ディプロマシー(以下ディプロと略す)というゲームがあります。その筋では結構有名な、マルチ・プレイヤーズ・ゲーム(以下マルチ)のはしりともいえるゲームです。マルチというのはどんなゲームかというと、一言では多人数で行うゲームの事です。それも6人とか7人といった決して少人数ではない人数が参加し、その全員が唯1人にしか与えられない勝利を目指すゲーム(1位以外の例えば2位に何の価値もないゲーム)、つまり自分以外のみんなが敵であるという事です。これがマルチです。さらにこれがマルチの最も大きな特徴の一つと言えるかも知れませんが、勝利を掴むためにその途中では敵である他のプレイヤーと協力する(よく同盟すると言われる)事もありうるという事です。つまり他人と争うばかりではなく、より敵である他人を蹴落とす為に、その他の他人と組む事があるという事です。またもちろん組んでいる他人も本質的には敵なので、邪魔になれば叩き伏せる事になります(これをだましうちの如く行えば、裏切りと言われます)。これがマルチです。すなわち多人数による離散集合を扱うゲームと言えるでしょう。
説明からも感じられるかもしれませんが、マルチが扱うテーマはよく群雄割拠の戦国時代のようなものになります。ディプロは第1次大戦前のヨーロッパを扱っています。登場するのはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、ロシア、トルコの7国です。従って参加人数は7人となります。各プレイヤーはこの内の1国を担当してヨーロッパの覇者となる事を目指します。こう言うと難しそうですが、ルール自体は簡単です(唯ありがちなパターンですが、ゲーム自体はそれなりに奥が深い)。たいていのマルチのルールは簡単です。というよりゲームとしての体裁を保つ程度である事が多いです。そしてこの世界を支配するルールは唯一つ。数(人数)の多い方が勝つわけです。ルールが単純なだけにちょっとぐらい駒の動かし方が上手くても、数の優劣の前には消し飛んでしまいます。マルチにおける技術というもののほとんどは、どうやってこの数の優勢を作り出すか、つまりどうやって、敵であるはずの他人の協力を引き出すかという事にかかっています。
ではそのディプロのルールについて簡単に説明しましょう。どこか(ネット上とか)でディプロのマップを拾ってきてください。いくつかのエリアに分割されたヨーロッパ地図が書いてあります。実を言うと、この地図があればそれだけで出来るぐらいにディプロは単純です。各国の国境線を表す太線が引かれていますが、これはゲーム上はほとんど意味がありません。エリアの中には名前以外に大きな黒丸が記されているものがあります。この印のあるエリアの事をサプライ・センター(通称サプライ)と呼びます。簡単に言うと、ディプロマシーというのはこのサプライを奪い合うゲームです。地図を見るとわかるのですが、各国は初め3つのサプライを持っています(例外はロシアの4)。例えばドイツならドイツ国内のベルリン・キール・ミュンヘンの3エリアです。これを(ドイツにとっての)自国サプライと言います。各国の自国サプライ以外にイベリアに2つ(スペイン・ポルトガル)、フランドルに2つ(オランダ・ベルギー)、北欧に3つ(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)、バルカンに4つ(セルビア、ギリシア、ルーマニア、ブルガリア)、北アフリカに1つ(チュニス)の計12の空きサプライ(初め誰にも属していない)があります。つまり全部で34のサプライがあります。ディプロの勝利条件は18のサプライの占拠、つまり過半数のサプライを手に入れる事となっています。
では実際にどうやるのか。それは盤上に駒をおいて行います。はじめに各自が自国のすべてのサプライ・エリアの上に1つずつ駒をおき、それを動かしていく事でゲームは進みます。つまり初めは各員3つの(ロシアは4つ)軍隊駒を持っているわけです。また軍隊駒には陸軍と海軍の2種類がありますが、各サプライ上に置く駒の種類はあらかじめ決まっています。
駒を動かすにあたって大事なのは交代に1つづつの駒を動かすのではなく、全員が自分の駒全部の移動を決めた上で同時に動かすのです。1回駒を動かすとゲーム上で半年が経過し(これを1移動ターンという)、2回で1年が立ちます。1年経つと補給ターン(これもサプライという)が行われます。後は繰り返しで、この作業を勝者が決まるまで行う事になります。ちなみにゲーム上では初めの年は1901年であり、半年の移動ターンはそれぞれ春と秋と称されます。ゲームは1901年春、1901年秋、1901年補給、1902年春、...と進んでいく事になります。またサプライ18の国が出るまで行うと非常に長時間かかるので、何年の補給までと決めて、そのときのサプライ数で勝敗を決めるやり方もあります。
もう少し細かく立ち入ってみましょう。少し面倒かも知れません。分かりづらい所は飛ばして読んで、あとに載せてある実戦例を読んだ後に読み直すと分かりやすいかも知れません。また実際にディプロをやりたいと思っている方は、本物のルール・ブックを読んで見て下さい。
