「ラリえもーん」
また、あの声が聞こえてきた。いつも俺のトリップを邪魔する、あのいまいましい声が。ガラリ。とふすまが開き、その声の主が姿を現す。俺の雇い主、のぴのぴ太だ。
「ラリえもん、僕、僕・・・。うわぁぁぁぁん」
「用件を言う前から泣くんじゃねえ!」
どけし。俺は地上から2ミリほど浮いて歩くことのできる高性能ネコ足で、のぴ太の顔面に胴回し回転蹴りを決めた。
「がはっ」
もんどり打って床に倒れるのぴ太。ワンテンポ置いて、一瞬空中に光を残したのぴ太の歯が床に落ちる。俺はうつ伏せになっているのぴ太の体をプロレスラーよろしく足で転がし、仰向けにした。口から血が流れ、白目をむいている。
「・・・チッ、気絶しやがったか」
俺は吐き捨てるようにつぶやき、次の瞬間、倒れ込みながらのぴ太の腹に肘を落とした。
「がげほっ」
「お、起きたな」
俺はなおも咳き込み続けているのぴ太に優しい言葉をかけた。
「お、折れたあばらが肺に・・・」
「気にするな。で、何の用だ?」
「ううう・・・じ、実はジャイヤンに今月の上がりを・・・」
多少生命の危険にさらされているようだったが、のぴ太は口から血を吐きつつ答えた。
「ジャ、ジャイヤンがこの街に戻ってきたのか・・・!」
俺は額の汗を拭いつつ言葉を吐き出した。
ジャイヤン・・・本名剛田剛志(ごうだごうし)。『お前のモノはお前のモノに見せかけて俺のモノ、俺のモノは当然俺のモノ』という勝手極まりない言葉を掲げ、この街のブラックマーケットを2年前まで牛耳っていた男である。宿題を忘れて廊下に立たされたことに腹を立て、教師を殴り倒し逃走。今まで行方知らずだったが、ついに戻ってきたか・・・。
「それで?奴は今どこに?」
「3本の土管の空き地に・・・ぐふっ」
「のっ、のぴたぁぁぁぁぁぁ!」
のぴ太は血を吐き出し、動かなくなった。ま、まさか既にジャイヤンにやられていたのか・・・。
「じゃなくて、さっきのエルボーが・・・」
「ふん!」
俺はのぴ太のみぞおちにベタリハンドの拳をたたき込むと、表に飛び出した。目指す場所はただ一つ。待っていろ、デカ杉!(注・ラリえもんの記憶力は記憶中枢が削られているため、常人の12%に低下している。)
作:RK
(作者注・・・この作品は、文章の常識等というものとはかけ離れていますので、多分に不条理で投げやりな表現が用いられています。ご了承ください。なお、子供に夢を与えている某青色猫型ロボットとは、微塵も関係ありません。)