この小説はONE〜輝く季節へ〜のキャラ「上月澪」の練習作です。
 彼女の心と性格を少しでも理解するために書いたものです。
 主人公との出逢い(再会)の部分を澪の視点から書いてみました。
 来年の春もしくは夏コミで発売されるであろう同人CDに向けての
 序曲といった所でしょうか?


● なんか懐かしいの... ●

●学生食堂 PM12:10

 お昼休みは学生食堂っていつも人でいっぱい...
 今日は授業が長引いちゃって...今日はおうどんをいただこうかな?
 学食って食券だから注文が伝わらないってないから少し安心...
 うんと、てんぷらうどん..これにしよう。220円。
 「かたっ」と音がして食券が出てきた。

「うどん? そば?」
『うどん...』
 伝わらない
『うどん...』
「そばでいいね」
 ふるふる。
「うどんね」
 うんうん。
「あいよ」
 ぺこり。

 さっきより人が増えたかな? 押されて転ばないようにしないと...
 どこが空いているかな? あ、あそこが空いてる。でもちょっと遠いなぁ。
 あ、足ふんじゃった。ごめんなさい。あ...押されちゃった...あ...
 転んじゃう...あ、どんぶりさんそっちいっちゃダメぇぇぇぇ...

 「がしゃんっ」 男子生徒の肩にうどんが全部かかってしまった。
 あちゃぁ。謝らないと。

男子生徒:「・・・って・・・うわぁっ!」
澪   :「....!」
 
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

男子生徒:「・・・う、うどん!?」

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
 どうしよう...私ってドジ...ぐすっ..

女子生徒:「上着、脱いだ方がいいと思うな。なんとなくね」

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

男子生徒:「ふぅ・・・ふぅ・・・、し、死ぬかと思った」

 ごめんなさい、ごめんなさい。
  私がドジなばっかりに...ぐすっ・・
 ごめんなさい、ごめんなさい。

男子生徒:「いいって、そんなに謝らなくても。別に怒ってないから」
女子生徒:「ほんとに?」
男子生徒:「ほ、ほんとうだって。別にこの子だってオレを狙ってわざとやった
      訳じゃないだろうし」

 よかった...そんなに怒ってない。

男子生徒:「オレも昔カツ丼を床に落としたことあるしな」
女子生徒:「私もあるかな。天丼だけど」
男子生徒:「・・・まぁ、そういう訳だから。気にすんな」
女子生徒:「全然どういう訳かわからないけどね」
男子生徒:「先輩・・・」
女子生徒:「冗談だよ」

 よかった...あ、でも学生服汚しちゃったから洗濯してあげなきゃ。

男子生徒:「・・・ああ、オレそろそろ戻らないと。次の授業体育なんだ」

 男子生徒が立とうとする。
 あ、いっちゃう。ダメ、私のドジで汚れちゃったんだから...
 止めなきゃ。

 本能的にがしっと袖をつかんだ。

 えっと、あなたの服をきれいに... あ、声が....
 目を見てたらあたしの気持ち伝わるかなぁ。

男子生徒:「・・・ど、どうした?」

 じ−−−−−−っ 届いて私の気持ち。

女子生徒:「洗濯するって言っているんじゃないかな?」

 先輩わかるの?
 うんうん。そうなの。

男子生徒:「そうか? オレは別にこのままでもかまわないけど」

 じ−−−−−−っ 届いて私の気持ち。

男子生徒:「...」

 じ−−−−−−っ 届いて私の気持ち。

男子生徒:「やっぱり、このままでいい」

 え? 届かないの? 私の気持ち....
 私ってドジだから...ぐすっ...やっぱりダメなのかなぁ...
 なんか悲しくなってきちゃった....あ、涙が...

澪   :「・・・・」えぐえぐ....
女子生徒:「理都☆君が泣かした〜」

 男の子って理都☆さんって名前なんですね。理都☆さんごめんなさい...
 私ってドジで...

理都☆ :「いや、まてまだ泣いてない」
女子生徒:「時間の問題だね」
理都☆ :「わかったよっ、洗濯お願いするから」

 よかった...よかった...
 早くお家に帰って洗濯してあげないと... おかあさん手伝ってくれるかなぁ?
 私のせいだから自分でやんないと...

 制服を渡される。

 わぁ、大きな制服。しわがよらないようにこうやって抱えて...
 
 ぺこり。と大きくお辞儀をする。

 早く帰えらなきゃ。

 とてとて...

 あ、まだ見てるかなぁ。あ...見てる。
 大丈夫だからぁ。

 ぺこり。

 とりあえず教室に戻らないと...


