いつだって梧桐はオレより早く起きる。
梧桐と起きる朝は梧桐が制服を着て、オレを見下ろしているところで目が覚める。
 何だかそれに腹が立って、でも前の夜のことを思えば起きられないのは仕方がなかった。
 しかしある朝、オレはぼんやりと目を覚ました。
 薄くあけた目に入る梧桐の寝顔。
 穏やかで、安心しきっているようなその表情にしばらく見惚れてしまう。
時計は7時少し前。
また眠気が襲ってきて目を閉じると、眠たいのだが意識ははっきりしているという奇妙な状態に陥った。
 ごそごそと梧桐が動き始める。オレを起こさないように気を使っているのか殆ど音は立てていない。
 そっと目を開けて見ると梧桐は着替えていて、ネクタイを首にかけてこちらにやってきた。
そこで起きたら良かったのだが、オレは何故か寝たふりをしてしまった。
 梧桐の気配が近づいてくる。
 髪に、梧桐の手が当たる。
鼓動が速くなるのを必死で抑えていると、不意に、梧桐の息が近づいてきた。
軽く、触れる唇。

 お は よ う

囁かれる、ぐっと抑えられた低い小さな声。
しばらく梧桐はそこにいて、また立ち上がった。
ごそごそとさっきはあまりしなかった衣擦れの音がする。

「こら、半屋! いつまで寝ているつもりだ!!」

見下ろす梧桐はいつもと同じ偉そうな態度で、でもオレの頬は少し赤かったに違いない。

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