まずはエリアの区分から行きましょう。地図を見ればわかりますが、エリアには陸地と海の2種類のエリアがあります。また陸地エリアは沿岸エリア(文字通り海エリアに接した陸エリア)と内陸エリア(その他の陸エリア、まわり全てを陸地に囲まれたエリア)にわかれます。それとは別の陸エリアの区分に、サプライ・エリアとその他のエリア(平地と呼ばれる)というのがあります。またサプライ・エリアにも自国サプライ(初めに自分の持っていたサプライ)とその他のサプライ(他国サプライと空きサプライ)という区分が出来ます。
次に駒とその動きに付いて述べましょう。駒には陸軍駒と海軍駒があります。各プレイヤーは1回の移動毎に、まず全部の駒の位置を書き出します。その上で各全駒に1つずつ命令を与える事になります。そして全員が書き終えたところで「一斉のせ」でそれを公表し合い、その通りにすべての駒を同時に動かす事になります。この移動の事や、その移動を書いた命令書の事をよく”ムーブ”といいます。駒に与えられる命令は以下の4つのうちの一つです。
では以下にそれぞれの命令に付いて説明する事にしましょう。
まず維持は最も簡単な命令で、何もしない事です。つまり動かずに、そこにいるだけという状態にするわけです。つまり命令を与えないという事と同義語です。ちなみにルール的には命令を与えられなかったり、無効な命令を与えられた駒は自動的に維持命令扱いとなります。
次に移動。これは文字通りに駒を動かす事です。ただ1度に隣のエリアまでしか移動できません。また陸軍は陸地エリア上にしか存在できず、ある陸地エリアから隣の陸地エリアにしか移動できません。陸軍は海エリアには入れません。海軍は海エリアと沿岸陸地エリアにしか存在できず、それらのエリア上を1エリアずつ進めます。但し沿岸から沿岸に移動する場合には、同じ沿岸(同じ海エリアに接っしたエリアどうし)に属していなければいけません。何が言いたいか具体例を上げると、ローマはティレニア海に面した沿岸エリアです。またベニスもアドリア海に面した沿岸エリアです。ですがこの両エリアを海軍駒が直接行き来する事は出来ません(他のエリアをまわって数回の移動をすれば行けますが)。当たり前とも言えますが、この両エリアの境界ははすべて陸地であり、船で越える事は出来ないからです。また移動に関して注意しなければいけないのは、他人の駒がいるエリア(や他人のサプライ・エリア)に移動することは攻撃を意味するという事です。
次に輸送。多分これが最も頻度の少ない命令で海軍駒特有のものです。海エリアにいる海軍駒を通して、陸軍駒をその海を挟んだ陸から陸へ運びます。例えば英国海峡に海軍がいて、ブレストに陸軍がいれば、英国海峡の海軍を使って陸軍を対岸のロンドンに移動させる事が出来ます。ちなみにこの時の命令は、海軍駒は輸送であり、陸軍駒は移動となります(この時の陸軍の移動は、隣接エリアにしか移動できないという原則の唯一の例外です)。また2つ以上の海軍駒を使って、2つ以上の海を越える事もできます。さっきの例に北海の海軍を加えれば、ノルウェーまで陸軍を移動させる事が出来ます(もちろん両方の海軍とも輸送の命令となる)。輸送を命令された海軍駒は、陸軍を移動させるかわりに自身は動きません。
最期に援護。これの効果に付いては後で詳しく説明します。簡単に言うと、その駒は動かないかわりに、その駒が移動可能なある一つのエリアにいる駒、もしくはそのエリアに移動してくる駒(自国のモノでも他国のモノでもいい)を指定して文字どおりに援護します。
ここで命令書についての具体例を一つ示しましょう。
以上の命令により、北海の海軍はエジンバラの英国陸軍をノルウェーに輸送し、ノルウェー海の海軍はエジンバラからノルウェーに移動する英国陸軍をサポートし、エジンバラの陸軍はノルウェーに移動する事になります。
各自が同盟しているプレイヤーと相談しながら(交渉という)移動命令書をつくる事になります。これがディプロにおける主な仕事と言えます。また他人と相談はしても、公開されるまでは命令書は他人に見せる事は出来ません。全員命令書を提出して同時に公開するまでは、他人の行動がわからない(交渉などから予測はできるが、確定する事はできない)事が、ディプロというゲームの要諦であり、ゲームの醍醐味を作り出していると言えます。
あとはみんなの出した移動命令を処理する事になります。
ここでディプロマシーに置いて大切なルールを説明します。1つのエリアには最大1つの駒しか存在できないのです(たとえ味方の駒同士であっても2つ以上の駒は同じエリアには存在できないのです)。同時に移動を行うからには、同じエリアに複数の駒が同時に移動することもあるわけです。またもともと他の駒がいるエリアに移動することもあるでしょう。さらには隣あったエリアにいる駒同士が、入れ違いになるように移動しようとする事もあるでしょう。このような移動が起こった場合にはスタンド・オフ(S・O)したと言って、移動する前のエリアに戻されます。つまりスタンド・オフした駒は維持の命令を与えた場合とほぼ同じとなるわけです(但し移動先の駒を攻撃した事になる)。
ただこれだけではある場所に居座った駒はそのまま安泰となる事になります。そこでゲーム的には最も大切と言っても過言ではない、援護(サポート)のルールが登場します。簡単に言うと通常の駒が1の力で移動するとすれば、サポートされて移動する駒は2の力で移動する事になり、他の1の力で移動す駒や1の力でそのエリアに留まっている駒を押し退ける事になるわけです。もちろん2つの駒にサポートされれば3の力になるわけです。但し相手も2や3の自分と同数の力で移動してきたり、守っていたりするとスタンド・オフ(S・O)する事になります。
