「静寂の瞬間(とき)」
(ICEMAN「LOST COMPLEX」より) |
-------- ひび割れた大地が何処までも続いている。 俺は、戦いを終えたお前が、疲れはて迷い傷つき、力尽き崩れ落ちていくのを見ていた。 時空の狭間で。 お前の事だけを念じ。 幾つもの瞬間を超え、さ迷い、そしてお前を見つけた。 お前は時の奔流に押し流され、いつもの気丈な瞳の輝きを失い、虚ろな眼差しで鉛色の空を仰ぎ・・・・・ そのまま、しなやかな躰を折り曲げ、人形のようにあっけなく地面に崩れ落ちた。 幾つもの戦いを乗り超えてきたとは思えない華奢な肢体を無防備にその荒涼とした大地に投げ出し、やつれ果ててはいたが少しも衰えを感じさせない白晢の美貌を薄日に晒し横たわるその脇に、膝をつく。 長い薄茶の睫毛は伏せられた瞼を縁取り、影を落とし。 柔らかな髪は、艶やかに薄い日差しを跳ね返し。 形のいい唇は薄く開き、微かに呼吸し、息を漏らし。 滑らかに曲線を描く首筋は白磁に輝き、俺の目を射る。 「スコール・・・・・・・・・」 儚げにすら見えるその美しい頬に手を添え、静かに顔を近づけ、辛うじて生を確認できる程度に微かに呼吸する唇に口付ける。 肩を抱き、ゆっくりと抱きあげながら、力無く後ろに倒れ込む頚を左手で支え、さらに深く唇を探る。 いつのまにか、荒涼と荒れた大地はかき消え、眼前には静かに波を打ち寄せる海がひろがり、その上に真昼のように周囲を明るく照らす大きな月があった。 ひび割れ、固く醜く皺がれていた地面は、今はベルベットのように滑らかな白砂に変わり、穏やかな風がお前の髪を優しく撫でるように通り過ぎていった。 「スコール・・・・・・・・・終わったぞ」 俺は、お前の肩をきつく抱きしめ、耳元に唇を寄せて囁く。目覚めてくれ。その瞳に俺を映してくれ。 愛しい躰の温もりを確認するように、額を頬にすり付け、覚醒を祈る。 「・・・・・・ん・・・・・・・・」 お前は、唇からほんの微かな声を漏らし、力無く地面に投げ出した両腕の指先をぴくりと動かす。 「・・・・・スコール・・・・・俺だ。」 俺の声が耳に届いたのだろうか。 お前は、枯れた花が水を吸い、精気を取り戻すように・・・・白昼夢の奇跡を見るように・・・・・静かに瞼を開いた。 閉じられた瞳から、深い蒼灰色の輝きが蘇り、俺を映し出す。 焦点を合わせようとじっと見つめ・・・・不思議そうに目を細めながら。 そして、桜色の唇から、掠れた声を絞り出し、微笑んだ。 「・・・サイ・・・ファー・・・・・。」 俺の名を紡ぎ、綻ぶ口元に、たまらずに唇を重ね、その隙間から舌を差し入れる。 「ん・・・・・・サイ・・・・・?」 俺の動きを抗することなく受け入れながらも軽い驚きに目を見開くお前を、きつくきつく抱きしめる。絡めた舌を更に深くへと追いつめ、何かを探るように貪る。甘露を啜るように、お前の唾液を吸い上げ、口の端から零れるのも厭わずに深く唇を繋げる。 お前は、俺の頚に静かに腕を回し、徐々に深く激しくなる口付けに応えるように、俺を抱きしめる力を強くする。 「・・・・・スコール・・・・やっと・・・・逢えた・・・・」 唇を離し、触れあうぎりぎりで小さく囁き、愛しげに髪を撫でる。 「全て・・・・・終わったんだな・・・サイファー・・・・・」 穏やかな光をたたえた優しい色の瞳で、お前は眩しそうに俺を見つめ、微笑む。 