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「イチゴサンデー7つ、それで許してあげるよ」 あの時は、そう言ったけど。 本当は、ちょっと怒ってたよ。 |
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あの時の、寒くて、冷たくて、悲しかった、最後の冬。 祐一がこの街に来なくなった年、わたしは、一日中泣いていたんだよ。 でも、来年は来てくれるって信じていたから、泣き止むことができたんだよ。 そして、祐一がこの街に帰ってきたら、何を言おうか考えていたんだよ。 ―――「おかえりなさい」 ―――「遅刻だよ」 ―――「久しぶりだね」 結局、それを言う必要はなくなっちゃったね。 祐一、7年も遅刻したんだよ。 でも、わたし、祐一を信じていたから・・・好きだったから。 だから、待つことができたんだよ。 遅刻したけど、祐一は間に合ったよ。 わたしが許してあげたんだから、祐一は、遅刻しなかったんだよ。
ゆっくりと、名雪は閉じていた目を開けた。 いつもの服ではなく、白いドレスに身を包んでいる。
―――わたしは―――
頬に、一粒の光が流れていた。 いつのまにか、泣いていたみたい。
―――ずっと・・・そしてこれからも―――
その涙が、優しくふきとられた。 隣には、白いタキシードを着た祐一。
―――祐一のことが―――
祐一は優しく微笑んだ。名雪も恥ずかしそうに笑った。 涙を分かち合って、笑うことができる。もう、泣く必要はなかった。
―――大好きだよ―――
『新郎、新婦の入場です』 「お・・・行くぞ、名雪」 「あ・・・うん!」
空白の7年の時間は、今から取り戻せばいい。 差し出された祐一の手をとって、名雪は歩き始めた。
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