第3章『秋の星空のしたで』
夏が過ぎ、秋も深まり、私もそろそろ
本格的に受験に立ち向かう季節に
なってきました。
『めぐみ、勉強もいいけど程々にね。』
『は〜い。もう寝ます。』
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時計も12時を回り、深夜と呼ばれる時間
になっていた。
クロちゃんは、部屋の隅で丸くなって
眠っている。
そんなある日・・・。
『めぐみちゃん!』
『もういいよ!』
ひさびさに、親とケンカしてしまった。
きっかけは、ほんの些細な事だったのに
私は、そのまま部屋に篭ってしまった。
『お母さんのバカッ』
私は、ベットに横たわり泣いていた。
ただ、何に対して悲しかったのか解ら
なかったけど、ただただ涙が出てきた。
そんな時、部屋のドアがノックされた。
『めぐみちゃん、入っていい?』
私は答えなかったが、部屋の鍵は開けて
あった。
そのまま意地を張って、黙ってようか
そう思っていたけど、そう出来なかった。
私は、お父さんに似たのか、自分の思った
事に対しては、頑固になってしまう性格
があった。
『めぐみちゃん。さっきは言いすぎちゃ
ったわね。ごめんね。』
私は、まだ黙っていた。
『お母さんも、今おなかの赤ちゃんの為に
一生懸命頑張っているから、めぐみちゃん
にきつくあたっちゃったの。』
まだ黙っていようと思ってたけど・・・。
『こうしてると、めぐみちゃんが私の
お中にいた時の事思い出したの』
その言葉に、私の意固地になっていた心の
鎖が解けていった。
『私の時は、どうだったの?』
そうお母さんに、聞いてみた。
『そうねぇ、めぐみちゃんがおなかの中に
いた時は、元気な赤ちゃんだったわ。いつ
も、動きまわってて、お父さんが男の子
かもしれないって言ってたわ。』
『おとうさん、ひど〜い』
いつの間にか私は自然と笑っていた。
『それでも、うまれたのが女の子だった。
でも、お父さんもお母さんも本当にうれし
かった。』
『本当?』
『ええ、無事に生まれてくれた事、それが
何よりもうれしかったから』
お母さんとの話は、更に続いた。
『でもね。あなたが小さい頃、アトピーに
なった時は、本気で心配したのよ。痒くて
眠れなかったあなたを横で一緒に寝かせた
事もあったし。』
『確かに、あのときは痒かったんだぁ』
『それでここに越してきて、本当に良かっ
たと思っているの。』
『そうだよね。私も、美瑛が大好き。』
『お父さんと酪農を始めた時は、いろいろ
大変だったけど、今では楽しいのよ。』
『私も、頑張ってるもん。』
『そうよね。めぐみちゃんも受験と手伝い
で大変だものね。』
まだ、話は続いていた。いつの間にかに
さっきまでの怒りが消えていた。
『橘さんも、来てくれて今年の夏は助かっ
たは、今だから言うけど荒井さんの所に
会いにいってた時、お母さん心配でこっそり
橘さんにお願いして、めぐみちゃんについ
ていってもらったのごめんね。』
『そうだったんだぁ、いいよ気にしてない。』
私の知らなかった事も話してくれた。
『あの人、いい人ね。』
『えっ。』
私は、ドキッとした。
『あんな人が、めぐみちゃんのお婿さんなら
って思って・・・。あの人、お父さんの若い
頃にそっくり。』
『本当なの?』
『ええ、誰よりも相手の事を大切にして、
何事にも一生懸命で・・・。』
『へぇー。』
『また、手伝いにきてくれるといいわね。』
『うん!ねぇ、お母さん?』
『なに?』
『おなか大丈夫?』
『ええ、元気よとっても』
私はお母さんのおなかにそっと手を添えて
みた。その時、ビクッとおなかが動いた。
『いま動いたよ。』
『そうね、おなかの赤ちゃんがお姉ちゃんに
挨拶したのかもしれないわね。』
『そうだね。男の子かな、女の子かな?』
『私は、めぐみちゃんと一緒で元気で生ま
れてくれる事だけが願いなの。』
『そうだよね。私もお姉さんになるんだから
頑張らなくちゃ。』
『頑張るのもいいけど、体は気を付けてね。』
『わかった。お母さんもね。』
『わかったわ、私はもう部屋に戻るわね。』
『うん、わかった、オヤスミなさい。』
『はい、おやすみなさい。』
そう言って、お母さんは部屋に戻っていった。
お母さんが出ていった部屋の中で、私は考えて
いた。お父さんも大変、お母さんも大変。みん
なが、大変だけど頑張ってるんだよね。私も
頑張らなくちゃ。
そう言って、私ももう一頑張りするために机に
向かった。
『頑張るね、私。』
私は、机に置いてあるフォトスタンドに向かっ
て微笑んだ。

このイラストはAsiAAquAさまから頂きました。
第3章のイラストです。
めぐみちゃんがお母さんと喧嘩してしまい。
その後で涙ぐんでちょっぴり後悔しているイメージです。
