紙の上に走らせていたシャープペンシルの動きを止める。
 真っ白い紙の四角い箱たちは全て、彼のその特徴的な少し角張った文字で埋められていた。
 明稜高校は現在、学年末試験最終日最終試験。
 生徒会長である梧桐勢十郎もこの時ばかりは一般の生徒と同じく大人しく席につき、配られた問題を解いていた。
 顔をあげて時計を見る。
 
ー 後10分か、時間が余ってしまったな。ー
 
 そう考え、もう一度見直しをするが今は現国。
 漢字のミスでもないかぎりは見直しの必要はない。
 教室が見渡せる窓際の一番後ろの席で、でも試験中である今それをすることも出来ず、梧桐は窓の外へ目をやった。
 体育科や芸能科は試験が一つ少ないらしく生徒がぱらぱらと校舎外に出て来ている。
 
ー 工業科も普通科と同じか ー
 
 時間割りを思い出して薄く微笑む。
 普段の彼を知るものならば目を疑うような穏やかな微笑みだった。
 彼が今考えているのは工業科の2年C組。
 何とか留年させるまいと生徒会員や他の四天王、真木、を使って試験を受けさせているので、今はあの教室で鉛筆を走らせていることだろう。
 いや、もしかしたら諦めて机に突っ伏して寝ているかもしれない。
 あの短い銀髪に白い首筋、独特の姿勢の悪さを思い出して、また少し笑った。
 
ー 今日は何をしようか? ー
 
 今朝、真木に試験終了時に渡してくれと「決闘状」を預けた。
 生徒会室にやって来るはずの可愛いサルを思う。
 時計を見ると後わずかでチャイムが鳴る。
 
 ー あいつの顔を見てから考えるか ー
 
 もう一度テストを見直して、漢字のミスを見つける。

《タクミナワナ》

 一瞬消してしまうのに躊躇して、思い切って消しゴムをかける。

          キーンコーンカーンコーン 

 響き渡るチャイム。
 答案を集め、担任の連絡を落ち着いて聞く。
 はやる心を他には気付かせず。
 明稜帝は今日も生徒会室へと赴いた。

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