用語の問題とも言えるかも知れませんが、移動命令を受けたのに同数またはそれ以上の力にぶつかって元の場所に戻ることをスタンド・オフと言い、自発的に移動したわけではなく、より大きい力を持った相手に押し退けられた場合を”撃退された”と言います。また撃退された場合には他の隣のエリアに押し出されるわけですが、その特別な移動のことを”退却”と言います。場合によってはスタンド・オフした挙げ句に撃退されることもあります。
細かい事を言うとスタンド・オフにも種類があり、エリアの境界上で激突してスタンド・オフする場合(この場合は両者は同数)と、エリアの中においてスタンド・オフする場合があります。さらに後者は空いているエリア(または駒がいたけど他のエリアに移動して空いたエリア)にそれぞれ移動してきてスタンド・オフする場合と、もともと駒がいて守っているエリアに攻撃をかけてスタンド・オフする2種類があります(両者とも同数でなくても、相手の方が強ければ負けた方はスタンド・オフとなる)。
次にゲーム上の技術としては同じくらい大事なサポートの無効化に付いて説明します。サポートの命令を与えられた駒が撃退されたり、一部の例外を除いて攻撃を受けた場合には、そのサポート命令はなかった事になります。一部の例外とは、攻撃してきた相手がサポート先のエリアの時です。例を挙げると互いに接しあったA・B・Cの3エリアがあったとします。AにX国の駒があり、B・CにY国の駒があったとします。Bの駒がAに移動(つまり攻撃)し、Cの駒がサポートしたとします。ここでたとえAの駒がCを攻撃したとしてもCのサポートは消えないという事です。さらにX国のDにいた駒がCを攻撃したとすればCのサポートはなくなり、AとBの駒はスタンド・オフする事になります(サポート命令を与えられていたCにいるY国の駒も、そのエリアを守る1の力は残っている)。
最期に撃退された駒に付いて説明します。撃退された駒は退却する事になります。これは通常の移動がすべて終わってから行われます。退却できる場所はもといたエリアからその駒が移動できるエリアでなければなりません。もちろん他の駒がいるエリアには行けませんし、さらに自分を撃退した駒の移動元のエリアや、スタンド・オフによって空いたエリアには退却できません。退却できるエリアの無い駒は消滅する事になります。また撃退された駒の所有者は、わざと退却せずに駒の「消滅」を選ぶ事もできます。
すべての移動命令が処理されてから退却する駒は退却先を決める事になります(もしくは消滅か)。退却する駒が複数の時は、移動命令の時と同じく一斉のせで各自紙に書いて出す事になります。もし複数の駒が同じエリアに退却したときには、そのすべてが消滅する事になります。
実のところ撃退・退却と呼んでいますが、ゲーム上では明確な前後の定義はされていません。撃退されたのに、あたかも進軍であるかのような退却もあり得ます。退却先というと、イメージ的に言うと本国に近づく平地という感じですが、ルール的に問題がなければ(上記の撃退した駒の移動元とか、スタンド・オフがあった場所などでなければ)、例えば、本国から離れる方向の空いている他人のサプライ・エリアでも、退却できます。で、裏技的になりますが、わざと他国(一般的には「同盟国」などと呼ばれる仲の良い国)に自分の駒を撃退させて「進軍」としか言いようのない退却をするという駒の動かし方もあります。ちなみに自分の駒を撃退するような、自分の駒の移動(例えば維持命令で動かない駒がいるエリアにサポート付きで別の駒を移動させる)の場合、「自軍撃退命令」と言って無効な命令となります(ただ、単純に向こうになるのとは違うのではありますが)。が、いくら外部に「同盟国」と称していても、ゲーム上ではその他の国との区別は全くなく、同盟国の駒を撃退するような移動命令も、まったく・全然問題なく、撃退する方向で解決されます。
こうして春と秋の移動が終わると補給ターンとなります。その前にサプライ・エリアの占領と維持の条件を説明します。これは単純です。占領は秋のターンが終わったときに、自分の駒がそのエリアに存在すればいいのです。また一度占領すれば、他プレイヤーに占領されなければ自分の駒がいなくても維持されます。ここで大事なのは春のターンに通過しただけでは占領にならないという事です。そのため秋のターンは”収穫の季節”と言われます。補給ターンでは何をやるかというと、自分の駒数を自分の占領・維持している総サプライ数と同じに増減させます。但し減らすときにはどこでもいいのですが、増やすときには空いていて、他人に占領されていない自国サプライにしか増やせません。この空いていると言うのが大事な条件です。また増やさないという事もできます。そのため、たまに駒の数かサプライ数より少ないという自体が発生します。また単にサプライと駒の数を同数にするだけですので、春や秋に撃退された軍隊を(退却できる場所があるのに)消滅させて、本国にわかせ直すという事もたまに行われます。もちろん海軍は沿岸の自国サプライにしか増やせません。