SCEが開いた次世代ゲーム機「プレステ2」の発表会で詳細が公開されたが、全世界で五千万台を販売した実績を武器に投入される新型機にライバル会社やゲームソフト会社は動揺する。ハード・ソフト両面でゲーム業界の勢力図を塗り替える可能性が出てきた。

画像を自由に操作
  「革命的だ。」プレステ2発表会の席で、あるゲームソフト会社幹部は漏らした。SCEが 公開した画像は今年二月の発売当日に二百万本を売ったスクウェアの「ファイナルファンタジー[」の一部。CGで描かれた主人公の男女が舞踏会で踊るシーンだ。元のゲームでは画像が一方向的に流れるだけだったが、発表会では男女の主人公を見る視点をコントローラーを使って自由自在に動かして見せた。この画像に一番衝撃を受けたのは、昨年十一月に「ドリームキャスト」を発売したばかりのセガ・エンタープライゼス。プレステ2の画像処理能力はドリームキャストの数十倍という。
  セガはSCEの新型機の発売を念頭に入れてドリームキャストの拡販戦略を練っている。同社の広瀬禎彦副社長は、「プレステ2の発売は早くて一年後。それまでにドリームキャストを三百万台売りたい」と言う。ゲーム機の最大の商戦は年末。プレステ2の発売が来年三月なら、今年の年末商戦でドリームキャストを徹底的に売り込み、プレステ2に対抗する基盤を作ることができる。
  しかし、業界関係者の間では、SCEが今年の年末に発売する可能性もあるという観測が根強くある初代プレステが発売されたのが94年の12月3日。「SCEは当時プレステのキャッチフレーズになった「1、2、3」という日付にちなんだ数字にこだわりがある」(ライバル社幹部)。  もしも、発売が年末ならセガのもくろみは崩れる。任天堂は「他社の製品を論評、比較することは避けたい」(今西取締り役)と静観構え。同社も「NINTENDO64に次ぐ次世代機の開発は始めている」(同)。プレステ2の発売時期は任天堂の新型機の発売日を決定する重要な要素になるだろう。

高性能に脱落の社も
  ゲームソフトの会社の中にはプレステ2の登場に複雑な表情を浮かべる幹部もいる。これまでソフト会社とゲームメーカーは共存共栄の道を歩んできたが、画像表現力を高めたプレステ2の性能についていけないソフト会社は振り落とされる恐れもあるからだ。
  スクウェアの武市智行社長は「プレステ2についていけるソフト会社は現状で五指に満たない」と指摘する。
  CG技術のノウハウを持つか持たないかによって、「二極分化していくだろう」と読む。

CPUの量産課題
  今後の注目ポイントは、SCEが東芝と共同開発した高性能新型CPU(中央演算処理装置)の量産化の成否だ。データを送る配線幅は0.18マイクロメートルでたばこの煙の粒子より細かい。この半導体を量産し、約一年で製品化するのは「ウルトラCの技術」(ソフト大手幹部)という。

  セガのドリームキャストは発売直前の段階でCPUの量産がうまくいかず、最も需要が見込まれる昨年末の商戦で出荷が追いつかないという苦い経験をした。プレステ2も同じ轍(てつ)を踏むような事があると、発売が遅れる恐れがある。いかに早く新型CPUの量産化にメドをつけるかで、プレステ2のインパクトは変わってくる。