●1Bの教室

舞  :「澪どうしたの? その制服」

 かきかきとスケッチブックへ書く澪。
 (以後『』の中はスケッチブックに書かれた文字とします。)

澪  :『理都☆さんの制服汚しちゃったの』
舞  :「あちゃぁ、相変わらずドジねぇ」
澪  :「....」

 下を向く澪。

舞  :「で、理都☆さんって何年何組の理都☆さん?」
澪  :「....」

 あ...聞くの忘れた...

舞  :「まさか澪、聞いてないとか?」
澪  :「....こくん」
舞  :「えぇっ。どうするのよぉ」
澪  :『まだ学食にいると思うの』
舞  :「しっかり聞いといで〜」

 とてとてと走っていく澪。

舞  :「相変わらずねあの子。でも今回は派手にやったわねぇ」

 制服を見る舞。制服を見ながらつぶやいた。


●再び学食

 まだいるかしら? 確かあそこに座って....
 ぐすっ、いない... どうしよう...

 きぃ〜んこんかん〜こぉおん

 あ、予鈴...とりあえず教室に戻んなきゃ。


●1Bの教室

舞  :「澪、どうだった?」
澪  :「はぁ...」
舞  :「いなかったのね」
澪  :「こくこく」
舞  :「どうするのよぉ」
澪  :『どうしよう...』
舞  :「...げた箱に通じる玄関で待っていたら?」
澪  :「....」

 そうよね、生徒さんはみんなげた箱を通るから玄関で待っていればまた
 会えるよね。

澪  :『うん、そうよね。明日待ってるの』
舞  :「がんばんなさいよ」
澪  :『がんばるの』

 急に鞄と服を抱いて帰ろうとする澪。

舞  :「澪、どこへいくの?」
澪  :『帰るの』
舞  :「まだ授業は終わってないわよ」
澪  :『帰って制服を洗濯するの』
舞  :「....いいわよ、先生には私が伝えておいてあげる」
澪  :『よろしくなの』

 とてとてと教室を後にする澪。舞がため息をつく。

舞  :「大丈夫なのかしらね..」


●澪の自宅

 ただいまなの〜

母親 :「お帰り澪、今日は早いのね」
澪  :「...こくん」
母親 :「あれ? 制服なんて持ってどうしたの?」
澪  :『あのね。汚しちゃったの』
母親 :「あらあら大変。洗濯しなくちゃね。洗濯機の上に置いておいてね。
     あとで洗っておくから」
澪  :『いいの。自分で洗うの』
母親 :「わかったわ。でも制服なんだからちゃんと洗ってあげないとね。
     あとでおかあさんが洗い方教えてあげるね。」
澪  :『はいの』
母親 :「澪、とりあえず制服を着替えてらっしゃいな」
澪  :「こくん」

 とてとてと階段を上がり、自分の部屋に入っていく澪
 しばらくすると降りてきた。家事をしている母親の袖を掴んだ。

澪  :『どうやるの?』
母親 :「あれ? 自分でやるんじゃなかったの?」
澪  :「....」
母親 :「....」
澪  :『わかんないの』
母親 :「はいはい」

 母親といっしょに洗面所に向かう。

母親 :「広瀬理都君って言うのね」
澪  :「こくん」

 うなずきながら引っかかるものを感じる澪。ひろせ...りと...
 なんか懐かしいような...思い出せないの...

母親 :「どうしたの?」
澪  :「ふるふる」(なんでもないの意)
母親 :「じゃ、早速はじめるわよ」
澪  :「こくん」

 洗濯をはじめる澪。やはり不器用だった。母親の手を借りて必死で洗濯する澪。
 頭の中は「りと」という名前が引っかかっていた。

●リビング

 制服にアイロンをあてている。実は最初澪がアイロンをあてていたのだが、
 手つきが危なっかしいのを見かねて母親が代わりにアイロンをあてている
 のであった。澪はそんな母親の横でじっと見ていた。

母親 :「制服ちょっとくたびれているわね」
澪  :『そうなの?』
母親 :「理都☆君って2年から3年?」
澪  :『わかんないの』
母親 :「え?」
澪  :「......」
母親 :「これどうやって返すの?」
澪  :『明日玄関で待つの』
母親 :「ふふっ。澪らしいわね」
澪  :「ぷぅ」

 少しふくれる澪。

母親 :「理都☆さんってどんな方なの?」
澪  :『えっとね』
    『おにいさんみたいなの』
母親 :「ふぅん。明日ちゃんと渡してらっしゃいね。もう冬なんだからね」
澪  :「こくん」
母親 :「今日はもう遅いからおやすみなさい」
澪  :「こくん」