またこれも大切なのですが、現に存在している軍隊を消して、かわりに新しい軍隊を本国につくるといった行為は出来ません。そのため、いわゆる「敵対国」との国境線に全軍を動かした場面で、「同盟国」に裏切られるという展開で、本国が切り取られているのを眺めつつ、涙をのんで辺境から一歩一歩駒を返さないと行けないという展開もよく見られます。同様に既にある陸軍駒を海軍駒に変換する(もしくはその逆)も出来ません。そのため、裏技的に撃退された(もしくは、前述の退却前進のようにわざと同盟国に撃退してもらって)駒について、退却できるのに消滅を選び、次の補給時にサプライの数が増減していないのに駒をわかすという方法もあります。陸海軍の変更とか、本国近くへのワープなどに利用できます。
基本的にはルールはこれだけです(他に特殊なエリアなどの細かいルールはありますが)。普通は各移動ターンの前に10から30分の交渉時間を取ってそれぞれの移動命令に付いて相談して作成し、その後の処理(退却や補給を含む)を行うという事を繰り返す事になります。
各国の初期配置・初期戦略はだいたい以下のようなものでしょうか。ちなみにNは海軍を表し、Aは陸軍を表しています。では以下にそれぞれの国の常識的な初期移動と、各プレイヤーに付いて少し述べてみようと思います。 (ちなみに、移動などの表記方法はかなり独自なものです。例えば、一般に海軍は F Fleet で表されると思います)
○イギリス(基本戦略)
勝つかどうかは分かりませんが、最も楽な国(もしくは最も滅びにくい国)と言われるのがこの国です。この国には海という強い地形的な味方が存在します。特に初めから接地エリア数に置いて最大を誇る北海を支配下におけるために、初期の2つの海軍をかなり有効に活用できます(北海はサプライ1つに相当するという言葉もあります)。仏・独・露の3国が身近な国ですが、おかしな動きがなければ何の交渉もせずに仏・独は放っておいて、北欧でロシアとドンパチやっているだけで何とかなってしまいます。サプライが増えればすべて海軍にしていき、北欧が一段落する頃には(状況によってはその前に)独・仏のどちらかと組んで他方を討つといった展開になるのでしょうか。圧倒的な海軍力にものを言わせて他国の海軍を封殺した上で、海の上から殴りたい放題(少なくとも相手から反撃はされない)。フランドルやイベリアに上陸後は、増えたサプライで陸軍をつくり橋頭ほから上陸させるもよし、そのまま海軍駒が枯れるまで(枯れても他国のを替わりに使えますが)船を建造し続けて海軍王国を築くもよし。このへんがイギリスの理想的展開でしょう。ただ海のおかげで安定はしていますが、そのために逆に成長は地道です。序盤が終わった頃にはトップが7+サプライあたりになっているのに、未だに4から5の間をうろついていることも良くあります。ただ海軍の展開で失敗がなければ、この国は地力がありますので焦る必要はないでしょう。しかしなるべく全体が混戦模様の方が勝ちやすいのは確かです。
この国の1901年に置ける移動には、いわゆる教科書ムーブと言われる典型的なものがあります。
《以後移動命令の表記は上のような書式で行います。
命令の種類は移動はM、輸送はC、サポートはS、維持はStayで表します。またサポート(や輸送)の場合の影響先に付いては、正式な命令書においては、
ただ上記の表記方法が、正式なモノではない事をお断りしておきます》 (一般的に維持はKeepと表されることが多いですし、移動は→やAttack で表されることもあります)
以上のムーブによりほぼノルウェーは確保する事が出来ます。1 年目のイギリスは、交渉なんて何もせずに、とりあえずこう書いとけば問題はないとさえ言われています。更に言うと、 2年目以降北欧でロシアとドンパチやる分には特に交渉がなくても可能と、ある意味、最も初心者にやさしい国と言えるかもしれません(まぁ、ゼロ交渉だと後で困る可能性も多分にありますが)。
また開始時の外交状況によっては、いきなり英国海峡に出たり、オランダ・ベルギー・デンマークなどにちょっかいを出してみるのも面白いでしょう。何にしろこの国の強みは、初め少しくらい好き勝手やっていても、いきなり”対イギリス同盟”が組まれづらい(イギリス攻略は面倒だから)点でしょう。つまり序盤の生け贄決定においてこの国は初めから対象として除外されている、つまり1回の決定分だけ他国より生き残りやすいわけです。
これは初期戦略とは違いますが、この国が滅ぶときには中部大西洋→アイル海→リバプールというコースでフランスに奇襲される事が多いです(海軍しかないイギリスには防げない事が多い)。
○フランス(基本戦略)
フランスはマップの西の端に存在し、イベリア半島という安全な後背地を持っており、さらに領土拡大の場所としてはドイツを初めとするヨーロッパ中央や、イギリスが存在します。それなりに立地条件はいい国です。
近隣の国としては独・伊・英が存在します。ただイギリスは初めの方はこっちに頓着せずに北欧で勝手にドンパチやっている事が多いので、考えるべき隣国は独・伊となります。ただこの2国が組んでフランスに攻めて来るのは良くあることですが、これは最もフランスに取って忌むべき展開と言えます。独・伊に攻められて、なすすべもなく早期崩壊するフランスというのもよく見ます。この展開を避けるのがフランスに与えられた最も大きな課題であり、腕の見せどころといえます。と言うより、ここさえしのげばフランスは紛れもなくトップ(の一人)として君臨する事が出来まると言っても過言ではありません。
