極悪日記その58
「番外編04」
ナデガタ回想録〜始動〜
へぇ、再び醜態を晒しにやってまいりやしたナデガタでさぁ。
いやしかし世間の反応の早さに驚いちまったよ。銀行にいたら声をかけられ「日記楽しみにしてます」ってぇんだから嬉しくなっちまってさぁ。危うく掟破りの堅気との会話をしちまうところ。名前を出すことは出来やせんが、あの時声をかけてくれたお方、あなたのためにもあっしは頑張りやすよ。
で、今回の本題だ。前回晴れてSDの一員となったあっしは当然修行のたびに出るわけ。
え?盗賊稼業?とんでもない!あっしが行ってもお頭たちの足を引っ張るだけですぜ。まぁ戦わないことが組織のためでさぁ。でもこれだけは言っておきますぜ。このナデガタ、稼業に参加はせずとも、違う時代に居ようとも、一時もお頭たちの無事への祈りを忘れたこたぁございやせん。毎日毎日、姿の見えぬお頭たちの無事を祈っていたんでさぁ。
お頭たちはそらぁたいそうお強い方々で、そう簡単には死にぁあしないってぇ事ぐらい分かってんだけど、いや、ほら、やっぱりねぇ…狙われる身分だから心配でねぇ。黄門様みたいに印籠出してそれで終わりってぇ時代なら良かったのに今は印籠なんか見向きもされない、いやな時代になったもんでさぁ…
おっといけねぇ、話がそれちまった。あっしの修行の話だったね。
まずは道具を頂きやして。『ぷらちなあくせさり〜』って言ったかな?なんでも身に着けただけで装甲が上がるってぇ代物。まぁ貧乏暮らしの長いあっしには縁のない高級品でさぁ。それを惜しげもなくくださるんですぜ。こんな大人物になりてぇな、って思ったね。
粋でしょ?こういうの。
で、早速それを身に着けるわけなんだけど…イマイチ実感がねぇんだよなぁ強くなった。そんでまぁ物は試しってことで蛇を片っ端から集めて噛み付かせたわけ。
そしたらあんた!痛くも痒くもねぇんでさぁ。
蛇が必死に噛み付いてるのに何も感じないんですぜ?信じられますかぃ?ホントにありゃすげぇシロモンですぜ。皆さんも機会があれば一度お試しあれ…
そいつを着けたおかげでスキルも順調に上がったところに幹部の方から連絡が入りやして。何でも「どら皮装備を渡す」ってえ話。どら皮ってぇのは竜の皮のことで、それをせっせと裁縫してあっしに用意してくれたんでさぁ。
天下のSDがこのあっしのためにそんなことをしてくださるなんて…その時もらったどら皮装備は特別なぬくもりがありやした。
そのあと順調にスキルも上がって虎と戦うことになりやした。ですが…さすがに強いんでさぁ、虎は。
なかなか勝てやせんで、戦ってる時間よりも回収に走ってる時間のほうが長いんじゃねぇかってぐらい何度も死にやした。
それでもめげずに戦っていると徐々に倒せるようになってきやして、軌道に乗ったところで幹部の皆様が勢ぞろい。あっしのスキル上げに協力してくださるってぇ事でさぁ。
…ところがこれがとんでもなく荒っぽい修行でして、虎に囲まれ何度も死にやした。はっきり言って悔しい!だって盗賊稼業の前段階であっさり死ぬんですから。
でもここで「チクショー!」とか言うんじゃあ器が小さすぎると思いやして、あっしは言ったんでさぁ「わが生涯に一遍の悔いナシ」…でもさすがはお頭。あっしの本心なんざ完全に見抜かれていたんでさぁ。
お頭は言いやした「悔いありまくりって感じの死に方だぞー!」……いやぁもう最高に恥ずかしかった!このお方の前で嘘をつくのは無理だと観念しやして、あっしは叫んだんでさぁ「俺の心は折れてねー!!」
そう、これが今に伝わるナデガタスピリット誕生の瞬間でさぁ。
確かにあっしの精神ということに違いはありやせんが、これを引き出したのは実はお頭なんでさぁ。ホントに偉大な方ですぜ、お頭は。あのお方のおかげで、あっしも少しはSDに貢献できているようで感無量でさぁ。
その後折れない心で何とか修行に耐え抜いて、これまた幹部のお方が用意してくださった『ぷらちなちぇいんめいる装備』を身にまとうことが出来るようになったんでさぁ。
不肖ナデガタが来るべき初陣に備え、その牙に鋭さを増して来やした。未来にいる軍属どもを蹴散らす日も近いかもしれませんなぁ。
次回予告「破門」