「FMN」opt.シリーズ第17話です。


どうぞ!!

第17話「丘がある町にて・・・・」

 夏・・・・北の町美瑛にも短いですけど
巡る季節・・・・・

 北海道に来てから、もう数年が経ちますけど、私は
この夏が好きです。

 私の住む町「美瑛町」は全国でも有名な丘の町です。
1年中この丘の風景を見にくる人達は、多いですが
取り分け、この夏のシーズンには数多くの人達が来ます。

「今日も、暑いなぁ・・・・」
夏の太陽を受けながら、私は美瑛の丘を自転車で回っています。
実は、これが毎年の楽しみなんです。
札幌や旭川のようにたくさんのビルやお買い物をする所は
なくても、この丘の風景は私にとても大きな感動をくれます。
もちろん、その中でも農家の人達が大変な思いをしながら
頑張っているのは、お父さんから聞いて知っています。

 自転車に乗っていると時折、三脚を立てた人が丘に向かって
しきりにシャッターを切っています。
その先には、様々な顔を見せる風景があります。
その人達の見る目はみんな一緒で、じっと正面を見ています。

 今は、昼下がりを少し過ぎてもうじき夕方になろうとしている
感じです。先程の暑さが少しだけ和らぎました。
目の前に見えるのは、じゃがいもの畑です。
一面に広がるその畑には、じゃがいもの真っ白の花がまるで
巨大な白い絨毯を描いています。
この土地でこの風景に魅せられたという「前田真三さん」という
人が作った「拓真館」というアトリエには、こんな風景をそのまま
切り取った様な写真がいろいろと飾られています。
私は、ここにお父さんと行った事がありますが、声も出ない程に
感動しました。
それから、この恒例行事は続いているんです。
そして・・・・・
私のもっとも好きな時間がやって来ます。

「よし!着いた。」
そこは、観光客の人も立ち寄る事も少ない普通の畑です。
しかし、私はここが好き。
そこには「ちほく小麦」という小麦の畑があります。
そして、少しだけお日様が沈んで・・・・
涼しげな風が何処からともなく吹いてきます。
風で私の被っている麦藁帽子も揺れていて・・・・・

「また逢えたね。」

一面に広がる黄金の絨毯・・・・・
その姿は、夕日を浴びて輝きを一層、増しています。
風に揺られる姿は、美瑛の町には無いけれど海原を思い
起こさせてくれるようです。

ずーっと向こうの方からやって来て・・・・
小麦を揺らして・・・・
少しすると、私の所まで来てスカートを揺らしていきます。
私を通り抜けた風は何処に行くかわからないけど、私も
この風景の一部分になれた感じで、すごくやさしい気持ちに
なれました。

短い北の夏・・・・
でも、それだけ一生懸命な夏・・・・
そんな中で、私は都会では見られないような贈物を
この丘から貰いました。

「今度は、橘さんと一緒に・・・・」

そして、再び自転車のペダルを漕ぎはじめました。

opt.シリーズ第17話 おしまい。



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