てっとりばやいのは、ドイツと仲良くする事です。この場合はベルギーまでドイツに譲ったとしても、長期的にはフランスの方に有利なのではと思われます。また初めの2・3年を過ぎれば、独・伊と戦争するにしてもロシアやオーストリアと同盟できる状態となっているでしょう。
ただどちらにしてもフランスが勝つときには、どこかでイギリス本土を切りとっている事が多いようです。
余談ですが独・伊が組んでフランスに来る事は良くある展開と言いましたが、それを破壊するような普通では考えられない事態(例えば後に出るアグレッシブ・オーストリアなど)が起こったときに、ほとんどの場合フランスは得する側にいます。つまりフランスは関係なさそうなところでも陰謀を巡らしておけば、波及効果でフランスが得する事が多いです。そういう意味では外交の(もしくは策動の)しがいのある国と言えます。
何も外交状況が与えられなかったときの1年目の教科書ムーブは以下です。
ここで問題なのは対イタリアを考えればマルセイユに海軍をつくりたいのですが、そのためにはマルセイユを空けなければいけません。これには2つの方法があります。そのままマルセイユに行かずに空けておくことと、マルセイユに行ってイタリア軍とスタンド・オフして空く事を狙う事です。前者はマルセイユを危険にさらす事になるので、どうしても後者を取りがちです。もちろんイタリアはそこまで考えて、マルセイユの前で立ち止まります(ピエモンテで維持する)。この手の問題はディプロには頻出するものです。ここで相手の心理を読み切った者(もしくは自分の思い通りに相手を誘導した者)がこのゲームの勝者となります。
○ドイツ(基本戦略)
ドイツの説明を始める前に一般的な序盤の流れを説明しましょう。だいたいにおいて1年目は他人を牽制する事はあっても、空きサプライを埋めるのが主目的であって、他人の攻撃までいたる事は少ないです。なぜなら他人からサプライ奪い取る事は大きな効果がありますが(自分が+1で相手は−1)、それゆえ難しいからです。それならば楽に取れる空きエリアを取って行った方が効率がよいからです。そうなると各国は初期配置から2歩で行ける空きエリアを求める事になります。以下に、各国が初期配置より2歩で行ける空きサプライを示します。()内は行けるけど、まず取れないと思われるエリアを示します。
ルーマニアあたりは微妙ですが、空きサプライ12は以上のように分割されやすいです。盤に駒を置いて動かせばすぐに分かりますが、一つの特徴としてプロシア・シュレジア・ボヘミア・チロルのラインにまるで壁があるかのように、その線から離れる方向に軍が動く点です。そして一度動かした軍隊を戻すのは時間がかかって無駄なので、そのままその方面で戦線をつくってしまいます。何が言いたいのかと言うと、ドイツ・ロシア・オーストリアは(他で戦争になる事はあっても)このライン沿いではお互い軍を出さずに無視しあう事によって平和を保つ事が多いです(取りあえず自分の戦線にけりが付くまでは)。またベニス・トリエステ間に置けるイタリア・オーストリアも、もっと緊迫はしていますが同様の事が言えます。
まとめると以下のようになります。
これはあまりにも単純な例で、これ以外の展開はいくらでもあります。しかし最も多いのはこれとその発展形でしょう。
ここでドイツに付いて考えますと、後の事はともかく初めは後ろの事を気にせずただ前進するだけですみます。さらに言うと空きエリアのうち3つが確保できます(ただ1年目に3つとも確保するのは可能ですが、難しいでしょうが)。結構簡単にサプライ6には到達します。ただ1次・2次大戦のドイツ同様に初めは威勢がいいですが、後は苦労します。なんと言っても全体の中央に位置していますから。自国の周りが落ちついて、次はどこに行こうかと考えた時に、どうしても中央に位置して分割しやすいドイツ・オーストリアに目が行くのはいたしかたない事です。さらにまずい事にドイツは適度に強そうに見えるので、目の仇にされやすいです。
対抗策としては、序盤有利なうちに早々にフランスを斬ってしまうのが一番に思えます。フランスがかなり譲歩しない限り、仏・独の同盟はどう見てもフランスの有利のような気がします。
フランスを斬るためには、まずイタリアと同盟すると共に、フランスの外交策をねじ伏せて行かなければ行けません。ただこれはオーソドックスに展開するときにはそれほど難しくはないでしょう。しかしフランスを斬ったとしても今度はイギリスがちょっかいを出してくるのは見えていて、北海のプレッシャーに実際的にも心理的にも耐えるのは骨がおれます。
ただ策敗れて窮地に陥ったとしても、ドイツ本国は鉄壁の防御力を誇ります。なぜならサプライが隣接・密集しているためです。ここに陸軍が立てこもれば、かなり持ちこたえる事が出来ます。もちろんそのままではいつか滅びますが、時間が稼げれば外交的に立て直せる可能性もあります。もちろん立て直せたとしても勝利はかなり遠くなっているでしょうが、なす術もなく滅ぶよりはましでしょう。まぁ自分だけ敗者復活(但しスタートのからやり直し)があると思えば気分も楽でしょう。
