柔らかい唇はビールの味がしたけど、驚きのあまりが抵抗はなかった。
 机の上で烏龍茶の氷が溶け、カランと音を立てる。
「俺はお前が好きなんだ。誰にも、……尚輝にも譲れないぐらいな」
 一度口を離し、そっと矢尾の綺麗な顔を隠している眼鏡を外し、もう一度唇を塞ぐ。
 硬直状態にある矢尾の口にそっと舌を侵入させ、奴の舌を舐める。
 口内を犯しながら矢尾のカッターシャツのボタンを外しベルトを緩める。
 もう夏の気候になっているせいか風呂上りなのか、シャツは着ていなかった。
「抵抗しないと和姦になるぜ?」
 まるで反応を見せない矢尾の耳に囁く。このチャンスは無駄には出来ない。
 身体をなぞるようにしてカッターシャツを脱がせる。
 すべすべと触り心地のいい肌が俺の手を誘っている。
 胸を掌で大きく撫でて、小さく存在を主張している飾りを掴んだ。
「ん……」
 ぐもった声が矢尾の唇から漏れる。
 反応らしい反応をしなかった矢尾の思っても見ない反撃は俺の腰に響いた。
「うえ……だ……」
 目は虚ろで唇は唾液で濡れている。
 やばい。いくら女慣れしている俺でも、矢尾にそんな声で呼ばれたら一気に腰に来ちまう。
 俺は声が聞こえないようにもう一度唇を塞いだ。
 左手で身体を撫で回し、右手で乳首を弄りながら深いキスをする。
「あぁ……ん……」
 矢尾は俺の口を避けるようにして顔を背け、甘い吐息と共に大きく息を吐いた。
「もしかして、もうイったのか?」
 俺の言葉に矢尾は顔を赤らめてうつむいた。
 酒のためか凄く反応がいい。
「やめ、て、くれ……」
 途切れ途切れの拒絶を無視して、俺は矢尾のズボンのホックを外しチャックを下げた。
 男臭い、しかし、どこか甘い匂いが上がる。
 俺は自分の目を疑った。
「挑発的な下着つけてるな」
 ズボンを脱がせるとぴったりと身体に密着し、つるつるとした水着のような素材の下着が目に入った。
 トランクスかブリーフぐらいだと思っていたのだが、まさかこんな下着とは。
 誘われているようにしか思えない。
 ズボンを太股の途中までずらし、下着に口を寄せる。
「うっ」
 べっとりと湿り、湿っていなかったとしても中のものの形をはっきり見せるであろう下着の上から口と指で刺激する。
 ぴくぴくとイったばかりのはずのそれが脈打ち、熱を持ち始める。
 ぴったりと身体に張り付く素材が立ち上がったモノのせいで引っ張られ、先端が顔を出したと思えば、ずるずると伸ばされた生地が縮んで、立ち上がっているものの裏筋を刺激しながら根元に収まった。
 しっかりと立ち上がっているものを隠すことも出来ずに足の付け根と尻を少し隠すだけになっているそれをズボンごと脱がせ、立ち上がっているものの根元をぎゅっと掴んだ。
「やめ……ろ……」
 弱々しい声は制止どころか余計に俺を駆り立てるだけだ。
「やめていいのかよ?」
 根元を握ったまま、俺は指先でくちゃくちゃと先端を弄んだ。
 そしてもう1度尋ねた。
「抵抗しろよ。和姦でいいのか?」
 俺の与える快感に、嫌だと言えない矢尾はただ、甘い声を上げた。 
 右手で矢尾のものの根元を掴みながら左手でTシャツを脱ぎ、肌を寄せる。
 最高に触り心地の良い肌が俺のものを熱くする。
 肌を撫でているだけでイきそうになるぐらい気持ちいい。
 ずっと恋焦がれた身体は予想より遥かにいい。
 右手で矢尾のものを弄り、左手を俺と矢尾の身体の間に滑り込ませ、胸を撫でる。
 飾りをきゅっと摘まんだら、矢尾の身体がびくっと跳ねた。
 胸に唇を寄せて、左手で弄っていない方の乳首をきつく吸った。
「いやぁ……ぁ、あぁん……」
 悩ましげな声が俺のものをいきり立たせる。
 まずい、こんなに艶っぽい声で濡れた目で見られるとイっちまう。
 俺は自分のジーンズのチャックを下げ、トランクスごと脱ぎ捨てた。
 さっきの一発で白い液に濡れている矢尾のものを口に含む。
 何度かぺちゃぺちゃと音を立てて舐めただけで、それはあっけなく破裂した。
「うえ、だぁ……」
 甘い声に潤んだ瞳。そんな顔で名前を呼ばれたら、そろそろ俺も限界だ。
 何故か少し甘く感じる液を飲み干した俺は矢尾の身体を抱き寄せた。
 肌と肌が触れ合うだけで、矢尾のものは熱くなる。嬉しいぐらいに感度がいい。
「俺じゃ、駄目か?……貴志」
 耳元に口を寄せ、甘く囁いて舐めた。
 矢尾の身体がびくんと跳ねて、腕の力が抜けた。
 諦めたのだろうか。
 つーっと耳から首筋、鎖骨、乳首、そして柔らかな毛の中心に聳える熱いものを口に含み、ぬるぬると濡れた肌から液をすくい、後ろの秘所に滑り込ませた。
「やぁ…………ん」
 決してすんなりとは言えなかったが、それでも、叫び声を上げない程度の痛みだけで、そこは俺の指の侵入を許した。口の中のものをぺちゃぺちゃと音を立てて舐めながら、後ろの指をそこをほぐすようにゆっくりとかき回した。
 一応ローションは用意してあったのだが、必要ないようだ。
「んぅ…………あぁっ」
 篭った声が、甘い喘ぎに変わった場所を、俺の指は執拗に攻め続けた。
 びくびくと口の中のものが質量を増す。もうそろそろ限界らしい。
 あまり早くイかれても困るため、昂ぶっているものの根元を指で締め、後ろの方に専念する。
 ゆるゆると2本目、そして3本目の指を入れ、矢尾の甘い声が聞こえる場所をほぐす。
「入れて、いい?」
 俺の言葉に矢尾は確かに首を縦に振った。
 そして、早く、と言わんばかりに俺の指を引き抜き、自ら俺の昂ぶったものの近くに腰を突き出した。
 あまりの乱れように理性が飛びそうになるのを必死で堪える。
 合意の上の行為じゃない上に傷なんて付けたくない。
 俺はゆっくりと矢尾の秘所に熱いものを押し付け、唇を重ねながら貫いた。
「うぁ……っ」
 指とは比べ物にならない質量に矢尾の呼吸が詰まる。
 目からぽろぽろと涙が零れている。
 きつ過ぎて動かすことも出来ないが舌で、食いしばっている歯を解してやると力が抜けてきた。
 緩やかなピストン運動に合わせ矢尾の腰が揺れる。
 ぺろりと頬を伝う涙を舐める。
 ある角度で突くときゅっと締め付け、甘い声を上げる。
 徐々に早くなって行く動きを止めることが出来ず、俺は夢中で貫いていた。
「やっ、あぁ……あぁ……ん……」
 ぴくっと矢尾の身体が震え、白い液を吐き出す。
 その瞬間のあまりの締め付けに俺もまた矢尾の中に欲望を放っていた。
 
