小説ラリえもん 第2話「ぼくにその手を汚せというのか」
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前回までのあらすじ・・・地獄の最強タッグトーナメントを勝ち抜いたのぴ太が見たものは魔王の花嫁として闇のようなウエディングドレスを着せられたシスカの姿だった。天にも届けとばかり、雄叫びを上げるのぴ太の体に、地獄の使いファヴニールのはなった雷が落ちる。だがそのときのぴ太の背後に大天使ミカエルのオーラが宿るのだった!そのころ、ラリえもんは茶の間でこたつに入って屁をこいていた。
「前回こんなことやったっけ?」
ラリえもんはあらすじを見ながら首をかしげた。だが、前回にも書いた通り、ラリえもんの記憶中枢は通常の12%になっているので細かいことは気にしなかった。
「しかも、語り口が一人称から三人称になっているような気がするが・・・。」
とす。作者の意図を無視した台詞をはく紫猫型ロボットの後頭部に、鋭い矢が突き刺さった。ラリえもんは一瞬動きを止めた後、しっぽを引っ張られたときのようにゆっくりと床に倒れた。
「ラ、ラリえもおおおおおおおおおおん!」
ちょうどそのとき魔王を超必殺技ギガ・パワーサイクロンあやとりで血の海に沈めてきたのぴ太が帰ってきて、少々強引な展開だなと考えつつラリえもんを抱き起こした。ついでに突き刺さっている矢を力任せに引き抜いてみる。ぷしゅるるる。シンナー臭いオイルがあふれ出て、辺りの空気を尋常でないものに変える。ちょっとピンチ。(に、匂いを封印しなくては・・・!)焦りまくって穴をふさごうとするのぴ太だが、オイルは壊れた水道管のように、とめどなくあふれる。
「くっ・・・。このままでは・・・。」
魔王と戦ったときよりも重大な危機を肌で感じ取ったのぴ太は、とっさに自分の中にいくつかの選択肢を生み出した。
「1!このまま放って置いて世界の果てまで逃げる!決定!」
選択肢だとかほざいておきながらあっさりと最初の答えに決定したのぴ太は、ラリえもんの体を茶の間に力任せに叩きつけると、まだ汚染されてない方の手で自分の口を覆い、伝説の大リーグの強打者、テッド・ウィリアムス(二十世紀最後の四割打者)の動体視力をもってしても確認できないほどの動きで家の外に飛び出した。だが、匂いの拡がるスピードは恐ろしく速く、表には、すでに中毒症状に犯されたカミナリ親父の井加槌さんの姿があった。
「やはり、匂いの元を絶たなければ駄目か・・・!」
苦々しげな表情で誰にともなく呟くと、次の瞬間、覚悟を決めたようにのぴ太は力強く頷いた。
「爆破しかない!」
またまた勝手な台詞をはくと、のぴ太は早速最終奥義の構えに入った。
「臨・兵・闘・捨・開・陣・烈・在・前!ハアァァッ!ルシファー降臨!」
最強に矛盾した呪文を唱えると、なぜか風火水土の精霊たちが力を合わせ、辺りに閃光が走ったかと思うと、次の瞬間、轟音と共にのぴたの家は吹き飛んでいた。
のぴたはその前に涙を流して立ち尽くし、一瞬下を向いて涙を振り切ると、廃屋に向かって最敬礼した。
「さらば・・・愛・・・。」
(気が向いたら続く)
作:RK
(作者注・・・この作品は、文章の常識等というものとはかけ離れていますので、多分に不条理で投げやりな表現が用いられています。ご了承ください。なお、子供に夢を与えている某青色猫型ロボットとは、微塵も関係ありません。)