○イタリア(基本戦略)
基本的にはイギリスと同じ海軍国だと思います。もしイタリア半島をヨーロッパから切り離して間に海エリアをつくれば、エリア配置的にはほとんどイギリスと同じになります。ただもちろんそうでなく陸でつながっている事と、初めの海軍が1である事がこの国とイギリスを全然別の国にしています。
取りあえず1年目春の教科書ムーブは
1年目の秋の移動の問題としては、マルセイユ及びトリエステをアタックするかというものがあります。マルセイユをアタックするかどうかというのはフランスの項で話しました。イタリアに取ってフランスは敵となる事が多いのですから、アタックする事自体は問題がないでしょう。後は読みの問題となります。ただマルセイユに陸軍がいて、他にマルセイユをカバー出来る軍隊がいないときには、ドイツとの携帯を考えなければやり得っぽいので、やってかまわないでしょう。
問題はトリエステです。これはやってしまうとオーストリアとの全面戦争になるでしょう。トリエステが取れる公算はそれなりにありますが(普通のオーストリアはまさかこないだろうと思っているから、トリエステに軍を返さない事が多い)、その後はイタリア・オーストリアの閉じた泥沼戦になった挙げ句に、勝者無き戦いとなる可能性が高いです(その間に強国となった第3・4国に喰われる)。よほどロシアやトルコとの携帯に自信があるとき以外はやめた方がよいでしょう。
どちらも無難に済ませた場合、2年目以降の目標は、マルセイユです。取りあえずナポリに海軍をつくって、リオン湾と西地中海に海軍を浮かべ、ピエモンテの陸軍と共にマルセイユを攻撃します。イタリアの強みは、本土防衛には初期の陸軍だけで十分でありそれ以上は必要ありません。また攻撃するには海軍で十分。特にフランスは地中海内に2つ以上の海軍を持ってくるのも、つくるのも困難なため、ピエモンテに陸軍さえ置いておけば、守りはほぼ完璧だし、海から反撃を恐れず殴りたい放題。さらにピエモンテはサプライではないので、間違ってフランスに取らせる事もできる。やりたい放題と言えます。マルセイユが落ちれば引き続きイベリアへの道が見えます。ある意味で対フランス戦線は圧倒的にイタリア優勢と言えます。
対オーストリアに目を転じてみましょう。初めに問題となるのはベニス・トリエステ問題ですが、オーストリアと違ってイタリアにはピエモンテとベニスに初期の2陸軍を常駐させる暇があります。なぜなら他に使いようがないからです。オーストリアには余り暇が有りません。バルカンという宝庫があり、そこはいくらでも軍隊を必要としているからです。オーストリアがバルカンに張り付いてしまえば、不意さえ付ければいつでもトリエステから、ウィーン・ブタペスト・セルビアといったオーストリアの心臓部に切り込む事が出来ます。これがイギリスと違い陸続きである利点です。陸軍がそのまま活用できます。またフランス戦線を一時放棄していいなら、同時にピエモンテの軍をチロルに出すと完璧です。特にオーストリアのサプライが増えないと思われる年の秋にやれば、もしトリエステでスタンド・オフしても次の年にどうにでも出来ます。さらに言うとロシア、またはトルコと組んで事をおこせばさらによいでしょう。
実は陸続きでドイツもそう遠くはありません。
地中海沿岸のイベリア・マルセイユ・チュニス・ギリシアを含む海軍国家+オーストリア内部に喰い込んだ陸軍国家となると理想でしょう。
こう書いていくとどこからみてもイタリアはよい国に見えます。もちろん欠点はあります。大きな。
成長率の差です。イタリアは1年目が終わるとサプライは4になりますが、5つ目がなかなか見つかりません。マルセイユが落ちるのは早くても3年目です。それまで余り活用できない陸軍2と、どうやってもたりない海軍2でやるしかありません。これが始め海軍2で始まるイギリスとの大きな差です。さらに言うと上記の明るい展望は、全体が混戦模様のうえ、イタリアが順調に5つ目のサプライを手にいれた場合の事です。イタリアとは比べ者にならない成長率を持ち得る国はいくらでも存在します。そういった国がイタリアに牙を向いてきたときに、イタリアは数々のジレンマを受ける事になります。特にオーストリアは序盤に急成長する事がありますが、この国がイタリアに牙を向くと厄介な事になります。イタリアの海軍は西側(西地中海の付近)に展開しやすく、東側(アドリア海側)に難しいです。そのくせ東側(特にイオニア海はチュニスとナポリに接している。)からの攻撃に弱いのです。特に減り始めるとドイツなどと違って、イタリアはあっという間に滅びます。守るためには陸軍がいります。ベニスとローマは陸軍では1歩ですが、海軍では遠い土地となってしまいます。さらに本土は細長くて、サプライ・エリア同士の連携もままなりません。しかし海軍を減らすと攻撃力が減る、つまり増える見込みがなくなる、結局詰まる事になります。結論としては攻める事により防御する(攻勢防御)しかなく、攻められる立場になったら終わりという事かもしれません。
さらに言うと、フランスとドイツが序盤に手を組んだりすると(イタリアに敵対しなくても)即座に詰まりかねません。
イタリアは決して地理的状況などは悪くありません。むしろ恵まれているとさえ言えます。中央にいて周りを囲まれているようにも見えますが、それは誤解です。後ろは海、前は隘路。天険の地とも言えます。
