チャオは遠くの森で幸せに暮らします。
もう会うことはできません。
こんな風に、チャオと「さようなら」した人はいませんか?
チャオは人といっしょに暮らすために生まれたような生き物なのですが、ときどき、人といっしょにいることが好きじゃなかったり、人のつくった自然じゃない本当の自然の中で暮らしたいと思うチャオがいたりするのです。
そして、どうしようない事情で、仕方なくご主人さまとお別れしなければいけなかったチャオもいました。
そんなチャオたちが、しあわせに暮らしている森があります。
人里はなれた山の中、たくさんのみどりときれいな水にまもられた、とってもすてきな森です。
そんなチャオの森で、きょうもチャオたちが楽しそうに遊んでいました。
みんなでオニごっこをしたり、地面に落書きをしているチャオがいます。
おいしそうに木の実を食べているチャオや、しあわせそうに眠っているチャオもいます。
ナイツチャオは、気持ちよさそうにお空を飛んでいます。
ミズチャオは、のんびりと小川で泳いでいます。
オニチャオは、きょうもみんなのために木の実を落としています。
ソニックチャオとシャドウチャオが、すごいいきおいで森の中をかけぬけていきます。
どうやら、ふたりでかけっこしているみたいですね。
きょうは、どちらが勝つのかしら?
森の広場では、みんなの音楽会がはじまっていました。
ヒーローチャオのすてきな歌声に、みんな聞き入っています。
思わず、ご主人さまのことを思い出して涙をながしているチャオもいます。
でも、みんなとってもしあわせそうな顔をしていますね。
そんなチャオの森に、ひとりのチャオがやってきました。
白い色をしたチャオです。
ヒーローチャオかしら?
いえ、よく見るとヒーローチャオとは、すこしちがった白い色をしています。
手の先がすきとおっていて、からだのまわりでは、ながれ星のようなきれいな光がひかっています。
このチャオは、ライトカオスチャオです。
まぼろしのチャオともよばれ、めったに見かけることのないチャオです。
ご主人さまと、深い愛情でむすばれたチャオだけが、ライトカオスチャオになると言われています。
そんなライトカオスチャオが、どうしてご主人さまとお別れしたチャオたちの集まるチャオの森にやってきたのでしょう?
ライトカオスチャオは、ゆっくりと森の中を歩いていきました。
なんにんかのチャオが気づいて声をかけようとしたのですが、なんとなくライトカオスチャオに声をかけることができませんでした。
まぼろしのチャオなので話しかけにくいということもありましたが、それよりもライトカオスチャオがとってもかなしそうな顔をしているので、話しかけることができなかったのです。
でも、こどものチャオが勇気をだしてライトカオスチャオに声をかけました。
はじめまして
いっしょにあそびましょ
おにいちゃんのおはなしきかせて
でも、ライトカオスチャオは、かなしそうな顔のまま首を横にふると、そのまま歩きつづけていきました。
しばらく森の中を歩いていたライトカオスチャオは、森の広場にやってきました。
そして、広場のはずれにすわって空を見あげました。
ここは、森の中でお空がいちばん広くきれいに見える場所でした。
ライトカオスチャオは、ここならきっと見つかると思いました。
夜になったら、ここからきれいなお星さまがたくさん見えることでしょう。
そのお星さまの中に、きっとライトカオスチャオのさがしているお星さまがあるはずでした。
ライトカオスチャオは、このままここで夜になるのを待つつもりでした。
でも、広場で遊んでいるチャオたちが、ときどきじぶんを見ていることに気づきました。
見られることはあまり気にならなかったのですが、このままここにいると、だれかに話しかけられるかもしれません。
いまは、だれかとおはなしできる気分ではなかったので、ライトカオスチャオはほかのところへ行くことにしました。
ライトカオスチャオは、森の奥にいくことにしました。
森の奥なら、あまりチャオたちに会わないと思ったのです。
でも、しばらく進むと、大きな声で歌いながらやってくるダークチャオに出会ってしまいました。
ライトカオスチャオに気づいたダークチャオは、歌うのをやめて元気にあいさつしてきました。
こんにちは
キミもいっしょにうたわないか?
