PARTY
青く澄んだ空の下、少女は山の中にいた。
実家の裏の森の中の開けた場所、誰にも見つからず、ただ、ぼぉ〜っと出来る場所。
そこは少女の取って置きの場所だった。
実家から学校に通っていたころは暇になったらいつもここに来ていた。
悲しい時、悩んだ時は雨でも夜でもここに来た。
「はぁ…」
思わず溜息がでる。
原因はついさっき、
実家から呼ばれて帰ってきたら、すぐに父に呼ばれた。
話の内容は少女の「初仕事」についてだった。
少女の家は代々「化物退治」を生業としていたが、
今ではその生業も宗家の者達だけしかやっていないし、宗家の中でもほとんど副業のようになっている。
しかし、伝統は受け継がれていた。
だが、本来15歳で「初仕事」をするはずなのだが、この時代にはめったに退治する対象なんて現れない。
だから、少女も15歳になったとき「初仕事」が出来なかったのだが…
どうやら、退治する対象が現れたようだ。
2年遅れの「初仕事」をやらすために呼ばれたのだ。
退治する対象とは、簡単に言えば「召喚獣」のことである。
「召喚獣」といっても魔方陣やら儀式やらで出て来る「召喚獣」では無い。
人々の想いは魔力にのって外に出る。その想いが固まって「召喚獣」が召喚されるのだが、
魔方陣などの補助無しでの魔法には莫大な魔力を必要とする。
それは召喚とて例外ではない。
想いを乗せた魔力の塊の中に強い意志を込めた魔力が入ると召喚が起こる。
昔は争いなどで強い想いが溢れていたため、野生の召喚獣が多くいたが、
召喚が頻繁に起こるために必要ギリギリの魔力を消化しての弱い召喚しか起こらなかった。
しかし、今は強い意思を込めた魔力などはめったに無いために召喚が起こったときには溜まりに溜まった魔力を消化して強力な召喚が起こる。
だから、現代の「化物退治」は困難を極めるのだが、
今回は特殊だった。
召喚される前の強力な召喚獣を探知できたのだ。
伝統では「初仕事」は一人で行うことになっている。
ただ溜まった魔力を霧散させるだけでいいのだから、現代の「初仕事」にはもってこいの内容だ。
これだけなら問題無い。
その魔力が人の体内に溜まっているという特殊に特殊を重ねた状況だったのだ。
誰の体内に魔力が溜まっているかはその誰か大体の位置しか分かっていないために、そのあたりのいる多くの人と接触しなければならない。
しかし、残念なことに少女は幼い頃から人付き合いが苦手だった。
修行ばかりの毎日で学校と家にしか行動範囲がなかったのが原因なのだが…
今更原因が分かっていてもどうしようもなかった。
来週にはターゲットのいるあたりの学校に転向してターゲットを探さなければならなし、
当然今住んでいる寮を出てその学校の寮に移らなければならない。
人付き合いが苦手なのにいきなり知らないところに移るのは苦痛以外の何者でもない。
しかも、転校生なんてそう易々と環境に馴染めるはずが無い。
「はぁ…」
また、溜息がでる。
悩んでいてもどうしようもないのが分かっているから、余計に溜息をつきたくなる。
「帰ろう…」
少女は森に姿を消した。
これから少女は一人の特殊な少年と出会うことになる。
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