第8章『アップトゥー・ザ・東京(前編)』
前略。
橘さん、こんにちは。ビッグニュースがあり
ます。
なんと、東京に行けるんです。
私は、橘さんに向けて手紙を出しました。
というのも、お父さんが前に勤めていたコン
ピューター会社の後輩の人が結婚をするそう
で、お父さんに招待状が届きました。
『あいつはな、俺がいろいろと教えて、とても
いい奴だったんだ。』
『本当ね。家にもよく遊びに来てたものね。』
私もよく笑う人で、とてもやさしい人だった
のを覚えている。
『あいつの結婚式なら是非とも参加しないとな。』
『ねえ、お父さん。その間の搾乳は?』
『それは、心配無いよ。隣の人が手伝ってくれる
事になっているんだ。』
どうゆう事かというと、私の家の様に『酪農』を
していると、毎日の様に搾乳しなくちゃ成らない
けど、どうしても忙しい時には近所の人が手伝う
事があるんです。
お父さんも半年位前に近所のおばあちゃんが入院
してしまい。その時手伝いに行った事もありました。
『私は、こんな体だしあなただけ行ってきて。』
おかあさんは、もうすぐ赤ちゃんが生まれるので
東京までいくのは、体に触るかも知れないという
事でお母さんはお留守番する事になった。
で・・・。私は・・・。
『ねえ、お父さん。私も行っていい?』
『勉強の方は大丈夫か?』
『それは、任せておいてよ。』
『なら、行くか?』
『うん!』
と言うことで、私の東京行きが決まった。
東京に行くのは、5年振りだから少しだけ
緊張しています。それもあるけど・・・。
東京に緊張しているのではなく橘さんにひさし
ぶりで会えることに緊張していた。
『よし、これでいいわ。』
橘さんに送る手紙の封をして今日は眠りに
ついた。
『あと、5日。楽しみだなぁ。でも・・・』
私は急に不安になってしまった。
見送ったあの日、橘さんにした告白・・・。
あの人は、本気の事だと受け止めてくれるの
だろうか?
半年前までは、まったく顔も知らなくて、お互
いにとても離れてた土地に住んでいたのに・・・。
ガバッ!
そう考えてしまうと、目が冴えてしまった。
ベッドから体を起こすと窓の星が見ていた。
もう冬の星達が暗い空にそれぞれの光を光らせて
いた。
『あ〜っ、もうやめやめっ!私があの人を信じて
いるのは、変わらないのだからそれでいいんだもん。』
そういう結論を出して、私は眠りについた。
そして・・・5日後・・・。
『いってきま〜す。』
『いってらっしゃい。』
こうして、私とお父さんは朝早く千歳空港に
向かった。
『本日はNMF航空をご利用頂き、ありがとう
ございます。』
飛行機は、すごいスピードで、そしてフワッと
北の大地から離れていった。
『ねえ、お父さん。私、お願いがあるの。』
『わかってるよ。橘君のことだろ?』
『へっ、知ってたの?』
『なんとなくね。』
私は、心の中をお父さんに見抜かれていた。
『いいだろう。けど、東京の街は交通量が
多いから気を付けるんだぞ。』
『うんわかった。やっぱりお父さん、
やさしいね。』
『そ、そうか・・・。』
私が言った言葉にお父さんは照れていた。
『ふふふっ・・・。』
東京へは、1時間半程で付いた。
お父さんの後輩の結婚式も無事に終わり、
私は、橘さんからもらった住所をたよりに
家に向かった。
ピンポ〜ン。
あれ?留守かな。と思い、もう一度チャイムを
押そうとした時・・・。
『は〜い。』
中から、女の人の声がした。
『どちら様ですか?』
『あ、あの〜。北海道から来ました。あ・・・』
私が、言い切る前に向こうから
『ああ、めぐみちゃんね。中に入って。』
『おじゃまします。』
橘さんのご両親とは、遠い親戚関係になるの
だけど私は、小さい頃に会ったきりで記憶が
なかった。
でも・・・。ついに来たんだ。あの人の所に。
後編につづく。

AsiAAquAさまから頂いた第8章のイメージ
イラストです。
橘さんの家の前でチャイムを押すかどうか迷っている
めぐみちゃんの心の中が伺える・・・・・
そんなイラストです。
(ここでの公開が送れて大変済みません。)