イタリアの最も大きな敵は時間です。なるべく全体が混戦になるように、そしてオーソドックスにゆっくり流れるように暗躍するのがイタリアの最も大きな勤めなのかもしれません。
○オーストリア(基本戦略)
最も勝ち目の薄い国といわれるのがこの国です。まず地形的に最悪です。どこと組んでも最期にその国に後ろから襲われる形になります。つまり安定した後背地というものが持てないのです。別段それが決定的な不利とは言えません。しかし生き残り、勝ち残るには全体の流れを読んで渡りきるバランス感覚が必要となります。もちろん他の国にはこれが必要ないとは言いませんが、オーストリアはこの種の決断を他の国よりも2・3回多く行わなければいけません。もちろん間違ったり、失敗したりしたら大きく後退を余儀なくされます。つまり決断の回数が多い分だけ、確率的に勝ち目は少ないわけです。さらに積極的にミスしなくても、中盤以降はオーストリアは”多対1”で分割するには格好の土地と周辺諸国に思われやすいので、これも裁かなくてはいけません。それでなくとも周りを他人に囲まれていれば、心理的プレシャーは並ではありません。もっと短期的にはベニス・トリエステ問題もあります。大変な国と言えます。
逆にこの国で外交的に渡り歩いた末に勝利を掴んだとすれば、それはマルチ・プレイヤーとしては一つの栄誉と言えるでしょう。それだけにやりがいのある国と言えます。
いろいろとオーストリアの苦難を書き連ねてきましたが、実は序盤は楽な方です。ベニス・トリエステ問題も、どちらも手を出しづらいのでなおざりになる事が多いです。イタリアとは丁重な相互無視が続く事になります。しかし海軍をつくるにはトリエステを空けるしかなく、でもベニスにはイタリア軍がいるという事になり、オーストリアの方が頭が痛いのは確かです。「トリエステに来たときは、バルカンを捨ててでもイタリアだけは殺す」と公言しておいてイタリアと不可侵を結び、裏切られたらその時考えるという事になりがちです。
オーソドックスに行くと、初めの数年はバルカンに行くだけで終わります。少なくともギリシアとセルビアはオーストリアの領土です。ロシア・トルコのどちらかと手を組み、残りとドンパチやることになります。後は外交次第、全体の流れ次第です。
注意すべきはロシア・トルコが組んで一緒に西進してきたときです。この場合オーストリアはなす術もなく滅びます。ただ初めにロシアかトルコに自分を売り込んでおけば、確固たる信念(どうしてもロシア・トルコの蛮族同盟でヨーロッパを席巻するんだという)を持った相手以外には、無碍にされる事はないでしょう。
どちらかと組んで残り一方を抑えてしまえば(滅ぼしてしまえば)、後はイタリアはすぐそこだし、ドイツもそう遠くない。周りを囲まれるのは防御にまわったときには欠点ですが、積極的に行くときにはどちらにも攻勢軸を取れます。周りを切りとり放題と考えるだけの度胸があれば、オーストリアもそれほど悪くないと言えましょう。
最期に”アグレッシブ・オーストリア”を紹介しておきます。これは1年目の春に、
○ロシア(基本戦略)
この国を最も良く形容した言葉に”2つの小国”という言葉があります。初めから他国より1つ多い4つのサプライを持ってはいますが、その実は北に2つ、南に2つのサプライ2の小国を別々にやっているのと大差有りません。さらに北ではイギリスと、南ではトルコと別々に争う事になります。もともと兵力が3対2という事もあり、単独ではどちらでも負けます。つまり何が言いたいのかと言うと、他の国と同盟しないといけないわけです。
北では1年目にオーソドックスに行くと
とにかくこの後スウェーデンはまず確保できますが、ノルウェーは確実にイギリスに入られます。その後はどうしてもイギリスとの稼働兵力数及びその質の差により、戦線を支える事に汲々とする事になります。それを防ぐためにはドイツなり、フランスなりがイギリスにちょっかいかけるのを待つしかないでしょう。それも遠い話です。結局耐えるしか道はありません。ただ全然フォローになっていませんが、イギリスの進撃はまずペテルスブルグで止まってしまうので(海軍は内陸にはいれない)、それ以上の本土の危険性は無いと言えます(つまり致命傷ではあるが死には至らないという程度の気休めです)。
次に南。バルカン3国は三つ巴になりやすいですが、その中でもオーストリアは他の2国とは比較的離れ対置からスタートします。それに対してロシア・トルコは、初めから黒海を挟んで全面対決の配置となっています。1年目は下手をするとオーストリアにはおかまい無しのロシア・トルコの一騎打ちとなる事さえあります。特に黒海は北海に並んで大きな影響力を持っています。その後の海軍の展開という意味では黒海はぜんぜん役に立ちませんが、接地6エリアのうち5エリアがサプライ、さらに言うとそのうち3つは露・土の本国サプライと言うしゃれにならない配置となっています。そのため1年目の春にはロシア・トルコの両海軍による黒海スタンド・オフが当たり前という風潮さえあります。普通に行けば