「もう待てない。今すぐお前を抱きたい。」 俺はこみ上げる情動を抑えきれず、いきなりお前を柔らかな砂地に組み伏せる。 お前は、少し驚いて俺を見つめながら、軽く抵抗を示す。 「駄目だ、サイファー・・・・早くみんなの所へ戻らないと・・・・・アイツら待って・・・」 「奴等のことなんて、今話すな」 俺は、お前の腕を押さえ付け、誘うように月光を浴びて白く輝く滑らかな首筋に顔を埋め、歯を立てる。 弾力を持ちながらも絹のように滑らかな肌の感触が唇に心地いい。 「あ・・・やめろ・・サイファー・・・・っ・・・」 軽い痛みに躰を一瞬震わせ、お前は柳眉を寄せて抗議の声を上げる。 白い喉元に、鮮やかな朱の花が咲く。 「抵抗するな・・・・・・お願いだ・・・・・」 両手でお前の腕を束ね、拘束しながら、耳元に口を寄せ、思い詰めた声で告げる。 お前は困ったように目を伏せ、僅かに顔を背けながら、波の音にかき消されそうな小さな声で応える。 「・・・・・わかった・・・・・好きにするといい・・・・」 お前の躰から力が抜け、俺は拘束していた両の腕を解放する。 頚がしなやかに後ろに倒れると、蒼灰色の静かな海のような瞳が戸惑いがちに俺を見上げる。 お前の指が、俺の頬に触れ、顎から首筋をなぞる。 俺はお前の美貌に魅せられ、静かに顔を見つめながら、ジャケットを取り去り、シャツをたくし上げ、脱がせていく。 煌々と闇と海を照らす月光の下にお前の半身が浮かび上がる。 白磁の丘に小さな花弁を浮かべたような胸先の突起に吸い寄せられるように唇を落とす。 「・・・・・・・は・・・・っ・・・・・」 お前の躰が軽く跳ね、ぴくりと喉が動く。 唇から、吐息が零れる。 「相変わらず、ここが悦いんだな・・・・・」 舌先で輪郭を確認するようにゆっくりと小さな突起をなぞる。俺の口の中で、徐々にその形がハッキリしていく。 「・・・く・・・何・・言って・・・あ・・・・っ」 喉を震わせながら、お前は俺を睨み付ける。俺は静かにその瞳を見つめ返しながら、胸先への愛撫を繰り返す。 それと同時に指先を肩から脇腹へと滑らせる。引き締められた無駄のない躰。しかし・・・・・心なしか以前と感触が異なる。 「・・・・・痩せた・・・な・・・・・」 俺の手のひらは肌に馴染ませるように静かにゆっくりとお前の背中をさまよう。 度重なる激しい戦闘、頭脳戦、統率者としての責務。 全てが若いお前の双肩にのしかかった。 必然と知りながらも俺と敵として戦い・・・・・互いを傷つけあった。 お前が耐えて来たであろう計り知れないストレスを思い、胸が押し潰されそうになる。 「辛かったろう・・・・良く耐えたな・・・・・」 俺は、お前の指先を取り上げ、何度もキスを落とす。 今までのお前の心の痛みを、疲れを・・・・俺が癒せればいい。そう念じながら。 「もう・・・・・全て終わった・・・・安心しろ・・・・・」 ほっそりしたお前の白い指先を俺の頬に押しつけ、きつく眼を閉じ、絞り出すように、言い聞かせるように呟く。 「・・・サイ・・・ファー・・・俺・・・・逢いたかった、ずっと・・・・・あんたに・・・・抱かれたかった・・・・」 お前は闇を見上げたままで、掠れた声で謳うように小さく囁き・・・すう・・・っと一筋、涙を流した。月の光を反射しながら。 その無垢な輝きが俺の胸を衝く。ガーデンに入ってから初めて見るお前の涙・・・・。 