でも、ライトカオスチャオは、さっきとおなじように、首をふるとそのまま森の奥に歩いていきました。
ダークチャオは、ちょっぴり不満そうな顔をしましたけど、そのままライトカオスチャオが森の奥にいくのを見おくりました。
ライトカオスチャオは、ゆっくりと森の奥に歩いていきます。
あら?
なにかしら?
ライトカオスチャオのうしろのほうから、なんだか変な音が聞こえてきますよ。
がさがさ。
こそこそ。
がさがさ。
こそこそ。
ライトカオスチャオがふり向くと、しげみにかくれているチャオのポヨだけが見えました。
ポヨのかたちから、ダークチャオだということがわかります。
そのまましばらく見ていると、ダークチャオがようすをうかがうようにして、しげみから顔を出してきました。
やっぱり、さっきのダークチャオです。
ダークチャオは、こっちを見ているライトカオスチャオと目があって、びっくりしてかたまってしまいました。
・・・・・・。
がさ・・・。
こそこそこそ〜。
しばらくして、われに返えったダークチャオがあわてて逃げていきました。
ライトカオスチャオは、森の奥にある泉にやってきました。
ここには、ほかのチャオはだれもいません。
さっきのダークチャオも、もうやってきそうにありません。
ライトカオスチャオは、もうこれでだれにもジャマされないですむと思いました。
ライトカオスチャオは、しずかに目をとじて、そのまま夜になるのを待つことにしました。
あいつは、お星さまになったんだよ。
これからは、夜空から僕達を見守ってくれるんだ。
だから、そんなに悲しむことはないんだよ。
ある日とつぜん、ご主人さまの奥さまがいなくなったときに、ご主人さまの言ったことばをライトカオスチャオは思い出していました。
夜空を見あげたら、いつでもあいつに会えるんだよ。
まるで、じぶんに言い聞かせるようにご主人さまは、そう言ったのです。
ライトカオスチャオは、ふつうのチャオなら何回も転生するくらいながいあいだ、ご主人さまと奥さまといっしょに暮らしてきました。
ご主人さまは、とっくにおじいさんとよばれるような年になっていましたが、ライトカオスチャオには、むかしとおなじようにじぶんのことを「僕」とよんでいました。
僕もいつかお星さまになるんだよ。
そう言って、ご主人さまはライトカオスチャオをだっこしてくれました。
ライトカオスチャオは、そのときのご主人さまのことばとぬくもりを、いまでもはっきりとおぼえていました。
しばらくすると、また変な音がしてきました。
がさがさがさ。
こそこそこそ。
がさがさがさ。
こそこそこそ。
ライトカオスチャオは、さっきのダークチャオが、またやってきたんだと思いました。
そして、ちょっとウンザリしながら、目をあけました。
そこには、さっきのダークチャオがいました。
いえ、ダークチャオだけではありません。
ソニックチャオがいます。
ナイツチャオもいます。
シャドウチャオもヒーローチャオも、ミズチャオにオニチャオもいます。
たくさんのチャオたちがライトカオスチャオの目のまえにいました。
逃げたと思ったダークチャオは、森のみんなを呼びにいっていたのですね。
みんなは、とってもうれしそうな顔をしています。
チャオの森にやってきた、新しいともだちをカンゲイするために、みんなは集まったのです。
だから、みんなで声をあわせて言いました。
チャオの森にようこそ!
ライトカオスチャオは、とってもおどろきました。
みんなをさけていたことを、わるかったと思いました。
そして・・・。
ライトカオスチャオは、とってもうれしくなりました。
はじめまして
ライトカオスチャオは、この森にきて、はじめて声をだしました。
それは、ライトカオスチャオが、チャオの森の仲間になった瞬間でした。
ライトカオスチャオは、みんなといっしょに、さっきの広場にやってきました。
そして、みんなといっしょに楽しく遊びました。
かけっこをしたり、オニごっこをしました。
みんなといっしょに歌ったり、お絵かきもしました。
そして、みんなといろいろなおはなしをしました。
それは、とってもすてきなひとときでした。
そんな楽しいときも、あっというまにすぎて夜になりました。
遊びつかれたチャオたちが、気持ちよさそうに寝息をたてています。
イビキをかいたり、むにゃむにゃと寝言を言っているチャオもいます。
みんなを起こさないように、しずかにおはなしをつづけているチャオたちもいます。
そんな中で、ライトカオスチャオは夜空を見あげていました。
ライトカオスチャオがあまりにも真剣に空を見あげているので、となりにすわっているこどものチャオがふしぎそうに声をかけました。
どうしたの?
