+ 完全無欠な恋人 +



 オスカーに群がる女達は、果たしてアイツのどこが好きなのだろうとゼフェルは思う。

 顔か?

 体か?

 それとフェミニストなところか?

 実際、自分もそんなところは好きだ。

 あの端正な顔も、鍛えられた体も。

 それから女性にするようにではないが、優しいところや、それがサマになっているところも。

 彼の唇や瞳、甘い囁きや指の動き。

 おそらく、多くの女が好きであろうオスカーのパーツを、ゼフェルも好きだ。

 でも、だからオスカーのことが好きかと考えたら、そうではない。

 いわゆる『かっこいい』から、ではない。

 

 オスカーのことを好きだなぁ、と実感するのは。

 ヤキモチやいて、子供じみた顔で拗ねたとき、

 映画を見て、泣いてるくせにそれを隠そうとしてるとき、

 夜中に理由もなく、力一杯抱きしめられるとき。

 およそ『かっこいい』とは程遠い。

 けれどそれが大好きで、愛しいと思う。



『アイツってカッコいい』

 そう思って、ただ眺めていた頃は、こんな気持ちにはもちろんならなかったのに。

 あの頃の気持ちが恋だとすれば、さしずめ今は、愛かもしれない。

 そんなことを真面目に考えてしまうのも、オスカーに影響されている証拠だ。





 今だって『カッコいい』と思う。

 見取れてため息をついて、オスカーの想像だけで自慰できるくらいに。

 同時に、『オレの前じゃ、情けねーの』とも思う。

 そのギャップがたまらない。

 理想だけを追いかけたり、ギャップのない恋愛なんて、いつかは飽きるものだから。

  



 オスカーは、自分にとって最高の恋人。

 情けなくても、みっともなくても、それが愛情へと変換される。





 ゼフェルだけの、完全無欠な恋人。







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