 
 
 ぐったりとしている矢尾。
 白い肌にしっとりと汗が浮かんでいる。服を身につける気力もないようだ。
 あのキツさでは経験があるとは思えないが、あの乱れ方をみると初めてではないのかと不安がよぎる。
 初めてでこんなに乱れているとすれば、かなり感度がいいのか、好き者かだ。
 どっちでもいい、この腕で矢尾を抱けたんだから。
「矢尾?」
 辛そうに身体を起こし額に手をおく矢尾。
「俺は……誰にどこを触られても感じてしまう体質なんだ。別にお前だからヤった訳じゃない」
 さっきまでの乱れっぷりはまるで見せず、いつものように、いや、いつも以上に冷静で冷たい声でいう。
 誰に、どこを触られても?
 俺は矢尾の身体を見つめた。
 まだ上気している肌。萎えているが精液で濡れ、情事の後を残している身体。赤い唇。
「見るなっ!」 
 大声に驚く。
 矢尾はふいっと顔を背けた。
「訂正してやる。俺は感じやすいんだよ! 馬鹿みたいにな! 全身が性感帯で見られるだけで感じる変態だ! だから見るな! 触るな!」
 矢尾の肩が震えていて、俺は何も言えなかった。
「着替える。出て行け」
 向こうを向いたまま言われて、俺は脱ぎ散らかした服を着て、外に出た。
 ドアの前に立っているわけにも行かず、食堂へと下りる。
 玄関ロビーの時計は11時を示している。
 点呼は大体10時から11時の間にあるけど今日は寮長にあらかじめ言っておいたため問題ない。
 俺はロビーにおいてあるソファに腰かけた。
 土曜日の夜ということもあるのか他の奴らの姿は見えない。
「ふぅ」
 俺は小さく溜息をついた。
 これから矢尾にどんな態度を取られても仕方がないことをしてしまった。
 でも後悔は、してない。
 あのまま放っておいてここ数日で急に好きになった奴に先を越されるなんて耐えられない。
 頭の中に先程までの矢尾の姿が浮かび、股間が熱くなる。
 全身性感帯。感じやすい身体。
 それにしてもあの色気は反則だろ……。
「もう1発ヤっとけば良かったなぁ」
 矢尾が聞いていたら半殺しにされそうなことを呟いて、俺は肩を竦めた。
 じっとりと汗が滲む、蒸し暑い夜だった。 
 


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