 澪は母親にむかって会釈をする。いつものおやすみなさいの仕草だった。

母親 :「おやすみなさい」

 とてとてと澪が階段を上がっていく。そして制服に目をやる。

母親 :「演劇といい、洗濯といい、澪も少し大人になったわね...
     いつまでも子供だと思っていたけど.. あ、そうそう...
     あの子に気づかれないように制服を繕っておかないとね..」

 そして母親は繕った制服を持って澪の部屋へ。紙鞄に制服を入れ、枕元に
 置いた。澪はもう寝息を立てていた。母親は澪の布団を直しながら呟いた。

母親 :「理都☆君がいいおにいさんになってくれるといいね」

 そしてふっと澪から目を逸らして

母親 :「あなたが喋れないのは私のせい...普通の女の子だったなら友達
     といっぱいしゃべって、いっしょにはしゃいで一緒に笑ったり泣い
     たりできたのにね..ごめんね...澪」

 澪が寝返りをうつ。くちがもごもごと動くが、声がない...

母親 :「いい夢を見て...夢の中だけでもいっぱい喋って...ね」

 母親の目から涙がこぼれた。そしてそっと部屋から出た。


●リビング

母親 :「おはよう、澪」
澪  :「こくん」
母親 :「朝食用意できてるからちゃんと食べてから学校いきなさいね」
澪  :「こくん」

 ふいに袖を澪が引っ張る。

澪  :『制服ありがとうなの』
母親 :「いえいえ、どういたしまして」

 台所へとてとてと歩いていく澪。台所では父親がいた。

父親 :「澪、おはよう」
澪  :「こくん」
父親 :「お? 今日は機嫌がいいな。なんかいいことあったか?」
澪  :「??」
父親 :「おっと、もうこんな時間か。澪、今度聞かせてくれな」
澪  :「こくん」
父親 :「じゃ、いってくるよ」

 父親は澪の頭を撫でる。澪もこくんと返事をする。
 玄関まで父親を送っていく。手を振って見送った。
 そして朝食を取りはじめた。しばらくして...

母親 :「澪、そろそろ行かないと遅刻よ」
澪  :「こくん」
母親 :「はい、お弁当」
澪  :「こくん」
母親 :「忘れ物はない?」
澪  :「...こくん」
母親 :「では、いってらっしゃい」
澪  :「こくん」

 母親に見送られ家を出る澪。足どりは軽かった。

●学校 お昼

 お弁当を学食に持って行って広げる。理由は理都☆を探すためであった。
 だけどもみつからない....

舞  :「どう? いる?」
澪  :「ふるふる」
舞  :「やっぱり放課後しかないか...」
澪  :「...こくん」

 澪はゆっくりお弁当を食べていた。理都☆の顔を思い浮かべながら...


●放課後

 終業時間の鐘がなると一目散に紙鞄をもって玄関へ澪は走って行った。
 そして見つけた....げた箱の向こう...
 先輩って言っていた女性と一緒。恋人なのかなぁ...

 そこは下校する生徒で通勤ラッシュさながらであった。
 見失ってはまずいと慌てて駆け寄ろうとする澪。通勤ラッシュの中を
 逆行するように近づいていく...が思うように進めない...

 つぎつぎと下校しようとする人たちとぶつかる。

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい....
 あ、押さないで...あ、押し戻された...
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい....
  もうちょっと...あれ? 抜け出せたみたい。

  ふっと目をあげるとそこにあの人が待っててくれていた...
  
澪  :「はぁはぁ」
理都☆:「大丈夫・・・か・・・?」

 あ、ちょっと制服がよれちゃったかな。ぱんぱんぱん。
 うん、大丈夫。

理都☆:「本当に大丈夫か?」
澪  :「うんうん」
理都☆:「・・・それならいいけど」

 きれいな夕焼け...

 私「こうづきみお」 よろしくね、お・に・い・ち・ゃ・ん。

 また逢って一緒にお話ししてくれるとうれしいな...


本編へ続く...

● END ●


●あとがき

 一応テスト作品です。前半の部分は本編からの抜粋等を含んでいますが、
 それ以外は私のイメージで書いたものです。澪の友達・ご両親とかも創作です。
 最初はオリジナルなものを書こうと思っていたのですが、実際の澪の性格が
 イメージ的に掴めていないため澪が動かず、回りのキャラを動かすことによって
 澪を動かすというちょっと苦しんだ書き方になっています。
  これ書いていて思ったけど澪って動かないキャラ...受け身なキャラなんで
 すね。やはり言葉を持たないため、身体で表現するしかありませんからどうして
 も澪の発言からで話しが作れないんです。この辺は次の小説までに表現力を豊か
 にしていいものを書いていきたいです。しっかし、澪のとてとてという足音が
 妙に気に入っちゃったなぁ(笑)


			   1998. 9. 16   SADA.Y



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