寒い寒い冬の日。
場所は中国、殷の時代。
キリストが生まれるはるか昔。
クリスマスなんてないけれど、サンタクロースなんていないけれど。
例えばこんな寒い夜。
「コーチ、終わったさー」
愛しい弟子の声で振り返る。
崑崙十二仙の一人清虚道徳真君。
「お疲れ様、ちょっとそこに座っててくれ」
「今日の食事当番はオレっちさ。どうしたのさ?コーチ。」
「何となく気分が向いてね、ほら。」
道徳が運んでくる豪華な食事に驚く天化。
「コーチ、生臭はだめさ」
「そんなことわかっているよ、見てごらん。動物なんて一つも使ってないから」
なるほど、野菜や果物を見事に調理してある。
「本当にどうしたのさ?いつもは普通の料理を作るのにも面倒くさがるコーチが。」
「修業して疲れている可愛い天化のために料理を作ってやるというのは理由にならないかい?」
道徳の言葉に天化は少し頬を染める。
「じゃあこれからはコーチが毎日作ってくれるんさね?」
「それはだめ。」
「なんでさー。修業の一貫だから?」
「それもあるけど。……俺が天化の料理が食べたいから。」
「コーチ、やっぱり今日は変さ。」
「いや?」
「いやじゃないさ」
クリスマスなんてないけれど、サンタクロースなんていないけれど。
例えばこんな寒い夜。
ちょっぴり豪華な食事を作ってみたり、ちょっぴり甘い一時を過ごしてみたり。
「コーチ」
「何?」
「大好きさ」
例えばこんな寒い夜。
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