PARTY







私立青葉学園、如月 友守(きさらぎ ゆうも)はその学園の魔法科の生徒である。
長めの髪にはっきりとした眉、全体的にみればカッコイイ部類の顔立ちであるが、
何をしても成績は常に中の中くらい、何かに積極的に参加しているわけでもない。
簡単に言って普通の目立たない生徒である。
2年前にこの学園を受験した理由はは家から近いから。
魔法科を志望した理由は実技試験しかないから。
ただそれだけで受験をし、今は何処で何をしてるのかもわからない母の言ったとうりのことを試験でやってみせたら受かってしまった。
魔法科は珍しい学科では無いが、人より優れた魔力を持っていなければ入れない。
だから、そこに入った生徒は少なからず普通の人への優越感を持っているし、
魔法科出身の人間はエリートが多いため、先輩達に続こうと履歴書、又は、内申書のネタのために積極的に行動する生徒も多い。
そんな生徒達の中に友守のようなやる気の無い、テキトーに生活している生徒がいたら、「目立たない人」になるのは必然である。
ただ最近は「遅刻魔」として少し目立ったことをしているのだが…
「はぁ…」
朝のSHRに少しだけ遅れただけなのに担任で生徒指導に熱心な朝山に怒られてしまった。
始末書を書かせると脅しまでされた。
まぁ、今月に入ってから13回目の遅刻では朝山が脅しをしてまで怒るのは無理も無いことだとは思うが…
怒られたせいで憂鬱な気分のまま一時限目の授業の準備をしていると、 「あの、すみません…」
話しかけられた気がして顔を左に向けると、女子生徒がこちらを見ていた。
ショートカットの髪に大き目で意志の強そうな瞳、だが今その瞳は不安そうな色を浮かべていた。
たしか、今日転校して来た女子生徒だったか?
「はじめまして、今日転校してきた水無月 霞美(みなづき かすみ)です。あの、一つ聞いてもいいですか?
女子生徒の声は段々小さくなっていった。最後の声なんかやっと聞き取れた程度だ。
人見知りなのだろうか…?
「ん?何?」
質問を返す。
「あの、一限目は何をやるんですか?」
女子生徒の声はさっきより随分と聞き取りやすかった。
相変わらず小さい声には違いなかったが、女子生徒の声が透き通った声だったので聞き取りやすいのだろう。綺麗な声だ。
「えっと、魔術文字だったと思うけど…」
魔術文字と言っただけで少し気分が落ち込んだ。
魔術文字とは魔法陣などに使う文字のことだが、魔術文字だけでも魔法を十分補助できる。
ただ、魔術文字は量が現在使われてるだけでも1万文字はあり、強力な文字ほど複雑で、文字によって補助できる魔法が違う。
それを覚えなければならないので、とても面倒である。
だから、友守はこの授業が嫌いだった。
「水無月…さん?は、教科書持ってないよね?」
「えぇ、持ってませんけど…」
「教科書、貸してあげるよ。」
「えぇ!?…いいんですか?」
女子生徒は戸惑いながら言い返してきた。
「うん、どうせ使わないし…」
「えっ、でも…」
そのとき、教室に魔術文字の教師が入ってきた。
学級委員長が号令を掛ける。
「起立!」
「ほら、授業始まるから席に戻ったほうがいいよ?後で返してくれれはいいから。」
そう言って友守は教師の方を向いた。
女子生徒は戸惑いながらも教科書を持って席に戻ったようだ。
着席の号令が掛かり、席についたそのすぐ後に友守は机にうつ伏せになった。





←BACK
Top
NEXT→

御意見、駄目押し、御感想などなどこちらに是非とも下さいませ。m(-_-)m