第5章『雲の行き先』
美瑛もすっかり秋の空に変わろうとして
ます。橘さんさんからも
『最近、涼しくなったね。』
という話をしてました。
そんな、ある日。家にお客さんが
来ました。
『すみません。雨降ってきたんで雨宿り
させてくれませんか?』
玄関には、雨に濡れている女の人が
いました。女の人はいわゆるライダー
スーツを来てました。
私は、お母さんに話して、取り敢えず
家に上がってもらうことにしました。
『はいっ、タオルどうぞ。』
『あっ、すみません。』
女の人は、お母さんからタオルを受け
取るとそのショート気味の髪の毛を拭い
ていました。
『そうなの。わざわざ内地から。』
『内地?』
『あぁ、いえ。本州の事なんです。』
『ええ。』
内地というのは、北海道の人が、本州とか
の事を表す、一種の方言みたいなモノなん
です。北海道は、本州方面からの開拓者や
移住者が多いので、こういう呼びかたに
なったそうです。でも、公の場では不適当
な言葉らしく、TVとかではちゃんと『本州』
とか言われてます。
私は、小さい時に北海道に来たため普通に
使うけど、もともと本州で生活していた
お父さんやお母さんも、住んでいるうちに
自然とこうなったそうです。
『私の名前は、有田 深雪(みゆき)と
いいます。フリーのカメラマンの卵です。』
『そうなの。それで、北海道はいかが?』
『ええ、とってもいい所です。空は広いし
自然も沢山あるし。』
『そうでしょ。』
私は、彼女の話に興味深々だった。
自分の夢をどこまでもどこまでも追い続け
ている。それだけであこがれを感じた
からだ。
『里子、お客様か?』
『ええ、内地の方から写真を取りに
来た方なんですって』
『そうか、今日は暗くなって来たから
ここで、泊まってもらいなさい。』
『そうね。深雪さん、いいかしら』
『いいんですか?助かります。実は
泊まるところは、その日に決めてて、
今日は、この雨でまいってたんです。』
こうして、深雪さんは家に泊まって
もらうことになった。
そして、お風呂場まで案内した私は
深雪さんと話をしていた。
『そうなんですか。帯広までバイクで
いったんですか。』
『そうだね。狩勝(かりかち)峠を越え
て、富良野をまわって、美瑛に来た
んだ。』
『あ、お風呂はここです。』
『どうもね。』
深雪さんがお風呂に上がってからも、
私は、深雪さんに今まであったことの話
を聞いた。
『めぐみ。深雪さんも、お疲れなんだから
その辺にしなさい。』
『は〜い。ふふふっ・・・。』
そんな事で、その夜は更けていった。
次の日・・・。
昨日の雨のせいか辺りはとても澄んだ
空気をしている。
秋独特の高い空も、特に綺麗に見える。
『どうも、お世話になりました。』
『いえいえ、なんのお構いもでき
ませんで』
『ねえ、お母さん。深雪さんにこの
辺りを紹介していい?』
私は、お母さんに家の回りを案内
してもいいか聞いていた。
『でも、深雪さんにご迷惑じゃ
ないかしら?』
『あ、そんなことはありません。昨日は
雨だったんで、結局1枚も写真が撮れ
なかったんです。めぐみちゃんが案内を
してくれると、本当に助かります。』
『ね、ね、いいでしょ。』
『深雪さんがそういうなら』
『やったね。』
そんな私を見て深雪さんもお母さんも
笑っていた。
バイクは、ヘルメットがないので2人
乗りが出来ないので、深雪さんはバイクを
押して、回った。
『いいね。めぐみちゃん。』
『えっ?』
『こんな北海道みたいな大きな土地で
育って。』
私は、深雪さんの言葉が一瞬、解ら
なかった。
『でもね、生まれた所は東京なの。』
『そうかぁ、私もそう。小さい時には
回りは高い建物だけで、地平線も
見えなかった。』
私は、深雪さんの話を聞いていた。
『それで、ここの外はどんな世界が
待っているんだろうって考えて、美大
出てこうして写真を撮っているんだ。』
『そうなんですか。』
私は、深雪さんの話を聞いてて思った。
『深雪さんは、雲みたいな人だね。』
と・・・。
『そうかぁ、雲はいいよな。雲はどこに
でも流れていく。ただ風に流されていく。
もしかしたら、その先に自分の行きたい
所があるかもって・・・。』
私は、深雪さんの言葉から自分の夢は
けして、一本道の上にあるものだけじゃ
ないだと思いました。
『めぐみちゃんの写真、とってあげるよ。』
『え、ええっ。わたっ、私、おもいっきり
普段着だし・・・。』
『それでいいよ。そのままを撮るのも写真
なんだから』
『そ、それじゃ、お願いします。』
私は丘の所で、写真を撮ってもらった。
『じゃぁ、出来たら送るからね。』
『はいっ、楽しみにしています。』
そう言って、深雪さんはまた旅立って
いった。
一週間後・・・。
深雪さんから写真が届いた。いつの間
にかに撮ったお父さんやお母さん、クロ
ちゃんや荒井さんのものまであった。
お手紙には、お礼とは別に私宛の手紙も
あった。
めぐみちゃんへ
夢は、見たいと思ってだけじゃ駄目だよ。
努力も、強い力になるからね。
『夢+努力=現実』で、受験も頑張ってね。
それじゃ、またどこかで・・・。
私が写ってた写真は素直でおもいっきり
いい笑顔で写っていた。

第5章のイメージイラストです。
(提供はAsiAAquAさまです。)
今回もオリキャラまで描いて頂いてありがとう
ございます。
(私がイメージしている事を描いてくれているので
びっくりしています。(笑))
