気持ちの先端





 ゼフェルの髪を弄るのは好きだ。

 髪が見た目より柔らかくて心地良いというだけではなく 自分の膝の上で好き勝手に髪を弄らせるゼフェルは愛おしくて堪らない。

 今だって、ソファに座るオスカーの膝に頭を乗せて眠るゼフェルは、無防備そのものだ。

 仰向けに寝ているものだから喉元は晒されているし、警戒などという言葉はどこにも見付からない。

「聖地に来たばかりの頃とは比べ物にならんな」

 オスカーは目を細めると、細い銀髪に手を差し入れて頭を撫でた。

 以前は頭を撫でようものなら、「子供扱いするな」とひどく怒ったのが、今は甘えることを享受している。

 それはオスカー限定のことだけに、余計に愛おしい。

 しばらくそうして頭を撫でたり髪を梳いたりしていると、ゼフェルがぼんやりと目を開けた。

「悪かったな、起こしてしまったか」

 手を止めると、ゼフェルはまだ半分閉じている瞼のまま、眉をしかめた。

「…止めんな…」

「何か言ったか?」

 聞き返すと、今度は不服そうにしっかりと瞼を開け、赤い瞳で見上げられた。

「頭。気持ちいーんだから、止めんな」

「了解」

 言われた通りに髪を梳く行為を再開すると、ゼフェルはまたうつらうつらと瞼を閉じてしまう。

 しかし穏やかで無防備な顔を見ているうちに、オスカーに悪戯心が沸いてきた。

 髪で気持ち良くなるのなら、別の意味で気持良くさせることも出来るのではないだろうか。

そんなことを思いながら、意図的に髪を梳く。

 先程よりゆっくり、根本から先端までを扱くように。

「…ん…?」

 微妙に変わった触れ方に気付いてゼフェルが身じろぐが、まだ目は閉じたままだ。

 オスカーは掌と指先の感覚をフルに働かせながら、ゼフェルの頭皮と髪とを撫でた。

「…も、止めろ…」

 うっすらと覗いた紅い瞳は、ゆらゆらと水分の膜が張っている。

「どうした?気持ちいいんじゃないのか?」

「…気持ちヨくなりすぎ」

「そうか?」

 小さい頭を包むように撫でると、ゼフェルが僅かに唇を引き締めた。

 声を出すまいとしているのが分かるだけに、ますます苛めたくなってしまう。

「止めろって…」

「じゃあこっちか」

 脚の間に手を伸ばすと、そこは半分ほと勃ち上がっていた。

「んっ…」

 鼻にかかった掠れ声は、既にベッドの中と同じ艶だ。

 髪を根本から梳くのと、陰茎を扱くのとを同じ速度でしてやると、ゼフェルは我慢できずに腰を揺らした。

「以前より敏感になってるんじゃないか?」

 頭を撫でながら、下肢を握る手に力を込める。

 ほんの悪戯だったはずが、行為はいつの間にかエスカレートしていて歯止めは効きそうにない。

 前髪の生え際にキスを落として囁こうとすると、ゼフェルも何か言いたげに唇を開くのが見えた。



「髪だけじゃ物足んねー…」

「髪だけでは物足りんな」



 重なった言葉に相好が崩れた。