ガキの頃流したモノとは違う、切ない光。 「・・・抱いてやるさ・・・何度でも。もう、お前を離さねぇ・・・・・・二度と・・・・」 細く華奢な肩を掴みあげ、お前の胸を貪る。飢えた獣のように。渇きを癒すように。 お前の指先が俺の髪に差し込まれ、かき乱す。何かを求めて。溺れた者のように。 「・・あっ・・・・サイファー・・・・抱いて・・くれ・・・・・俺を・・・・離すな・・・」 お前の声が誘うように俺の耳をくすぐる。切ない響きで胸を衝き、俺を揺さぶる。 離さない。二度と。俺はお前にそう答える代わりに、肩を掴む指に力を込め、爪を立てた。 お前の躰に俺を刻む。俺の物だという証を、幾つも幾つも・・・・・・・。 「あ・・・・っ・・・・ん・・んっ・・・・・・」 胸先への執拗な愛撫に、お前は躰を震わせて耐え、白い喉元を晒しながら幾つも甘い吐息を零す。 涙が一筋・・・二筋とお前の頬を濡らす。 俺はお前のベルトに手をかけ、慣れた仕草で一つずつ取り去ってゆく。 何かの儀式のようにゆっくりと厳かに。 金属音が波の音に紛れて、涼しげに闇に響き、溶けてゆく。 お前も微かに微笑みを浮かべながら俺のベルトに手を伸ばす。 互いの衣服を全て白砂に投げ出して、抱きしめ合う。肌の触れ合う甘い感触に酔いしれながら。 いつのまにか満ちた波が、俺とお前を濡らす。 くすぐるように肌を掴み、力無く後退する波にたゆたいながら、頬を重ね、互いの存在を確認する。 ゆっくりと、お前の欲望に満ちたそれに指先を這わせる。 波に濡れたそれは、しかし、別の滴を零し、俺の指先を迎え・・・・お前は全身を痺れたように震わせる。 「あ・・あ・・・や・・・っ・・・・」 「・・・・いやじゃねぇだろう・・・? そんなに俺が欲しかったのか・・・・・・?」 敏感なその先端に指先を踊らせ、扱き、蜜を絞り出すように、強く・・・優しく、お前に触れる。 お前の指先が俺の頚を捉え、巻き付き、肩先へと滑りながら小刻みに震える。 「・・ん・・・く・・・・あ・・っ・・・・サイ・・・っ・・・・・」 「そうだ・・・もっと啼け・・・・可愛いぜ・・・スコール・・・・・・・・」 引き締まったしなやかなお前の両脚を持ち上げると肩に乗せ、張りつめ、止めどなく蜜を零すお前自身を口に含む。 熱を持ってひくつくソレを、舌先で思う様弄ぶ。 「・・ああああああっ・・・や・・っめ・・あっあ・・ん・・うっ・・・・」 波に髪を濡らしながら、お前が首を左右に振り、甘い刺激に耐えるようにきつく目を伏せる。 全身が痙攣したようにビクビクと震え、俺の舌に翻弄され、肌が朱に染まるのが月明かりでも判る。 「目を開けろよ。俺を見ろよ。お前を抱いてるのが誰か・・・・・ちゃんと見ていろよ・・・・」 俺は一瞬、お前自身から口を離し、諭すように語りかけ、再び愛撫を続ける。 裏筋に舌を這わせながら、海水に濡れた蕾へと中指を忍ばせる。 円を描くように静かに馴染ませながら、ゆっくり・・・お前の中に沈めていく。 「・・・い・・・・っ・・・・あ・・・あ・・・あ・・・・・・・っ・・・・」 息を吐きながら、お前が俺の指を迎える。久しぶりの感触に・・・・止めどなく涙を流し、痛みを耐えながら。 口の中に息づくお前自身は、熱い蜜を後から後から溢れさせ、俺の喉を潤す。 俺は、お前を探るように、埋めた指先を絡み付く内壁に深く押し込み、静かにかき回す。 