人里離れた山の中に、チャオたちの暮らす森があります。
葉っぱを散らしてしまった木もたくさんありますけど、それよりももっと多くの一年中青々とした葉っぱをつける木々があります。
それはまるで、冬の寒さからチャオたちを守っているようです。
きょうは、クリスマスイブ。
チャオの森のチャオたちも、ずっとまえにご主人さまといっしょに見たようなクリスマスツリーを作ることにしていました。
みんなは、そのためにクリスマスツリーのかざりを、森のあちこちからさがしてきていました。
あるチャオは、いつもはいくことのない森の奥深くまでさがしにいってきました。
うす暗い森にちょっぴりドキドキしてしまいましたけど、いくつかのきれいな小石と変わった形の木の実を見つけることができました。
ミズチャオは小川の底から、きれいにかがやく石を見つけだしました。
12月の小川の水はちょっと冷たかったのですけれど、とってもすてきな石を見つけることができたので、水の冷たさも心地よいとおもいました。
トビチャオたちは木の上をさがしてみました。
土の中をさがしていたのは、真っ赤なチャオです。
オニチャオは山のてっぺんまでいってきました。
みんなはそれぞれ、すてきなかざりを見つけることができたようです。
手先の器用なチャオは、木の枝やねんどを使って、すてきなかざりを作りました。
小さな家や、ながぐつのかざりは、まるで本物のみたいです。
そして、冒険好きなチャオは、森の外までいってしまったようです。
なんにちも帰ってこなかったので、他のチャオたちみんなが心配しましたけど、無事に森に帰ってくることができました。
このチャオは、どんなかざりをさがしに森の外までいったのでしょうね。
こうして、みんなで見つけたかざりをもって、チャオたちが森でいちばんきれいで大きなモミの木のまえにあつまりました。
いよいよ、クリスマスツリーのかざりつけのときです。
このきれいな小石はこっちにつけようよと、ひとりのチャオがいうと、
じゃあ、小川で見つけた石はこっちにするねと、ミズチャオがこたえます。
ながぐつのかざりは、ここでいいかな?
だめだよ、そこにつけたら、こっちの家のかざりがきれいに見えなくなるよ。
みんな、すてきなクリスマスツリーをつくるために、いっしょうけんめいになっています。
木の上のほうは、トビチャオたちがかざりつけをしています。
かたぐるまをして、かざりつけをしているチャオたちもいます。
じぶんで作ったかざりをつけているチャオは、自信作をいちばん目立つところにかざっています。
あら?
ダークチャオが勘違いしてタンザクをつけています。
でも、お願いの絵もすてきなかざりになっていますね。
それは、もうすこしよこにしたほうがいいよ。
ほら、こっちの木の実とそっちの木の実をくっつけると、とってもきれいになるよ。
こうして、ほとんどのかざりつけがおわりました。
さいごは、クリスマスツリーのてっぺんをかざる星をつけます。
金色に光る、この大きな星は、冒険好きなチャオが森の外までさがしにいって見つけてきたものです。
冒険好きなチャオは、だいじにもっていた星のかざりを、ナイツチャオにわたしました。
ナイツチャオは、この星のかざりをたいせつにもって飛び上がりました。
そして、ゆっくりと木のてっぺんに近づいていきます。
みんなが見守るなか、ナイツチャオは金色の星を、木のてっぺんにかざりつけました。
みんなは拍手をしてクリスマスツリーの完成を祝っています。
なかには、抱き合ってよろこんでいるチャオたちもいます。
みんなの心のこもったかざりをつけたクリスマスツリーは、あたたかいお日さまの光をうけて、うつくしくかがやいています。
チャオたちは、すてきなクリスマスツリーをまえにして、だれからともなく歌いだしました。
じんぐるべるじんぐるべる
森のみんなで歌う歌は、とてもうれしくて楽しいものでした。
みんなで作ったクリスマスツリーも、いまは夕日をあびて、赤くきらめいています。
じんぐるべるじんぐるべる
東の空から、だんだんと暗くなっていきます。
一番星がかがやきだしました。
しんぐるべるじんぐるべる
すてきなクリスマスイブの夜になりそうですね。
じんぐるべるじんぐ・・・
あら?
とつぜん、チャオたちの歌声がやんでしまいました。
どうしたのかしら?
チャオたちが、クリスマスツリーをボーゼンと見つめています。
お日さまの光をあびていたときは、あんなにきれいにかがやいていたクリスマスツリーが、いまでは、すっかり暗くなってしまっています。
むかし、ご主人さまといっしょに見たクリスマスツリーは、夜でもすてきにかがやいていました。
夜空の星よりも、きれいにきらめくクリスマスツリーは、多くのチャオたちの思い出のなかにありました。
みんなは、このクリスマスツリーも、そんな風にきれいにかがやいてくれると思っていました。
でも、そうはなりませんでした。
お月さまの光では、クリスマスツリーをかがやかせることはできませんでした。
かがやかないクリスマスツリーのむこうに見える、夜空の星のきらめきが、チャオたちをよけいに悲しくさせてしまいました。
チャオたちは、もう歌う元気もなくなってしまいました。
ただ、しょんぼりと暗いクリスマスツリーを見上げているだけです。
そんなとき、どこからか、鈴の音が聞こえてきました。
いまのチャオの森には似合わないくらい、とっても明るくてきれいな音色です。
チャオたちは、鈴の音のするほうを見ました。
そこには、いつものようにやさしい顔をしたティカルがいました。
ティカルは、悲しそうな顔をしているチャオたちに、やさしく声をかけながら、クリスマスツリーのまえにやってきました。
そして、クリスマスツリーのまえにくると、両手を合わせて祈りはじめました。
しばらくして、両手を大きくひろげたとき、チャオたちのクリスマスツリーがうつくしくかがやきだしたのです。
いいえ、クリスマスツリーだけではありません、森中の木がかがやいています。
夜空の星のようにひかえめに、でも、とてもすてきにかがやいています。
そして、チャオたちのクリスマスツリーは、森の木のかがやきよりもちから強く、夜空の星のきらめきよりもうつくしくかがやいています。
それは、チャオたちがいままでに見たどんなクリスマスツリーよりも、すてきなものでした。
きよしこのよる
またチャオたちの歌が聞こえてきました。
こんどは、ちょっとしずかに、でも、よろこびにあふれた歌声です。
チャオたちの歌にあわせるように雪が舞い降りてきました。
雪もチャオの森のクリスマスを祝福してくれているみたいです。
ほしはひかり
やさしい光が、チャオの森をつつみこんでいます。
お月さまのやさしい光。
お星さまのひかえめな光。
そして、ティカルのプレゼントしてくれたクリスマスツリーのすてきな光。
みんなチャオたちを見守ってくれています。
やさしさにつつみこまれたチャオの森のクリスマスイブの夜は、しずかにふけていきました。
メリークリスマス。
おわり
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チャオの森のクリスマス