なにかさがしてるの?
ライトカオスチャオは、星空を見あげたままこたえました。
お星さまをさがしてるんだよ
お星さまになったご主人さまをずっとさがしてるんだ。
ライトカオスチャオは、ご主人さまとお別れしてから、ずっと、お星さまになったご主人さまをさがしていたのです。
あのときのように、もうだっこはしてくれないかもしれません。
ご主人さまのぬくもりを感じることはできないかもしれません。
でも、やさしくみつめてくれるかもしれません。
ことばをかけてくれるかもしれません。
だから、ライトカオスチャオは、お星さまになったご主人さまを、ずっとさがしつづけてきたのです。
ライトカオスチャオは、この森でならお星さまになったご主人さまを見つけることができるような気がしました。
だから、こどものチャオが、みつかるといいねと言ったとき、すなおに、きっと見つかるよとこたえることができました。
となりにいるこどものチャオや、まだおはなしをつづけていたチャオたちが、みんな寝てしまってからもライトカオスチャオは、ずっと夜空を見あげていました。
チャオの森に朝がきました。
ライトカオスチャオが、この森にきてはじめての朝です。
まぶしいくらいすてきな朝日が、ライトカオスチャオをてらしてくれています。
でも、ライトカオスチャオは、とてもかなしそうな顔をしていました。
起きてきたこどものチャオが、心配そうに声をかけました。
ごしゅじんさま、みつからなかったの?
ライトカオスチャオは、しずかにこたえました。
うん、見つからなかったよ。
でも、きっとあしたには見つかるよ。
そして、こどものチャオに心配させないように、せいいっぱいの笑顔をつくってみせました。
そのとき、ライトカオスチャオのからだから、ちいさな光がながれました。
それは、まるでお星さまのようでした。
その光を見たこどものチャオが言いました。
おにいちゃん
もしかしたら、いまのひかりがごしゅじんさまじゃないかなぁ?
そうだよ
いまのおほしさまが、きっと、おにいちゃんのごしゅじんさまなんだよ
ライトカオスチャオは、あわててうしろをふり返りました。
きらきらと、ちいさな光がひかっていました。
それは、あたたかい光でした。
ご主人さまのやさしい目のように、とってもあたたかい光でした。
ライトカオスチャオは、ついに見つけることができました。
ご主人さまは、ずっとライトカオスチャオのそばにいてくれたのです。
やさしく、見まもりつづけてくれていたのです。
いま、ライトカオスチャオは、気づくことができました。
ご主人さまは、いつもいっしょにいてくれたんだと。
もういちど、ライトカオスチャオは、ちいさなお星さまを見つめました。
それは、うれしそうにしているときのご主人さまの目に、とってもよくにているような気がしました。
やっと気づいてくれたんだ
僕は、ずっと君のそばにいるよ
ライトカオスチャオには、ご主人さまのことばが聞こえたような気がしました。
そして、ご主人さまのお星さまに、よりそうようにひかっている、もうひとつのお星さまを見つけました。
それは、きっとご主人さまの奥さまです。
奥さまも、ご主人さまといっしょにライトカオスチャオを見まもってくれていたのです。
ライトカオスチャオは、とってもうれしくなりました。
いつまでも、ご主人さまといっしょにいることができるのです。
こんなにうれしいことはありませんでした。
チャオの森に朝がやってきました。
とってもあたたかくて、まぶしい朝日がさしています。
でも、チャオの森には、朝の光にもまけない、ふたつのちいさなお星さまがかがやいていました。
おわり
戻る