奇跡が起こってから、1年がたとうとしていた。
あゆは水瀬家で正式な家族の一員として、住んでいた。
そして、今日は1月7日。
あゆの誕生日だった。

最初で最後の願い事


「やっとついたな」
「うん」

赤い夕焼け、その赤い光を反射する雪。
そして、大きな切り株。

「ボクたちの、学校だね」
「あぁ」

祐一は、小さく頷いた。
あゆが水瀬家に来てから、一度も来る事のなかった約束の場所。
あゆが、2回消えた場所。

「それで、どうしてここに来たの?」

学校が終わってから、祐一はあゆと一緒にここまで来てくれるように頼んだ。
その理由も教えていないのだが、あゆは祐一の頼みを聞いてくれた。
実のところ、祐一もなぜこの場所を選んだのかわからなかった。
やはり、ここは・・・。

「約束の場所だから・・・かな」

今日を決意した時から、ここでと決めていた。
大切な場所、けれども、一度は悲しみに包まれた場所。

「今日、なんの日かしってるよな」
「・・・?」

あゆは首をかしげた。
考え込むように、うつむいている。

「あゆの、誕生日・・・だよな」
「・・・あ」

祐一に言われて、あゆはハッと顔を上げる。
もしかして、覚えてなかったのか?
聞くと予想通りの答えが返ってきそうなので、あえて聞かないでおこう。

「ほら、誕生日プレゼントだ」

祐一は鞄の中から、『あるもの』を取り出した。
その『あるもの』を、あゆの腕に押し込んでやった。

「これ・・・」
「そう、願いの人形だ」

あゆは腕の中の人形を手に抱えなおして、まじまじと見つめた。
そんなあゆを見て、ニヤリと祐一は笑った。

「ただし、それは願いを叶えてくれるわけじゃないんだ」
「え?」
「その人形は、願いを叶えなければいけない人形なんだ」

あゆの手にある人形は、以前のような天使ではなかった。
黒い羽を持った。悪魔をかたどった人形。
悪魔といっても、なにも怪物とかそういうものではない。
なぜかその人形は笑顔だったが、それが可愛いと思えるところなのだろう。

「誰に願いを叶えるの?」
「おれに」

他に誰がいるというんだ。

「うぐぅ・・・ずるいよー」
「さて、さっそく願いを叶えてもらおうかな」
「うぐぅ・・・」

祐一は顎に手をあてて、考え込む・・・ふりをする。
あゆは手の中の悪魔の人形とにらめっこしながら、祐一の答えを待っていた。
始めから、願い事は決めていた。あとは心の問題だった。
決心して、祐一は懐に手をのばして、小さな箱を取り出した。

「それでは、最初で最後のお願いです」

後ろ手で、その小さな箱を開ける。

「これを・・・受け取ってくれないか」

取り出したものを、あゆに突き出す。
それは、指輪だった。



あとがき

あゆ:・・・あれ? もう終わり?
 漣:ごめんなさい・・・これで勘弁してください
名雪:最後、中途半端だよ〜
 漣:うぅぅ・・・がんばったんだけど・・・間に合わないのはやばいと思って・・・
祐一:とはいっても、これほどの短編小説なら一種の才能だな
 漣:・・・やっぱ、構想はしっかりしないとダメだと悟りました・・・
あゆ:このあとのSSは考えてあるの?
 漣:いろいろと、でもどうしてもシリアスが思い浮かばない・・・
祐一:シリアスなりかけならいろいろあるのにな
 漣:うみゅ、誰かシリアスの書き方教えてください(というかSS自体の書き方教えて欲しい)
名雪:ふぁいとっ、だよ

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