12月23日な日々『おまけ』


■夜■

トンットンッ

ドアがノックされて、祐一は読んでいた雑誌を横に置きながら言った。

「開いてるよー」

ガチャッ

ドアの隙間から、名雪が顔をだした。

「祐一・・・ごめんね。こんな遅くに」
「遅くっていっても、まだ11時じゃないか」

まぁ、いつも8時には寝る名雪には深夜と感じるだろうが。
誕生日パーティーが終わるころにはすでに10時を回っていた。
祐一は片付けを手伝い終えて、特にする事もなく部屋に戻っていた。
そこに、今、名雪が来たわけだ。
名雪は部屋に入ると、ベッドに横になっている祐一の隣に座った。
祐一も起き上がり、名雪の隣に座る。

「で、どうしたんだ?」
「どうもしないよ。祐一とお話しようと思ったから」
「名雪がこんな時間に起きてるなんて、雪が降る前兆じゃないのか?」
「もう雪は積もってるよ・・・」

たしかに、窓の外はすでに白一色だ。

「じゃあ、大雪になるな。道が歩けないくらい」
「それは少し困るよ」

少しではすまないと思うが・・・

「ありがとう」

急に名雪がいったので、何のことかわからなかった。

「なにがだ?」
「誕生日のこと」
「それを忘れていたのは誰だ?」
「わたし」

あっさりと答えられて、祐一は返答に困ってしまった。

「・・・」
「・・・」

しばらく沈黙が続き、名雪が口をひらいた。

「・・・今日、わたしここで寝てもいいかな」
「はぁ?」

まったく予想しなかった事なので、祐一は名雪の言った事がよくわからなかった。
だから、たずねる。

「誰が?」
「わたしが」
「誰と?」
「祐一と」
「なにするって?」
「一緒に寝るの」

なにか前にもこんな事があった気がする。

「誰が?」
「わたしが」
「誰と?」
「祐一と」
「なにをするって?」
「一緒に寝るの」
「・・・なんで?」
「・・・祐一と一緒に寝たいから」

いや、嬉しいけど、正直にいわれても困るぞ・・・
意味がわかっていってるんだろうか?
祐一の考えとは裏腹に、名雪は不安そうにこちらを見ていた。

「・・・まぁ、いいけど」
「わぁ♪」

祐一が承諾すると、名雪は顔をほころばせて喜んだ。

「じゃぁ、ちょっとまっててね」

そう言って名雪はベッドから立ち上がって、部屋を出ていった。
トタトタと廊下を走る音が小さくなっていって、バタンとドアが開く音と閉まる音がした。
祐一は立ち上がって、読みかけにしてあった雑誌を本棚に戻した。
もう読んでいる暇はないだろう。

ガチャッ

ベッドに横になってると、1分とたたないうちに名雪が戻ってきた。
さっきと違うのは、名雪がいつものパジャマを着ているということと、祐一がプレゼントしたイチゴのマクラが両手に抱えられている事だ。
ベッドで横になる祐一のそばまで来ると、祐一のマクラの隣に持ってきたイチゴのマクラを置いた。
そして、もぞもぞと布団の中に入ろうとするが、祐一が上で横になっているため、布団にはなかなか入れないらしい。
それでも苦戦の末、ようやく名雪は布団に入ることが出来た。
しかし・・・

「ホンキだったのか?」
「ホンキだよ〜」

顔だけをだして、笑う。

「祐一もそのまま寝たら、風邪引いちゃうよ」

屈託のない笑み。
言葉に裏はない、本当にそう思っている。

「あぁ」

祐一は布団にもぐりこんだ。
さすがに二人もベッドに入ると、かなり窮屈だったが・・・

「おやすみ、祐一」

今夜は、よく眠れそうだった。



あとがき

 漣:誕生日SS「12月23日な日々」、『おまけ』をここにお送りします
祐一:『おまけ』とはいえ、続編物なんて初めてだな
 漣:うみゅ、別に『おまけ』としてわける必要もなかったんだけどね・・・
名雪:じゃ、どうしてわけたの?
 漣:いや、つなげてもよかったんだけど、本編のほうは本編のほうで終わってるから
祐一:なるほど。別に本編と話をつなげられなかったってわけじゃないんだな
 漣:・・・・・・・・・ぁあ
祐一:・・・その沈黙はなんだ?あ、そろそろあとがきも終わりだな。名雪、しめ頼む
名雪:うん、えっと、本編を読んで『おまけ』まで読んでくれた人、ありがとうございます
 漣:こんなしょーもないSSばかり量産する作者ですが、見捨てないで見てやってください
祐一:では、また次のSSにて

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