小説ラリえもん
最終話「僕ラリえもん」

前回までの全開なあらすじ・・・のぴ太のもとにいつの間にか現れた猫型アンドロイドラリえもんは、様々なパクリを経てついにコンビニ最終戦争をのぴ太と繰り広げていたのだが、のぴ太はのぴ太で死にそうになっていた。
 穏やかな春の午後の日差しが、カーテンの隙間から木洩れ日のように部屋の中を照らし出していた。男は、まるでその日差しが忌むべきものであるかのように、忌々しそうに窓の外に目をやると、カーテンを隙間がなくなるようにきつく閉めて、改めて部屋の中を見回した。この部屋には、思い出が多すぎる。日の当たる一つ一つのものが在りし日を思い起こさせて涙を誘った。己の若さ、そしてその無謀さの源が、ここにはある。いや、無謀と勇気を履き違えていることなど、昔は分かりはしなかった。今になって気付くのは、そんなことを考える自分は、確実に老いているという事実だけだ。
 全てのものが、自分を作り、全てのものによって、自分が支えられてきたことに、男は今更のように気付いて涙した。もう、どこにも戻れない、そしてどこにも向かうことのない己が、ただただ悲しく、苛立たしく、愚かしく、そして哀れだった。どうすればいいというのだろう。どうすれば・・・。心のうちで呟いたはずだったが、いつの間にその思いは声を伴っていた。誰もいない暗い部屋に男の声だけが響く。何気なく視線を落とした先には、若かりし頃の自分が笑っている写真があった。机の隅で、まるでその存在を誇るかのように輝いている。そうだ、アイツの写真があったはずだ・・・。男は机の引出しに手をかけた。随分長いこと使ってないためか、なかなか動かない。男は苛立たしげに腕に力をこめると、一気に引き抜くようにして引出しを引っ張った。そして、声が聞こえた。
「オラァァァァァ!のぴ太ぁぁぁぁ!!」
 引出しの中から一気に飛び出してきたのはラリえもんだった。男―のぴ太―はすぐさま戦闘態勢に入るとその紫の物体を受け止めた。コンビニ戦争に破れたラリえもんは、のぴ太の机の引き出しに潜んで20年を過ごし、復讐の機会をうかがっていたのだが全然開けられないものですっかりただの引出し内オブジェとなっていた。一方ののぴ太はガンが転移しまくったうえにオペを拒否したので、もはや長くないと思われていたが、医者の診断は
「ていうかもう死んでるはずなんですよ。何で死んでないの?フシギフシギ〜
 ともはや頭のネジも成層圏まで飛びそうなくらい投げやりなものであった。のぴ太は医者の言葉を思い出しながら、ようやく自分がこの瞬間のために生かされていたことを悟った。のぴ太は喚起の言葉を拳に変え、目の前のかつての相棒の名を呼んだ。
「来い、ラリえもん!!」

(おしめえ)
作:RK


(作者注・・・この作品は、文章の常識等というものとはかけ離れていますので、多分に不条理で投げやりな表現が用いられています。ご了承ください。なお、子供に夢を与えている某青色猫型ロボットとは、微塵も関係ありません。)
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