ー …………イズミ…………………… ー
耳に残る低い声。
呼ばれている、いつでもこの男に。
「今日はずっと一緒にいよう」
あの事故から奇跡の復帰を遂げた、とは言ってもまだクリスマスは好きになれない。
両足が動かないあの絶望感はこの季節になると夢にもよく現れる。
「晃司」
こいつもクリスマスが近くなると俺が外に出ることを極端に嫌がる。
もう俺を傷つけたやつらはいないのに。
こいつ自身の手で、殺しかけた。
自分の兄弟なのに、晃司はそれより俺を選ぶ。
何と並べても必ず俺を選ぶ。
「何処にも行かないで」
抱き締められて、耳に囁かれる。
優しい声。
「行っても、お前はついて来るだろう?」
首から頬へと伝わせて俺は晃司の髪をすいた。
甘えるように俺の首に顔を埋める。
「泉がいないところに俺がいる理由はない」
外はまだ明るいけど、今日だけはこいつの口付けを許してやる。
「貴方だけが、俺の理由。」
甘い声とともに身体を探る手。
その手に自分の手を重ねて制止する。
「泉……」
少し身体を離した奴の首に腕を絡ませ、自分より背が高い晃司の顔を引き寄せ自分の唇を重ねる。
「今日だけだからな…………」
今日だけは、ずっと晃司を感じていたい。
何も見たくない。
ー晃司以外はー
何も聞きたくない。
ー聞きたいのは晃司の声だけー
何も感じたくない。
ーずっと、晃司をだけを感じていたいー
永遠なんて信じない。
欲しいのは、今。
だから、今…………。
「…………イズミ……………………」
「もっと…………名前を……呼べ…………」
そして、愛してると言ってくれ。
ずっと………………。
聖夜は人を狂わせる。
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