校1年生で、とてもやさしい人らしい。
『いいよね〜っ、んで・・・』
『なによ?』
『めぐみは、どうなのよ?』
『え、え〜っ』
『やめなよ。めぐみは、そういう件に関しては
オクテなんだから』
『だって、メグをからかうとおもしろいん
だもん。』
あ〜っ、びっくりした・・・。
確かに、私にもあの出会いがあった。
(と、自分だけ思ってるのかも知れないケド。)
橘さんの方は、まだ夏休みなんだよね。
『めぐみ・・・?』
『あぁ〜ぁぁっ、なんでもない!!』
『何も、言ってないって』
『あぁ、そう・・・。』
ふいにあの人の事を考えていたら話しかけ
られたので、慌ててしまった。
『めぐみ、『背』ちょっと伸びてない?』
『え?わからないけど』
『あとで、保険室に行って計ってみない?』
『うん』
そんな事で、私達は次の休み時間に保険室に
行ってみた。
『どうですか?』
私は、保険の先生に聞いてみた。
『そうね。1cm伸びてるわ』
『本当ですか?』
私はうれしくなった。たった1cmだけど
私にとっては、うれしい1cmだった。
というのも、私には身長に関してのコンプ
レックスがあったからである。
背が小さいから、整列はいつも一番前・・・。
しかも、腰に手を当てての前ならえ・・・。
それが嫌だった。今日、背が1cm大きくなっても
変わらないけど、なんだかうれしかった。
そして、あの人に報告したかった。
でも・・・。
私は、内緒にしておこうと思った。今度冬に来た時
までのお楽しみにしとおこうと思ったからだ。
『めぐみ、行こ。めぐみ・・・?』
『あ、あぁぁ、うん。行こう』
こうして学校も終わり、家に帰ってきた。
『ねぇ、お母さん。今日ね、私身長が1cm大きく
なってたんだよ。』
『そう、良かったわね〜』
『うん!!』
私は、部屋に戻りクロちゃんや荒井さんにも報告
した。
クロちゃんは、『ニャァ〜』って鳴いただけ、荒井
さんは、何も言わなかったけど解ってくれると思う
し、とにかく話したかった。
『おう、めぐみ。帰ったか』
『うん。早速、搾乳手伝うね。それとね・・・。』
私はお父さんにも1cm伸びた事を話した。
『そうかぁ。父さんも自分の事の様にうれしいよ』
『本当?お父さん』
『ああ、そりゃそうさ』
お父さんも、嬉しいらしかった。私が小さかった頃
わたしたち家族は、東京から引っ越して来たんだけど
その頃は、私も病気がちで大変だったらしい。
そんな事もあって、今こうして、元気でいる事が
嬉しかったのだろうと感じていた。

そして、夜・・・。
いつものように、星空をみていて・・・。
『あの人と今度会う時まで、私の『背』もっと大きく
なっているかな?』
そんな事を思いながらつぶやいた。
『また、あの人に会うまでの楽しみが出来ちゃった。』


第2章イメージイラストです。
(提供:AsiAAquAさま)


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