冬が終わり、春になり、水瀬家には当たり前のような日常が戻ってきていた。
「いい天気だな」
祐一はベランダに寝転がりながら、呟いた。
寒くも暑くも無い陽気。
祐一はいつもまにか眠っていた。
名雪は祐一の部屋の前に立って、ノックをした。
「祐一、入ってもいい?」
返事はなかった。
名雪はすこし首をかしげた。
「祐一、入るよ」
寝ているのかもしれない、ドアを開けて、部屋を見るが、祐一はどこにもいない。
出かけたのかもしれない、でも、それなら窓が開いてるのはおかしい気がする。
窓からベランダを見渡すと、祐一が寝転がってるのが見えた。
「祐一、寝てるの?」
聞いてみる。
けれど、返事はない。
祐一のそばに行ってみると、寝ているのがわかった。
そういえば、祐一の寝顔、初めてみた・・・。
いつもわたしにイジワルな事いうけど、寝顔はこんなにかわいいんだね。
祐一の頭を撫でてみる。
祐一起きてると、恥ずかしがって嫌がるんだよ。
わたしにはするのに、ずるいよね。
「・・・名雪」
「わ。ごめんね、起こしちゃった?」
急に祐一が呼んだから、慌てたけど、寝言みたい。
「・・・名雪、・・・そんなにイチゴサンデー食うと、・・・ふとるぞ・・・」
「ひどいよー、わたしふとってないよー」
たしかに、前に祐一にイチゴサンデー奢ってもらったけど、そのときも3つだけにしたんだよ。
それにわたしふとらないよ、だって、イチゴなんだもん。
「・・・答えになってない・・・」
「・・・祐一、本当は起きてない?」
でも、それきり、祐一はしゃべらなくなった。
本当に寝ているみたいだね。
「いい天気だね」
上を見上げると、雲ひとつ無い青空だった。
冬も好きだけど、春は暖かいから好きだよ。
しばらくすると、いつのまにか名雪は寝ていた。
「・・・ん」
目を開けると、青空が見えた。
どうやら、寝てしまってからそんなに時間はたってないようだ。
体を起こすと、下にも青い色が見えた。
「・・・?」
理解するのにしばらく時間がかかった。
「名雪?」
祐一の上で、名雪は寝ていた。
名雪の髪を撫でると、名雪が微笑んだ気がした。
「ま、たまにはいいか」
再び、祐一は横になった。
そのまますぐに眠りにさそわれる。
二人の上を、春の風が通り抜けた。