時はとどまる事を知らず流れつづける。
4つの季節は巡り、雪の街には冬が訪れていた。
奇跡を呼ぶ季節、冬を・・・

〜求め続けるもの〜


今日も学校が終わった。
転校したときは勉強も遅れぎみだったが、最近は名雪の協力もあり、少しずつ勉強も追いついてきたようだ。

「祐一、放課後だよっ」

いつものように、名雪が放課後を知らせてきた。

「あぁ、名雪、今日は部活あるのか?」

雪が降り始めたのだから、普通はないと思うが、去年は雪の中も走っていたからな。
この街では雪というのは当たり前のようだし、もしかしたらあるかもしれない。

「部活はないけど、集会があるの」
「わかった、すぐ終わるだろ? 教室で待ってるよ」

うん、わかったよと言い残して、名雪は教室を出ていった。
祐一は特にやることもなく、自分の席に座ってボーッとしていた。
ふと、窓の外を見る。
昨日の夜から降り始めた雪が積もり、中庭は白一色に染まっていた。

「なんだ、相沢、帰らないのか?」
「あれ? 名雪はどうしたの?」

後ろから、話し掛けられる。
振り向くと、北川と香里が立っていた。

「名雪を待ってるんだよ、ちなみに集会だそうだ。」
「そっか、雪が降り始めたからな、なんか知らせる事でもあるのか」

おれが言うと、北川は納得したようだ。

「でも相沢君もだいぶこの街に慣れてきたわね」

香里は話しながら、自分の席につき、カバンにノートなどを入れはじめた。

「そりゃもう一年たつんだしな」

一年もたてば、慣れもするよ。
それでも、この街の寒さにはまだ慣れそうにないけど・・・。

「そっか、もう相沢が来てから一年もたつんだな」
「あまり実感わかないけどな、まだ1ヶ月くらいしかたってないような気がするよ」

本当に一年というのは早いものだった。
おれがきたあの冬、そして春、夏、秋が思い出される。

「あ、すまん。おれバイトあるんだ。また明日な」

突然、北川はそう言うと、おれと香里の返事も待たずに教室から出ていった。
ハァと香里はため息を一つつくと、カバンをつかんで立ち上がった。

「じゃ、相沢君、また明日ね」
「おぅ」

言って香里は歩き出した。
返してから、祐一は窓の外を向いた。
さっきまでは晴れていたのだが、雪が降りはじめていた。

「相沢君」

呼ばれて、振り返ると教室の出口に香里が立っている。

「今、幸せ?」

祐一はチラッと窓の外を見た。
あいかわらず、雪は降り続けている。

「いや、寒くなるのはあまり・・・」
「そういうことじゃなくて、この街での生活はってことよ」

すこし考える。
香里、北川、秋子さん、街の人々、そして名雪が思い浮かんだ。

「・・・あぁ、幸せだよ」

正直に、そう思う。
今ではこの街の変わりない日常は、求め続けるものになっていた。

「そう・・・」

香里は呟くように言うと、祐一に背中を向けた。
そして、言う。

「幸せっていうのは、日々の奇跡と偶然が支えあって成り立っているものなのよ」
「・・・え?」
「幸せが、続くといいわね」

じゃね、と言い残して、香里は教室を出ていった。

「・・・」

祐一はしばらくの間、香里の言葉を胸中で繰り返した。
普段からは考えられないような香里の言葉。


幸せは、奇跡と偶然によって成り立っている



「・・・」
「・・・祐一? どうしたの?」

呼びかけられて、顔をあげると、名雪が顔をのぞきこんでいた。

「いや、なんでもないよ。集会終わるの早かったな」
「うん、祐一待たせるのもわるいと思ったから、早く終わらせたんだよ」

にっこりと名雪は微笑む。
いとこであり、恋人である名雪を見て、祐一は苦笑した。




そうだ

幸せはここにある

それでいいじゃないか

この幸せの時間は

止まらない

求め続ける限り

全ては求めるものに流れていく

今までが

そうだったように




祐一は立ち上がると、笑顔の名雪に言った。

「じゃ、帰ろうか」
「うんっ」

祐一と名雪は連れ立って教室を出ていった。




前に歩く

過去の幸せを語れるように

今の幸せを感じるように

未来の幸せを見るために

前に歩く

幸せに終点は存在しないのだから

時間は無限にあるのだから

ゆっくりと

歩いていこう



あとがき

 漣:どうも、漣です
名雪:名雪です・・・「シリアス」・・・なの?
 漣:聞かないでくれ・・・自分でもよくわからん
名雪:いいけど・・・今回、なんか中途半端に終わってる気がするよ
 漣:うむ、続き書くつもりだからね。不評だったら書かんけど
名雪:このあとは、どんな展開になるのかな
 漣:それは言えんだろう。後半面白くなくなってしまうし・・・
名雪:というか、考えてないんだよね?
 漣:・・・いや・・・まぁ・・・、がんばって考えます・・・
名雪:ふぁいとっ、だよ

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