「んぁ・・・・・ふ・・・っ・・ん・・っ・・や・・・やっ・・・・もぅ・・・・サイファー・・・・っ・・・」 哀願するお前を見つめながら、更に指の数を増やし、リズミカルに強弱を付けて交互に内壁を押し上げる。 「あっんっ・・・んっ・・・だめ・・・いっ・・・い・・・そこ・・・・・っ・・・や・・・」 お前は、波に濡れた砂に指を埋め、握りしめながら、激しく首を振って快楽に溺れる。 俺は、お前自身を口から離し、秘所に埋めていた指先もするりと引き抜いて囁きかける。 「悦いのか、駄目なのか・・・どっちだ、スコール・・・・・・・?」 「んっ・・・・ああ・・・悦い・・・・っ・・やめないで・・・・・っ・・・・来て・・・サイファー・・・・欲しい・・・・・っ」 涙を溜めながら、お前が俺に縋り付く。淫らに首をしならせ・・・潤んだ瞳で・・・・紅い唇で俺を求める。 「ああ、判ってる・・・・・今行くから・・・・待ってろ・・・・・」 お前の両脚を大きく割り広げ、俺の楔をねじ込む。深く深く、刺し貫く。 お前の熱い内部が、俺をくわえ込み、絡み付き、淫靡に蠢く。 「ひ・・・っ・・・・! あああああっ・・・・・サイファー・・・・サイファー・・・・・っ」 背を弓なりに反らせ、お前が俺を受け入れながら歓喜に打ち震え、俺の名を譫言のように繰り返す。 甘い声で、啜り泣くように・・・・耳元で何度も何度も・・・・・。 お前の声しか、俺の耳に届かない。波の音も・・・風の音も・・・・もう俺には聴こえない。 「スコール・・・・・・もっと呼べ・・・・俺を・・・・俺だけを・・・・・」 お前が俺の背中にきつく爪を立て、俺はそれに応える様に激しく最奧を突き上げ、責めたてる。 「あっ・・・あっ・・・あっ・・・・さ・・・・サイファっ・・・・んっ・・・」 切なく、消え入りそうに・・・しかし確実に。お前の声が俺を極みへと誘い、導く。 「スコール・・・・・スコール・・・・・・」 お前をきつく抱きしめ、突き上げながら、耳元に囁き、吐息を零す唇に口付ける。 「んん・・・あ・・・も・・・・だめ・・・・・っ・・・・・」 「いいぜ・・・・・イケよ・・・・・俺もいく・・・・・」 一旦、腰を引き、ギリギリまで引き抜いてから、深く、力を込めてお前の一番悦い箇所を突き上げる。 「あっああああっ・・・・サイファーっ・・・・・」 お前は、俺の髪を握りしめながら、2人の狭間に熱い欲望を迸らせた。 「く・・・・・っ・・スコール・・・・っ・・」 俺も、お前を力一杯抱きしめながら、お前の中に情動を吐き出し、首筋に顔を埋める。 乱れた息を吐きながら、お前が俺の髪を優しく梳く。髪から落ちる波の滴が、きらきらと月を照り返し、お前に降り注ぐ。 幸せそうに俺を見つめる澄んだ双眸に、俺が映る。 ・・・・・・愛してる。 だが、口には出さない。瞳を見れば判る。そうだろう、スコール? さあ・・・・・還ろう・・・・・俺達の場所へ。俺達の時間へ。 この静かな海から・・・・・時間の狭間から・・・・共に還ろう。 そして・・・・・・・一緒に歩いていこう、俺達の未来をつくりに・・・・・・・・・。 ◆ END ◆ |
■那緒さんのコメント■
本当は鬼畜エロにするはずが、戦い疲れたスコールを苛めることがどうしてもできなくて、結局甘々に。
結構気に入ってしまったので、ここに至るまでの話ももしかしたらいつか書くかもしれません。
けれどあくまで予定は未定(死)