この戦線における戦争に付いてはトルコの項で詳しく述べますが、もちろん駒数が2対3である事もあり、劣勢となります。但し北欧と違って明るい素材は、オーストリアという第3国が手近にいる事です。オーストリアと組んで3者のうちの2となって、残りの1を叩くという事が出来るわけです。この場合南で地歩を固めつつ、北で耐えるという事になります。
さらに言うとトルコと組んでオーストリアを攻めるというラインも存在します。実はこれはかなり強力な策で、ロシア・トルコ両者が怒涛の勢いでオーストリアを蹂躙しつつ、ヨーロッパ中央へ並んで西進する事になります。但しこの同盟による利害は、どう見てもロシアの方が分がよさそうですので、トルコとの利害調整に苦しむ事になりそうです。トルコにもそれなりの利益があるので不当な交渉とは言えませんが、特に序盤はロシアの方が成長率が高くなり、トルコの目には面白くない進展と映るでしょう。
どちらにせよロシアはどうやっても常に2正面以上の作戦を強いられる事になります(北欧とバルカン。下手をすると2・3年目から対ドイツ戦線というのもできてしまう)。ちょっとぐらい他国よりサプライの数が多くても、どこでも劣勢という事になりやすいです。さらに言うと2正面あるという事は単純には交渉も2倍必要となります。苦労多く大変な国と言えます。
○トルコ(基本戦略)
勝率No.1。史実をかけ離れて最も強い国。それがトルコです。まず適度によい地形配置。隅にあるために後ろの心配を全くせずに前に進む事が出来ます。目の前にはバルカンという宝庫が存在するために、成長する可能性は十分にあります。 初年は何も外交的状況が与えられ無ければ、単純に以下のようにロシアに牙を向く事になります。
このようにムーブして、ロシアのセバストポリ(N)、ウクライナ(A)と対峠する事になります。実際にはオーストリアも近辺に到着しているので事は単純には行きませんが、オーストリアの影響を無視した場合この2対3の対陣は格好のムーブに付いての練習問題を提供してくれます。争点となるのは黒海・セバストポリ・ルーマニアの3点です。ブルガリアの陸軍は単純にルーマニアに移動すれば良いのですが(ロシアにルーマニアを取らせないため、及びあわよくばブルガリアは後に回してのルーマニアの確保を狙っている)、アンカラ(N)・アルメニア(A)は微妙です。もし単純に黒海・セバストポリと移動すると、これまた単純にロシアがセバストポリ(N)→黒海と動くと、両方スタンド・オフしてしまう事になります。つまり優勢な立場にありながら、全く状況を進められなかった事になります。この裏を付くためには海軍を黒海には行かせずに、陸軍をセバストポリに突っ込ませる事になります。これでセバストポリが落ちれば黒海が敵の手に渡っても十分形と言えます。但しこの場合もロシアの海軍が黒海にはいると共に、ウクライナがセバストポリに入って来てスタンド・オフすると、さらに複雑な形となります(さらに言うとセバストポリが空くために、ここにロシアが海軍をつくる可能性さえある)。ロシアにしても欲張って(場合によっては黒海を放棄したり、セバストポリを危険にさらしてまで)ルーマニアに行くかどうかなど、難しい問題です。このようにこの戦線は複雑な動きを見せる事になります。一度実際に盤に駒を置いて研究してみると面白いでしょう。
ただしこれにオーストリアが絡むために状況は逆に単純化すると言えます。オーストリアがつく方が勝つわけです。但しどちらかの国が滅んでしまうとオーストリアは残りの国に後背から襲われかねないので、何らかの好条件が揃わない限りどちらかと完全に組んでしまう事は少ないでしょう。そのためバルカンは混沌に陥る事になります。
ロシアの項でも説明しましたが、ロシア・トルコの同盟はそれなりに強力です。ただし北の方でイギリスに何か事故が起こると、一瞬にしてロシアがトルコを圧してしまいかねません(ただでさえこの戦線はロシアが不利だったはずなのに)。そのへんのバランス取りが難しいと言えましょう。さらに言うとこの同盟は強力であるが故に残りの5国(オーストリアが崩壊していれば4国)の警戒を引き起こしてしまうでしょう。
基本的にこれはバルカン3国に共通事項ですが、”3者のうちの2となれ、1となるな(残りのどちらかと組み他方を攻めよ、間違っても2国から攻められる事になるな)”と言う事です。但しトルコは”勝率No.1”という実績が逆に他の警戒をあおりがちですので注意した方がいいでしょう。ただドイツと同じでトルコ本土の防衛力は高いので、攻め込まれても何らかの外交的な行動(例えばイタリアにオーストリアを後ろから攻めて貰うとか)とその成果を待つだけの時間は稼げるでしょう。
ロシアとのけりがついた後は(和解するでも、モスクワ当たりまで抜いてしまってもいいが)、そのまま西へオーストリアに行くか、海からイタリアへ行くかとなります。これはトルコの一つの必勝パターンですが、コンチとスミルナに海軍をつくった後に、コンチのサポートでスミルナから東地中海、その東地中海のサポートでコンチからエーゲ海、そのエーゲ海のサポートで東地中海からイオニア海、イオニア海のサポートでエーゲ海からギリシア、...とイタリアの東地中海側の海軍を圧倒しながら海軍を進めるというものがあります。
以上、簡単にこんなものです。一応京大シミュ研にもディプロは存在していますので、ある土曜の一晩を費やしてディプロをやってみるのも、年に一回くらいはいいかもしれません。一応基礎教養ともいえますし。