別に、クリスマスだからって何かあるわけじゃねぇ。
クリスチャンでもなけりゃ、バカ騒ぎする趣味もない。
「クリスマスは恋人と」
何てふざけたことを聞いたこともあるがオレにはそんなものはいない。
と、思う。
いるのは、あいつ。
でもあいつは別に恋人じゃねぇ。
身体の関係はあるけど、誰があいつの「彼女」になってやるかってんだ。
「半屋」
「あんだよ。」
「ほら、やる。」
何かと思えば例のごとくバナナ。
人のことをサルサル言いやがって。
クリスマスにバナナ貰って何が嬉しい?
別にクリスマスじゃなくても嬉しくねぇけど。
「半屋」
「あぁ?」
「何かよこせ。」
「ふざけんな」
「じゃあ、これで我慢してやろう」
言い終わるか終わらないかの時に、引き寄せられて、唇が重なっていた。
「何が我慢だ。充分だろ。」
「さあな」
こいつの腕に抱き締められて、耳元で囁かれたりしているのは嫌じゃない。
でも、こいつは恋人なんかじゃねぇ。
「クリスマスってつまんねぇな」
「あぁ。そんなものより、オレが傍にいることの方が好きなんだろう?」
きっとオレは耳まで赤くなっているに違いない。
だって、…………事実だから。
こいつがいればクリスマスだろうが正月だろうが関係なく………………。
でも、そんなこと言ってやらない。
オレはこいつの恋人でも何でもねぇから。
ただ、こう言う。
「ぶっ殺す」
と。
「素直じゃないサルだ」
「そのサルを抱いてんのは何処のどいつだよ」
「オレ以外にも抱かれているのか?」
「………………」
いつもこいつには敵わねぇ。
でも、そんなこと認めてやらない。
こいつはオレの恋人じゃねぇけど、オレもこいつの恋人じゃねぇけど、やっぱり、こいつじゃなくちゃ駄目だから。
「半屋」
唇を重ねるのも、身体を重ねるのも、殴り合うのも、殺し合うのも、こいつじゃなくちゃ駄目だから。
「梧桐」
オレはクリスマスに恋人と過ごすとかほざいているやつらとは違う。
こいつは、恋人じゃないから。
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